著者
高橋 美保子 丹後 俊郎
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.571-584, 2002-09-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
16
被引用文献数
8 9

Objectives: The purpose of this study was to assess the effects of recent influenza epidemics on mortality in Japan.Methods: We applied a new definition of excess mortality associated with influenza epidemics and a new estimation method (new method) proposed in our previous paper to the national vital statistics for 1975-1999 (ICD8- ICD10 had been adopted) in Japan. This new method has the advantages of removing a source of random variations in excess mortality and of being applicable to shifting trends in mortality rates from different causes of death in response to the revision of ICD. The monthly rates of death from all causes other than accidents (all causes) and some cause-specific deaths such as pneumonia, malignant neoplasm, heart disease, cerebrovascular disease (C. V. D) and diabetes (D. M.) were analyzed by total and by five age groups: 0-4 years, 5-24 years, 25-44 years, 45-64 years, and 65 years old or older.Results: The following findings were noted:1. For each epidemic in every other year since 1993, large-scale excess mortality of over 10, 000 deaths was observed and the effect of those epidemics could be frequently detected in mortality even among young persons, i. e., 0-4 years or 5-25 years.2. Excess mortality associated with influenza epidemics influenced mortality by some chronic diseases such as pneumonia, heart disease, C. V. D., D. M., etc. For some epidemic years since 1978, excess mortality rates were detected even in mortality by malignant neoplasm.Conclusions: It has been definitely shown by applying the new method to the national vital statistics for 1975-1999 in Japan that influenza epidemics in recent years exerted an influence on overall mortality, increasing the number of deaths among the elderly and the younger generation. Monitoring of the trends in excess mortality associated with influenza epidemics should be continued.
著者
丹後 俊郎
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.81-96, 1989-01-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
13
被引用文献数
7 3

衛生統計学,疫学などの公衆衛生の分野では,地域の死亡状況を表す比較可能な指標として,年齢分布の違いを調整した,年齢調整死亡率,標準化死亡比などが良く利用されている.また,疾病地図と称して,地域別の死亡状況の大小をこれらの指標を利用して,数区分に色分けして視覚的に表示することが良く行われる.しかし,これらの指標は,人口の地域変動に基づく標本誤差の影響を強く受け,人口の小さい地域の指標のバラツキが大きく,わずかな死亡数の変化が見かけ上の指標を大きく変化させるという問題がある.とくに,年齢調整死亡率では,この影響を受けて,時には,異常な高値を示す欠点も指摘されている.この小論では,この問題の一つの解決策として,経験的ベイズ推定量を導入し,その妥当性を具体例で議論する.
著者
丹後 俊郎
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.27, no.Special_Issue, pp.S116-S119, 2006-09-30 (Released:2012-01-23)
参考文献数
1

This short note discusses statistical issues in the appropriate design of randomized controlled trials with regards to the recent two documents, “Points to Consider on Switching between Superiority and Non-inferiority” and “Guideline on the Choice of the Non-inferiority Margin” from the European Agency for the Evaluation of Medicinal Products. This paper also points out the inappropriateness of the terminology of “superiority”defined in ICH E9 (Statistical Principles for Clinical Trials) and discusses its relationship with these matters.
著者
渡邉 純子 渡辺 満利子 山岡 和枝 安達 美佐 根本 明日香 丹後 俊郎
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.167-178, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
31

M市域中学生 (12-14歳, 1,625名) を対象に, 体格, 食事 (FFQW82) , ライフスタイル・心身の健康問題 (SPS) に関する横断調査を実施した。男子・女子ともエネルギー (E) 摂取量における朝昼夕の3食配分比は2 : 3 : 4で, 朝食摂取不足, 夕食摂取量多過が考えられた。食品群別 (E) 摂取量は肉類が魚介類の2倍以上と多く, 野菜類は対象の摂取目標値 (350 g/1日) に比べ少なかった。ライフスタイル (男子%, 女子%) では朝食に主菜 (34.3, 29.9) ・野菜 (25.1, 24.2) を食べる, 油の多い料理をとり過ぎない (34.9, 34.8) がそれぞれ半数に満たなかった。重回帰分析によりSPSスコア低値と男子・女子の食物繊維摂取量 (p=0.011, p<0.001) , 夜12時には熟睡 (p=0.006, p<0.001) , 睡眠6時間以上 (p<0.001, p=0.018) , 同高値と嗜好品類摂取量の多さ (p<0.001, p=0.001) が関連していた。中学生の食事摂取・ライフスタイルとSPSとの関連性が示唆された。
著者
丹後 俊郎
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.56-67, 2001 (Released:2009-04-07)
参考文献数
15
被引用文献数
2 4

Meta-analysis is a statistical method which examines all the combinable studies on a particular subject conducted independently in the past in order to estimate the size of the common effect regarding the same research question, e.g., to estimate the efficacy, toxicity effect and environmental risk of certain treatments. In other words, meta-analysis is a scientific procedure that integrates the evidence obtained all over the world. This paper describes its application to clinical research.
著者
大坪 浩一 山岡 和枝 横山 徹爾 高橋 邦彦 丹後 俊郎
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 = JAPANESE JOURNAL OF PUBLIC HEALTH (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.347-356, 2004-05-15
被引用文献数
5

<b>目的</b> 医療資源の適正配分・適正配置を考えるうえで,地域における医療資源の死亡への影響を評価することは重要である。死亡指標として用いられることの多い標準化死亡比(SMR)は,市区町村単位のような小地域レベルでの比較に用いる際には人口サイズの相違の影響を受けやすく,わずかな死亡数の変化が見かけ上の指標を大きく変化させるという問題がある。そこで,本研究では,「経験ベイズ推定に基づく SMR」(EBSMR)に基づき医療資源の死亡に及ぼす影響について,社会経済要因の影響を調整したうえで評価することを目的とした。<br/><b>方法</b> 本研究では医療資源が適正配置されているかという点に着目し,これまでの研究で主な医療資源の指標とされてきた医師数,一般診療所数,一般病床数(いずれも対人口)に加え,脳血管疾患や心疾患死亡に影響すると考えられた救急医療体制参加施設数などを取り上げた。死亡指標は,平成 5 年~平成 9 年の福岡県における全死因および脳血管疾患,心疾患,悪性新生物の 3 大疾患,および急性心筋梗塞の性別の EBSMR を取り上げた。社会経済要因として,出生数,転入・転出者数,高齢者世帯数,婚姻件数,離婚件数,課税対象所得,完全失業者,第一次産業就業者,第二次産業就業者数,第三次産業就業者数,刑法犯認知件数を取り上げた。EBSMR と医療資源変数および社会経済変数との関連性を,正規分布を呈しない変数については対数変換後,重回帰分析により検討した。<br/><b>結果</b> 重回帰分析より得られた主要な結果として,人口対医師数(男性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.047,女性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.012),人口対救急医療体制参加施設数(女性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.001),人口対一般病床数(女性全死因 <i>P</i><0.001,女性脳血管疾患 <i>P</i>=0.007,女性心疾患 <i>P</i><0.001,女性悪性新生物 <i>P</i>=0.049)では,それが多いほど EBSMR が低くなる傾向が認められた。逆に,人口対一般診療所数では,それが高いほど死亡が高まる傾向を示していた(女性全死因 <i>P</i>=0.025,女性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.006)。<br/><b>結論</b> 以上より,福岡県を事例として,市区町村レベルでの医療資源の死亡に及ぼす影響を EBSMR で評価したところ,医師数の充実と男女の急性心筋梗塞死亡の低下,一般病床数の充実と女性の全死因・女性の脳血管疾患・女性の心疾患・女性の悪性新生物死亡の低下,救急医療体制参加施設数の充実と女性の急性心筋梗塞死亡の低下の関連が認められ,医師数および入院や救急に関する医療資源を適正配分することの重要性が示唆された。
著者
溝口 恭子 輦止 勝麿 丹後 俊郎 簑輪 眞澄
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.867-878, 2003 (Released:2014-12-10)
参考文献数
17
被引用文献数
6

目的 近年,乳幼児のう蝕有病者率は著しい減少傾向にあるが,川崎市中原区における 3 歳児のう蝕有病者率は,1 歳 6 か月児のそれに比べ約 5 倍の増加がみられる。そこで,1 歳 6 か月時から 3 歳時にかけてのう蝕発生に関わる要因として,乳幼児期の家庭環境,生活習慣,食習慣,歯科保健行動について検討した。方法 平成13年 6 月から 9 月に川崎市中原保健所において 3 歳児健診を受診した者のうち,同保健所にて 1 歳 6 か月児健診を受診し,その健診においてう蝕のなかった者491人を調査対象とした。1 歳 6 か月児および 3 歳児健診結果,3 歳児健診時のアンケート調査票の結果を用いて,3 歳時のう蝕の有無別に比較検討した。う蝕発生と本研究で用いた要因について単変量解析で関連の強い要因を選択し,次に,選択された要因相互の関連性を調整したう蝕発生要因の決定にロジスティック回帰分析を適用した。結果 1 歳 6 か月時から 3 歳時にかけてのう蝕発生と有意に関連するリスク要因は,1 歳 6 か月時の母乳摂取「あり」(う蝕発生オッズ比2.80,95%CI:1.42-5.57),3 歳時の 1 日 3 回以上の甘味飲食「あり」(う蝕発生オッズ比2.07,95%CI:1.24-3.43)であった。保護者による毎晩の仕上歯みがきを「していない」のう蝕発生オッズ比は1.68(95%CI:0.90-3.14)と大きい傾向を示したが,有意ではなかった。結論 1 歳 6 か月時に母乳摂取を継続していると 1 歳 6 か月時から 3 歳時にかけてのう蝕発生のリスクが高まることが示唆された。また,3歳時で 1 日 3 回以上の甘味飲食の習慣がある児にう蝕「あり」の割合が高いことも示唆された。
著者
丹後 俊郎 阿部 一洋 狩野 紀昭
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-18, 1990-10-25 (Released:2009-06-12)
参考文献数
15

ある人間集団の状態推移を分析する方法として,マルコフモデルがよく適用されている.このモデルでは個々の人間の状態推移の差異,つまり個人差を考慮していないが,実際には無視できない場合も多い.本稿では,推移確率が個人別の変量であってディリクレ分布に従うことを仮定する.個人ごとの推移確率は経験ベイズ推定量により推定する.個人差の有無の検定はスコア検定によって行う.具体例として状態数2の場合について,前立腺癌患者の状態推移のデータにモデルを適用する.また,シミュレーションによって個人ごとの推移確率の経験ベイズ推定量の性質を検討する.
著者
渡邉 純子 渡辺 満利子 山岡 和枝 根本 明日香 安達 美佐 横塚 昌子 丹後 俊郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.113-125, 2016 (Released:2016-04-02)
参考文献数
36

目的 本研究は,中学生におけるライフスタイルと愁訴との関連性の検討を目的とした。方法 2012年 5~11月,同意を得た熊本県内10校の中学校 1, 2 年生,計1,229人(男子527人,女子702人)を対象とし,愁訴(12項目)および体格,食事調査(FFQW82),ライフスタイル(18項目),食・健康意識(9 項目)に関する自記式質問紙調査を実施した。回答を得た1,182人(回収率96.2%,男子500人,女子682人)を解析対象とした。愁訴は(いつも・ときどき)を愁訴ありとして,12項目のありの個数を「愁訴数」として取り扱った。要約統計量は男女別に,連続量は平均値と標準偏差または中央値(25%点,75%点),頻度のデータについては出現頻度(%)を求めた。男女間の比較には前者では t 検定,またはウィルコクソン順位和検定を,後者ではカイ 2 乗検定により比較した。愁訴については因子分析で因子構造を確認した。ライフスタイル等と愁訴との関連性は,主成分分析およびステップワイズ法による変数選択により検討した。有意水準は両側 5%,解析は SAS Ver9.3を用いた。結果 本対象の体格は全国平均とほぼ同レベルであった。エネルギー摂取量の朝・昼・夕食の配分比率は,2:3:4 を示し,とくに朝食の摂取不足の傾向が認められた。ライフスタイルでは,男女ともに朝食を十分摂取できていない者 2 割強,夜 9 時以降の夕食摂取者 3 割程度,TV・ゲーム等 2 時間以上の者 5 割程度認められた。愁訴の出現頻度は,「いつも疲れている感じがする」,「集中力がない」,「やる気がでない」がそれぞれ男女ともに 40%以上を示した。 多変量解析の結果,「愁訴数」の少なさと関連するライフスタイル項目として,男女ともに「バランス食摂取」,「睡眠 6 時間以上」,女子の「3 食規則的摂取」,「食欲あり」,「リラックス時間あり」が示唆された。「愁訴数」の多さと関連する項目として,男女ともに「早食い」,「TV・ゲーム等 2 時間以上」,男子の「料理・菓子をつくる」,女子の「間食・夜食をとる」,「夜 9 時以後の夕食摂取」,「弁当は自分でつくる」が示唆された。なお、食事摂取量は「愁訴数」とはほとんど関連が認められなかった。結論 中学生の「朝食を落ち着いてしっかり食べる」および「食事は 1 日 3 回規則的に食べる」などの食事摂取状況やライフスタイルが「愁訴数」の少なさと関連することが示唆された。
著者
丹後俊郎著
出版者
朝倉書店
巻号頁・発行日
2013
著者
丹後 俊郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.p967-978, 1990-12
被引用文献数
2
著者
丹後 俊郎 山岡 和枝 緒方 裕光 池口 孝
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

「ごみ焼却施設からの距離」をダイオキシン類への曝露の主要な代替変数としたごみ焼却施設周辺の疾病の超過リスクの検出に関して、本研究では、(1)焼却施設の位置を既知としてその周辺の超過リスクを検出する方法(Focused test)と、(2)焼却施設の位置を未知として、超過リスクが生じている「場所とその周辺」を特定する方法(Global test)を検討してきた。前者については、すでにStatistics in Medicine(2002)に報告し、かつ、周辺地域のがん死亡率の経年的変化に基づく新しい健康影響評価のための方法を、施設からの方角など距離以外の要因も考慮に入れた柔軟な統計モデルを英国王立統計学会主催の国際統計学会(2002)で発表(招待講演)した。後者の方法については、Connecticut大学の生物統計学科Kulldorff助教授との共同研究により,昨年度までに提案した方法と他の方法,Kulldorffのspatial scan statisticとBonetti-Pagano's M statisticsとの検出力の総合的な比較を行い、その結果はComputational Statistics and Data Analysis(2003)に掲載された。本研究で検討した統計モデルの応用として,ごみ焼却施設周辺の乳児死亡への影響の解析に適用するとともに、ごみ焼却施設とは異なるものの単一汚染源への応用例として、原子力発電所周辺の周産期死亡データの解析例を示し、その応用可能性を検討した。
著者
井上 和子 大谷 武司 荒木 盛雄 丹後 俊郎 倉科 周介 木谷 信行 乾 宏行 品川 洋一 飯倉 洋治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.1063-1071, 1985

1981年に筆者らが気管支喘息と診断した182名の喘息児の2年間の臨床経過と, その影響因子をアンケート及び現地診察を行い調査した.同時に, 喘息発症の原因検索として, 喘息児家庭の家塵中のダニの種類と数を, また, 布団敷前後の空中浮遊細菌数の変動を検索した.その結果, 2年間の臨床経過では, 悪化8.3%, 不変24.6%, 改善51.7%, 無症状15.2%であった.予後に対する影響因子では, 血清IgE値と, 家塵とダニに対するIgE抗体が高値の者, また, 現在湿疹がある者の予後が不良であった.喘息児家庭内の家塵0.5gm中のダニ数は, 平均539匹と東京のそれよりも多く, 種類はD.p.31.1%, D.f.9.5%で, ササラダニが多く検出された.喘息児寝室内の布団敷前後の空中落下細菌は, 血液寒天培地上のコロニー数で比較したところ, 布団敷後が約3倍にも増加していた.
著者
小嶋 美穂子 辻 元宏 丹後 俊郎
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.352-360, 2002-04-15
被引用文献数
4

<b>目的</b> 死亡指標として標準化死亡比(SMR)等がよく利用されているが,人口が大きく異なる地域の比較を行う場合に,適切な指標とはならないことがある。そこで,本研究では,人口の調整を行った SMR の経験的ベイズ推定量(EBSMR)を算出し,滋賀県50市町村の死亡状況を知るとともに,死亡と栄養の関連について検討する。<br/><b>方法</b> 1987年~1996年の10年間における滋賀県内50の市町村別死亡数を用いて,全国死亡率を標準とした EBSMR を算出し,疾病の地域集積性の検討に Tango の集積性の検定を適用した。また,EBSMR を目的変数,栄養素摂取量等を説明変数として重回帰分析を行った。<br/><b>結果</b> 全死因で男女共,近江八幡市に集積性がみられた。重回帰分析で,正の因子として,貝類,いか・たこ,肉類,油脂類,漬物,塩魚など,負の因子として,海草類,牛乳乳製品,茸類,豆類,ビタミン B<sub>1</sub> などが抽出された。大津市と湖東地域は,食生活が異なり,集積する死因も対称的であった。<br/><b>結論</b> ベイズ推定による SMR を用いることで,人口が調整され,地域の比較が可能になった。さらに,どの地域にどの死亡が集積しているか検討することにより,滋賀県の死亡状況が明らかとなった。また,栄養素摂取量等との解析より,関連が明らかとなり,今後の保健医療対策を考える上での基礎的資料となった。