著者
渡壁 奈央 古田 歩 鈴木 麻希 杉山 寿美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.74, no.11, pp.648-659, 2023 (Released:2023-12-08)
参考文献数
46

戦国期毛利氏の饗応献立について, 『元就公山口御下向之節饗応次第』に記された6回の饗応献立記録と, 『身自鏡』に記された季節の食材や調理法から, 饗応献立の料理構成を検討した. 膳部の本膳, 二の膳, 三の膳の料理の数は, それぞれ7, 5, 3であり, 異なる15の料理が供されていた. また, 1回の饗応で料理の重複は認められなかった. 一方, “かうの物” “かまぼこ” “あわび”等は, 6回の饗応すべてで供されていた. 御汁は, 二の膳, 三の膳で2つずつ供され, 二の膳では, 魚 (鯉, 鯛, 鮒) の汁と, 山菜または海藻の汁, 三の膳では鳥 (白鳥, 靏, 鴈) の汁と, 獺またはあわびの汁であった. 『身自鏡』には, 塩による保存の有無で魚, 鳥, 獺の汁の調理方法が異なることが記されていた. 献部では, 初献で“雑煮”, 二献で“さしみ”“鳥”“栄螺”が供されていた. 点心の献には, 上位の食材とされる鯉, 白鳥, 鶴や, 季節の情景を表した料理が, “御副物”として組み合わされていた.
著者
松本 良 奥田 義久 蛭田 明宏 戸丸 仁 竹内 瑛一 山王 梨紗 鈴木 麻希 土永 和博 石田 泰士 石崎 理 武内 里香 小松原 純子 Antonio Fernando FREIRE 町山 栄章 青山 千春 上嶋 正人 弘松 峰男 Glen SNYDER 沼波 秀樹 佐藤 幹夫 的場 保望 中川 洋 角和 善隆 荻原 成騎 柳川 勝則 砂村 倫成 後藤 忠則 廬 海龍 小林 武志
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.1, pp.43-71, 2009-02-25 (Released:2010-04-05)
参考文献数
46
被引用文献数
65 59

A number of extensive methane plumes and active methane seeps associated with large blocks of methane hydrates exposed on the seafloor strongly indicate extremely high methane flux and large accumulations of methane hydrate in shallow sediments of the Umitaka spur and Joetsu knoll of the Joetsu basin 30 km off Joetsu city, Niigata Prefecture. Crater-like depressions, incised valleys, and large but inactive pockmarks also indicate methane activities over the spur and knoll. These features imply strong expulsions of methane gas or methane-bearing fluids, and perhaps lifting and floating-up of large volumes of methane hydrate to the sea surface. High heat flow, ∼100 mK/m, deposition of organic-rich strata, ∼1.0 to 1.5%TOC, and Pliocene-Quaternary inversion-tectonics along the eastern margin of the Japan Sea facilitate thermal maturation of organic matters, and generation and migration of light-hydrocarbons through fault conduits, and accumulation of large volumes of methane as methane hydrate in shallow sediments. Microbial methane generation has also contributed to reinforcing the methane flux of the Joetsu basin. Regional methane flux as observed by the depth of the sulfate-methane interface (SMI) is significantly high, < 1 m to 3 m, when compared to classic gas hydrate fields of Blake Ridge, 15 to 20 m, and Nankai trough, 3 to 15 m. δ13C of methane hydrate and seep gases are mostly within -30 to -50‰, the range of thermogenic methane, while dissolved methane of the interstitial waters a few kilometers away from seep sites are predominated by microbial with δ13C of -50 to -100‰. Seismic profiles have revealed fault-related, well-developed gas chimney structures, 0.2 to 3.5 km in diameter, on the spur and knoll. The structures are essential for conveying methane from deep-seated sources to shallow depths as well as for accumulating methane hydrate (gas chimney type deposits). The depth of BSR, which represents the base of gas hydrate stability (BGHS), on the spur and knoll is generally 0.20 to 0.23 seconds in two-way-travel time, whereas the BSRs in gas chimneys occur at 0.14 to 0.18 seconds, exhibiting a sharp pull-up structure. The apparent shallow BGHS is due to the accumulation of large volumes of high-velocity methane hydrate in gas chimneys. The depth to BGHS is estimated to be 115 m on an experimentally determined stability diagram, based on an observed thermal gradient of 100 mK/m. Then the velocity of the sediments on the Umitaka spur is calculated to be 1000 m/s, which is anomalously low compared to normal pelagic mud of 1600-1700 m/s. This exciting finding leads to the important implication that sediments of the Umitaka spur contain significant amounts of free gas, although the sediments are well within the stability field of methane hydrate. The reasons for the existence of free gas in the methane hydrate stability field are not fully explained, but we propose the following possible mechanisms for the unusual co-existence of methane hydrate and free-gas in clay-silt of the spur. (i) High salinity effect of residual waters, (ii) degassing from ascending fluids, (iii) bound water effect and deficiency of free-waters, and (iv) micro-pore effect of porous media. All of these processes relate to the development of gas hydrate deposits of the Umitaka spur.(View PDF for the rest of the abstract.)
著者
鈴木 麻希子 山下 成実
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.115-120, 2019 (Released:2019-06-14)
参考文献数
21

近年, 加工食品は多様化し, その利用も増加しているため, 食品添加物として使用されている無機リンの過剰摂取が懸念されている。また, 無機リンの吸収率は有機リンよりも高いことが知られている。しかしながら, 国民健康・栄養調査では, そのリン量が考慮されている加工食品は一部に限られ, 無機リンとしての摂取量は不明である。そこで, 本研究においては, 加工食品における添加無機リンおよび総リンの定量を行った。小スケールの陰イオン交換カラムでも直線濃度勾配法により, オルトリン酸, ピロリン酸, トリポリリン酸を効率よく分離し, 90%以上回収することができた。測定した食品の中には, トリポリリン酸を含むものもあり, 総リン量に占める無機リンの割合が50%を超えるものが複数あった。また, 一般に, 食品のリン/たんぱく質比は15 mg/gとされているが, それを超えるものも複数見られた。これらの情報は慢性腎臓病患者にとって有用な情報となると考えられる。
著者
永易 あゆ子 鈴木 麻希子 近藤(比江森) 美樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.55, 2012 (Released:2012-09-24)

[目的] 加齢に伴う身体機能の低下は、高いQOLを営む上で重要な行為の一つである食事への興味・関心の低下につながる。高齢者の約90%は白内障をはじめとする視覚異常を患っている。食事に対して、その55%が視覚からの刺激を受けることから、料理の色彩や料理と盛り付け皿の色の組み合わせが食欲に与える影響は大きい。本研究では、煮豆を数種類の色の器に盛り付け、料理の判別やおいしさを感じる感覚について、正常観察および白内障模擬体験眼鏡をかけた場合を比較検討した。[方法] 調査は、本研究に対して同意が得られたO大学の栄養学科3年生40名を対象に、2011年6月に視覚調査を行った。異なる色を有する5種類の煮豆(白いんげん豆、大豆、赤いんげん豆、緑えんどう豆、黒大豆)を、白、黄、赤、青、緑、黒の6色の皿(今回は、各色のナプキンで色を演出した)に盛り付け、正常観察、次いで模擬体験眼鏡をかけた場合に、「判断しやすい」あるいは「おいしそう」と感じる組み合わせについて順位法による回答を求め、得点化した。[結果および考察] 正常観察では、「判断しやすい」と「おいしそう」の組み合わせはほぼ一致し、白皿が好まれる傾向にあったが、白いんげん豆の場合、「判断しやすい」のは黒皿であるが「おいしそう」は白皿で得点が高かった。一方、模擬体験眼鏡をかけた場合も同様の傾向を示したが、白いんげん豆では、「判断しやすい」と「おいしそう」ともにコントラストの強い黒皿で高得点となり、「おいしそう」と感じるためには、まずは「判断できる」ことが重要であることが示唆された。
著者
高木 絢加 岸田 菜々 鈴木 麻希 武田 一彦 木村 理恵 永井 成美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.165-173, 2016 (Released:2017-01-19)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

【目的】我々は,温スープ摂取後の安堵感の上昇にはスープの嗜好性が,体温上昇にはスープの温度が関連することを若年女性において見出したが,スープ中のナトリウム(Na)の影響の程度は不明であった。本研究の目的は,日常で摂取している容量のNaが嗜好性・安堵感や主観的温度感覚,深部・末梢体温の上昇に及ぼす影響を,スープと食塩のみを除いたスープ(食塩無スープ)を用いた実験により明らかにすることである。【方法】前夜から絶食した若年女性12名に対し,スープ(Na 440 mg)摂取,食塩無スープ(Na 61 mg)摂取,スープ摂取なし(ブランク)の3試験を異なる日の朝9時より無作為な順序で行った。サンプル(65°C,150 ml)は5分間で摂取し,直後に嗜好調査を行った。深部体温(鼓膜温),末梢体温(手先温・足先温),心拍数は,摂取10分前から65分後まで測定し,安堵感と主観的温度感覚は質問紙で6回測定した。【結果】スープでは食塩無スープと比べて嗜好得点が有意に高く,摂取後の足先温(曲線下面積:AUC)も有意に高かった。重回帰分析より,足先温上昇に嗜好得点が関連していることが示された。安堵感,主観的温度感覚,心拍数の各AUCは,両スープともにブランクより高かったがスープ間での差はなかった。【結論】スープに含まれるNaは,食塩としてスープの嗜好性を高め,摂取後の足先温上昇に関与することが示唆された。一方,両スープ摂取後の安堵感,主観的温度感覚,鼓膜温,心拍数は類似した経時変化を示したため,本研究で用いたサンプルのNa濃度の影響は限定的だと考えられる。
著者
本窪田 直子 駒居 南保 鈴木 麻希 林 育代 森谷 敏夫 永井 成美
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.65-74, 2016 (Released:2016-04-15)
参考文献数
36
被引用文献数
4 3

生体リズム位相には個人差があり, 日中に活動しやすい朝型と夕方から夜間に活動しやすい夜型があることが知られている。そこで, “朝型と夜型では体内時計支配下にある自律神経活動や胃運動・食欲感覚の日中の変動が異なる”という仮説を立て, 実験による検証を行った。前夜22時より絶食した若年女性34名の胃電図, 心電図 (心臓自律神経活動) , 食欲感覚, 眠気, 深部体温 (耳内温) を8-20時まで1時間毎に測定した。食事と間食は定時に供した。全測定後に朝型-夜型を質問紙によりスコア化し, 中央値以上を朝型傾向群, 未満を夜型傾向群として結果を比較した。夜型傾向群は朝型傾向群と比べて, 終日, 交感神経活動優位の自律神経活動と高い心拍数, 眠気スコアが示された。また, 午前中の空腹感スコアが低く, 食後胃運動の周波数シフトに有意な上昇を認めなかった。本結果より, 午前中の食欲や活動が減弱しやすい夜型傾向群の特徴が示唆された。
著者
鈴木 麻希 泉 杏奈 村 絵美 林 育代 森谷 敏夫 永井 成美
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.163-171, 2016 (Released:2016-08-26)
参考文献数
26

エネルギーを有さない人工甘味料のスクラロースが食欲感覚や胃運動に及ぼす影響を, スクロースとの比較により明らかにすることを目的とした。15℃で150 mLのスクラロース溶液 (SR) , 等温・等量・同程度の甘さのスクロース溶液 (S) , コントロール (軟水, W) を, 異なる日の朝9時に前夜22時より絶食した若年女性に負荷した。30 mLずつ分注したサンプルを口に含み口腔内に十分に行き渡らせてから飲み込む方法で甘味刺激を5回繰り返し, 0・1・5杯目の甘味の感じ方を調べた。胃電図, 心電図 (心拍数) , 体温は, サンプル摂取20分前から摂取65分後まで測定し食欲感覚は15分毎に評価した。SとSRともに摂取直後の食欲を一過性に抑制しSRで低下が顕著だった。その後の食欲は溶液の甘味を強く感じるほど高まった。胃電図の応答はSとSRで異なり, 心拍数増加はSでのみ認められた。本結果よりSRは心拍数や体温は上昇させないが, 一過性に食欲を抑制し異なる胃運動を示すことがSとの比較において示唆された。
著者
鈴木 麻希 宮田 采実 和田 有史 武藤 孝子 小谷 和彦 永井 成美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.223-231, 2020-10-01 (Released:2020-11-09)
参考文献数
26

【目的】食品に付したエネルギー情報の違いが,摂食者の心理・生理的応答に与える影響を若年女性において検討すること。【方法】ランダム化クロスオーバー試験として実施した。試験食は,466 kcalのフレンチトーストに,500 kcal表示または 1,000 kcal表示のカードを付した2種類とした。異なる2日間の9時前後に,前夜から絶食した若年女性12名にランダムな順序でいずれかを負荷した。官能評価と摂食への抵抗感,唾液中のα–アミラーゼ濃度を摂食前後に測定した。食欲感覚と呼気ガス(エネルギー消費量)は摂食前と摂食90分後まで測定した。呼気ガス測定値より食事誘発性熱産生を算出した。【結果】心理的指標では,甘さ,脂っぽさ,摂食への後ろめたさは,摂食前後ともに 1,000 kcal表示が 500 kcal表示よりも有意に高かったが,美味しさ,摂食への嬉しさ,食欲感覚(空腹感,満腹感)は,摂食前後ともに試験食による差はなかった。生理的指標では,唾液α–アミラーゼ濃度は,1,000 kcal表示のみ食後に有意に上昇したが,食事誘発性熱産生は,両試行で有意な差はなかった。【結論】本結果より,食品に付した高エネルギー情報は,若年女性摂食者の満腹感や食事誘発性熱産生を高めなかったが,甘さと脂っぽさを強く感じさせるとともに,摂食への抵抗感とストレスを高めることが示唆された。
著者
中川 洋 鈴木 麻希 竹内 瑛一 松本 良
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.969-985, 2009-10-25 (Released:2010-03-19)
参考文献数
34
被引用文献数
5 6

Plantonic and benthic foraminifera are analyzed with 11 sediment cores recovered from the Umitaka Spur area of the Joetsu Basin off Joetsu, Niigata Prefecture. The area is characterized by active methane seeps and methane hydrates. We recognize 12 foraminiferal biozones (Biozone I to XII in descending order) in the last 32000 years based on three selected cores (two well-dated and one longest), and apply them to another 8 cores for correlation. Sediment cores are divided into five lithologic units as massive to bioturbated mud (lithologic unit 1), thinly laminated mud (unit 2), gray massive mud (unit 3), thinly laminated dark mud (unit 4), and bioturbated mud (unit 5) from upper to lower. Lithologic units 2 and 4 correspond to basin-wide thinly laminated layers, previously reported as TL-1 and TL-2, respectively. The Japan Sea became a closed inland basin during the lowest sea level period of the last glacial maximum (LGM) at 27-26cal kyr BP (Biozone VIII). The surface water reached the lowest salinity level, while the bottom water was strongly anoxic due to reduced vertical circulation. An expulsion of a large amount of methane occurred on the Umitaka Spur during the LGM due to a massive dissociation of subsurface methane hydrate. Biozones VIII, VII, and VI at around 27-17 cal kyr BP with planktonic foraminiferal maximum and benthic foraminiferal minimum are found in a dark layer of TL-2, which was formed during the period of the lowest sea level in the LGM. Biozone IV, 12-11 cal kyr BP, is characterized by low oxygen tolerant benthic species of Bolivina pacifica, and correlates with dark layer TL-1, which implies that the deep circulation of Japan Sea was severely reduced for a short period during (or soon after) the Younger Dryas Cooling Event. B III represents the planktonic foraminiferal minimum zone, which marks the transition from cool water species to warm water species in planktonic foraminifera. Foraminiferal stratigraphy reveals that the sedimentation rate of the Umitaka spur sediments varied significantly depending on topography such as pockmarks or mounds.
著者
藤井 俊勝 麦倉 俊司 奥田 次郎 森 悦朗 鈴木 麻希 森 悦朗 鈴木 麻希 麦倉 俊司 奥田 次郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ヒトの記憶については心理学的・神経科学的な研究が数多く行われてきていたが、記憶の間違い-つまり、記憶として想起はできるものの内容が正確ではない場合-のメカニズムについては不明な点が多い。本研究ではヒトの脳活動を間接的に測定することができる脳機能画像法と、脳損傷患者を対象とした神経心理学的研究によって、ヒトの脳でどのように誤った記憶情報が表象されるのかを検討した。記憶を司る内側側頭葉に対して、記憶を制御する前頭前野が影響を与えていることや、内側側頭葉と感覚情報を処理する感覚皮質の関連が明らかとなった。