- 著者
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藤原 里佐
- 出版者
- 一般社団法人 日本社会福祉学会
- 雑誌
- 社会福祉学 (ISSN:09110232)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.1, pp.146-154, 2002-08-31 (Released:2018-07-20)
- 被引用文献数
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障害児者福祉は,障害者自身のニーズを充足し,生活,教育,就労など,あらゆる面における権利を保障することに主眼がおかれてきた。しかし,重度・重複障害児は,日常生活を営むことや福祉サービスを利用することに際しても援助を必要とする。障害を的確に把握し,自己決定の過程を援助する「特定の人」がいることで,障害児のさまざまな社会参加が可能になる。こうした役割をになっているのが障害児の母親であり,特別の内容を伴う「ケア役割」を長期的に果たしている。一方,今日の育児や介護のあり方は多様化し,女性の意識も変化している。そうした面からも,障害児の母親役割が依然として強調され,母親が「もう1人の当事者」になっていることは再考すべきで問題である。現に心身の負担やストレスなど,障害児の母親に特化する問題は深刻である。本稿では,母親の葛藤構造と障害児ケアの特殊性に注目し,ケア役割の分散化という視座から母親役割について考える。