著者
永野 咲 有村 大士
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.28-40, 2014-02-28 (Released:2018-07-20)

本研究では,社会的養護措置解除後の若者(以下,退所者)の生活実態とその困難さの数量的かつ正確な把握を目指し,4つの退所後実態調査の二次分析を行った.またこれらの調査の実態把握率の課題を克服するため,施設代表者に記入を依頼するアンケート調査を実施し一次データの収集・分析を行った.その結果,退所者は同年齢層(15〜24歳)の18〜19倍の生活保護受給率であり,司法や医療,福祉制度の介入を必要とする退所者も少なくないことが明らかとなった.この状況から,退所者はデプリベーションともいえる生活困難に陥っている可能性が示唆された.進学状況の格差,高い正規雇用率と高い生活保護受給率等相反する状況もみられ,困難が集積する層があると推測された.特に18歳未満での退所は住居・職業ともに不安定になる傾向が示唆された.社会的養護は退所後の生活実態を把握し,入・退所者のライフチャンス保障の方策を講じるべきである.
著者
松本 伊智朗 湯澤 直美 関 あゆみ 蓑輪 明子 永野 咲 加藤 弘通 長瀬 正子 丸山 里美 大谷 和大 岩田 美香 大澤 亜里 鳥山 まどか 佐々木 宏 杉田 真衣 山野 良一 田中 智子 上山 浩次郎 藤原 千沙 吉中 季子 福間 麻紀 大澤 真平 藤原 里佐 川田 学 谷口 由希子 中澤 香織 伊部 恭子 山内 太郎 新藤 こずえ 小西 祐馬 加藤 佳代
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、子どもの貧困の現代的特質を明らかにすると同時に、政策的介入と支援のあり方を検討することである。そのために、大規模な子ども・家族を対象とした生活調査(3万人対象)を北海道で行った。あわせて、女性の貧困に関する理論的検討、社会的養護経験者に対する調査を行った。それらを通して、経済的問題、時間の確保、追加的ケアへの対応、ジェンダー平等の重要性、子どもの活動と経験、社会的ケアと社会保障制度の問題について検討を行った。
著者
永野 咲 有村 大士
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.28-40, 2014-02-28

本研究では,社会的養護措置解除後の若者(以下,退所者)の生活実態とその困難さの数量的かつ正確な把握を目指し,4つの退所後実態調査の二次分析を行った.またこれらの調査の実態把握率の課題を克服するため,施設代表者に記入を依頼するアンケート調査を実施し一次データの収集・分析を行った.その結果,退所者は同年齢層(15〜24歳)の18〜19倍の生活保護受給率であり,司法や医療,福祉制度の介入を必要とする退所者も少なくないことが明らかとなった.この状況から,退所者はデプリベーションともいえる生活困難に陥っている可能性が示唆された.進学状況の格差,高い正規雇用率と高い生活保護受給率等相反する状況もみられ,困難が集積する層があると推測された.特に18歳未満での退所は住居・職業ともに不安定になる傾向が示唆された.社会的養護は退所後の生活実態を把握し,入・退所者のライフチャンス保障の方策を講じるべきである.