著者
谷口 由希子
雑誌
人間文化研究 = Studies in Humanities and Cultures (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.63-75, 2016-01-31

本論文は、子ども時代の貧困の持続性について考察する。具体的には、子ども時代に児童養護施設などの社会的養護を経験し、なおかつ施設退所後にホームレス生活を経験した11名を対象にインタビュー調査を行い、子ども時代からホームレス生活に至るまでの生活史を分析した。その結果、第1に、ほとんどのケースにおいて社会的養護からの離脱後には施設や家族との関わりはなく、勤務先の寮などで生活している。保護者も頼ることができず「帰る場所がない」居住環境にあるため離職がホームレス経験に直結している。第2に、子ども時代から大人になりホームレス生活に至るまで社会的養護の事由となる家族基盤の脆さは一貫してある。すなわち、子ども時代は社会的養護というシステムに包摂されるが、社会的養護が発生する問題自体は、子ども時代を経て大人になった時点においても解決されず、施設での生活や高校卒業等の教育歴を獲得することによっても生活の立て直しが容易ではないことが示唆された。
著者
木戸 利秋 平野 隆之 伊藤 文人 丹羽 啓子 丹波 史紀 谷口 由希子
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

社会的排除への政策対応が課題になっていることをふまえ、イギリスと日本の政策プログラムの評価研究を行った。その結果、イギリスでは社会的排除対策の進展もみられるが、同時に現代社会において貧困や排除に対応すべきソーシャルワークが岐路にたっていることも明らかになった。他方、日本では都市部での貧困調査、子どもの貧困調査、そして過疎地域の高齢者実態調査から貧困・社会的排除対策の現状と課題を明らかにした。
著者
松本 伊智朗 湯澤 直美 関 あゆみ 蓑輪 明子 永野 咲 加藤 弘通 長瀬 正子 丸山 里美 大谷 和大 岩田 美香 大澤 亜里 鳥山 まどか 佐々木 宏 杉田 真衣 山野 良一 田中 智子 上山 浩次郎 藤原 千沙 吉中 季子 福間 麻紀 大澤 真平 藤原 里佐 川田 学 谷口 由希子 中澤 香織 伊部 恭子 山内 太郎 新藤 こずえ 小西 祐馬 加藤 佳代
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、子どもの貧困の現代的特質を明らかにすると同時に、政策的介入と支援のあり方を検討することである。そのために、大規模な子ども・家族を対象とした生活調査(3万人対象)を北海道で行った。あわせて、女性の貧困に関する理論的検討、社会的養護経験者に対する調査を行った。それらを通して、経済的問題、時間の確保、追加的ケアへの対応、ジェンダー平等の重要性、子どもの活動と経験、社会的ケアと社会保障制度の問題について検討を行った。