著者
藤本 誠
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1-56, 2003

論文はじめに一 直木説の再検討二 『霊異記』における「堂」についての基礎的考察 : 下巻二三縁をめぐって (一) 『霊異記』にみえる「堂」 (二) 下巻二三縁にみえる仏教施設について (三) 『霊異記』にみえる"牛の論理"三 『霊異記』における「堂」と「寺」をめぐる諸問題 : 下巻一七縁と下巻二八縁との比較を中心に (一) 「寺」と「堂」の存在形態について (二) 「寺」・「堂」における在地の仏教 : 在地の仏教施設に居住する僧侶をめぐってむすび
著者
引網 宏彰 柴原 直利 村井 政史 永田 豊 井上 博喜 八木 清貴 藤本 誠 後藤 博三 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.699-707, 2010 (Released:2010-10-30)
参考文献数
6

リウマチ性多発筋痛症(PMR)に対して,漢方治療が奏効した5症例について報告する。さらに,これら5症例を含む当科でのPMR治療例10例について検討した。その結果,有効症例は6症例であった。そのうち,1例はステロイド剤の投与を拒否した症例であったが,他の5症例は筋痛症状や炎症反応の出現により,ステロイド剤の減量が困難な症例であった。また,1例を除いて,CRPは3.0 mg/dl以下であった。一方,無効症例では高度の炎症反応を示しており,ステロイド剤の投与が必要であった。有効症例には駆瘀血剤(疎経活血湯,桃核承気湯,桂枝茯苓丸,腸癰湯加芍薬,薏苡附子敗醤散,当帰芍薬散)が投与されていた。以上より,PMRでステロイド剤の減量が困難な症例や炎症反応が軽度である症例には,漢方薬は治療の選択肢の一つとなりうると考えられた。さらに駆瘀血剤の積極的な使用がPMRの治療に有用である可能性が示唆された。
著者
藤本 誠
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.239-275, 2006-01

論文はじめに一 上巻第五「本記」と『古屋家家譜』 (一) 『古屋家家譜』と紀伊国大伴系同族 (二) 上巻第五「本記」と『古屋家家譜』の影響関係 (三) 大部連屋栖野古と推古天皇二 上巻第五「本記」の作成目的 (一) 「本記」と『日本書紀』 (二) 屋栖野古の居地・冠位と大伴宿禰氏 (三) 「本記」における「賛」と宇治大伴連氏おわりに
著者
後藤 博三 藤本 誠 渡辺 哲郎 引網 宏彰 小尾 龍右 野上 達也 永田 豊 柴原 直利 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.189-197, 2010 (Released:2010-07-01)
参考文献数
19
被引用文献数
3 4

視床痛は視床出血や視床梗塞後に伴う難治性中枢性疼痛として知られている。しかし,薬物療法や外科的治療法が試みられているが確実な治療法がない。我々は難治性の視床痛6例に漢方治療を試み,症状の軽減した4例を経験した。症例は年齢27才から70才の男性4例,女性2例であった。診断は右視床出血3例,左視床出血1例,右視床梗塞2例で,発症後から漢方治療までの期間は6カ月から12年と幅があった。改善した4例では症状がほぼ消失から4割程度減弱した。改善例は全例,烏頭・附子含有方剤が用いられていた。抑肝散加陳皮半夏が精神症状の強い2例で有効であった。また,駆瘀血剤のみで十分改善を認めた症例もあった。症状が長期にわたる症例では,有効例でも症状は残存した。さらに難治例は症状が固定しており,強い麻痺等を伴う症例であった。
著者
吉田 一彦 柴田 憲良 藤本 誠 高志 緑
出版者
名古屋市立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

本研究は、「偽」というマイナスのイメージから研究上の価値が低いと誤認されてきた「疑偽経典」を、豊かな思想を伝えるテキストととらえ直し、その思想作品としての価値を解明するとともに、それらが日本および東アジアの社会、文化に果たした役割を明らかにしようと企図するものである。本研究では、日本に仏教が土着していった様相を、疑偽経典の受容、作成、浸透に着目して考察し、そこから日本仏教の歴史と思想の特質を考究する。
著者
北原 英幸 野上 達也 渡り 英俊 金原 嘉之 藤本 誠 柴原 直利 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.137-142, 2020 (Released:2020-12-07)
参考文献数
19

症例は42歳女性。1年前から月に1—2回,呼吸困難,恐怖感,手の硬直などを伴うパニック発作があり,多忙時や月経期間に生じやすく,他院から処方された加味逍遥散エキスと甘麦大棗湯エキスが有効であったが,自動車の接触事故後に今まで以上に強い発作が出現したため当科を受診した。血液検査,画像検査等で特記所見なくパニック症と診断。奔豚気と捉えて苓桂甘棗湯を処方し,2週間後から気分の改善と発作症状の軽減を得たが,仕事が多忙となった2ヵ月後から週1—2回発作が再発した。前駆症状として後頸部の異常感覚が生じ,同時期に頸部痛,頸部の凝りが増悪することを考慮して桂枝去桂加茯苓白朮湯に転方したところ,後頸部の異常感覚が消失し,以後,発作は出現せずに経過した。頸部の不調がパニック発作の出現と関連する場合,桂枝去桂加茯苓白朮湯が発作予防に有効な方剤と考えられた。
著者
高野 信治 山本 聡美 東 昇 中村 治 平田 勝政 鈴木 則子 山田 嚴子 細井 浩志 有坂 道子 福田 安典 大島 明秀 小林 丈広 丸本 由美子 藤本 誠 瀧澤 利行 小山 聡子 山下 麻衣 吉田 洋一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、欧米では前近代をも射程に身心機能の損傷と社会文化的に構築されたものという二つの局面を複合させて障害を捉え、人種、性(身体上)、民族の差異よりも、障害の有無が人間の区別・差別には重要とされる。日本では、かかる視角の研究はなく、障害は近代の画期性が重視される。しかし福祉問題の将来が懸念されるなか、比較史的観点も踏まえた障害の人類史的発想に立つ総合的理解は喫緊の課題だ。以上の問題意識より、疾病や傷害などから障害という、人を根源的に二分(正常・健常と異常・障害)する特異な見方が生じる経緯について、日本をめぐり、前近代から近代へと通時的に、また多様な観点から総合的に解析する。
著者
野上 達也 渡り 英俊 藤本 誠 金原 嘉之 北原 英幸 三澤 広貴 柴原 直利 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.178-183, 2018 (Released:2018-11-08)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

症例は8歳の女児。末梢血にて汎血球減少を認め,日本小児血液学会の中央診断システムにて小児不応性血球減少症(refractory cytopenia of childhood ; RCC)と診断された。標準的な免疫抑制療法が行われたが無効であり,頻回の赤血球輸血および血小板輸血を必要とするため骨髄移植が予定された。当院小児科入院8ヵ月後に漢方治療が開始され,加味帰脾湯エキスと芎帰膠艾湯エキスの投与により徐々に汎血球減少症は改善し,2ヵ月後には赤血球輸血を中止し,3ヵ月後に血小板輸血も不要となった。その後も順調に汎血球減少は改善し,16か月後にはほぼ正常化し,骨髄移植は中止された。加味帰脾湯,芎帰膠艾湯のRCC に対する作用機序は明らかでなく,その有効性も未知である。しかし,漢方治療は低侵襲性で安価であり,副作用も少ないことから,標準治療への反応が悪いRCC に対して積極的に試みるべき治療法であると考える。
著者
前川 直也 大湊 佳宏 江田 茂行 藤本 誠
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構
雑誌
論文集「高専教育」 : kosen kyoiku (ISSN:03865681)
巻号頁・発行日
no.35, pp.537-542, 2012-03

The purpose of this study is to verify relationship between technical college students'aggressiveness and their lifestyle. A questionnaire survey (BAQ: Buss-Perry AggressionQuestionnaire and daily life) was carried out on 804 students, and also a questionnaire survey oftheir lifestyle was conducted on the 804 students in 2007.The results were as follows:1) "Physical aggression" and "verbal aggression" of the students who have greater motor fitnesswere high, and "hostility" was low.2) "Hostility" of students who like sports was low. And "hostility" of students who have morefrequent chances to exercise was also low.3) "Hostility" and "anger" of students with good health state was low.4) "Aggressiveness" of students who spend a lot of time watching television was high.5) "Verbal aggression" of students who have higher relationship skills was high, but "hostility" and"anger" were low.In conclusion, active students had high "verbal aggression", and they had low "hostility" and"anger".
著者
藤本 誠 森 昭憲 関矢 信康 嶋田 豊 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.655-660, 2004-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

帰耆建中湯が有効であった潰瘍性大腸炎の2症例を経験した。症例1は35歳, 男性。他院にて潰瘍性大腸炎と診断され, ステロイド治療などの内科治療を受けたが寛解に至らず, 漢方治療を希望して当科紹介受診。帰耆建中湯を投与したところ約2週間の内服で腹痛・粘血便・下痢が消失して退院した。症例2は28歳, 女性。他院にて潰瘍性大腸炎と診断され, ステロイドパルス療法, 顆粒球除去療法などを繰り返し, 発症後10年が経過していたが寛解に至らず, 1日10回以上の腹痛を伴う粘血便・下痢を主訴に当部を受診した。帰耆建中湯加文葉山東阿膠の約4週間の服用で腹痛・粘血便・下痢が消失した。今回の経験から, 帰耆建中湯が潰瘍性大腸炎の治療方剤の一つになり得る可能性が示された。