著者
吉田 聡 立花 義裕 小松 幸生 山本 雄平 藤田 実季子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

日本に豪雨をもたらす水蒸気は熱帯・亜熱帯の暖かい海から蒸発し、陸上へ流入する。しかし、極軌道衛星搭載マイクロ波放射計による鉛直積算水蒸気量(可降水量)の1日2回の観測では数時間で数kmの範囲に局所的な豪雨をもたらす降雨帯への水蒸気流入を把握することはできない。本研究では、船舶に搭載したGNSS受信機及び雲カメラ付きマイクロ波放射計と、新世代静止気象衛星ひまわり8号の多チャンネル熱赤外センサとの高頻度同時観測を元にした、海上可降水量の微細構造を水平解像度2kmかつ10分毎にリアルタイム推定する高解像度海上可降水量マップ作製手法を開発し、豪雨災害予測の定量化と早期警戒情報の高精度化に貢献する。
著者
市川 隆一 氏原 秀樹 田尻 拓也 荒木 健太郎 藤田 実季子 太田 雄策
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

顕著な積乱雲発達時や線状降水帯下での豪雨リスク等、気象ジオハザード(Geohazard)軽減を目指して、地球の中性大気中の水蒸気の3次元構造を精度良くかつリアルタイムに把握・監視する技術の確立を目指す。具体的には、約1kmメッシュの多点稠密GNSS(全地球測位衛星システム)観測網と新開発の機動観測型超広帯域マイクロ波放射計等から得られた水蒸気情報に基づいて水蒸気トモグラフィー解析を行い、これを踏まえて高時空分解能で水蒸気の動態予測手法を向上させ、気象ジオハザード軽減に資する、豪雨発生の2時間ないし3時間前からの積乱雲の発生・発達を予測可能な手法の構築を目指す。
著者
藤田 実沙 木村 貴幸 神野 健哉
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:21888566)
巻号頁・発行日
vol.2016-AL-158, no.20, pp.1-6, 2016-06-17

ノード V,エッジ E,エッジのコスト関数 c からなる無向グラフ G = (V,E,c) とターミナル T ∈ V が与えられたとき,T の全てを連結する閉路のない部分グラフをシュタイナー木と呼ぶ.特に,入力されたグラフに対する最小コストのシュタイナー木を求める問題をシュタイナー木問題と呼ぶ.シュタイナー木問題は NP 完全な組合せ最適化問題であるため,近似解を求めるのが一般的である.本研究では,シュタイナー木問題に対してネットワーク中心性を考慮した解構築手法を提案する.ネットワーク中心性のうち媒介中心性は,ネットワーク中の全最短経路に多く使用されるノードやエッジを中心とするネットワーク評価指標である.媒介中心性が高いノードやエッジをシュタイナー木に含むことにより,コストの小さいシュタイナー木を得ることができると考えられる.本稿では,媒介中心性を考慮したシュタイナー木構築手法の性能を,ベンチマーク問題を用いて評価する.数値実験の結果から,媒介中心性を考慮することにより,従来法と比較してコストの小さいシュタイナー木を得られることを確認した.
著者
若月 泰孝 原 政之 藤田 実季子 馬燮銚 井上 忠雄 木村 富士男 小池 俊雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.I_55-I_60, 2016 (Released:2017-01-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

The incremental dynamical downscaling and analysis system (InDDAS) which has been developed from the pseudo-global-warming method by appending partial functions was applied for a probabilistic regional scale climate change projection with the target regions of Kanto and Japan Alps. In InDDAS, the most reliable future state was projected by a regional climate model (RCM) simulation with an ensemble mean among the climatological increments of multiple general circulation model (GCM) simulations. In addition, the uncertainty of the future projections is estimated by RCM simulations with the multi-modal statistical increments calculated by the singular vector decomposition of the multiple GCMs. An increase of rainfall with the change ratio of 7-16 % was projected in Kanto region, where the most reliable value was 10 %. The change ratios of the vicinity quantiles of extreme rainfall was projected to be larger than that of rainfall and was almost the same as the value explained by the Clausius—Clapeyron effect.