著者
櫻井 清一 霜浦 森平 新開 章司 大浦 裕二 藤田 武弘 市田 知子 横山 繁樹 久保 雄生 佐藤 和憲 高橋 克也
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

農村経済多角化に資する経済活動の運営方式と、地域レベルの経済活動を下支えする社会的成立基盤との関係性を分析し、以下の諸点を明らかにした。(1)農産物直売所が開設されている農村社会では、高齢出荷者の社会活動レベルの低下および出荷活動の停滞がみられる一方、後発参入者が広域的な社会ネットワークを広げ、出荷活動にも積極的である。(2)多角化活動の実践は地域社会における経済循環を形成している。(3)政府による農商工等連携事業において、農業部門の自主的な参画・連携がみられない。(4)アイルランドで活発な地域支援組織LAGはプロジェクト方式で自主的に運営され、地域の利害関係者間に新たな協働をもたらしている。(5)アメリカの消費者直売型農業にかつてみられたオールタナティブ性が変化し、対面型コミュニケーションが希薄化している。
著者
和井田 清司 高田 喜久司 小林 恵 藤田 武志 小林 毅夫 釜田 聡 尾島 卓
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

2年間にわたる研究では,研究協力者を含めいくつかのワーキンググループを作り成果をあげた。1.理論研究班は,文献研究を通して,総合学習の理論と方法の基礎を探究した。特に,義務制と違う高校段階の特質を,学科制度や生徒の発達段階の違いから明らかにした。2.質問紙調査班は,行政機関調査と学校調査を実施し,学校段階における実践状況と行政の学校支援の状況を明らかにした。特に,学校における温度差の違いは,創立年次との関連があること,学科制度と実践の特質に連関があることが明らかになった。3.実践研究班は,先進的な事例を参照しつつ,実践構築の方向について検討した。ここでは,総合学習の実践と学校改革が連動することで効果を発揮すること,総合学習の実践にはカリキュラム開発とともに探究ツールの活用が有効であることが示唆された。4.小中高連携班は,連続セミナーや座談会を通して,新潟県上越地域における総合学習実践上の学校間連携を追究し,その糸口を開いた。だが,総合学習の実践状況は,各学校段階において温度差があり,連携の重要性にもかかわらずその困難さも明確になった。5.海外研究班は,東アジア各国での総合学習の文献調査や現地調査(中国・韓国・台湾)を実施した。その上で,中国における総合実践活動,韓国における裁量活動,台湾における統整課程の比較を行い,総合学習の共通性と差異を明らかにした。以上,1〜5の各分野に分けて研究実績を略述した。詳細については,各種学会での口頭報告やシンポジウム,また2冊の研究報告(中間報告書2004.3,最終報告書2005.3)および紀要論文等において公表している。
著者
長屋 茂喜 宮武 孝文 藤田 武洋 伊藤 渡 上田 博唯
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.568-576, 1996-04-25
被引用文献数
51

本論文では, シーンの構造や照明条件が大きく変化する環境下で, 映像中から移動物体を検出する新しい方式を提案する. 本方式の特長は, 各フレーム画像の移動物体領域を探索する代わりに, 時間相関の変化パターンを用いて映像中での移動物体が存在する時間区間を判定する点にある. 本方式はリアルタイムで移動物体を検出でき, 天候 (雨・雪など) や照明条件等の環境の変化に対してロバストである. また, カメラ位置や移動物体の進行方向等の制約がほとんどない. 屋外全天候・昼夜間を含む踏切映像 (撮影期間1年) から選択した代表的な六つのシーン (各10分合計60分) に対して評価実験を行い, 1組の固定したしきい値だけで, 大幅な環境変動が生じる映像に対して, 95%の正検出率を得た.
著者
西島 央 藤田 武志
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

現行学習指導要領におけるクラブ活動の廃止、学校と地域の連携、教育の市場化といった教育改革のなかで、中学校や高校では、部活動を縮小・廃止したり、地域と連携/委譲を図ったりする動きがみられる。このことが、教師による生徒指導や進路指導、生徒の学校への関わり方や進路選択のありようといった学校のその他の教育活動場面や、生徒のスポーツ・文化活動への参入機会にどのような変化をもたらすかを明らかにすることが本研究の目的である。そのために、東京都、静岡県、新潟県を中心に、中学生、高校生を対象とする質問紙調査、並びに部活動改革に取り組む中学校における観察・インタビュー調査を行ってきた。これらの調査によって得られた主な知見は以下のとおりである。部活動に対する生徒のかまえには活動本意の志向性と人間関係本意の志向性がある。活動本意志向の生徒にとって部活動改革は望ましいが、人間関係本意志向の生徒にとっては、学校で行われる部活動でしか享受され得ない人間関係形成の場を失うことになる。学業だけではないさまざまな場面が学校には準備されていることは、学業に興味のない子どもたちにも学校に対する前向きなかまえをもたせるように働いており、部活動に積極的に関わることが学業成績や将来展望にプラスの影響を及ぼしている。部活動が、ジェンダー・サブカルチャー形成の場として機能している。スポーツ・文化活動への参入機会には、出身家庭の文化的経済的状況や地域性によって差があるが、その格差は、学校で部活動が組織されていることによって縮減されている。部活動の地域との連携や移行という取り組みは、第一に、指導者の外部化によって活動が競技志向に傾くと同時に、顧問教師の関与が下がるため、生徒指導の機会が縮小する。第二に、かえって地域社会や保護者の学校への期待が明確化し、その役割や責任が強調されるという矛盾した結果を生み出している。