著者
奥西 一夫 諏訪 浩
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.27-37, 1992-04-30
被引用文献数
2

A landslide at a site beside the prefectural road connecting Otsu and Shigaraki, Shiga Prefecture, Japan resulted in the death of two persons. According to a post-disaster inspection, the landslide involved a translational sliding of a V-shaped block, toppling and fall. These movements are thought to have been controlled by the joint system in the granite which composed the slope. A dynamical analysis of the destruction of steel pillars which had supported the protective fence reveals the velocity of debris and suggests the mechanism of the slope failure. Discussion covers the predictability of such roadside hazards and the possible countermeasures. Considering a wide variation in the mode of roadside slope failures, importance of studies of the causes for individual cases is emphasized in conclusion.
著者
平野 昌繁 諏訪 浩 藤田 崇 奥西 一夫 石井 孝行
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B = Disaster Prevention Research Institute Annuals. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.B-1, pp.219-236, 1990-04-01

Toppled rock blocks from the steep cliff along the Echizen Coast, Fukui Prefecture, hit apart of the shelter (rock-shed) below, and 15 persons in a micro-bus just passing there were killedby the breakage of the shelter on July 16th, 1989. The rock falls foregoing the toppling at leastfor one hour were reported by two eye-witnesses who had watched the full-process of the rock wallcollapse. Their statements give cleary the mode of the collapse starting with the tilting (toppl-ing) of a part of the joint block composing the partly over-hanged sea cliff. The joint block tiltedabout 30 degrees was then disintegrated, falling vertically on the earth surface. Distribution ofthe scattered blocks after the fall suggests the rotation of the blocks around an inclined axis atthe base of the cliff. The rotation is also confirmed by the fabric analysis of the distributed blocks.A part of the disintegrated blocks hit the rock-shed roof at its edge. Intensity of the impactforce given to the soil-covered roof is estimated to be 1100 ton-force, assuming the volume andsize of the individual block deduced from the survey after the fall.
著者
谷口 豪 當山 陽介 藤田 宗久 光定 博生 諏訪 浩
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.397-402, 2011-10-15 (Released:2015-06-24)
参考文献数
11

アミロイドーシスは,線維状の異常蛋白であるアミロイドが全身諸臓器の細胞外に沈着することによって機能障害を引き起こす一連の疾患群である。われわれは,多彩な身体症状を「身体表現性障害」として精神科クリニックにて加療されていた37歳男性に対して入院精査を行い,原発性ALアミロイドーシスとの確定診断に至った。本症例は原発性ALアミロイドーシスが特異的な症状所見に乏しく早期診断が困難であるという特徴と医療者の行き過ぎた「了解」が重なり,身体疾患を見逃した結果「身体表現性障害」と診断されていたと考えた。身体科から紹介されて受診する身体表現性障害疑いの患者のなかには,今回のように確定診断の難しい身体疾患が紛れている可能性がある。身体疾患を見落とし,すべての症状を身体表現性障害による表出と誤解しないために,本疾患のように身体科専門医をしても診断が容易でない場合があることを念頭に置くことが,リエゾン精神医学の実践に不可欠である。本症例は一方でヒステリー的な性格特性と行動様式も有しており,これにアミロイドーシスの身体諸症状が取り込まれる形をとっていた。当院における診断はアミロイドーシスと身体表現性障害の併存とした。われわれは,本人の性格や葛藤状況を適切に「了解」し,それに基づく治療的配慮を施しながら慎重に診断作業を継続したことにより,身体疾患の確定診断を得た。精神科診療における「了解可能性」の判断の確かさが問われていることに気づかされた症例であった。
著者
鮫島 達夫 前田 岳 土井 永史 中村 満 一瀬 邦弘 米良 仁志 武山 静夫 小倉 美津雄 諏訪 浩 松浦 礼子
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.126-133, 2000

神経ブロック, 各種薬物療法などの効果なく, 反応性にうつ状態を呈した帯状疱疹後神経痛 (PHN) 10例に対し電気けいれん療法 (ECT) を施行し, その長期観察を行なった. 全例で持続性疼痛, 発作性疼痛, allodynia がみられ, 意欲低下, 食思不振など日常生活に支障をきたし, 抑うつ症状がみられた. 第1クールでこれらは改善したが, 7例に2~26カ月で疼痛, allodynia の再発がみられた. Allodynia の再発は, 知覚障害のある一定部位にみられ, 徐々に拡大した. しかし, 抑うつ症状の増悪はなかった. ECT第2クールは, 第1クール後5~26カ月後に施行し, より少ない回数で同様の効果を得ることができたことから, ECTの鎮痛効果に耐性を生じにくいことが示唆された. 以上より, ECT鎮痛効果は永続的ではないが, 1クール後数週間に1回施行する維持療法的ECT (continuation ECT: ECT-Cまたは maintenance ECT: ECT-M) を施行することで, 緩解維持できる可能性が示された. 対象に認めた抑うつ症状は疼痛の遷延化による2次的なものであり, 抑うつ症状の改善もECTの鎮痛効果による2次的産物であることが示唆された.<br>ECTは「痛み知覚」と「苦悩」の階層に働きかけるものであり,「侵害受容」,「痛み行動」には直接効果を示さないことから, その適応には痛みの多面的病態把握, すなわち生物-心理-社会的側面からの病態評価が必要となる.
著者
土石流研究グループ 奥西 一夫 横山 康二 諏訪 浩 矢野 勝正 大同 淳之 奥村 武信 中島 暢太郎 枝川 尚資
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.691-705, 1971-09
被引用文献数
1

A new observation system for rocky mudflow was designed by the Mudflow Research Group.The system consists of a detector on mudliow arrival and automatic switch circuit for VTR, 35mmcamera and firing of flare tube in order to record the state of moving mudflow. In addition to thissystem, rain gauges and water level recorder are necessary for the survey of hydrological characterin a small mountaineous basin. During last summer in 1970, the observation system and hydrolo-gical survey instruments had been set along Kamikamihori valley at eastern slope of Mt. Yake andtested in regard to the practical effectiveness. The front velocity (1-5 m/see) of mudflow wasmeasured correctly from the record obtained by the new system.
著者
鳥塚 尚樹 羽毛田 真弓 橋口 晃一 前川 竜也 渡辺 仁 金子 吉史 新田 浩之 浜田 淳 榊原 雄太 佐藤 玄 佐藤 耕一 諏訪 浩一 高見 清佳
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.45, pp.P-93, 2018

<p> 2017年8月,FDA Data Standards Catalog v4.6にSEND Implementation Guide ver. 3.1(以下,IG 3.1)が収載され,2019年3月15日以降開始の試験はNDA/BLA申請時にIG 3.1準拠のSENDデータ提出が義務化された。IG 3.1の対象試験には心血管系及び呼吸系安全性薬理試験が含まれるため,それらのSEND対応はCJUG SENDチームの最重要課題の一つと考えられた。そこで,ITベンダー,ソリューションプロバイダ,非臨床試験CRO,製薬企業が所属するCJUG SENDチームの全27施設を対象に,安全性薬理試験のSEND対応状況及び想定される課題等に関するアンケートを実施し,匿名で回答を収集して分析した。</p><p> その結果,ほぼ全ての施設が安全性薬理試験のSEND対応への必要性を認識している一方,IG 3.1の詳細把握から具体的な業務手順の整備等の体制構築を進めている施設は少数のみであった。今後の対応方針を業種別にみると,製薬企業の多くは外注での対応を想定し,受託側のソリューションプロバイダ及びCROは自社対応やパートナリングで積極的にSENDデータ作成受託を進めようとしている傾向が示された。また,機器からの印刷物や手書きの記録を安全性薬理試験の生データとしている施設も依然多く,データの電子化自体が安全性薬理試験SEND対応の大きな課題であることが明らかとなった。さらに,SENDデータセット作成・検証の担当者に安全性薬理研究者の配置を想定している企業は少なく,統制用語の適切な利用など,安全性薬理試験SEND対応のプロセスに専門家がどう関与すべきかという潜在的な課題も見出された。本発表では調査内容を更に精査し,安全性薬理試験SEND対応の課題及び今後のデータセット作成に有用な情報を提供したい。</p>
著者
諏訪 浩 齊藤 隆志 横山 俊治 高谷 精二 高谷 精二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、地震や豪雨によって起こる崩壊や土石流が、河川を閉塞して地すべりダムを形成する条件と決壊に至る条件、ならびにそのメカニズムを検討するために、崩壊や土石流が発生した現地の地形・地質を調査分析し、採取した土試料の分析、空中写真や地形図、数値標高モデルを用いた水文地形解析、ビデオ映像記録や地盤振動データの解析などをおこなった.その結果、崩壊位置の特定方法、地質構造が崩壊の素因として果たす役割、崩土の材料特性と運動特性の関与、河川形状の特異性と地質の違いが地すべりダム形成・決壊に果たす役割とメカニズムについて、斬新な知見をもたらした.