著者
田中 智久 田上 銀平 山崎 真大 高島 郁夫 迫田 義博 落合 謙爾 梅村 孝司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.607-610, 2008-06-25
被引用文献数
1 2

2005年度冬季に北海道で大量死した野鳥のうちの13羽について,病理検査とインフルエンザ,ウエストナイル両ウイルスの検出を行った.病理検査では全身性の急性循環障害が共通して認められ,ウイルス検出は陰性であった.これら検査結果,冬季限定の発生状況および文献検索から,融雪剤中毒の可能性が高いと考えられた.また,融雪剤を投与した鶏雛は急性経過で死亡し,野鳥と類似の病変を示した.鶏雛で血漿Na濃度の上昇があったことから,野鳥の死因の確定には罹患症例の電解質検査が必要と考えられた.
著者
伊藤 美加 長井 誠 早川 裕二 小前 博文 村上 成人 四ッ谷 正一 浅倉 真吾 迫田 義博 喜田 宏
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.899-906, 2008-09-25
参考文献数
39

2007年8月,石川県金沢競馬場において馬インフルエンザが発生した.感染馬の症状は主に発熱(38.2-41.0℃)および鼻汁漏出で,呼吸器症状を示した馬はわずかであった.全ての競走馬は不活化ワクチンを接種しており,ワクチンにはH3N8馬インフルエンザウイルス,アメリカ系統のA/equine/La Plata/93株,同じくヨーロッパ系統のA/equine/Avesta/93株,およびH7N7馬インフルエンザのA/equine/Newmarket/1/77株が含まれていた.鼻腔スワブ材料からH3N8馬インフルエンザが分離され,A/equine/Kanazawa/1/2007と命名した.系統樹解析では,A/equine/Kanazawa/1/2007株はアメリカ系統のフロリダ亜系統に属した.さらに,HA1サブユニットのアミノ酸解析を行ったところ,同じアメリカ系統のワクチン株であるA/equine/La Plata/93株と比較して,BおよびEの抗原決定部位に4アミノ酸の置換が認められた.また,回復期の馬16頭から採材した血清を用いて赤血球凝集抑制反応を実施したところ,A/equine/Kanazawa/1/2007株とワクチン株間に1〜3管の差が認められた.これらの結果から,流行株とワクチン株に抗原性状の差が示唆されたが,わが国の現行市販ワクチンは罹患率の低下や発症期間の短縮に貢献したと思われた.
著者
喜田 宏 岡崎 克則 迫田 義博 河岡 義裕 高田 礼人 伊藤 壽啓
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

新型ウイルスの亜型予測に資するため、鳥類および動物インフルエンザウイルスの疫学調査を実施した。ロシア、モンゴル、中国および北海道で、渡りカモの糞便3,987検体を採取し、亜型の異なるインフルエンザAウイルス212株を分離した。宮城県のブタからH1N2ウイルスを分離した。北海道大学を含む動物インフルエンザセンター5機関で25株のH9ウイルス株を交換し、解析を共同で開始した。渡りカモのウイルス遺伝子を比較解析したところ、日本で分離されたH9インフルエンザウイルスと1996年に韓国でニワトリに被害をもたらしたウイルスが近縁であった。1995~1999年に中国のニワトリから分離されたH9N2ウイルスの遺伝子解析の結果、渡りカモのウイルスと異なる亜群に分類され、ノイラミニダーゼに欠損が認められた。内部蛋白遺伝子は1997年の香港の強毒H5N1ウイルスに内部蛋白遺伝子を供給したH9N2ウイルスの系統とは異なった。香港のブタ、カスピ海のアザラシの抗体調査を行い、インフルエンザウイルスが感染した成績を得た。インフルエンザウイルスの異種動物間伝播機構を明らかにするため、ニワトリ雛の気嚢継代によって得たニワトリ馴化株の遺伝子再集合体を作出し、ニワトリ肺における増殖性を調べた。HA遺伝子を入れ替えた遺伝子再集合体の増殖性に変化はなく、他の因子が関与することが示唆された。新型ウイルスの出現に備え世界の動物インフルエンザの疫学調査とワクチン候補株を系統保存・管理するプロジェクトをWHOに提案し、各国とのネットワーク形成に支援が得られることになった。
著者
迫田 義博 青木 博史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

豚コレラウイルスの病原性発揮に関与すると考えられている自然免疫回避機構を分子レベルで解明することを目的とし、ウイルス非構造蛋白N^<pro>の点変異体や欠損体を作製し、1型IFNの産生抑制に必須なアミノ酸領域を決定した。このアミノ酸の変異は、(1)C112R、(2)D136N、(3)H5Y、L8F、P17Sのいずれかであることがわかった。また、この自然免疫の調節に関与するN^<pro>上のアミノ酸の変異は、豚における病原性発揮の要因の1つであることを明らかにした。
著者
喜田 宏 梅村 孝司 迫田 義博 伊藤 壽啓 小笠原 一誠 河岡 義裕 岡崎 克則
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、家禽と家畜のインフルエンザの被害を未然に防ぐとともに、ヒトの新型インフルエンザウイルスの出現に備え、その予防と制圧に資することを目的とする。・動物インフルエンザのグローバルサーベイランスによるウイルス分布の解明2006年秋、日本、モンゴルにおいて採取された渡りガモおよびハクチョウの糞便材料からのウイルス分離を試みた。1,201検体の材料から合計55株のインフルエンザAウイルスを分離同定した。これらの分離株にはH5やH7亜型のインフルエンザウイルスは含まれていなかった。これまでのウイルス分離の成績と合わせると、H1-H16およびN1-N9までの144通りの組合せのうち、133通りのウイルスの系統保存を完了した。・インフルエンザウイルスの病原性決定因子の同定2006年夏、モンゴルの湖沼で死亡野烏が再び発見され、死亡したオオハクチョウおよびホオジロガモの臓器材料からH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが分離された。分離されたウイルスは、2005年中国やモンゴルの野生水禽から分離された高病原性のH5N1ウイルスと8つの遺伝子分節すべてが近縁であった。また、このウイルスに対して哺乳動物が高い感受性を示すことが動物試験から明らかにした。・ベッドサイド早期迅速インフルエンザ診断法の開発A型インフルエンザウイルスH5およびH7亜型抗原を特異的に検出する簡易診断キットを開発した。本キットの有用性を実験感染動物の材料を用いて評価したところ、NP検出キットより感度は劣るが、H5およびH7抗原を特異的に検出でき、ベットサイド診断法として有用であることが確認された。