著者
野々村 敦子 増田 拓朗 守屋 均
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.3-8, 2006-08-31
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

研究対象地域である香川県直島は,1976年から現在までに山火事が7件発生していることから,山火事が発生しやすい環境下にあるといえる。樹木による被覆を失った裸地面では,森林本来の機能を失うため,土壌浸食を受けやすく,土壌劣化の可能性が高い。よって,健全な緑地環境を保全するためには,山火事による被害を最小限に抑えることがきわめて重要である。本研究では,2004年1月13日に発生した山火事において,現地調査の結果と衛星データを用いて,山火事による植生被害及び火災後の回復能力という点について火災前の植生との関係を解析・評価した。その結果,活性度が高い植生には延焼防止効果があること,さらに活性度の高い植生は高い回復能力を持つことを明らかにした。本研究を通して,今後の森林の育成および管理に関する基礎データを得ることができた。
著者
木下 博久 長谷川 修一 野々村 敦子 山中 稔
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.472-484, 2019-02-10 (Released:2019-12-24)
参考文献数
50
被引用文献数
1 3

流域スケールにおける斜面崩壊の潜在的危険度を評価することを目的として,谷密度のみを変数とする簡便な評価手法を提案し,その有効性,適用性を検討した.国土地理院発行2万5千分の1地形図及び10mDEMを用いた地形解析から谷線を抽出し,谷密度を算出した.谷線はコンターの平均曲率(H)から求め,H>0.1を閾値とすることで,谷地形としての再現性が高くなることを確認した.表層崩壊,土石流を主とする既往土砂災害を対象として,災害発生斜面の流域の谷密度と比較した結果,谷密度が高い流域ほど豪雨時に不安定となり崩壊が発生しやすい場所が多く存在すること,また,谷頭付近を発生源とする崩壊が多いなどの傾向が認められた.谷密度と崩壊頻度との関係は,0.5~1.5km2程度の流域において比較的良い相関(r=0.60~0.66)を示した.このことから,対象とする解析領域の大きさを考慮することで,本手法は表層崩壊や土石流といった斜面崩壊の危険度評価に有効な手法となり得ると考えられる.今後さらに既往災害事例との比較を重ね,また,地形地質的素因が谷密度に与える影響を考慮するなどで,様々な崩壊タイプに対する本手法の汎用性,適用性の拡大が期待される.
著者
野々村 敦子 谷 淳弘 桝本 みな
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.407-418, 2019 (Released:2019-05-20)
参考文献数
17

南海トラフ巨大地震が発生すると,津波の影響を受ける沿岸部のすべての人は,すみやかに避難しなければならない。強い余震が頻発する可能性を考えると,避難を強いられる期間は数日に及ぶことも視野に入れておく必要がある。津波浸水域外に避難することが最善の避難方法であるが,高台がない,避難経路が閉塞されている,体が不自由である場合などは,津波浸水域外への避難が困難な場合も考えられる。沿岸部において津波からの避難の可能性を広げるためには,避難場所の選択肢をいくつか設けておく必要がある。本研究では,まず,津波避難に向けた準備の現状を調査する。次に津波からの避難の可能性を広げるため,津波避難ビルを増やすための住民主体のワークショップを提案する。
著者
長谷川 修一 山中 稔 野々村 敦子 伊藤 久敏 菅原 弘樹
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

東北日本の太平洋側にある松島は,松島湾とその内外にある大小260余りの島々からなる日本三景の一つである景勝地である.長谷川ほか(2008)は,松島周辺の地形,地質を検討した結果,巨大な地すべりによって形成された可能性が高いとの仮説(松島巨大地すべり説)を示した.本研究では松島巨大地すべり説を実証する目的で,東松島市宮戸島において2015年に深さ70mのオールコアボーリングを実施した。また、想定すべり面の上盤側,想定すべり面,想定すべり面の下盤側の3箇所から得たジルコンのU-Pb年代を試みたが,誤差の範囲で一致する15.2 Maを示し、地すべり説を積極的に支持する結果は得られなかった.
著者
野々村 敦子 森本 茂昭 河原 能久 野間 京二
出版者
土木学会
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.1147-1152, 2005-02
被引用文献数
3

Oxygen levels in eutrophic water bodies can become rapidly depleted at the presence of stable thermal stratification. The anoxic condition induces the release of nutrients and heavy metals from bottom sediments, leading to water quality problems. In Goten reservoir, we installed two sets of jet flow generator. One jet flow generator transports the water near free surface and eject it near the bottom while the other discharges pumped groundwater near the bottom. Field measurement has been carried out to understand the destratification process by the induced flow and the resultant changes in water quality. It is demonstrated that the jet flow generators accelerate the destratification process considerably and that the spatial distribution of water quality in a horizontal plane shows little difference during the process. It is also found that further improvement with the jet flow generators is necessary to increase more effectively the dissolved oxygen concentration near the bottom.