著者
菊地 章子 金子 聡一郎 高山 真
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.978-983, 2018-12-18 (Released:2019-01-21)
参考文献数
16

嚥下障害に対する鍼灸治療に関して,海外では有効性を示した研究報告が数々報告されている.鍼灸治療は基本的に患者の状態に応じて治療法を選択するオーダーメイド医療であるため治療の標準化は難しい.本邦では主に太渓と足三里という下肢の経穴に刺激を加えることで嚥下反射が改善するという研究が報告されている.一般の医療・介護施設で通常の鍼灸治療を行うことはさまざまな面で困難を伴うが,簡便に用いることのできる円皮鍼が有用となる可能性がある.鍼灸治療の作用機序はいまだ十分に解明されておらず,鍼灸が嚥下障害に対する治療法の選択肢として広く認識されるには,今後さらに研究を進め,臨床経験を蓄積することが必要である.
著者
大澤 稔 菊地 章子 沼田 健裕 金子 聡一郎 高山 真
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

この1年は「化学物質過敏症」患者のリクルーティング・ピックアップ準備の年であった。まずはpilot的に化学物質過敏症診断で高名な病院の「化学物質過敏症・環境アレルギー外来」で診断済みの患者を紹介してもらい評価の方法を探った。化学物質過敏症に伴う症状と治療(漢方薬)効果との関係にある程度の再現性が確認できたため、次に評価基準を設定する作業に入った。当初の実施計画の通りスクリーニングシートの作成を進めているが、内容としてはたいへん高名な診断ツールとして確立しているQuick Environmental Exposure Sensitivity Inventory(QEESI(R) )をベースにする方向で調整に入った。また個々の症状(頭痛・めまい他)もNSR(Numerical Rating Scale)で数値化を図ることとした。幸いこのQEESIの開発者に指導を仰ぐ機会に恵まれ、研究趣旨を汲んでいただけたため、今後連携研究者としての登録をいただく方向で準備をしている。また診断の信憑性を高めるため精神科の連携研究者の協力も今後仰ぐ予定でいる。化学物質過敏症は環境医学の領域でも大きなトピックである。この1年の間に化学、工学、看護学、衛生学を専門とする研究者のメーリングリストにも登録させていただいた。この課題に取り組むにあたり日本臨床環境医学会にも属することとなり、本研究代表者も医学の立場で情報交流をすることになり、治療実績発表の準備中である。この人事交流は本研究の大きな礎になることが予想される。
著者
金子 聡
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-79, 2016

早大学位記番号:新7399
著者
大仲 佳祐 金子 聡 岡田 朋章 相原 寛 須山 嘉雄 若林 伸一
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency
雑誌
NEUROSURGICAL EMERGENCY (ISSN:13426214)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.213-217, 2019 (Released:2019-10-12)
参考文献数
9

初診時に熱中症と誤診され,くも膜下出血の診断が遅れた2例を報告した.熱中症とくも膜下出血は時に症状が似ていることがあり,特に頭痛・嘔気を呈する際にはそれを念頭において詳細な病歴聴取や,FASTを用いた脳卒中の検索が必要である.くも膜下出血では,予後を大きく左右する再出血の予防が重要であり,初期診療における急務である.熱中症として症状が典型的でない場合や病歴からくも膜下出血が示唆されるような場合は,頭蓋内の精査や脳卒中専門治療を行っている施設への紹介を検討すべきである.
著者
西條 豪 金子 聡 吉川 建夫
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.1180-1183, 2015 (Released:2015-10-20)
参考文献数
7

【目的】酢水にて直接フラッシュおよび充填を行う、“酢水フラッシュ充填 ”の経腸栄養カテーテル閉塞予防効果について検討した。【対象および方法】検討1:酢水フラッシュ充填を行った入院患者延べ47例を対象、閉塞に関して検討した。検討2:経腸栄養カテーテルを使用し、濃厚流動食を滴下、その後を〈方法1〉水道水フラッシュのみ。〈方法2〉水道水フラッシュ後、酢水充填。〈方法3〉酢水フラッシュ後、充填。また通水のみを〈方法4〉とし、実施後のカテーテル重量測定、細菌培養検査を実施した。【結果】検討1:47例中、閉塞5本。検討2:重量変化は〈方法2、方法3〉で同水準の増加。一般生菌数は〈方法1、方法4〉陽性、〈方法2、方法3〉陰性。培養検査は〈方法1〉接続部、〈方法4〉先端部より多数の菌が検出。【結論】酢水フラッシュ充填はカテーテル閉塞の予防策、感染対策として有効であり、さらに、看護業務、患者家族負担の軽減も期待できると考えられた。
著者
小林 尚 佐藤 孝史 菊川 浩史 小林 政人 金子 聡
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.139-146, 2021 (Released:2022-01-14)
被引用文献数
1

ヒスタミンは、主に赤身魚において、不適切な管理が行われた結果、ヒスタミン生成菌が生成するヒスチジン脱炭酸酵素により、遊離ヒスチジンから生成される食中毒の原因物質である。本研究では、市販の魚介類について、魚介類中のヒスタミンおよび遊離ヒスチジン含量を調べるためのモデル試料を調製し、それぞれ5 ℃、10 ℃または25 ℃の温度で、1日、2日、4日または7日間保存する保存試験を行った後、各モデル試料中のヒスタミン含量と遊離ヒスチジン含量を分析した。その結果から、生成したヒスタミン量と遊離ヒスチジン量の変化について研究を行った。保存試験の結果、赤身魚の他、白身魚やその他魚介類において、ヒスタミンの生成と遊離ヒスチジン量の減少が確認された。また保存後に生成されたヒスタミン量は、遊離ヒスチジン量に近い量であることが確認され、保存試験におけるヒスタミン量と遊離ヒスチジン量の変化に相関性が確認された。このことから、魚介類の遊離ヒスチジン量を調べることで、その魚介類を保存した時に生成されるヒスタミンの最大量を予測することができると考えられた。
著者
古川 真衣 立石 一希 勝又 英之 山口 翔瑚 金子 聡
出版者
科学・技術研究会
雑誌
科学・技術研究 (ISSN:21864942)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.25-29, 2020 (Released:2020-06-30)

本研究では、特別な分析機器を使用せずに銅イオンを測定する目的で、検出領域としてウェル状スポットを有する紙製分析デバイス(PAD)を開発した。PADは、トリクロロシランの化学気相成長(CVD)でクロマトグラフィー紙に疎水性障壁を形成させることで作製した。検出・定量領域には、銅との反応で茶色を呈する錯化剤として、ジエチルジチオカルバミン酸(DDTC)を固定した。水試料中の銅の検出に適用した後、作製したPADは、画像として取り込まれ、RGB値へ変換することで定量に適用された。
著者
金子 聡 吉浦 裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1402-1413, 2008-03-15

従来の電子透かしの安全性は,埋め込みや検出などのアルゴリズムの非公開を前提としていたが,パブリックレビューや広い普及のためにはアルゴリズムを公開する必要がある.そこで,公開しても安全性を維持できるような電子透かしアルゴリズムを確立するために,暗号分析学を参考にした安全性の分析モデルを提案する.このモデルに基づいて,パッチワークアルゴリズムについて安全性を分析し,脆弱性を明らかにしたうえで,対策案を提案する.Existing digital watermarking methods base their security on the assumption that their embedding and detection algorithms are kept secret. These methods are inconvenient, however, for public review and wide uses. A watermarking algorithm that can be open while maintaining its security is therefore needed. To establish the open secure algorithm, this paper proposes security analysis models for digital watermarking based on the analogy to cryptanalysis models. Using the proposed models, the Patchwork algorithm is analyzed to find its weakness and is improved.