- 著者
-
小林 尚
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.3, pp.185-190, 1978-08-25 (Released:2009-02-12)
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
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ナガメの成・幼虫をナタネの乾燥種子と水で簡易に大量飼育する方法を明らかにした。1. プラスチック容器内に,ナタネの乾燥種子をガムテープに付着した給餌テープをつるすと共に,ガラス瓶に蒸溜水を入れて濾過綿片を挿入した給水装置を装着して飼育セットを作製した。2. 飼育条件は25°C,16時間照明ぐらいが適当であろうと考えられた。3. 採卵飼育には,飼育セットに採卵紙と採卵紐を入れて成虫を入れる。雌成虫の密度は径8.4cm,高さ11cmの飼育セットに10頭,性比は0.59程度が適当と考えられた。採卵間隔は正常な新成虫が得られる密度である約200卵をあまり越えないよう,産卵開始後第4週までは5日,それ以後は7日が適当であろうと考えられた。4. 新成虫を得るための育成飼育には,飼育セットに産卵された採卵資材を入れる。正常な新成虫を得るためには,上記飼育セットに入れる卵数は約200卵が適当であると考えられた。5. 上記飼育条件において,卵期間は6.5日,第1令期間は4.0日,第2令期間は約6.5日,第3令期間は約4.5日,第4令期間は約6.0日,第5令期間は,約9.5日,全発育期間は約37.0日であった。6. 卵のふ化率は産卵開始直後は約95.8%であったが,産卵が進むに従って漸次低下し,産卵開始後第13週目には48.8%となった。7. 幼虫期における死亡率は,飼育密度によって著しく異なり,約200卵の飼育では約3.2%,約300卵の飼育では約38.8%であった。8. 新成虫の卵からの羽化率は,約200卵の飼育では約92.4%,約300卵の飼育では約58.5%であった。