著者
平 朝彦 飯島 耕一 五十嵐 智秋 坂井 三郎 阪口 秀 坂口 有人 木川 栄一 金松 敏也 山本 由弦 東 垣 田中 智行 西村 征洋 鈴木 孝弘 木戸 芳樹 渡邊 直人 奥野 稔 井上 武 黛 廣志 小田 友也 濱田 泰治 室山 拓生 伊能 隆男 高階 實雄 勝又 英信 原田 直 西田 文明 南川 浩幸 金高 良尚
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7, pp.410-418, 2012-07-15 (Released:2012-12-04)
参考文献数
20
被引用文献数
7 5

東北地方太平洋沖地震において関東地方を中心に前例のない広域的な液状化被害が報告されている.都市地盤における液状化現象を理解し,その対策を立てるには,液状化が地下のどこで起ったのかを同定することが極めて重要である.本報告では,千葉県浦安市舞浜3丁目のボーリングコア試料に対して,X線CTスキャン解析を実施し,非常に鮮明な地層のイメージの取得に成功した.この結果,地面下13 mまでの地層を5つのユニットに区分することができ,その中で6.15 mから8.85 mまでの間で地層のオリジナルな構造が破壊されており,液状化した層であると判定した.この手法は,今後の液状化研究に関して,大きな貢献が期待できる.
著者
井上 武
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.166-174, 2019-12-20 (Released:2020-01-10)
参考文献数
54

動物は,外部からの刺激がない環境でも不規則に運動することがある。この自発的に起こるゆらぎは,環境応答行動や指向性運動の正確さを妨げると考えられてきたため,その役割はあまり注目されてこなかった。しかし近年,プラナリアなどを用いた解析から自発的な運動が動物行動の適応性に重要であることが明らかになった。プラナリアは,感覚器官を介して感知した様々な環境情報を脳に集約することで適切な応答行動をとる。例えば,光刺激を頭部にある左右1対の眼で受容し,受け取った信号を脳に送って処理することで光から逃避する行動を示す。プラナリアの光応答行動を制御する機構はすでに十分明らかにされていると考えられていたが,近年,不規則に頭部を左右に振る自発振動が光の方向を正確に認識して効率的に逃避するために不可欠であることが明らかになった。また,自発振動の角度はプラナリアの眼の傾きの角度と相関していたことから,自発振動は眼の形態と密接な関係があることも分かった。さらに,自発振動は落ち葉や石の窪地に隠れるための行動にも必要であるだけでなく,その角度は光応答行動と隠れ行動の両方にとって最適な角度になっていることも明らかになった。これまでノイズと考えられていた自発的に起こる不規則な運動は,従来考えられてきた以上に,動物行動の適応性や効率のために巧みに調節されていることが見えてきた。
著者
井上 武史
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2008-03-24

新制・課程博士
著者
平 朝彦 飯島 耕一 五十嵐 智秋 坂井 三郎 阪口 秀 坂口 有人 木川 栄一 金松 敏也 山本 由弦 東 垣 田中 智行 西村 征洋 鈴木 孝弘 木戸 芳樹 渡邊 直人 奥野 稔 井上 武 黛 廣志 小田 友也 濱田 泰治 室山 拓生 伊能 隆男 高階 實雄 勝又 英信 原田 直 西田 文明 南川 浩幸 金高 良尚
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7, pp.410-418, 2012
被引用文献数
5

東北地方太平洋沖地震において関東地方を中心に前例のない広域的な液状化被害が報告されている.都市地盤における液状化現象を理解し,その対策を立てるには,液状化が地下のどこで起ったのかを同定することが極めて重要である.本報告では,千葉県浦安市舞浜3丁目のボーリングコア試料に対して,X線CTスキャン解析を実施し,非常に鮮明な地層のイメージの取得に成功した.この結果,地面下13 mまでの地層を5つのユニットに区分することができ,その中で6.15 mから8.85 mまでの間で地層のオリジナルな構造が破壊されており,液状化した層であると判定した.この手法は,今後の液状化研究に関して,大きな貢献が期待できる.
著者
井上 武夫 子安 春樹 服部 悟
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.507-512, 2008-07-15
参考文献数
5
被引用文献数
4

〔目的〕菌陽性患者を初発患者とするニ次患者の実態を知る。〔対象と方法〕1989年から2003年までの15年間に,愛知県7保健所4支所で新登録された10,088名の結核患者登録票を再点検し,感染経路を同じくする2名以上の発病者からなるクラスタ一を選別し,菌陽性患者を初発患者とする二次患者の新登録患者に占める割合をクラスター所属二次患者率(CSR),菌陽性患者の中に占める菌陽性の初発患者+二次患者の割合をクラスター率とした。〔結果〕二次患者は417名,全体のCSRは4.1%であり,塗抹陽性3,332名の3.5%,他陽性2,139名の3.8%,菌陰性3,158名の5.4%,肺外結核1,459名の3.4%であり,菌陰性のCSRは他の3群より高かった(p<0.01~p<0.001)。年齢階級別CSRは,10歳未満425%,10代30.3%,20代11.2%,30代7.4%,40代4.6%,50代3.2%,60代2.4%,70代1.8%,80代1.3%,90代0.6%であり,10代と20代(p<0.001),20代と30代(p<0.05),30代と40代(p<0.05)との問に有意差を認めた。男性のCSRは2.9%で女性の6.3%と比べ有意に低かった(p<0.001)。クラスター率は8.8%で,10代と20代(37.1%対21.1%,p<0.001)および40代と50代(16.4%対8.5%,p<0.001)の間に有意差を認めた。〔考察〕CSRは登録10年前までに菌陽性患者と濃厚に接触していることが確認された患者の割合を示すものであり,見知らぬ患者からの感染および感染後長期間経てからの発病が少ないほどCSRは高くなる。〔結論〕CSRは年齢,性別,登録時菌所見と密接に関係しており,若年者,女性,菌陰性肺結核で高い。クラスター率は年齢が若いほど高い。
著者
井上 武
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

機能的な成熟した神経回路は、発生過程で、まず遺伝的情報により形成された後、活動依存的に機能回路単位の再編成が行われることで完成する。神経回路の再編成は、神経伝達を促進するシグナル分子が、シナプス後細胞で活動依存的に発現し、シナプス前細胞と相互作用することが必要と考えられる。本研究では、新規神経ペプチドが活動依存的な神経回路の再編成に関与することで、プラナリアの頭部再生過程における正常な負の走光性行動の機能回復に機能していることを見いだした。
著者
石間 妙子 関島 恒夫 大石 麻美 阿部 聖哉 松木 吏弓 梨本 真 竹内 亨 井上 武亮 前田 琢 由井 正敏
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.118-125, 2007-11-30
被引用文献数
1

現在、ニホンイヌワシAquila chrysaetos japonicaは天然記念物および絶滅危惧IB類に指定されており、その繁殖成功率は最近30年間で急速に低下している。繁殖の失敗をもたらすと考えられる要因の中で、近年、鬱閉した針葉樹人工林の増加による採餌環境の悪化が注目されつつある。この対応策として、2002年、林野庁は岩手県北上高地に生息するイヌワシの繁殖成績を改善するため、列状間伐による森林ギャップの創出を試みた。イヌワシの採餌環境としての列状間伐の有効性を評価するため、林野庁が試験的に実施した列状間伐区、間伐区と環境が類似している非処理対照区および事前調査によりイヌワシの採餌行動が度々確認された採餌区の3調査区を設け、イヌワシの探餌頻度および北上高地に生息するイヌワシの主要な餌であるノウサギとヘビ類の個体数を比較した。ノウサギ生息密度の指標となる糞粒数は、間伐区において伐採翌年に著しく増加したが、伐採2年後には減少し、3年後には伐採前とほぼ同じ水準まで減少した。ヘビ類の発見個体数は、調査期間を通していずれの調査区においても少なかった。イヌワシの探餌頻度は、調査期間を通して間伐区よりも採餌区の方が高かった。このように、本研究で実施された列状間伐は、イヌワシの餌動物を一時的に増やすことに成功したものの、イヌワシの探餌行動を増加させることはできなかった。今後、イヌワシとの共存を可能にする実用的な森林管理方法を提唱するため、イヌワシの採餌環境を創出するための技術的な問題が早急に解決される必要がある。
著者
水谷 后宏 井上 武 間野 暢 明石 修 松浦 知史 藤川 和利
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_101-3_110, 2015-07-24 (Released:2015-09-04)

Structured overlay networks that support range queries cannot hash data IDs for load balancing, in order to preserve the total order on the IDs. Since data and queries are not equally distributed on the ID-space without hashing in range-based overlay networks, uneven loads are imposed on the overlay nodes. Existing load balancing techniques for range-based overlay networks distribute the loads by using data reallocation or node migration, which makes the networks very unstable due to heavy data reallocation or frequent churn.This paper proposes a novel scheme that distributes, fairly, the loads without node migration and with little data reallocation, by sharing some ID-space regions between neighboring nodes. Our “overlapping” ID-space management scheme derives the optimal overlap based on kernel density estimations; the query loads based on the statistical theory are used to calculate the best overlap regions. This calculation is executed in a distributed manner with no central coordinator. We conduct thorough computer simulations, and show that our scheme alleviates the worst node load by 20–90 % against existing techniques without node migration and with least data reallocation.
著者
井上 武夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.111-116, 2000-03-31

ベアティフィカアグリアスの後翅裏面には黒色斑が列をなし,外縁から第2列目の黒色斑は円形で内部に白色または青色の小斑点をともない,眼とひとみに例えられている.第2室から7室までの眼状紋には1個,1b室の眼状紋には2個の白色斑点が通常認められる.眼状紋の大きさは各個体では7個がほぼ同じであるが,亜種間では異なり,ベアータ亜種とスタウディンゲリ亜種は小さく,ベアティフィカ亜種とストゥアルティ亜種では大きい.白や青の小斑点をもたない極めて小さな眼状紋をペルー産4頭の雄に認めたので報告する.写真1-4は1996年7月15日にサティポ近郊のシャンキで採集された雄で,後翅赤色斑は基部に限られ,典型的なベアータ亜種である.7個の眼状紋はかなり小さいが,1b室と2室の眼状紋は特に小さい.ベアータ亜種では1b室の眼状紋が2個に分離している個体を半数に認めるが,この個体では一個の黒点しか認めない.拡大写真では左右の1b室眼状紋の辺縁に白色鱗粉が認められるが,中心部には認めない.第2室の眼状紋は7個の中では最も小さい.右側の拡大写真では黒線が交差しているだけで,円とは遠くかけはなれた形状をしている.左側のは虫が描かれたようで,円形とは言い難い形状をしている.写真5-8は1996年8月5日にチャンチャマーヨ(中部ジャングル地帯)コロラド河流域で採集された雄で,後翅赤色斑は基部に限られ,典型的なベアータ亜種である.7個の眼状紋はかなり小さいが,2,4,6室の眼状紋は特に小さい.1b室の眼状紋は2個に分離しており各々に青色小斑を認める.第2室の眼状紋は7個の中では最も小さい.右側の拡大写真では2-4室の眼状紋の辺縁に白色鱗粉が認められるが,中心部には白も青も認めない.左側の2室眼状紋には白の小斑が中心近くに認められるが,4室の白色鱗粉は眼状紋の辺縁にのみ見られる.写真9-12は1994年2月4日にペバス近郊アンピヤック河流域で採集された雄で,後翅鮮紅色斑は第4列黒色斑の内側まで拡がり,中室には2個の黒色斑の痕跡が認められ,典型的なベアティフィカ亜種である.2-4室の眼状紋は他と比べ2分の1以下であり,ひとみを認めない.右側の拡大写真ではやや大きい2室の眼状紋中心に,少数の青色鱗粉からなるひとみが認められる.3,4室の眼状紋の辺縁には白色鱗粉が認められるが,中心部には白も青も認めない.左側では4室眼状紋中心近くに白と青の鱗粉各1個が認められる.2室と3室の眼状紋には白も青も認めない.写真13-16は1985年8月21日にイキトス近郊イタヤ河流域で採集された雄で,後翅黄色斑は第3列黒色斑の内側まで拡がり,中室には黒色斑の痕跡が認められず,典型的なストゥアルティ亜種である.1b室の眼状紋は他と比べ3分の1以下であり,ひとみを1個しか認めない.右側の拡大写真では1b室の眼状紋は中央部でくびれ,外則部分には青色鱗粉に縁どられた白小斑が認められ,内側部分にも青色鱗粉が1個認められる.左側では1b室眼状紋は中央でほぼ2個の眼状紋に2分され,外側眼状紋には青色鱗粉に縁どられた白小斑が認められる.内側眼状紋は外側の半分以下の大きさしかなく,中心部分には白も青も認めない.しかし,その下部には白の切れ込みがあり,その上に青の鱗粉1個が認められるところから,通常の眼状紋が中心線で上下に2分され,下部が消失したと推測できる.ベアティフィカアグリアスの7個の眼状紋の形状は亜種間ではかなり異なる.著者が所有する137頭のベアータ亜種,36頭のスタウディンゲリ亜種,195頭のベアティフィカ亜種,107頭のストゥアルティ亜種をカラー写真にして比較した.1b室の眼状紋が2個に分離している個体は,各々全体の54%,39%,4%,4%であった.1b室の2個のひとみが全く認められない個体の比率は各々8%,6%,0%,0%であった.1b室のひとみが1個しか認められない個体の割合は各々6%,8%,0%,1%であった.眼状紋の形状は前2亜種間,後2亜種間では類似しており,異常型の出現頻度も似通っていたことから,各々は同一グループに属すと考えられる.後2亜種グループでは肉眼的にひとみを認めない個体は稀であるが,報告した第3と第4の個体以外では,写真を拡大すると眼状紋の中心に青色小斑を認めた.また,このグループで1b室にひとみが1個しかない個体は報告した第4の個体以外になく,極めて稀な変異と考えられる.7個の眼状紋の大きさが個体内で大きく異なることは極めて稀である.ベアータ亜種,スタウディンゲリ亜種の2亜種では,産地によって眼状紋の大きさは異なるが,ベアティフィカ亜種,ストゥアルティ亜種の2亜種のものよりかなり小さい.報告した第1と第2の個体の最小眼状紋の大きさは大差ないが,第3,第4の個体の最小眼状紋に比しかなり小さいのは,亜種グループが異なるためである.報告した4頭は,7個の眼状紋のいくつかが極めて小さく,その中心部に白や青の鱗粉を認めない点で稀な変異体であり,亜種を越えてparvulaocelli var.nov.と命名した.
著者
井上 武夫 新井 久保
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.207-213, 1997-11-30

黄色と赤色はベアータアグリアス裏面の基本色ではあるが,ペルー産の表面に現われることは稀であり,後翅前縁第7室に黄色斑をともなうA.b.stuarti var.fulvescens Rebillardが唯一記載されているにすぎない.著者らは1984年以来ペルー国内で500頭以上のベアータアグリアスを収集してきたが,雌1頭,雄7頭の前翅前縁に黄色または赤色紋を認めた.写真1,2は1987年9月22日にイキトスで採集された雌で,前翅前縁と第12翅脈との間の第12室,および第11,12翅脈間の第11室に黄褐色紋が認められる.拡大写真では多数の黄褐色鱗粉が第11,12室に認められ,中室にも広く散見される.また,第10翅脈上にも少数認められる.写真17はその裏面であり,後翅基部の黄褐色斑は大きくA.b.stuarti f.micaela(Biedermann)と同定できる.写真3,4は1986年8月3日にイキトスで採集された雄で,前翅前縁第11室に黄褐色紋が認められる.拡大写真では多数の黄褐色鱗粉が第11室に認められ,第10,12室と中室,および第10翅脈上にも認められる.写真18はその裏面であり,後翅基部の黄褐色斑は大きくA.b.stuarti f.micaelaと同定できる.写真5,6は1987年1月31日にイキトスで採集された雄で,前翅前縁基部に黄褐色紋が認められる.拡大写真では多数の黄褐色鱗粉が第12室基部に認められ,少数は第11室,および第12翅脈上にも認められる.写真19はその裏面であり,後翅基部の黄褐色斑は大きくA.b.stuarti f.micaelaと同定できる.写真7,8は1993年8月にイキトスで採集された雄で,前翅前縁第11,12翅脈が黄褐色になっている.拡大写真では多数の黄褐色鱗粉が第11,12翅脈上に認められ,第9,10翅脈上にも散見される.また,前縁と第12室基部にも多数認められる.写真20はその裏面であり,後翅基部の黄褐色斑は大きくA.b.stuarti f.micaelaと同定できる.写真9,10は1993年9月にヤバリ河で採集された雄で,前翅前縁基部に黄褐色紋が認められる.拡大写真では多数の黄褐色鱗粉が第11,12室基部,および第11,12翅脈上に認められる.写真21はその裏面であり,後翅基部の黄褐色斑は大きくA.b.stuarti f.micaelaと同定できる.写真11,12は1991年11月13日にペバスで採集された雄で,前翅前縁基部に赤色紋が認められる.拡大写真では多数の赤色鱗粉が前縁と第12翅脈上基部に認められ,少数は第11,12室にも認められる.第11,12室には青色鱗粉も認められる.写真22はその裏面であり,後翅基部の鮮紅色は大きく,中室内に退色した黒色斑を認め,A.b.beatifica var.incarnata Michaelと同定できる.写真13,14は1996年10月1日にアタラヤで採集された雄で,前翅前縁第11室に赤色紋が認められる.拡大写真では多数の赤色鱗粉が第11室に認められ,第10,12室と中室にも認められる.第11室基部には青色鱗粉が認められる.写真23はその裏面であり,後翅基部の赤色斑は中室基部まで拡がっておりA.b.beata f.staudingeri Michaelと同定できる.写真15,16は1996年9月5日にサティポで採集された雄で,前翅前縁第11室に赤色紋が認められる.拡大写真では多数の赤色鱗粉が第11室に認められ,第10,12室と中室にも認められる.第11室基部には青色鱗粉が認められる.写真24はその裏面であり,後翅基部の赤色斑は小さくA.b.beata Staudingerと同定できる.以上,ペルー産ベアータの5変異体のうちA.b.beata f.pherenice Fruhstorferを除く4変異体の前翅前縁に黄色または赤色紋を認めた.ブラジル産のA.b.hewitsonius Batesには前翅前縁に大きな黄色斑が出現することは周知の事実であるが,ペルー産では知られていなかった.A.phalcidon fournierae var.viola Fasslを連想して,著者らはこれら8頭をpseudoviolaと呼んでいる.
著者
井上 武 朝倉 浩志 植松 幸生 佐藤 浩史 高橋 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.411, pp.97-102, 2010-01-28

多くのWebサイトが,AjaxやマッシュアップのためにWeb APIを提供しているが,Webアプリケーションに適した再利用可能なデータべースコンポーネントがないために,そのようなコンポーネントはサービスごとに独立に開発されてきた.本稿ではWebアプリケーションの開発を迅速に行うためのデータべース管理システムWAPDBを提案する.WAPDBは,Web API標準技術のAtomをべースに設計され,Webアプリケーションに求められる機能を提供する.たとえば,効率的なデータ・アクセス制御や簡潔な拡張メカニズム,検索・統計の提供である.WAPDBの導入によって,開発者はこれらの機能を繰り返し開発することから解放される.さらに,RESTアーキテクチャスタイルに準拠しているため,アプ リケーションに統一性やスケーラビリティがもたらされる.我々はWAPDBを用いたサンプルアプリケーションを開発し,大きな性能低下なしに開発コストを削減できることを示す.我々の実験では,開発コストが半減した一方で,アクセス時間は数ミリ秒しか増加しなかった.
著者
吉田 正人 向原 伸彦 大保 英文 尾崎 喜就 本多 祐 金 賢一 溝口 和博 井上 武 深瀬 圭吾 三里 卓也 志田 力
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.61-65, 2007-03-15
参考文献数
17
被引用文献数
1

2000年1月から2003年12月までの4年間に当院で施行した80歳以上の大動脈弁置換術(AVR)症例29例を高齢者群とし,その手術成績ならびに中期成績について検討した.使用した弁は,全例,生体弁(Carpentier-Edwards PERIMOUNT)であった.また,同時期に施行された75歳以下の生体弁によるAVR症例36例を対照群として,2群間で比較検討を行った.平均年齢は高齢者群で82.9歳,対照群で71.6歳であり,病変は高齢者群では大動脈弁狭窄(AS)症例が79%と対照群の53%に比較して有意に多く,ASの程度も高度であった.術前合併症としては,高齢者群では糖尿病と腎機能障害(Cr≧1.5)の頻度が有意に高く,緊急手術例も高齢者群24%,対照群6%と高齢者群で緊急手術の頻度が有意に高かった.術後合併症は,48時間以上の長期の人工呼吸器管理を要した症例と一時的にCHDFを必要とするような腎機能障害をきたした症例の頻度が高齢者群で有意に高かったが,病院死亡は高齢者群6.9%,対照群5.6%と差はなく,3年生存率も高齢者群89%,対照群78%と差は認めなかった.80歳以上の超高齢者に対するAVR症例では術前の重症度が高かったが,その手術成績ならびに遠隔成績は良好であり,外科的治療を積極的に考慮すべきであると考えられた.
著者
西村 哲夫 山下 孝 広川 裕 井上 武宏 築山 巌 渋谷 均
出版者
一般社団法人 日本放射線腫瘍学会
雑誌
日本放射線腫瘍学会誌 (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.35-38, 2006

【目的】JASTRO小線源治療部会では,わが国では初めての小線源治療の事故に関するアンケート調査を行ったのでその結果を報告する.<br>【対象・方法】密封小線源を保有する国内の254施設に対して,2002年 9 月から2004年 8 月までの 2 年間に発生または判明した事例の報告を依頼した.<br>【結果】回答は224施設からあり,事故の事例は13 施設より14 件の報告があった.内容は1)分割照射の1 回線量が処方線量の50%を超える過剰照射または50%未満の過少照射:6 例,2)アプリケータ装着後の装置のトラブルにより治療開始ができない事例:3 件,3)線源移送のトラブル:2 件(いずれもコバルトラルス),4)その他 3 例(作業者の被曝,一時装着低線量率線源の体内残留,操作エラー)であった.<br>【結論】今回わが国で初めて小線源治療に関する事故の調査を行い14件の報告があった.その原因は治療計画や操作のエラーによるものが多く,事故の発生予防の上で示唆に富むものであった.今後同様の調査が継続して行われることが望まれる.
著者
井上武士作曲
出版者
音楽之友社
巻号頁・発行日
1968
著者
井上 武夫 子安 春樹 服部 悟
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.81, no.11, pp.645-650, 2006-11-15
参考文献数
12
被引用文献数
4

〔目的〕結核感染における男女比の実態を知る。〔対象と方法〕1989年から2003年までの15年間に,愛知県の3保健所1支所で薪登録された3,174名の肺結核患者登録票を再点検し,感染経路を同じくする複数の発病者からなるクラスターを選別した。クラスター内の最初の登録者を初発患者とし,それ以後の登録者を二次患者とし,初発患者と二次患者の登録期間を10年以内とした。塗抹陽性初発患者を感染源とし,その二次患者を家族内と家族外に分け,男女比を求めた。〔結果〕感染源は100名で,男女比3.3,その二次患者は153名,男女比1.0であった(p<0.001)。家族内感染の男女比は家族外感染と比べ,感染源でも(2.5vs21.0,p<0,05),二次患者でも(0.8vs2.2,p<0.011)低かった。家族内感染の二次患者の男女比は,夫婦間発病でO.4,夫婦以外で1.0であった(p<0.05)。家族外感染で,職場感染の二次患者の男女比は7.0,職場以外では0.8であった(p<0.01)。〔考察〕感染源は男性が多く,夫婦間発病の二次患者は必然的に女性が多い。ある地域における家族内男女数はほぼ同数であり,男女各1名からなる夫婦を除く家族内男女数もほぼ同数であり,二次患者が男女ほぼ同数ということは,家族内感染での発病率に男女差がないことを示唆する。〔結論〕家族内感染は家族外感染より男女比が低い。