著者
門田 康正 正岡 昭 西川 栄郎 前田 昌純 中原 数也 大嶋 仙哉 谷 靖彦 清家 洋二 中岡 和哉 谷岡 恒雄 篭谷 勝巳
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.59-70, 1979-03-31 (Released:2011-08-10)
参考文献数
30

I期からIV期までの原発性肺癌患者32例を対象に健康人新鮮白血球の輸注を実施した.本法単独では腫瘍縮少効果は認められなかったが, アジュバント治療として術後や放射線治療後の再発, 転移の防止, 腫瘍縮少状態維持の効果は期待できる.また本法による生存期間の延長, 全身状態 (Status Index) の改善が認められ, この効果はIII, IV期の姑息手術例, 手術不能例の末期患者にもみられた.副作用として血清肝炎がみられたほか, 重篤なものはみられなかった.
著者
近藤 和也 門田 康正
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.633-642, 2001-09-15
被引用文献数
23 13

1990年より1994年までの5年間に治療した胸腺上皮性腫瘍に関してアンケートを依頼した.呼吸器外科学会認定施設115施設より回答を頂き, 1, 320例の胸腺上皮性腫瘍を集計し得た.胸腺腫は1, 082例 (82.0%), atypical thymoma (well differentiated thymic carcinoma) は11例 (0.8%), 胸腺癌は186例 (14.1%), 胸腺カルチノイドは41例 (3.1%) であった.胸腺腫は女性優位であるが, 胸腺癌, 胸腺カルチノイドは男性優位である.胸腺癌の患者は胸腺腫に比べて有意に年齢が高い傾向を認めた.胸腺腫における合併症の頻度は, 重症筋無力症は24.7%, 赤芽球癆は2.6%, 低または高グロブリン血症は0.65%であった.胸腺腫の約70%が臨床病期IまたはIIであったが, 胸腺癌では約90%が臨床病期IIIまたはIVであった.胸腺上皮性腫瘍の治療は外科切除が中心であるが, 胸腺腫I期: 5.6%, II期: 43.5%, III期:<BR>74.4%, IVa期: 73-1%, IVb期: 66.7%, 胸腺癌: 58.6%, 胸腺カルチノイド: 53.7%の症例に追加治療がなされている.完全切除率は胸腺腫I期: 100%, II期: 100%, III期: 84.2%, IVa期: 40%, IVb期: 45.2%, 胸腺癌: 50.5%, 胸腺カルチノイド: 87.5%であった.再発率は胸腺腫I期: 0.9%, II期: 3.7%, III期: 27.3%, IV期: 33.3%, 胸腺癌: 51.2%, 胸腺カルチノイド: 64.3%であった.5年生存率は胸腺腫: 94.8%, 胸腺癌: 50.5%, 胸腺カルチノイド: 84.8%であった.胸腺腫臨床病期別ではI期: 100%, II期: 98.3%, III期: 89.2%, IVa期: 73.1%, IVb期: 63.5%であった.
著者
清水 信義 寺本 滋 人見 滋樹 伊藤 元彦 和田 洋巳 渡辺 洋宇 岩 喬 山田 哲司 山本 恵一 龍村 俊樹 山口 敏之 岡田 慶夫 森 渥視 加藤 弘文 安田 雄司 三上 理一郎 成田 亘啓 堅田 均 鴻池 義純 福岡 和也 草川 實 並河 尚二 木村 誠 井上 権治 門田 康正 露口 勝 宇山 正 木村 秀 香川 輝正 斉藤 幸人 武内 敦郎 森本 英夫 垣内 成泰 横山 和敏 副島 林造 矢木 晋 西本 幸男 山木戸 道郎 上綱 昭光 長谷川 健司 山田 公彌 岡本 好史 中山 健吾 山内 正信 佐々木 哲也 毛利 平 江里 健輔 宮本 正樹 森田 耕一郎 平山 雄 中川 準平 吉松 博 村上 勝 永田 真人 溝口 義人 大田 満夫 原 信之 掛川 暉夫 枝国 信三 足達 明 富田 正雄 綾部 公懿 川原 克信 西 満正 島津 久明 三谷 惟章 馬場 国昭 岡田 浪速 内藤 泰顯 櫻井 武雄 岡田 一男 西村 治 前部屋 進自 前田 昌純 南城 悟
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1011-1019, 1991-12-20
被引用文献数
1

西日本地区30施設の共同研究により,肺癌の治癒切除例に対する補助化学療法の有用性を検討した.このtrialが終了した後5年の観察期間が経過したのでその成績を報告する.対象は絶対的治癒切除,相対的治癒切除となった肺腺癌であり,A群はMMC(20+10mg)+tegafur600mg1年間経口投与,B群はMMC(20+10mg)+UFT400-600mg1年間経口投与とした.1982年11月から1985年11月までにA群113例,B群111例の計224例が集積された.不適格例が43例であり,A群88例,B群93例を解析対象とした.背景因子には差は認めなかった.成績は5年生存率および5年健存率で検討した.両群の全症例の5年生存率はA群64.3%,B群55.6%で有意差は認めず,健存率でも差はなかった.後層別解析で,N2症例において5年生存率および5年健存率とも,B群が良好であった(p=0.029,p=0.048).
著者
咸 行奎 沖津 宏 三好 孝典 先山 正二 近藤 和也 門田 康正
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.341-344, 2003-08-20
被引用文献数
3

背景.肺癌副腎転移は剖検例では高頻度に見られるが,治癒切除可能な症例は少なかった.しかし近年画像診断の進歩により転移発見動機が増加し,外科治療の結果長期生存が得られたとの報告例も散見される.今回,我々は肺癌手術後の副腎転移2例に対し摘出術を行ったので報告する.症例1. 68歳男性.66歳時,右上葉切除術を施行した.pT1N0M0,stage IA であった.1年3ヵ月後の定期的なCT検査にて左副腎腫瘍があり,転移と考えたが本人の希望で経過観察していた.その後他疾患で開腹術の際,同時に副腎摘出術を行った.病理診断で肺癌の転移と診断された.副腎摘出術後3年9ヵ月経過し,再発を認めていない.症例2. 65歳男性.64歳時,右中下葉切除術を施行した.pT1N2M0, stage IIIA であった.1年後,右側腹部痛があり,CTにて右副腎腫瘍を発見した.副腎単独転移と診断,摘出術を施行した.その7ヵ月後,胸部の広範囲に再発,最終的に副腎摘出術から1年3ヵ月後死亡した.結論.副腎単独転移の場合,摘出術によって長期予後が得られることがあり,可能ならば手術も積極的に選択すべきである.(肺癌. 2003;43:341-344)