著者
山本 太郎 千葉 直子 植田 広樹 高橋 克巳 平田 真一 小笠原 盛浩 関谷 直也 中村 功 橋元 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.124, pp.41-47, 2011-07-05

我々はインターネットの利用における安心について研究を行っている.初期グループインタビューの結果により,我々は「安心」そのものではなく,より認識し易い「不安」にまずは着目することとし,不安発生モデル仮説を立てた上で,東京都における訪問留置方式による質問紙調査,10ヵ国における国際電話比較調査,在日外国人グループインタビューを実施してきた.また,具体的なネットサービスに関するWebアンケート調査についても実施・分析中である.本論文では,これまでの取り組みのまとめとして,それらの概要について紹介する.
著者
関谷 直也
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.14-23, 2022-07-10 (Released:2023-07-10)
参考文献数
11

近年の自然災害における災害情報の出し方のトレンドはレベル化,メッシュ化や高解像度化に伴う避難のリードタイムの減少,防災気象情報の増加・多様化である.だが,災害のリスク・コミュニケーションに関する情報は,科学的に精度よく,精緻に,詳細になればよいということではない. そもそも気象災害のみならず自然災害の発生自体の正確な予測は難しく,そもそも情報が増加・多様化しても決定打と呼べる情報はなく,「避難」に結びつく情報を判断することは難しい.リスクがリスク通りに伝わることが正しいのではなく,リスクを的確に理解した場合でもそれとは別に念のため避難すること,もしくはリスクを的確に理解しなかった場合でも必要以上にリスクを感じたり,早めに避難したりすることを正解とすべきなのが自然災害の―防災を目的とした―リスク・コミュニケーションなのである. 防災を目的として,人の命を守るための情報を目指すのか,アウトリーチを目的として,地震学・火山学・気象学への理解を深めることやまた専門知の情報提供に徹することを目指すのか,その目的を明確に区別したうえで考えることが重要である.
著者
関谷 直也 廣井 悠
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.495-500, 2011-12-15 (Released:2016-08-31)
参考文献数
6
被引用文献数
1

3 月11 日に発生した東北地方太平洋沖地震の後,調査からの推定上,首都圏で約420 万人,東京で約352 万人が帰宅できなかった. 帰宅困難の問題は「帰宅に困ること」それ自体が問題なのではなく,「災害時における集合的移動行動」による混乱としての「渋滞」および「火災」「群集なだれ」の発生である.危惧すべきは,多くの人が3 月11 日の経験を踏まえ,多くの人が自宅に帰ろうとし,首都直下地震において大規模な混乱が発生することである. 帰宅困難者発生後の問題は,滞留後の滞留者対策,帰宅可能箇所などの情報伝達,その後発生する食料不足,モノ不足の対策である. 災害被害が大きくない場合の帰宅困難者問題に関しては公共交通機関の情報の提供が重要である.今後携帯電話以外のデジタルサイネージなどを用いた情報提供なども視野に含めていくべきであろう.
著者
大原 美保 地引 泰人 関谷 直也 須見 徹太郎 目黒 公郎 田中 淳
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1055-1060, 2009 (Released:2010-02-23)
参考文献数
6

2008年岩手・宮城内陸地震は, 主要動の到達の前に緊急地震速報が発表された初めての地震であるとともに, J-ALERT(全国瞬時警報システム)を介して防災行政無線から緊急地震速報が放送された初めての事例でもあった.本研究では, J-ALERTにより緊急地震速報が放送された山形県東田川郡庄内町を対象として, 緊急地震速報放送の効果に関するアンケート調査を行った.防災行政無線放送で緊急地震速報を聞いた人は, テレビで見聞きした人の2倍以上となり, 広く情報を伝えるには防災行政無線が有効であることが確認された.しかし, 放送後に身を守る行動を行った人は少なく, 今後は望ましい行動に関する周知が必要であると考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
辻 禎之 関谷 直也
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.439-444, 2006-12-15 (Released:2016-11-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

2006 年8 月11 日フィリピンのタンカー沈没事故では,重油の大量流出によりギマラス島周辺の広い範囲が汚染され,自然環境への被害のほか,漁業や養殖にも重大な被害をもたらした.日本国内においても海上での重油や毒劇物等による汚染事故が度々発生している.近年では,日本に接近する台風および上陸する台風の数が以前よりも増加しており,台風による船舶の座礁や漏洩事故も度々発生している. 自然災害の分野では,地震や河川氾濫等では直接被害より間接被害が大きい場合が多く,間接的な経済的被害の評価への注目が高まっており,調査研究が進められている.国内の風評被害への補償事例としては,ナホトカ号重油流出事故で風評被害による海産物への補償が行われており,JCO 臨界事故では風評被害による海産物や農産物への補償が行われている.国内における海産物のブランド化(価値向上)や間接被害への関心の高まり,途上国における権利意識の向上等によっては,海上汚染事故による風評被害が,補償問題を含めて現在よりもより重大な問題となる可能性もある. このような背景を受けて,本稿では,海上汚染事故に伴う風評被害を中心として,風評被害による経済的損失の評価モデルや被害の低減について考察する.
著者
山本 太郎 千葉 直子 間形 文彦 高橋 克巳 関谷 直也 中村 功 小笠原 盛浩 橋元 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.231, pp.25-30, 2010-10-08
被引用文献数
4

我々は,インターネットにおける安心の研究の一環として,東京23区在住者500名を対象として,インターネット利用時の不安をテーマとした,訪問留置方式により質問紙調査を実施した.本論文では,その調査及び我々の研究の概要を述べるとともに,調査結果から得られたCGM利用者と非利用者の傾向の違いについて述べる.一例を挙げると,CGM利用者であるかどうかと個人情報書き込み等の不安の大きさとの間に有意な相関が見られ,CGM非利用者の方がより強く不安を感じていることが判明した.
著者
大原 美保 地引 泰人 関谷 直也 須見 徹太郎 目黒 公郎 田中 淳
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1055-1060, 2009

2008年岩手・宮城内陸地震は, 主要動の到達の前に緊急地震速報が発表された初めての地震であるとともに, J-ALERT(全国瞬時警報システム)を介して防災行政無線から緊急地震速報が放送された初めての事例でもあった.本研究では, J-ALERTにより緊急地震速報が放送された山形県東田川郡庄内町を対象として, 緊急地震速報放送の効果に関するアンケート調査を行った.防災行政無線放送で緊急地震速報を聞いた人は, テレビで見聞きした人の2倍以上となり, 広く情報を伝えるには防災行政無線が有効であることが確認された.しかし, 放送後に身を守る行動を行った人は少なく, 今後は望ましい行動に関する周知が必要であると考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]