著者
玉浦 裕 阿部 正紀 北本 仁孝 金子 宏 長谷川 紀子
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

集光太陽ビームをセラミックスに照射し1300-1600℃に急速加熱すると、特殊な反応中間体を経由し、空気酸素分圧下で酸素放出反応が進行することを世界で初めて明らかにし、この反応で生成したセラミックス還元体が水を分解(水素生成過程)することを見出した(特開2008-094636)。これを用いるソーラー水素生産の実用化に向け、ロータリー式太陽反応炉およびビームダウン式集光システムの開発を行った。
著者
阿部 正紀 半田 宏 日比 紀文
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

1.粒径を制御したフェライト・ナノビーズの開発:10-100nmの範囲で粒径を制御したFeフェライト(Fe_3O_4-γFe_2O_3固溶体)ナノ微粒子を作製する共沈法、部分酸化法、種成長法を開発した。2.ポリマー被覆ポリマー被覆フェライト・ナノビーズの開発:フェライト・ナノ微粒子を、たんぱく質の非特異的吸着が少ないポリGMAで被覆する共重合法および、乳化剤を用いない重合法を開発した。3.ポリマー被覆Feナノビーズの開発:フェライトより2倍も強い磁化を持つ金属Fe微粒子(粒径7-20nm)をポリGMAで被覆して、バイオスクリーニングに適した磁性ビーズを作製した。4.バイオスクリーニングによる分析の応用展開:ポリGMA被覆フェライト・ナノビーズ表面に、抗ガンや、タグ付きプロテインGを含む組み替えたんぱく質などを固定し、それらと相補的に結合するレセプターや抗体を高効率で単離することによって、我々のビーズが高速・高収率バイオスクリーニングに適している事を示した。5.ホール・バイオセンシングによる診断への応用展開:ポリGMA被覆フェライト・ナノビーズ表面にNA単鎖を固定し、これをホールセンサー表面に固定した相補的DNA単鎖と結合させて検出し、我々のビーズがDNA診断に活用できる事を示した。6.MRI造影剤による診断への応用展開:フェライト・ナノ粒子表面を多彩に修飾・加工する技術を開発した。その結果、粒径が約20nmで、表面が特定組み換えたんぱく質で被覆された新たなMRI造影剤候補物質を開発した。7.抗ガン磁気ハイパーサーミアへの応用展開:フェライト粒子を用いて、大腸癌細胞を非侵性の周波数180Hzの交流磁界によって誘導加熱してその殺傷効果を確認し、非侵性抗がんハイパーサーミアへの応用の可能性があることを明らかにした。
著者
阿部 正博 酒匂 裕 佐川 浩彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.2023-2030, 1993-09-25
被引用文献数
17

手話は音声に基づく自然言語とは異なる独自の表現形式をもつボディランゲージである.本論文では,手話通訳者の機能代行を目指す手話通訳システムにおいて,手話が認識された後の手話単語列を自然な文章に変換する言語処理方式について提案する.本手法は,意味主導型の格フレーム照合により手話単語列の意味構造を解析し,ルールベースの手法を用いて,省略されている格助詞や助動詞等を補充し,日本語として自然な表現に変換することを特徴とする.本方式をインプリメントし,手話入門テキストの123の手話例文を用いて実験を行った結果,76%の文に対して期待された正しい変換結果が得られた.また,データグロブ入力による実際の手話認識データを用いて変換実験を行った結果,手話の認識結果にはあいまいさが多く,非文を含めて多くの単語列候補が得られること,従って,正しい単語列候補の変換精度向上と並んで,誤った候補をリジェクトする機能が非常に重要であることがわかった.そのためには,今後,単語間の意味的関係だけでなく,表情や空間表現などの末使用情報の利用や,文脈処理が必要となる.
著者
渡辺 正敏 旭 博史 石田 薫 阿部 正 近藤 宗廉 小川 将 天野 一之 斉藤 功 金 直樹 中村 隆二 西成 尚人 森 昌造
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.18, no.8, pp.1753-1757, 1985-08-01

domperidone の gastroesophageal reflux (GER) 対する治療薬剤としての評価について, 健常人18名を対象に, 食道内圧測定 (5名), テレメタリングによる24時間食道 pH 測定 (13名) を行い検討した. lower esophageal sphincter (LES) の圧と長さは domperidone 0.2mg/kg 静注にて15分後から有意の増加を示し, 60分後は最大で対照の約2倍に達した. GER に関しては, 逆流回数では domperidone 投与後に著変を認めなかった. 一方, 逆流時間では24時間中, 日中, 夜間のいずれの1時間当りの逆流時間においても対照と大差は無かったが, 投与後1時間の値では対照群に比べ著明な短縮を示した. 以上より, 本剤は LES 機能, 食道自浄作用を高めることに寄与することが示唆された.
著者
村田 浩平 野原 啓吾 阿部 正喜
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.21-33, 1998-06-25
被引用文献数
6

阿蘇地域におけるオオルリシジミの生息地は, 外輪山内壁と内輪山の標高400∿800mの地域に集中しており, クララの自生している地域に多く生息していることが解った.本種の生息地は, 毎年, 早春に野焼きを実施している草原に限られる.ルートセンサス法による個体数の年次変動の調査の結果, 早春の野焼きを継続している地域では, 本種の個体数が減少することもなく, 逆に早春の野焼きを停止した地域では, 個体数が著しく減少していることが判明した.しかし, 2∿3年のうちに野焼きを再開すると個体数が回復の方向へ推移することがわかった.阿蘇地域の本種が利用する吸蜜植物は, 現在までに8属8種を確認したが, 野焼き停止後数年を経過すると, これらの吸蜜植物ばかりでなく食草であるクララも減少し, ススキ等のイネ科植物の侵入によって生態系が大きく変化していることが観察された.また, 野焼きの停止は, クララの生長を悪化させることがわかった.このことから, 野焼きの停止による生息環境の変化は, 本種の個体数を著しく減少させる大きな要因の1つであると考えられる.早春における野焼きの実施は, 食草であるクララや吸蜜植物を保護し, 本種の生息環境を維持する上で有効な管理法であり, その実施は, 本種が羽化する2∿3カ月前に行う必要がある.また, クララの生育期間中の除草や採草も回避するべき作業であると考えられる.しかしながら, 畜産農家の高齢化や人手不足などから, 野焼きの実施地域は年々減少傾向にあり, 本種の存続には憂慮すべき状態となりつつある.現在, 熊本県, 阿蘇町および白水村によって全国的にも貴重な本種の保護を目的とした条例が制定されており, その内容は, 本種の全ステージの採集を禁止するものであるが, 採集禁止のみによる保護では甚だ不充分で, 野焼きの実施による生息環境の維持管理に意をそそぐ必要があると考えられる.
著者
大平 栄二 阿部 正博 小松 昭男 市川 熹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.586-595, 1993-03-25
被引用文献数
5

本論文では,自然言語によるデータベース検索を主なタスクとするシステムを対象として,制限の少ない柔軟なユーザインタフェースを実現するための対話制御の枠組みについて述べている.ここでは,(1)まず対話管理の有効な方式の一つである発話対に基づいた対話管理法を,発話と発話対との間の結合関係をも統一的に扱うことが可能な枠組みに拡張するこにより,利用者とシステム間の対話の主導権を柔軟に制御することを可能とした.(2)更に,ATMSをベースとした非単調推論を適用することにより,利用者からの入力の解釈を誤った場合にも,その修復が可能な対話制御の枠組みを示した.これにより,効率的で,対話性の優れた検索システムを実現可能である.