著者
高屋 むつ子 和泉 眞喜子 鎌田 久仁子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.356-362, 2009-03-30 (Released:2009-05-01)
参考文献数
23

保存 (容器別, 温度別) の差異がコーヒーの総酸量, カフェイン量, クロロゲン酸量, 色, 泡立ちにどのような影響を及ぼすか検討した (1) 総酸量は, アルミ袋・常温保存が7日目以降, ガラス瓶・常温保存とガラス瓶・冷蔵保存は14日目以降共に増加した。それに対し, 冷凍保存は, いずれの容器においても増加は認められなかった。 (2) クロロゲン酸量は, いずれの容器においても冷凍保存が高く, 常温保存は低かった。 (3) カフェイン量は, 保存による影響は認められなかった。 (4) 色の変化は, ガラス瓶・常温保存が7日目に, 他の容器と比べL* (明度) とb* (色度) が若干低下した。しかし, その後差は認められなかった。 (5) 泡立ちは, いずれの容器も常温保存が低く, なかでもアルミ袋・常温保存が非常に低かった。冷蔵, 冷凍保存については明確な差は得られなかったが, 冷凍保存がやや高い傾向を示した。 (6) コーヒー粉の保存は, 1回分ずつラップに包んで小分けし, 密閉性の高い容器に入れ, 冷凍保存することで, 賞味期間を延長できることがわかった。
著者
和泉 眞喜子 高屋 むつ子 長澤 孝志
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.343-349, 2005-08-05 (Released:2013-04-26)
参考文献数
26
被引用文献数
2

The optimum amount of water suitable for boiling spinach was evaluated by investigating changes in the color and tenderness, and the decrease in oxalic acid and potassium contents by increasing amounts of boiling water. The result of a sensory evaluation showed that the flavor and overall evaluation of the cooked spinach tended to decrease as the amount of boiling water was increased. There was no difference in the color tone, while the tenderness of the cooked spinach increased with increasing amount of boiling water. The oxalic acid content of spinach boiled in 5 times the amount of water decreased to about 61 % of the value for raw spinach harvested in the spring, and decreased to 45% of this value in 20 times the amount of boiling water. The change in potassium content was similar to that of the oxalic acid content. Although the content of free oxalic acid differed by 100 mg between 5 times and 20 times the amount of boiling water, there was no difference in the sensory evaluation. These results suggest that about 5 times the amount of boiling water is the optimum for boiling spinach.
著者
高屋 むつ子 和泉 眞喜子 佐々木 知子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.224-229, 2005 (Released:2006-08-04)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

The HPLC method is now commonly used for fractional determination of chlorogenic acid (Chl). We determined the quantity of Chl (5 -CQA + 3 -CQA) contained in raw coffee beans, and examined the influence of different roasting times and extraction conditions (temperature, device, water). The results were as follows:(1) Raw coffee beans contained 4.5 to 6.0% of Chl. This Chl was reduced by roasting, that is, about 60% of Chl was lost by mild roasting, 60 to 70% by moderate roasting, 70 to 80% by moderate to strong roasting, and 90 to 99% by strong roasting.(2) The influence of temperature on the extraction of Chl was slight, but the quantity of Chl extracted tended to be slightly higher at 95°C, followed in a descending order by 90°C and 85°C.(3) The quantities of Chl extracted by a spirit lamp siphon and paper drip were the same, while that extracted by an electric coffee maker was smaller.(4) The quantities of Chl extracted with distilled water and soft water were the same, but that extracted with hard water was smaller.
著者
和泉 眞喜子 高屋 むつ子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.257-261, 2008-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
16
被引用文献数
2

コーヒーの抽出条件や水の違いが味に及ぼす影響を官能評価を基に検討し,さらにコーヒー中のクロロゲン酸量と酸味との関連性を検討した。3種類のコーヒーにおける湯の温度の違いの官能評価では,ほとんどの評価項目で有意な差はみられないが,2種類のコーヒーにおいては温度が高い方が色が濃かった。85℃ の抽出では評価が低くなる傾向が認められ,抽出器具では,コーヒーメーカーの評価が有意に低かった。それは, クロロゲン酸量が少なく, 酸味が弱いことによるものと考えられる。水の種類では,2種類のコーヒーで硬水の総合評価が有意に低くなった。理由として,硬水を用いると,苦味が強く,酸味が弱いためと考えられる。クロロゲン酸量と酸味は正の相関が認められた。従って,クロロゲン酸量は酸味の指標になることが明らかになった。
著者
和泉 眞喜子 高屋 むつ子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.257-261, 2008-08-20
参考文献数
16
被引用文献数
2

コーヒーの抽出条件や水の違いが味に及ぼす影響を官能評価を基に検討し,さらにコーヒー中のクロロゲン酸量と酸味との関連性を検討した。3種類のコーヒーにおける湯の温度の違いの官能評価では,ほとんどの評価項目で有意な差はみられないが,2種類のコーヒーにおいては温度が高い方が色が濃かった。85℃の抽出では評価が低くなる傾向が認められ,抽出器具では,コーヒーメーカーの評価が有意に低かった。それは,クロロゲン酸量が少なく,酸味が弱いことによるものと考えられる。水の種類では,2種類のコーヒーで硬水の総合評価が有意に低くなった。理由として,硬水を用いると,苦味が強く,酸味が弱いためと考えられる。クロロゲン酸量と酸味は正の相関が認められた。従って,クロロゲン酸量は酸味の指標になることが明らかになった。
著者
高屋 むつ子 後藤 美代子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.54-59, 1987-03-20
被引用文献数
1

胡瓜漬の亞硝酸塩、硝酸塩の消長並びに、市販漬物中の亞硝酸塩、硝酸塩、pH、ニトロソアミンについて検討を試みた。1) 胡瓜漬の亞硝酸塩、硝酸塩の消長を知るためにホウロウ容器を用い、5%食塩水に胡瓜を漬け込み、25℃に保存し、経日的に胡瓜漬と漬汁の亞硝酸塩、硝酸塩を定量した。その結果、漬け初期で多量の亞硝酸塩が生成された。2) 次に市販漬物について検討したところ、市販漬物中には硝酸塩、亞硝酸塩が多く、なかでも葉菜類が最も高く、次いで根菜類、果菜類の順であった。亞硝酸塩が浅漬に多く、酒粕漬、味噌漬、醤油漬、酢漬では僅かであった。亞硝酸塩生成量とpHとの関わりは大でpH6.8〜5.0の漬物から亞硝酸塩は多量に検出され、pH5.0以下の漬物では僅かであった。3) 漬物に含まれるニトロソアミンはNDMAが殆どで、NDEA、NDPA、NDBAは検出されなかった。なかでもNDMAは大根と白菜の漬物に多く含まれ、亞硝酸塩の多い野沢菜漬、せいさい菜漬、高菜漬からは殆ど検出されなかった。なお、本研究の一部は第39回日本家政学会年次大会で発表したものである。
著者
高屋 むつ子 菅野 美千代
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.112-120, 2002

宮城県やその近辺県を中心とした女子短大生の漬物に対する嗜好性と摂食状況並びに市販漬物利用状況と調味に対する嗜好性を把握する目的で, 宮城県にある尚絅女学院短期大学学生544名を対象にアンケート調査を行い, 以下のような結果を得た.<BR>1. 漬物に対するイメージは「塩分が多く健康によくない」「漬物より生野菜の方が断然健康によい」「保存食品」といったマイナス・イメージをもつ者と, 「嗜好食品」「野菜を食べるための調理法」「食物繊維・ビタミン・ミネラルの宝庫」といったプラス・イメージをもつ者とに二分された. 特に宮城県以外の他県出身者(主に東北地方)は漬物を「保存食品」として捉えている者が多く (p<0.05), また, 専攻別では他専攻より食物栄養専攻の方が「嗜好食品」として捉えている者が多かった (p<0.05)<BR>2. 漬物が食卓にでる頻度は「時々でる」49.4%, 「必ずでる」40.3%で, いずれも核家族より拡大家族の方が顕著に多かった (p<0.01). 摂食頻度は「1日1回」「週1回」「3日に1回」と分散し, 居住地別, 家族形態別で差がみられた.<BR>3. 漬物の嗜好度はかなり高く, 嫌いと回答した者は僅か5%であった. また, 漬ける人の有無で嗜好度に差がみられ, 漬ける人がいる家庭は有意に好み (p<0.05), いない場合は嫌う傾向が強かった (p<0.01).<BR>4. 食卓における漬物は「自家製・市販漬物併用」59.1%, 「市販漬物」25%, 「自家製漬物」15.9%で, 核家族は市販漬物利用者が多く, 拡大家族は自家製漬物が多かった (p<0.01).<BR>5. 自家製漬物品目は胡瓜浅漬, 白菜浅漬が最も多く, たくあん漬, 梅干は自家製群, 拡大家族群で有意に多かった. 市販漬物63品目中購入頻度が高く, 好きな漬物は白菜キムチ, 梅干, 胡瓜浅漬, カリカリ梅, かつおたくあん, 白菜浅漬, 茄子浅漬で, 居住地, 居住形態別で有意差がみられた. また, 苦手・嫌いな漬物はピクルス, らっきょう漬, セロリ浅漬, 奈良漬, わさび漬, 粕漬, べったら漬, 甘酢しょうがであった.<BR>6. 今後の市販漬物利用状況については「利用したい」が「自家製漬物が好き」32.3%, 「市販漬物が好き」68.5%, 「どちらも好き」81.9%で, 市販品に対する依存度が高かった.<BR>7. 市販漬物を購入する際に注意する点は「味」99.1%, 「賞味期限」63.5%, 「価格」56.2%, 「表示内容」33.6%であり, 価格のみ居住形態で差がみられた (p<0.01).
著者
高屋 むつ子 菅野 美千代
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.112-120, 2002-09-30 (Released:2011-01-31)
参考文献数
13

宮城県やその近辺県を中心とした女子短大生の漬物に対する嗜好性と摂食状況並びに市販漬物利用状況と調味に対する嗜好性を把握する目的で, 宮城県にある尚絅女学院短期大学学生544名を対象にアンケート調査を行い, 以下のような結果を得た.1. 漬物に対するイメージは「塩分が多く健康によくない」「漬物より生野菜の方が断然健康によい」「保存食品」といったマイナス・イメージをもつ者と, 「嗜好食品」「野菜を食べるための調理法」「食物繊維・ビタミン・ミネラルの宝庫」といったプラス・イメージをもつ者とに二分された. 特に宮城県以外の他県出身者(主に東北地方)は漬物を「保存食品」として捉えている者が多く (p<0.05), また, 専攻別では他専攻より食物栄養専攻の方が「嗜好食品」として捉えている者が多かった (p<0.05)2. 漬物が食卓にでる頻度は「時々でる」49.4%, 「必ずでる」40.3%で, いずれも核家族より拡大家族の方が顕著に多かった (p<0.01). 摂食頻度は「1日1回」「週1回」「3日に1回」と分散し, 居住地別, 家族形態別で差がみられた.3. 漬物の嗜好度はかなり高く, 嫌いと回答した者は僅か5%であった. また, 漬ける人の有無で嗜好度に差がみられ, 漬ける人がいる家庭は有意に好み (p<0.05), いない場合は嫌う傾向が強かった (p<0.01).4. 食卓における漬物は「自家製・市販漬物併用」59.1%, 「市販漬物」25%, 「自家製漬物」15.9%で, 核家族は市販漬物利用者が多く, 拡大家族は自家製漬物が多かった (p<0.01).5. 自家製漬物品目は胡瓜浅漬, 白菜浅漬が最も多く, たくあん漬, 梅干は自家製群, 拡大家族群で有意に多かった. 市販漬物63品目中購入頻度が高く, 好きな漬物は白菜キムチ, 梅干, 胡瓜浅漬, カリカリ梅, かつおたくあん, 白菜浅漬, 茄子浅漬で, 居住地, 居住形態別で有意差がみられた. また, 苦手・嫌いな漬物はピクルス, らっきょう漬, セロリ浅漬, 奈良漬, わさび漬, 粕漬, べったら漬, 甘酢しょうがであった.6. 今後の市販漬物利用状況については「利用したい」が「自家製漬物が好き」32.3%, 「市販漬物が好き」68.5%, 「どちらも好き」81.9%で, 市販品に対する依存度が高かった.7. 市販漬物を購入する際に注意する点は「味」99.1%, 「賞味期限」63.5%, 「価格」56.2%, 「表示内容」33.6%であり, 価格のみ居住形態で差がみられた (p<0.01).
著者
和泉 眞喜子 高屋 むつ子 長澤 孝志
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.343-349, 2005-08-05
被引用文献数
2

The optimum amount of water suitable for boiling spinach was evaluated by investigating changes in the color and tenderness, and the decrease in oxalic acid and potassium contents by increasing amounts of boiling water. The result of a sensory evaluation showed that the flavor and overall evaluation of the cooked spinach tended to decrease as the amount of boiling water was increased. There was no difference in the color tone, while the tenderness of the cooked spinach increased with increasing amount of boiling water. The oxalic acid content of spinach boiled in 5 times the amount of water decreased to about 61% of the value for raw spinach harvested in the spring, and decreased to 45% of this value in 20 times the amount of boiling water. The change in potassium content was similar to that of the oxalic acid content. Although the content of free oxalic acid differed by 100mg between 5 times and 20 times the amount of boiling water, there was no difference in the sensory evaluation. These results suggest that about 5 times the amount of boiling water is the optimum for boiling spinach.
著者
高屋 むつ子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.127-131, 1997-05-20

大根キムチ中のニトロソアミン生成量並びに唐辛子の赤色色素カロチノイドに及ぼすビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)添加の影響について検討した。1)下漬した大根2kgに,あみ塩辛および鰹塩辛をそれぞれ80g,0.25%アスコルビン酸ナトリウム溶液(AsANa)を500mlを添加して製造した漬物は,AsANa無添加に比較して,ジメチルニトロソアミン(DMNA)の生成速度と生成量が抑制された。2)上記大根に韓国産唐辛子40g,ニンニク50g,同様にAsANaを500ml添加した大根キムチは,AsANa無添加に比較してDMNAの生成量が抑制された。3)AsANaを添加した大根キムチにおける唐辛子のカロチノイド色素は,褐変が防止された。