著者
川平 敏文 合山 林太郎 高山 大毅 山本 嘉孝 天野 聡一 岩崎 義則 吉田 宰
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

「近世随筆」とは、17~19世紀の日本において、学者や文筆家が、事物の由来・人物の評判・市井の噂話など、種々雑多な内容を書き留めた書物群を指す。従来の「近世随筆」研究は、文学・思想史・歴史の研究者が、それぞれの分野的関心や研究ディシプリンに沿うかたちで行ってきた。しかし、本ジャンルのもつ内容的な広がりに着目するならば、それら三つの研究領域を横断的に貫く視点も重要ではなかろうか。このような考えのもと、本研究では、文学・思想史・歴史の研究者が一堂に会して、「近世随筆」の成立・展開・終焉などの諸問題について領域横断的に議論する。そして最終的には、その成果を資料翻刻と研究論集という形で、世に公表する。
著者
吉崎 正憲 上清 直隆 瀬古 弘 高山 大 楠 研一 つくば域降雨観測実験グループ
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.19-33, 1998-01-31
被引用文献数
5

1995年8月10日に関東平野で発生した雷雨について, 総観(1000km)・関東(100km)・雷雨(10km)の3つのスケールから, アメダス, 気象台や地方自治体の自記紙, 高層観測, ドップラーレーダーなどのデータを用いて調べた. 総観スケールの寒冷前線が関東地方を通る時に発生したので, 解析対象の雷雨は界雷型であった. しかし, この雷雨の発生や発達には, 総観スケールだけではなく関東スケールの風系も関与した. 関東平野の地上付近には3つの風系(非常に高温の南寄りの風I, 高温の北西寄りの風II, 低温の北東寄りの風III), およびその間には温度や風の不連続なシアラインが見られた. 雷雨は3つのシアラインが交差する付近で発生して, 風系IIIの中で発達・成熟した. それぞれの風系の気塊は温度・湿度・相当温位がほぼ一様でミニ気団的な特性を持っていた. 雷雨の最盛期には, 激しい降水による強い下降流とそれによる地上付近の顕著な外出流の雷雨スケールの流れが見られ, またそうした流れによってアーク状の雲が発生した. 風系IIIの寒気と北東風の生成について定量的な考察を行った. 寒気は風系IIIにあった別の雷雨の降水の蒸発の冷却効果などによって作られたものであり, 北東風は雷雨から吹き出すガストであったと結論された.
著者
八幡 聖人 高山 大貴 中尾 彰文 山本 秀一 吉田 登
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.II_299-II_310, 2018 (Released:2019-03-29)
参考文献数
29

本研究では,下水汚泥焼却炉が更新時期を迎える様々な規模の都市に対して,自立的なエネルギー回収(汚泥廃熱発電)と連携によるエネルギー回収(ごみ混焼発電)のどちらが得策であるかを,イニシャル・ランニングを合わせたトータルコストの費用構造を評価するモデルを構築し分析を行った.分析の結果,双方のエネルギー回収技術とも従来の汚泥焼却に比べて事業性において優位な技術であることが示された.また都市規模が3万人を上回る場合,自立的エネルギー回収が得策であることが明らかとなった.一方,この分析結果は汚泥の集約処理がなされていることを前提としており,分散された複数の汚泥焼却炉を有する都市の場合には,連携によるエネルギー回収が得策となる可能性に留意する必要がある.
著者
高山 大 新野 宏 渡辺 真二 菅谷 重平 つくば域降雨観測実験グループ
出版者
日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.885-905, 1997-08-25
参考文献数
47
被引用文献数
1

1994年9月8日の午後、突風と降雹を伴う強い雷雲が群馬および埼玉県を通過した。埼玉県北西部の美里町立美里中学校では、校舎の窓ガラスが突風で割れ、教師2人と71人の生徒が負傷した。被害調査、地上観測、高層観測、静止衛星、現業レーダーなどのデータを用いて、雷雲とこれに伴う突風の解析を行った結果、この雷雲に伴って少なくとも3つのダウンバーストが発生したことがわかった。主な解析結果は以下の通りである。3時間以上長続きしたこの雷雲は、約8 m/sのスピードで東南東進し、発達期以降はその直下で10度近くの気温低下と発散風を伴っていた。成熟期には雲頂は約15kmに達し、レーダーによる反射強度の分布は進行方向に対してオーバーハング構造を呈していた。被害調査による雷雲下の降雹域の幅は2力所で顕著な拡がりを示した。この拡がりの見られた場所と時刻は、レーダーで観測された反射強度の核の降下の場所・時刻と一致していた。更に、数地点の地上気象観測データの時空間変換から求めた水平風の分布には、降雹域の拡がりにほぼ対応した場所・時間に明瞭な発散風(ダウンバーストAおよびC)が見られた。ダウンバーストAは、児玉環境大気測定局(KD)とそこから約3kmに位置する児玉郡市広域消防本部の中間で生じたことが、両地点の風向風速記録から明瞭に読みとれる。雷雲通過による降温はこの2地点付近で最も大きく、11度以上に達した。ダウンバーストAは最終的には差し渡し40kmの範囲にまで広がった。雷雲はダウンバーストAを生じた後、急速に衰弱した。KDの自記紙にはダウンバーストAとは別の更なる気温降下と風の発散が記録されており、近くでダウンバーストBが発生したことを示している。KDでダウンバーストBを発生させた雷雲の部分は、被害を引き起こした突風が吹いた時刻には約8km離れた美里中上空をちょうど通過していた。美里中付近の気象観測資料はないが、被害調査やこれらの事実から、美里中近くで第4のダウンバーストが発生した可能性が示唆される。これらのダウンバーストはすべて、ガストフロントの6~10km後方で発生した。雷雲周辺のCAPEは、雷雲通過前後の3時間で1800 m^2/s^2から700 m^2/s^2以下に減少した。相当温位の下層の極大値と中層の極小値との差も同様に、26Kから16Kに低下した。
著者
吉敷 祥一 高山 大 山田 哲 エネ ディアナ 小西 克尚 川村 典久 寺嶋 正雄
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.77, no.680, pp.1579-1588, 2012
被引用文献数
6

Evaluation of bi-directional characteristics of base-isolation devices is a very important issue for base-isolated structures. This paper describes a bi-directional loading test of U-shaped steel dampers widely-used for energy dissipation in base-isolated structures. The major findings obtained from the test are as follows: (1) torsion-induced residual deformation leads to contact with damper connections; (2) evaluation method of cyclic deformation capacity, which divides bi-directional orbit into deformations in 0 and 90 degree, is proposed and the validity is verified; (3) cyclic deformation capacity is reduced by cumulative torsion; (4) two indices <i>J<sub>c</sub></i> and <i>J<sub>f</sub></i> proposed in this paper can evaluate the limitation of cumulative torsion until contact with connections and the tendency of torsioninduced reduction of cyclic deformation capacity.