著者
亀山 郁夫 白井 史人 林 良児 沼野 充義 甲斐 清高 野谷 文昭 梅垣 昌子 藤井 省三 高橋 健一郎 齋須 直人 望月 哲男 番場 俊 越野 剛
出版者
名古屋外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ロシアの作家フョードル・ドストエフスキーの文学のもつ世界的意義について、「危機」の想像力と「再生」のヴィジョンをキー概念としつつ、主に2つの観点から解明する。Ⅰ、アレクサンドル二世暗殺を頂点とする19世紀ロシアの社会と人間が陥った危機の諸相とドストエフスキー文学の関連性を、歴史、宗教、文学、人間の観点から明らかにし、Ⅱ、「危機」の想像力と「再生」のヴィジョンが、世界諸地域の文学及び表象文化(映画、演劇、美術ほか)にどう受け継がれ、再生産されたかを明らかにする。後者の研究においては、「世界のドストエフスキー表象」と題するデータベース化を目指している。
著者
高橋 健一郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

1900~10年代のロシア文化においては形而上的音楽論が隆盛を極め、亡命文化においても音楽思想は重要であった。本研究はその中でこれまで十分に解明されていないエミリィとニコライ二人のメトネル兄弟の音楽思想を研究対象とし、1900~1910年代、そして亡命後まで跡付け、その内容を他の思想家や文化人の活動や思想との関連で意味づけることを目的とする。それによって、ロシア象徴主義やイヴァン・イリインの思想を始めとする芸術思想の諸問題やロシア文化のナショナル・アイデンティティの問題を再考し、さらにエミリィが深く関わったユング心理学がロシア文化に与えた影響等についても新たな知見がもたらされると期待される。
著者
高橋 健一郎
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.40-51, 2003-07-31 (Released:2017-04-29)

本稿は非協同的なコミュニケーションの一例としての1934年のスターリンとH.G.ウェルズの対談を「イデオロギー闘争」という観点から分析する.スターリンのディスコースの基本的な命題は,「資本主義はアナーキーを生む」(つまり,資本主義は悪である)と「人間は資本家階級と労働者階級に分けられ,両者は闘争をしている」というものであるが,ウェルズがいかにそれを批判し,スターリンがいかに正当化するかを分析する.ウェルズは自分自身を「世界を知り,イデオロギー的制約から自由な一庶民」と提示し,その反対の立場にスターリンを置きながら批判を試みる.それに対して,スターリンは「資本主義」と「資本家階級と労働者階級」に関する基本命題をさまざまな言語形態の《前提》表現によって発話の中に滑り込ませ,ウェルズの批判をかわしていく.そして,上記のウェルズの立場に対立する立場として「豊富な歴史的経験」を持ち出し,ウェルズが批判する「古臭さ」から「豊富な歴史的経験」へと価値評価を逆転させる.
著者
高橋 健一郎
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.40-51, 2003

本稿は非協同的なコミュニケーションの一例としての1934年のスターリンとH.G.ウェルズの対談を「イデオロギー闘争」という観点から分析する.スターリンのディスコースの基本的な命題は,「資本主義はアナーキーを生む」(つまり,資本主義は悪である)と「人間は資本家階級と労働者階級に分けられ,両者は闘争をしている」というものであるが,ウェルズがいかにそれを批判し,スターリンがいかに正当化するかを分析する.ウェルズは自分自身を「世界を知り,イデオロギー的制約から自由な一庶民」と提示し,その反対の立場にスターリンを置きながら批判を試みる.それに対して,スターリンは「資本主義」と「資本家階級と労働者階級」に関する基本命題をさまざまな言語形態の《前提》表現によって発話の中に滑り込ませ,ウェルズの批判をかわしていく.そして,上記のウェルズの立場に対立する立場として「豊富な歴史的経験」を持ち出し,ウェルズが批判する「古臭さ」から「豊富な歴史的経験」へと価値評価を逆転させる.
著者
高橋 健一郎 堀 武司 波 通隆 本間 稔規 小高 仁重 口田 圭吾
出版者
日本畜産学会
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.237-244, 2006-05-25
参考文献数
8
被引用文献数
1

高精細牛枝肉横断面撮影装置(以下,新型撮影装置)により得られた牛枝肉画像を複数の画像形式に変換し,BCSナンバーの推定に最適な方法を検討した.材料には新型撮影装置を用いて撮影された黒毛和種肥育牛46頭の第6-7肋骨間の鮮明な画像を用いた.画像はロース芯をその輪郭で抽出したJPEG形式とTIFF形式の画像,ロース芯の一部を矩形で切り取ったJPEG形式とTIFF形式の画像および輝度ムラを補正し,上記と同様の処理をしたJPEG画像(ロース芯,矩形)の計6種類の画像を用意した.その6種類の画像よりロース芯全体,ロース芯の筋肉および脂肪交雑部分のR(赤),G(緑),B(青)各階調値および輝度の平均値など,計108変数を算出した.格付員によるBCSナンバーを従属変数,画像解析で得られた形質を説明変数候補とする重回帰分析を行ったところ,輝度ムラ補正を行い,ロース芯をその輪郭で抽出した画像において決定係数がもっとも高かった(R<SUP>2</SUP>=0.793).推定されたBCSナンバーと格付員によるそれとの差が&plusmn;0であったサンプルの割合は95.7%となった.以上のことから高精細撮影装置による圧縮画像からでも非常に高い精度でBCSナンバーを判定可能であることが示された.