著者
岩崎 寛 井上 紗代 山本 聡
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.21, 2006

インテリア雑貨としての植物を健全に生育させる管理条件を明らかする目的で、流通量の多い観葉植物5種を用い、異なる環境下で一定期間管理し、その生育の差異を光合成速度・SPAD値・葉量・枯死率などから比較した。その結果、光条件の違いが草丈・葉量などの成長量に大きく影響し、潅水頻度の違いはその個体の枯死率を左右することが認められた。その影響の度合いは種類によって異なり、ドラセナ・サンデリアーナとドラセナ・マッサングアナは、どの試験区においても比較的管理が容易であるといえた。フィカス・プミラは潅水よりも光条件の違いが生育や生理機能に影響を与える傾向がみられた。逆にフィットニアは、こまめな潅水管理を施せば環境に関係なく一定の生育が見込まれた。クロトンは設置環境および潅水管理、共に配慮しなければ枯死させてしまう可能性が非常に高いことがわかった。
著者
橋本 亜矢子 斎藤 庸平
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.23, 2004

落葉樹の樹冠内で、夜間照明により部分的に落葉が遅れる現象がこれまでに報告されている。(三沢・高倉 1990他)しかしこの現象が問題となる具体的な夜間照度は明らかになっていない。本研究では現地調査に基づき、樹冠内で部分的な紅葉・落葉の遅れを引き起こす夜間照明の程度を明らかにすることで、街路樹の生育環境の改善と、統一感や季節感の演出を担う街路景観の向上に役立つ基礎的データを得ることを目的とした。使用頻度が高い落葉樹のうちアメリカフウを対象とした結果、20lux以上の夜間照明(光源は蛍光水銀灯)は、樹冠内での紅葉・落葉の遅れを引き起こすこと、この影響は200lux以上で顕著になることが明らかになった。
著者
藤井 基弘 深町 加津枝 森本 幸裕 奥 敬一
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.32, 2012

伝統行事「京都五山送り火」は、京都市内を取り囲む東山・北山・西山に灯される火の祭典の一つで、日本の伝統的なお盆の行事である。そして、今やこの送り火は特定の地域の伝統行事となるだけでなく、「お精霊送り」として広く人々の間に定着し、人々の"心の共有財産"となっている。本研究では、銀閣寺地域・松ヶ崎地域・西賀茂地域・衣笠地域・嵯峨地域それぞれの送り火の形態や祭祀組織の特徴を明らかにすることを目的にした。そこでこの行事を貴重な地域の文化として今後も継承するための方策を資材、人材などの側面から考察した。
著者
大澤 啓志 山下 英也 森 さつき 石川 幹子
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.50, 2004

ビオトープ地図の日本版の標準手法確立に向け、鎌倉市を事例研究地として基本概念や課題を整理した。初めから抽出単位が決定されること、生態的特性が類似するビオトープを括る体系化というビオトープ図化の基本条項を明らかにした。日本では農耕地-里山が重要な生物生息空間とし機能してきたことから、農村環境は全てをビオトープとして抽出した。体系化はドイツの方法を踏襲し、鎌倉市の現状に即し5系の上位区分を得た。複数のGIS環境情報図を基に市域レベルのビオトープ地図(1/10,000)が作成された。しかし、ビオトープ・タイプの設定基準や個票の記述内容、いくつかのビオトープ・タイプの体系上の位置について更なる検討が要ると考えられた。
著者
太田 広
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.84, 2009

レクリエーションのための土地へのアクセス権が幅広く認められている英国スコットランドにおいて、アクセス規則の策定プロセスを検討することで、田園地域等のレクリエーション利用の課題を明らかにした。土地管理者は、利用者の責任、農地等の土地管理者の利益保護などに関する関心が高く、土地管理者の義務が過大で、利用者の責任が不十分または不明確、無責任な行動に対する対処も不適当と考えており、アクセス権によるレクリエーション利用に対する土地管理者の懸念払拭や利用者との軋轢回避が大きな課題と考えられる。これらの懸念や軋轢回避の方策として、法令や利用ルールであるアクセス規則への国民の理解の促進、適正な利用のための分かりやすい利用ルールづくり等が必要と考えられる。
著者
舟引 敏明
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.67, 2010

計画制度は、行政の目標とその実施のプロセスを定めるツールとして、特に利害調整のツールとして、重要な役割を持っている。特に近年様々な形で住民参加の計画づくりが進められるようになっており、その重要性は増している。都市の緑地空間確保行政においても、緑の基本計画を中心に、さまざまな名称の計画に類する制度が並立しているが、それぞれの計画の目的、対象、概念が異なっているためわかりにくい。本論では次の二つの視点が全体像の把握に有効であると考え、第一に計画が土地利用規制等を通じて国民に及ぼす効果の観点から、第二に計画策定への市民意見の反映・専門家意見の反映手続きから、それぞれ計画の分類・整理・分析を行い、緑地空間確保行政における計画制度の全体像を示している。
著者
宮本 万理子 横張 真 渡辺 貴史
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48, 2012

本論説は文化財としての文化的景観の捉え方を提示するものである。本目的を達成するため、本論説では2つの研究目的を設定した。第一に、UNESCOによる文化的景観(Cultural Landscape)のカテゴリーに影響を与えたと考えられる学識者による文化的景観の定義を検討した。第二に、文化的景観(Cultural Landscape)のカテゴリーに影響を与えた学識者の一人であるWagner & Mikesellによる"文化的景観"の定義に基づき,土地履歴(景観と社会との関係性の履歴)の解釈からみた文化財としての「文化的景観」の新たな概念を提示した。さらに,地図および文書の所在の有無にもとづき土地履歴が辿れるか否かによって景観が分類された。こうした概念にもとづくと,(1)地図あり/文書あり、(2)地図あり/文書なし、(3)地図なし/文書あり、(4)地図なし/文書なし、に分類された。計画論的立場からは(1)地図あり/文書あり、が「文化的景観」として承認されやすい景観であると考えられた。
著者
木村 栄理子 深町 加津枝 古田 裕三 奥 敬一 柴田 昌三
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.51, 2007

本研究は、京都市嵯峨嵐山における竹林景観の管理状況の実態と、景観保全施策について明らかにし、景観保全施策が景観を良好に保つためにどのような役割を果たしているか検証した。対象地の竹林の管理状況と景観保全施策とを比較検討した結果、古都保存法による買取制度により、景観上重要な私有地の竹林を行政所有とになり、竹林の消失が抑制されていた。しかし、竹林景観を適正に管理する体制は確立しておらず、一部の地元住民の有志に頼った管理がなされているにすぎなかった。また、厳しい景観保全施策の対象外の地域において、竹材や筍生産林として管理が行なわれ、竹林景観として維持されていること等が明らかになった。
著者
近藤 隆二郎 守谷 光平
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.66, pp.45, 2003

「歩行空間の変化性」に着目し、「歩行感覚」から歩行空間の分析をおこなった。サウンドスケープにおける先行研究を参考に、「サウンド」「フレーズ」「ハーモニー」「メロディー」の視点を適用し分析した。「歩行空間」の「ハーモニー」として、【回遊】【癒し】【直線平坦】【お参り】【直線平坦(テクスチャー)】【アクロバティック】【心臓破り】【特殊】の8タイプを抽出した。また、「コース」に占める割合の高い「ハーモニー」は【回遊】【癒し】であった。「ハーモニー」の変遷として、6つの「メロディー」タイプを抽出した。「歩行感覚」から得られた「ハーモニー」の特徴は、実際の印象と対応していた。
著者
山田 晋 大久保 悟 北川 淑子 武内 和彦
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.49, 2007

水田面積の減少が顕著な大都市圏では,全国的には水田で普通に生育する種の希少化が深刻で,とくに水稲作に強く依存して生育する種(水田農業依存種と定義)を保全する必要性が高まっている。本研究では,耕起管理と代かき管理を,耕作放棄水田で4年間実施した。集約化が進んでいない水稲作地や,耕作放棄地で水稲作が再開された場合と比較しながら,各管理による成立植生の特徴を把握し,代かきや耕起が,水田雑草群落や,そのなかの1種群である水田農業依存種の維持に対し有効か検討した。耕起管理区における水田農業依存種数は,管理年次とともに減少した。一方,代かき管理区では,その種数は概ね維持され,復元水田と類似した。代かき管理は水田農業依存種を少なくとも4年間の期間内維持する点で,有効な管理手法と判断された。
著者
大石 智広 稲垣 栄洋 高橋 智紀 松野 和夫 山本 徳司 栗田 英治
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.95, 2009

グリーンツーリズムの対象を示すため,景観の選好性や景観を見たときの印象,景観から想起される仮想行動を調査した。茶園は成人女性と女の子に好まれ,リラックスした体験が適すると考えられた。ミカン園は成人女性と子供が好んだ。森林は成人男性と子供に好まれ,音や景色を静かに楽しむ体験が適した。牧場は多くの人に好まれ,行動を伴う様々な体験が適した。成人女性は広々とした景観を好み,成人男性は自然的な景観を好んだ。多くの人は仮想行動が多く想起される景観を好んだ。特に子供は,飲食行動が想起される景観を好んだ。以上のことから農業景観に適したグリーンツーリズムの対象が示された。農業景観をグリーンツーリズムに効果的に活用するには,景観の好みや景観を見たときの印象や起こしたくなる行動を把握することが重要である。
著者
喜多 明 下村 彰男
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.26, 2012

マスメディアに掲載される地域の写真は,ものの見方が反映され,複数の観賞者に共有された地域像として定着する。しかし、景観保全には、地域像の歴史的・文化的な形成過程を考慮する必要がある。本研究は、京都北山杉を対象に,森林の変容を踏まえ,森林写真と掲載された記事の話題から森林像の変遷を明らかにし,実体としての森林とものの見方としての森林像との関係を考察した。森林の実体やその変化が正確に見られるのではなく、ものの見方を通して受け入れられていた。相似する森林に対し、時代によって異なるものの見方が付与されていた。今後、住民が森林像をどのように捉えるかを議論した上で、森林の形態や施業方法が検討されることが望ましい。
著者
伊藤 いずみ 曽和 治好
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.7, 2010

多数の人が日本庭園を訪れているが、何を目的に訪れているのか、日本庭園にどのような価値を見出しているのか明らかではない。本論では、日本庭園に対する評価を、ブログのテキストマイニングを通して得ることを目的とした。全国の有名庭園を対象に、Yahooブログ検索を行い検索結果件数を取得し、ブログから日本庭園を評価したデータを抽出して、テキストマイニング手法を用いて分析を行った。ブログの語句分析から一般利用者の各庭園に対する評価傾向がわかった。また、日本庭園の評価が「自然」「造形」を核として、「五感」「行為」という体験、「歴史」「建築」「借景」などの庭の個性を加味した、複合した要素からなりたつことがわかった。
著者
押田 佳子 横内 憲久 岡田 智秀
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.37, 2010

江戸時代に「観光地」として脚光を浴びた鎌倉の海岸名所の景観構成を、十返舎一九「金草鞋 二十三編-江ノ島鎌倉廻り」における記述より把握した。その結果、筆者が訪れた全107地点のうち、景観についての記述は17地点でみられ、一九が平野部が狭く急峻な山地とわずかな海岸平地で構成される鎌倉の地形を活かし、俯瞰、仰瞰のシーン景観を用いて、通過地点より捉えた景観を表現することで旅の転換点を印象付けるよう演出していたことが伺えた。一方、海岸沿いに一続きである、江ノ嶋入口-七里の浜間では、連続した開放空間を捉える事が出来、かつ眺望の変化を楽しめることより、水平シークエンス景観による演出がなされていた。また、景観の記述がみられた17ヶ所中11ヶ所で海岸への眺望が捉えられていたことより、『金草鞋』において海岸景観が鎌倉地域を象徴する景観であることが伺えた。