著者
髙橋 亮一
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.104, no.4, pp.1-26, 2023-03-17

This paper analyzes how the events of the Russo-Japanese War affected the international relations between Japan, Russia, Britain, and the United States, in the context of the fur seal industry in the Sea of Okhotsk and the Bering Sea. In the 1890s, Great Britain, the United States, and Russia established a protection zone for sea mammals in these regions. On the other hand, Japan actively encouraged the hunting of sea mammals through the promulgation of the Pelagic Fisheries Encouragement Law of 1897. Thereafter, the outbreak of the Russo-Japanese War brought into sharp focus the opposition between these sea mammal protection provisions and Japan’s policy of promoting pelagic sealing activities. During the war, Japanese fishermen jumped on the opportunity provided by the war to fish in Russian territory.The Japanese government initially called for restraint in this regard from its fishermen. However, when in the spring of 1905 a plan was formed by Japan to occupy Sakhalin, it saw in sea mammal protection activities by Russia and Britain a possibility of expanding the war zone. During the invasion of Sakhalin, in July 1905 the Japanese military successfully advanced into the Sea of Okhotsk by conducting warship patrols under the guise of protecting sea mammals. When the southern half of Sakhalin was acquired by Japan via the Treaty of Portsmouth, Tyuleny Island was also incorporated into Japanese territory, and this meant that Japan would therefore take over from Russia the international responsibility of protecting sea mammals. The possession of Tyuleny Island was a factor in the Japanese government’s change of direction toward contributing to sea mammal protection and hunting industry control. Japanese diplomatic policy on sea mammal protection was crafted while taking into account the international relations and treaties in this context, and this created a chance for the nation to become embedded in the international regime of sea mammal protection.
著者
髙橋 亮太 岡田 唯男 上松 東宏
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.213-219, 2019-12-20 (Released:2019-12-27)
参考文献数
37
被引用文献数
3 3

1980年代頃から「複数の慢性疾患をもつこと」は「multimorbidity(多疾患罹患)」と呼ばれ,近年のプライマリケア研究において重大なテーマとなっている.高齢化と共にmultimorbidity患者は増加し,性別,社会経済的地位の低さ,精神疾患合併との相関が示されている.また,死亡率上昇,QOL (quality of life)低下等の健康アウトカムへの負の影響が示唆され,受診回数増加,ポリファーマシー等の患者負担増加や,救急受診,予定外入院,医療費上昇等の医療資源利用への影響がわかってきている.一方で介入方法はエビデンスによる十分な裏付けがない.本総説は国内外の質の高い研究論文を中心にmultimorbidity研究の現状を俯瞰し,研究上の課題を指摘すると共に,それらを踏まえ,臨床現場におけるmultimorbidity患者へのアプローチ方法の提案を行う.
著者
成瀬 尚志 崎山 直樹 児島 功和 笠木 雅史 髙橋 亮介 片山 悠樹 井頭 昌彦
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、ライティング教育においてはこれまでほとんど重視されてこなかったレポート論題の重要性を、インターネットなどからの剽窃を防ぎ、思考を促すという観点から研究した。第一に、剽窃を防ぐ論題の類型を分析し、剽窃を防ぐための具体的な論題案を開発することができた。第二に、アンダーソンらによる改訂版タキソノミー(教育目標の分類学)に対応させた「レポート論題タキソノミー」を開発し、授業設計と論題を関連付ける枠組みを提示した。
著者
平島 円 奥野 美咲 髙橋 亮 磯部 由香 西成 勝好
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.108, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】pHが13を越える強アルカリ性では,加熱せずに澱粉の糊化(アルカリ糊化)が起こる。しかし,こんにゃくや中華麺などの食品のpHはアルカリ糊化を起こすほど高くない。そこで本研究では,食品で扱われるアルカリ性のpHの範囲を考慮して糊化させた澱粉の老化に及ぼすpHの影響について検討した。【方法】澱粉にはタピオカ澱粉(松谷ゆり8,松谷化学工業(株))およびコーンスターチ(コーンスターチY,三和澱粉工業(株))を用い,その濃度は3.0,4.0および20wt%とした。また,澱粉の糊化はNa塩の影響を受けることから,アルカリの影響についてのみ検討できるよう,Sorensen緩衝液を用いてNa濃度を一定とし,pHを8.8–13.0に調整した。アルカリ無添加の澱粉をコントロール(約pH 6.5)とした。糊化させた試料を5oCで0-45日間保存した後,DSC測定,透過度測定と離水測定を用いて老化過程について検討した。【結果】タピオカ澱粉は老化しにくい澱粉のため,コンロトールを含め高pHに調整した試料すべてにおいて,本研究で用いた保存期間内では老化の進行はほとんどみられなかった。一方,コーンスターチにおいては,pHが高くなるほど,保存に伴うDSC測定から求めた老化率の変化は小さかった。また,澱粉糊液の透明度と離水率もpHが高いほど変化は少なく,pHを高くすると老化の進行がゆるやかになるとわかった。特に,食品で扱われるよりも高い12.6を超えるpHでは,澱粉糊液の透明度はほとんど変わらず,離水も起こらなかった。以上の結果より,食品にみられるアルカリ性の程度(pH12以下)では澱粉の老化は進行するが,コントロールよりも老化の進行はゆるやかになるとわかった。また,非常に高いpH(pH13程度)では,老化の進行が非常にゆるやかになるとわかった。