著者
高橋 哲也 鶴永 陽子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 70回大会
巻号頁・発行日
pp.13, 2018 (Released:2018-07-28)

目的 アロマテラピーは脳に働きかけて心を和ませ、ストレスを低減させる効果を持つ。その効果を有効に利用するには、肌に密接にある被服を用いるのが効果的であると考えられる。本研究では、アロマテラピー繊維を創製する前段階として、スウィートオレンジとラベンダー精油による生理応答への影響について着目し、その心理的影響を検討した。方法 大学生20名を対象に本実験を実施した。STAI特性不安検査、タイプ行動パターン検査の心理検査を実施した。その後、3回の時間帯にて、香りを付けていないマスクの装着(前レスト)、香り付きマスクの装着(聴香タスク)、香りを付けていないマスクの装着(後レスト)の状態を5分間ずつ実施した。その際にNIRSおよび心拍変動の測定を行うとともに、主観評価も実施した。結果 本実験に用いた2種類の香りには、リラックス効果が見られた。但し、アロマテラピー実験が生理応答や心理に与える影響は、被験者によって個人差が大きかった。NIRSによる測定を行ったところ、聴香タスクでは脳血流量は減少し、アロマテラピーによってリラックス状態を示すことがわかった。さらに、香りの嗜好性も脳血流の結果に影響を与えており、本実験の被験者の嗜好性が高いスウィートオレンジの方が、聴香タスクでの脳血流中の酸素化ヘモグロビン濃度が前レストに比べて大きく減少していた。このことから、スウィートオレンジの方がストレス低減により有効であった。
著者
鶴永 陽子 高林 由美 西 万二郎 鈴木 芳孝
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.437-444, 2011-07-15 (Released:2013-08-29)
参考文献数
21

We investigated the contents of ascorbic acid, astragalin and polyphenols, and the 1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl (DPPH) radical scavenging activity of 22 commercial persimmon leaf tea products. There were marked differences in the ascorbic acid content among the products (0-1,300 mg/100 g dry weight (DW)).The astragalin content of the products ranged from 0 to 219 mg/100 g DW, the polyphenol content ranged from 900 to 6,070 mg of catechin eq./100 g DW, and the radical scavenging activity ranged from 12 to 41mmol Trolox eq./100g DW. We determined the effects of water content, roasting temperature, and roasting time on the ascorbic acid content, polyphenol content, and DPPH radical scavenging activity to clarify the reasons for the differences among these persimmon leaf tea products. The results suggest that the optimum conditions for retaining the ascorbic acid content, polyphenol content, and DPPH radical scavenging activity were a water content of 5% or less and non-roasting. A low temperature of approximately 150°C was the most suitable for a roasting treatment.
著者
鶴永 陽子 高林 由美 鈴木 芳孝 西 万二郎 松本 真悟
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.309-314, 2009-11-30
参考文献数
22

柿葉茶の浸出方法および浸出液の保存方法が、アスコルビン酸、アストラガリンおよび総ポリフェノール含量に及ぼす影響を検討した。その結果、成分により効率よく浸出するのに適する入れ方は異なった。アスコルビン酸は、5℃の冷水の場合は10〜60分間、60〜100℃の熱水の場合は、3〜10分間程度置く方法が適していた。一方、アストラガリンおよび総ポリフェノールは、半量になるまで煮詰める方法や加圧浸出などの方法を用いることによって浸出効率は高まった。また、浸出液中のアスコルビン酸は5℃程度の低温下で保存する方法が最も含量が保持された。しかし、アストラガリンおよび可溶性ポリフェノールは高温条件下の保存でも安定性に優れ、90℃で24時間保存した場合でも、アストラガリン含量の減少は約10%の減少にとどまり、総ポリフェノール含量はほとんど減少しなかった。
著者
鶴永 陽子 仙田 真夕 楫野 紋美 三島 晶太 高橋 哲也 吉野 勝美
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.70-77, 2016-02-15 (Released:2016-03-29)
参考文献数
15

鶏卵,エバミルク,砂糖に脱渋ペースト,渋ペースト,渋搾汁液を追加してプディングを調製し,色調,物性,内部構造ならびに官能評価に及ぼす影響について調べた.その結果,渋搾汁液を添加したプディングは,官能評価の外観,舌触り,なめらかさ,食感,総合的なおいしさで有意に高い評価だった.また,プディング製造時に渋搾汁液や渋ペーストを添加すると,暗い色調になることがわかった.さらに,渋搾汁液や渋ペースト自体は非常に強い渋味を呈するが,プディングに加工することで,渋味が消失することが明らかとなった.以上のことより,渋ガキを用いてプディングを製造する場合,渋搾汁液を使用するのが最も良いことが明らかとなった.
著者
鶴永 陽子
出版者
島根大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

タンパク質素材と渋柿の搾汁液を混合して柿タンニン-タンパク質複合体を形成させ,その脱渋効果および胃中での渋戻り効果を検討した.その結果,実験に使用したタンパク質素材のうち,高い脱渋効果が認められ,人工胃液により柿タンニン-タンパク質複合体からタンニンが遊離しやすいタンパク質素材は,エバミルク,ゼラチン,コラーゲン,豆乳であった.さらに,複合体形成を利用した柿ゼリーを製造した.
著者
鶴永 陽子 松本 敏一 倉橋 孝夫 持田 圭介 板村 裕之
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.321-324, 2006-09-15
参考文献数
17
被引用文献数
4 6

14年生カキ&lsquo;西条&rsquo;を用い,成育中の柿葉におけるアスコルビン酸,イソケルシトリン,アストラガリン,ポリフェノール量含量の推移を検討した.その結果,アスコルビン酸とポリフェノールは6月から7月の含量がもっとも高く,それぞれ3700 mg/100 gDW,16100 mg/100 gDW(アストラガリン相当量)であった.また,イソケルシトリン,アストラガリン含量は5月葉が最も高く,それぞれ480, 520 mg/100 gDWで,その後新梢長の急激な伸長の伴い6月には激減することが明らかとなった.<br>
著者
鶴永 陽子 松本 敏一 倉橋 孝夫 持田 圭介 板村 裕之
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.321-324, 2006 (Released:2006-09-25)
参考文献数
17
被引用文献数
3 6

14年生カキ‘西条’を用い,成育中の柿葉におけるアスコルビン酸,イソケルシトリン,アストラガリン,ポリフェノール量含量の推移を検討した.その結果,アスコルビン酸とポリフェノールは6月から7月の含量がもっとも高く,それぞれ3700 mg/100 gDW,16100 mg/100 gDW(アストラガリン相当量)であった.また,イソケルシトリン,アストラガリン含量は5月葉が最も高く,それぞれ480, 520 mg/100 gDWで,その後新梢長の急激な伸長の伴い6月には激減することが明らかとなった.
著者
鶴永 陽子
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.85-94, 2009-03-31
参考文献数
50

近年、健康維持にかかわる三次機能(生理的機能性)が注目を集めている。特に、生活習慣病の発症や老化の進行に活性酸素が大きく関与し、その予防策として食品中のビタミン、ポリフェノール類をはじめとする抗酸化物質の摂取が有効であるとする知見が多く報告されている。その中、日常的に飲用できるお茶の機能性が注目を集め、多くの研究がなされている。例えば、緑茶の抗酸化性、血圧上昇抑制作用、血糖上昇抑制作用、抗ウイルス作用などの機能性が明らかになり、健康食品素材として高い評価を得ている。また、ツバキ科のチャ葉以外の材料からつくられた健康茶も消費者の「安心志向」「健康志向」を背景に関心が高まっている。これは、健康茶素材の長い食履歴から得られる安心感と、近年の分析技術向上による生理活性機能などの科学的データの裏づけによるところが大きい。例えば、ルイボスティーの便秘解消作用、甜茶の抗アレルギー作用、タラ葉茶の血糖値上昇抑制作用など多数の報告がなされている。特に、グアバ葉ポリフェノールの血糖値上昇抑制作用については、多くの報告がなされ、それを原料としたお茶は特定保健用食品(「血糖値が気になり始めた方の食品」)として販売されている。また、全国各地で、地域資源を地域振興や活性化に活用する動きが活発化しており、その手段として健康茶への利用が増大している。筆者は、島根県内では未利用資源であった「カキの葉」と「ヤマモモの葉」が有する高い抗酸化性に着目して、機能性成分含量の高い健康茶を製造するための技術を開発した。本総説は、筆者が実施した一連の研究成果をとりまとめたものである。