著者
和田 直樹 藤田 誠
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.668-670, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
5

分子の化学構造を決定する強力な手段は単結晶X線回折(SXRD)法だが,「単結晶を形成しない化合物に適用できない」「単結晶作製条件の最適化に多量の試料を必要とする」等の原理的な問題を抱えていた.しかし,結晶スポンジ(CS)法では,細孔性の金属錯体を鋳型として試料溶液を流し込めば化合物のSXRD解析が可能となる.われわれは本手法を用いて,従来の常識を覆す天然物の構造解析スタイルを確立した.
著者
池田 幸弘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1106-1107, 2017

戸越銀座を歩き、星薬科大学へと向かう。正門を入ってすぐ右手の建物の1階に資料館があった。本資料館には、創立者星一ゆかりの資料を中心に、本学にかかわる多様な歴史資料が展示されている。星薬科大学の歴史を辿ると、明治44(1911)年、星製薬株式会社が創立された際、社内に設置された教育部に遡る。会社創立と同時に教育部門を設けることは珍しいと思われるが、これは、建学の精神である「世界に奉仕する人材育成の揺籃である」に由来するのであろう。この根底には、座右の銘である「親切第一」 -「親切第一を主義として、自己に親切なれ、何人にも親切なれ、物品に親切なれ、時間に親切なれ、学問に親切なれ、金銭に親切なれ、親切は平和なり、繁栄なり、向上なり、親切の前には敵なし、親切は世界を征服す」の信念が礎となっている。ちなみに、星薬科大学と聞くと、つい創立者の長男である作家星新一を頭に浮かべてしまうが、本名は親一で、この言葉から名づけられたという。さらに余談を述べると、次男は協力第一の銘から、協一と名づけられたらしい。
著者
吉山 友二
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.151-153, 2018 (Released:2018-02-01)
参考文献数
5

「在宅医療推進における薬剤師のかかわり」のシリーズで多くの実践的な事例紹介がなされてきた。初回の「地域医療行政の立場からの薬剤師への期待」では、地域医療と在宅医療の全体像について総説されている。続いて、各領域の先生方から、在宅医療推進における薬剤師のかかわりについて最新の事例紹介がなされた。本コラムで提供された有用な情報を、在宅医療の推進に活用することが薬剤師の腕の見せ所と確信している。
著者
黒瀬 等
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.872-876, 2014 (Released:2016-09-17)
参考文献数
25

Gタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor:GPCR)の活性調節を行うのみだと考えられてきたβアレスチンとGPCRキナーゼが,Gタンパク質とは独立して細胞内に応答を引き起こしていることが明らかになった.GPCRはGタンパク質とβアレスチンを介した2つのシグナリング経路を活性化し応答を引き起こすことができる.βアレスチンを介したシグナリング経路は薬の選択的な作用あるいは副作用の発現と関係している場合もあり,創薬の観点からも注目されている.
著者
上杉 志成
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.577-580, 2009
参考文献数
2
著者
田宮 憲一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.635-637, 2016 (Released:2016-07-01)
参考文献数
6

医薬分業に対する批判を踏まえ、厚生労働省が「患者のための薬局ビジョン」の中でかかりつけ薬剤師の機能を明確化するなど、様々な検討の場で、患者に寄り添い、薬物療法の結果に責任を持つ薬剤師への期待が示されている。これらを踏まえ、今後の6年制薬学教育においては、特に実務実習と卒業研究を充実させるとともに、医療人としての心構え、更には研究マインドを持ち卒後も自己研鑽を続けていくことの重要性をしっかりと身に付けた薬剤師が輩出されるよう、期待したい。

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著者
佐久間 昭
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.568-572, 1988-06-01
被引用文献数
1
著者
月岡 耕太郎 岡崎 朋彦
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.41-45, 2024 (Released:2024-01-01)
参考文献数
25

自閉スペクトラム症(ASD)は、社会性やコミュニケーションの障害、強いこだわりなどを示す脳機能障害であり、その発症率は近年増加の一途を辿っている。発症原因の約半数は遺伝要因では無く環境要因に起因すると考えられており、特に妊娠中の病原体感染によって引き起こされる母体免疫活性化(MIA)がASD発症のリスクを増加させる可能性が疫学及び動物実験により示されている。本項ではMIAによるASD発症メカニズムについて最近の知見を紹介する。
著者
酒井 弘憲
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.164-165, 2016 (Released:2016-02-23)
参考文献数
1

生物学や遺伝学の世界に統計学を持ち込んだのは,進化論で著名なチャールズ・ダーウィンの従弟,フランシス・ゴルトンである.ゴルトンは,気象図の等圧線を考案し,気圧という概念を発見したり,指紋による個人の識別をスコットランドヤードに提唱したりするなど,幅広い知識人でもあった.コナン・ドイルも,いち早くその意義を認め,「ノーウッドの建築業者」(作品集:ホームズの帰還)で,ホームズにも指紋による個人鑑別について語らせていることはよくご承知のことであろう.