著者
舘田 一博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.2908-2914, 2013-11-10 (Released:2014-11-10)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

耐性菌の増加と蔓延が進行する中で,新しい抗菌薬の開発が進まない状況が深刻な問題となっている.米国では“2020年までに10薬剤の開発”をスローガンに,産官学の連携の中で抗菌薬開発促進の動きがみられている.その1例が2011年に施行されたGAIN法であり,この法律により耐性菌感染症に対する新しい治療薬に対して5年間の排他的(独占)販売期間の延長が認められた.日本でも,創薬促進検討委員会が立ち上がり,感染症関連学会,行政(厚生労働省,文部科学省,経済産業省),製薬企業との意見交換がスタートした.これまで世界標準の抗菌薬を多数創出してきた日本企業の知的・人的・物的リソースを生かす抗菌薬開発の環境整備が,今求められている.
著者
橋本 貢士 小川 佳宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.4, pp.697-702, 2015-04-10 (Released:2016-04-10)
参考文献数
10

肥満症の発症と進行には,遺伝因子である肥満関連遺伝子と,栄養や運動などの環境因子が密接に関与している.近年,次世代シークエンサーの登場により全身の遺伝子多型が網羅的かつ迅速に解析することが可能になり,新たな肥満関連遺伝子であるfat mass and obesity associated(FTO)遺伝子が同定された.また,環境因子による遺伝子発現制御機構であるエピジェネティクスの肥満症における新たな知見,特に,DNAメチル化による遺伝子発現制御機構の知見が急速に蓄積している.
著者
松居 喜郎 若狭 哲 大岡 智学 新宮 康栄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.2, pp.238-244, 2016-02-10 (Released:2017-02-10)
参考文献数
12

活動期感染性心内膜炎(infective endocarditis:IE)に対する外科治療は,心不全や感染の制御,塞栓症の予防の観点から,適応,手術時期を判断し,感染組織の可及的切除により再感染を予防する.また,脳合併症を呈する場合には,梗塞後出血や新規発症のリスクを考慮に入れたうえで適切な手術時期を決定すべきである.大動脈弁位では弁周囲膿瘍が起こりやすく,周囲組織との解剖学的関係を十分理解し,郭清,再建を行う.僧帽弁位では弁形成の可能性を常に考慮すべきである.
著者
真嶋 隆文 高木 千恵子 小池 雄太 重本 道香 山田 敬行 赤城 格
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.2197-2200, 2004-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は73歳女性.心不全の原因となった心房細動にコハク酸シベンゾリンを使用した際,低血糖が出現した.シベンゾリンによる低血糖の機序としてはATP感受性K+チャネル閉鎖によるインスリン分泌亢進が考えられており,本例でのインスリン分泌負荷試験の評価もそれに矛盾しなかった.また本例のような腎機能正常例でのシベンゾリンによる低血糖症の報告は少なく,その他ATP感受性K+チャネル作用薬併用の影響等も考えられた.本例はシベンゾリンの臨床的留意点や,その低血糖発症機序に関する有意義な症例と思われた.
著者
野村 憲一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.7, pp.1561-1567, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

染色体・遺伝子検査は,悪性リンパ腫の診断に有用である.遺伝子検査は,良悪性の鑑別に用いる.免疫グロブリン遺伝子,あるいはT細胞レセプター遺伝子の再構成はサザンブロッティングで検出する.染色体異常は,組織診断に重要なエビデンスとなる.染色体解析は,通常,G染色法で行う.SKYやFISHを併用することで,より詳細な情報を得ることも可能である.染色体・遺伝子検査は,治療法の選択や予後の推定にも有用である.
著者
宮地 秀樹 小谷 英太郎 岡崎 怜子 吉川 雅智 松本 真 遠藤 康実 中込 明裕 草間 芳樹 磯部 光章 新 博次
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.1388-1390, 2011-05-10
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

症例は21歳,女性.不明熱のため各種精査を行うも原因を同定できず.骨病変精査目的で施行したFDG-PET/CTにて大動脈弓部に異常集積を認め,早期の高安動脈炎と診断した.狭窄閉塞,拡張病変が明らかでない早期高安動脈炎の早期診断は現在のガイドラインでは困難である.しかし高安動脈炎は若年女性に好発し,重篤な心血管合併症が生じることからFDG-PET/CTによる早期診断が重要と考え報告する.<br>

2 0 0 0 OA 1.人間ドック

著者
日野原 重明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.3147-3149, 2002-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
3
著者
涌井 秀樹 山下 純一 大渕 宏道 吉田 廣作 中本 安 三浦 亮
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.788-791, 1986
被引用文献数
1

症例は16才の女子高校生で修学旅行中に一過性の黒色尿を生じたため入院した.尿潜血反応は強陽性であつたが赤血球沈渣はみられなかつた.血清ビリルビン, LDH, GOT値の上昇と血清ハプトグロビン値の減少を認めた. Coombs試験, Ham試験, sugar water試験は陰性で赤血球浸透圧脆弱試験は正常であつた.運動負荷試験を行なつた.黒色尿は生じなかつたが血管内溶血の所見を得た.修学旅行後は通常の学校生活に戻つたが黒色尿はみられていない.以上より修学旅行中の長距離歩行によるmarch hemoglobinuriaと診断された.本邦報告例では圧倒的に青年男子の運動選手,特に剣道選手にみられるので,本症例はきわめてまれな例である.
著者
石川 裕一 宮城 匡彦 松本 知子 渡邊 奈津子 東條 靖 廣井 直樹 久保木 幸司 芳野 原 坪田 貴也 吉原 克則
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.10, pp.2552-2554, 2008-10-10
参考文献数
4
被引用文献数
1

34歳,女性,7月に起立困難で入院.心エコーにて著明な右心不全を認め,急激に呼吸状態の増悪を来たした.スワンガンツカテーテルにて全身血管抵抗低下を伴った高心拍出性心不全の所見を呈し衝心脚気と診断.フルスルチアミン投与したところ24時間以内に循環動態の改善が認められた.衝心脚気の原因として本人が2月から始めた健康食品ダイエットが原因と考えられた.現在では稀な疾患ではあるが,短期間で重症化し致命的な経過を辿る事がある為,注意が必要であると考える.<br>

2 0 0 0 OA 内科学会NEWS

出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.2, pp.News2-News2, 2014-02-10 (Released:2015-02-10)

2 0 0 0 OA 内科学会NEWS

出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.News8-News8, 2014-08-10 (Released:2015-08-10)

2 0 0 0 OA 内科学会NEWS

出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.News8-News8, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
著者
前防 昭男 松森 正温 森脇 優司 中野 孝司 山出 渉 安室 芳樹 鍋島 健治 波田 寿一 東野 一彌
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.457-461, 1985

ビルハルツ住血吸虫症は,血尿を主訴とする寄生虫疾患で,アフリカや中近東などの熱帯地方がその流行地である.今回,我々は,世界旅行中,熱帯地方滞在の際に感染したと考えられるビルハルツ住血吸虫症を経験したので報告する.患者は33才の日本人男性. 1976年より世界旅行に出発,アフリカ,東南アジア,アメリカ大陸などを旅行していた. 1983年1月,メキシコ滞在中に血尿に気づくも放置していた.同年5月,日本へ帰国後も血尿持続し,精査のため入院.尿沈渣にて多数の赤血球および寄生虫卵を認め,その虫卵よりビルハルツ住血吸虫症と診断した.血液学的には好酸球増加および血清IgEの高値を認めた.また,膀胱粘膜の生検にて粘膜内にも虫卵を認めた.治療として酒石酸アンチモン剤を投与し尿中の虫卵が陰性化し退院した.本症は,流行地では2000万~3000万人もの患者が存在してるにもかかわらず,本邦ではほとんど認めることのできないまれな輸入寄生虫疾患であるが,海外渡航が頻繁に行なわれるようになつた現在,特に本疾患流行地に滞在していた場合には,血尿を認めた時には鑑別すべき疾患の一つになりえる.

2 0 0 0 OA 内科学会NEWS

出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.News5-News5, 2015-05-10 (Released:2016-05-10)
著者
宮田 典幸 坂本 竜一 堤 絵里子 塩塚 奈那 前田 麻木 武藤 敏孝 田邉 真紀人 高月 浩 澄井 俊彦 岡嶋 泰一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.3, pp.769-772, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
10

脾摘後患者では液性免疫障害により敗血症,その重症化のリスクが高い.症例は64歳女性.45歳時に特発性血小板減少性紫斑病に対し脾摘.肺炎球菌ワクチンは未接種.悪寒,発熱を自覚した翌日に上下肢の紫斑が出現.その翌日当科受診し,肺炎球菌感染,DICの所見を認めた.既往歴から脾臓摘出後重症感染症による敗血症,電撃性紫斑をきたしたものと診断.ペニシリン大量投与,DIC治療にて救命しえたが,左膝表皮,右第3・5趾先端は壊死し,植皮,切断を要した.
著者
伊勢 孝之 高木 恵理 岩瀬 俊 楠瀬 賢也 山口 浩司 八木 秀介 山田 博胤 添木 武 若槻 哲三 佐田 政隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.6, pp.1175-1179, 2015-06-10 (Released:2016-06-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

心臓サルコイドーシスの標準的治療はステロイドであるが,ステロイドを投与中であっても再燃を認めることも多く,またステロイドの多岐にわたる副作用も問題となることが多い.症例は70歳代,女性.心臓サルコイドーシスの診断でプレドニンを維持量5 mg/日で加療されていた.定期検査で施行した心電図で陰性T波,前壁心尖部に新規の左室壁運動異常を認めた.FDG-PET,Gaシンチグラフィーで壁運動異常部位に一致して集積を認め,心臓サルコイドーシスの再燃と判断した.本症例では,ステロイドの副作用として糖尿病,肥満,白内障などを認めており,ステロイド増量が躊躇され,メトトレキサートの併用を開始した.メトトレキサート開始後,特に副作用を認めず,心電図ならびに左室壁運動異常の改善が認められた.ステロイド投与で再燃を認める心臓サルコイドーシス症例にはメトトレキサート併用も考慮すべきであると考えられた.
著者
小泉 忠史 古家 乾 馬場 英 定岡 邦昌 関谷 千尋 服部 淳夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.6, pp.1167-1174, 2015-06-10 (Released:2016-06-10)
参考文献数
6
被引用文献数
2 3

症例は60歳代,インド国籍の男性.2カ月前からの水様性下痢で12 kgの体重減少を認めたため,当科を初診した.初診5日後には脱水による腎機能の悪化を認め,入院となった.血液検査,検便検査,大腸内視鏡検査では特記すべき所見はなく,CT検査では膵の軽度の萎縮を認めた.薬剤等によるcollagenous colitisやceliac spurue,膵外分泌機能不全による下痢を考え加療するも,症状の改善を認めなかった.下痢が出現する約1年半前にオルメサルタンの内服が開始となっていたため,同剤によるenteropathyを疑い,同剤を休薬したところ,水様性下痢は速やかな改善を認めた.重症の下痢症の原因の1つとして記銘すべき疾患と思われた.