著者
伊藤 貞嘉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.23-28, 2007 (Released:2009-12-01)
参考文献数
3

二次性高血圧の頻度は高くないが,根治できるものがあるので見落とすことの無いようにすることが必要だ.早期に診断し,治療することが重要で,臓器障害が出現してからでは血圧を正常化させることが難しくなる.どんなに優れた降圧薬でも「no medicine」に優るものはない.ただ漫然と降圧薬を投与するのではなく,二次性高血圧の兆候を敏感に捉えてスクリーニングすることが重要である.

1 0 0 0 OA 7.補体

著者
堀内 孝彦 塚本 浩
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.2427-2433, 1998-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

補体の分野における最新の知見は,補体活性化経路として古典経路,第二経路のほかに新たにレクチン経路の存在が見いだされたことである.さらにこの経路の機能不全と慢性関節リウマチ,全身性エリテマトーデスとの関連の可能性が示唆されている.従来の補体検査は,膠原病の診断,活動性の判定に大きく寄与してきたが,これらの新しい知見を発展させることにより,さらに詳細な病態把握が可能となることが期待される.
著者
中川 義久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.1007-1012, 2021-05-10 (Released:2022-05-10)
参考文献数
10

冠動脈疾患に対して血行再建を行うことは,病態に即した本質的な治療方法である.この手段には,冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting:CABG)と経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)の2つがある.急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)の患者においては,PCIによる血行再建の有効性は確立している.安定狭心症患者への血行再建としては,3枝病変や糖尿病合併患者等のハイリスク症例ではCABGの方が優れていると考えられる.薬剤溶出性ステント(drug-eluting stent:DES)の導入により再狭窄が減少したことによりPCIの適応は拡大し,病変が左主幹部病変のみ,左主幹部病変+1枝病変であれば,PCIの成績はCABGに劣るものではないことも報告されている.International Study of Comparative Health Effectiveness with Medical and Invasive Approaches(ISCHEMIA)試験は,中等度から重度の虚血が証明された安定狭心症患者に対して,至適薬物治療の意義を示した.PCIまたはCABGの選択だけでなく,冠血行再建の前提として内科的治療の重要性を知る必要がある.
著者
松本 哲哉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.11, pp.2392-2401, 2021-11-10 (Released:2022-11-10)
参考文献数
8

新型コロナウイルスの感染拡大により医療の逼迫が繰り返されている.医療機関の受け入れが困難で自宅で死亡するような例を出さないためにも,自宅療養者の訪問診療やリモート診療を充実させ,病床をさらに確保するとともに,医療機関の連携による効率的な運用体制を築く必要がある.さらに抗体薬投与の拡大,臨時医療施設や入院待機ステーションの設置等も必要である.課題は山積しているが,個々の医療機関の努力だけで解決できるわけではなく,政府や自治体が率先して着実に対策を進めていく必要がある.
著者
矢崎 弘志 平野 浩 富田 薫 舟越 功 古山 準一 岡澤 林太郎 水尾 仁志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.11, pp.2295-2297, 2006-11-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

E型肝炎は, 本邦に於いて看過できない頻度で発生しており, 特に北海道では患者数も多く, 豚の内臓肉摂取によるfood-borne transmissionの可能性が強く示唆されている. 北見市にある我々の施設において, 2003年9月から2005年3月までの1年半の間に5例のE型肝炎症例を経験した. 全例発症の2~7週前に豚レバーないし豚ホルモンを摂取していた. 感染予防のために, 十分な加熱調理と調理器具や手指などの消毒・洗浄が重要である.
著者
植田 真一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.94-100, 2007 (Released:2009-12-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

降圧利尿薬は特にレニン―アンジオテンシン系抑制薬との併用による降圧作用の増強はあきらかで,厳格な降圧にはむしろ必須であり,多くの心血管イベントを抑制するというエビデンスがあり,副作用も適切な用量と併用薬により避けられる可能性が高い.現在安全性に関する臨床試験が進行中であるが,糖尿病合併高血圧患者などでも臨床試験を実施し,心血管リスクを減少させるための適切な使用を推進していく必要がある.
著者
伊藤 浩
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.9, pp.1902-1911, 2019-09-10 (Released:2020-09-10)
参考文献数
55
著者
脇野 修
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.5, pp.793-801, 2016-05-10 (Released:2017-05-10)
参考文献数
15

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)における高血圧のパターンは夜間高血圧,dippingの消失,仮面高血圧といった血圧日内変動の異常,血圧変動性の亢進が特徴であり,自由行動下血圧測定(ambulatory blood pressure monitoring:ABPM)による24時間血圧測定や家庭血圧測定が重要である.さらに,治療抵抗性であり,その原因として塩分貯留,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の亢進のみならず,交感神経活性の亢進,血管内皮機能障害,血管構造異常といった機序も関与する.
著者
迎 寛
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.9, pp.1808-1814, 2021-09-10 (Released:2022-09-10)
参考文献数
10
著者
松田 直樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.240-245, 2006-02-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

抗不整脈薬の分類としてVaughan Williams分類が広く用いられてきた. I群薬はNa+チャネルを遮断し心房・心室筋の主に伝道抑制に働く. II群薬はβ受容体を抑制する. III群薬はK+チャネルを遮断し, 活動電位幅延長から不応期延長に働く. IV群薬はCa2+チャネル遮断により自動能抑制, 房室伝道抑制に働く. しかしこの分類の限界が指摘され, 新たな分類としてSicilian Gambitが提唱されている.
著者
林 泰広 中野 由美子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.12, pp.3404-3412, 2012 (Released:2013-12-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

チューブ関連インシデント・アクシデントの頻度は全体の15~20%程度で,薬剤関連の約30%,療養上の世話(転倒・転落など)の約20%に次ぐ.末梢点滴ルートの自己抜去が約半数で,自然抜去,接続はずれ,切断・破損がこれに続く.アクシデント事例は多くはないが死亡事故の報告もある.予防には患者状態の適切な評価,身体抑制・鎮静を含めた対策が強調されているが,事故防止のために医師が関与すべき点について述べた.
著者
西崎 光弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.305-313, 2006-02-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
6
被引用文献数
1

Wide QRS頻拍は心室頻拍の頻度が高いため, 機序が上室性か心室性によるものか, 早急に鑑別診断することが治療上, 極めて重要である. 心室頻拍と変行伝導を伴った上室頻拍は (1) 房室解離 (2) QRS幅 (3) QRS電気軸 (4) 頻拍中のQRS波形 (5) 洞調律時心電図 (6) 基礎心疾患を指標として鑑別され, 特に, 頻拍中のQRS波形はV1, V6誘導の波形に注目する必要がある. 治療は両者の鑑別と基礎心疾患や心機能の程度によって決定される.
著者
山本 裕康
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.960-966, 2015-05-10 (Released:2016-05-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)では,エリスロポエチン欠乏を主因として貧血をしばしば合併する.また,鉄の代謝に影響を与える要因が多く,その利用効率を低下させることでヘモグロビン合成は阻害される.赤血球造血刺激因子(erythropoiesis stimulating agent:ESA)療法の進歩により,CKDに伴う貧血治療は大きく前進したが,目標Hb値の設定や鉄補充療法についてはまだ課題も多い.
著者
鈴木 祐介 二瓶 義人 鈴木 仁
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.2286-2292, 2021-10-10 (Released:2022-10-10)
参考文献数
17

IgA(immunoglobulin A)腎症は,世界で最も頻度の高い原発糸球体腎炎で,特に日本を含む東アジアで頻度が高い.未治療の場合,約4割が末期腎不全に至る予後不良の疾患であり,国内外を問わず本症に起因し若くして維持透析となる患者は多く,医療経済上も深刻な問題となっている.近年,糖鎖異常IgAと関連免疫複合体が本症の発症・進展のカギを握ることが証明され,その産生抑制と糸球体沈着後の炎症制御を目的とした治療薬の開発が進んでいる.なかでも,粘膜面で感作を受けた成熟IgA産生B細胞を標的とした薬剤や,糖鎖異常IgAの糸球体沈着に伴い活性化される補体古典経路及びレクチン経路を標的とした薬剤の国際治験が進行中で,その結果が期待されている.こういった複数の有望な根治治療薬の開発が進み,治療選択肢が増えれば病期・病態に応じた治療が可能となり,本症による透析移行の阻止は実現可能と考える.本稿では,これら薬剤に関する病態の背景や,現状を概説する.