著者
清水 弘行
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.11, pp.2862-2867, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
関 義信
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.7, pp.1370-1377, 2020-07-10 (Released:2021-07-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

後天性血友病Aは,出血傾向の既往歴や家族歴がないにもかかわらず,突然の皮下・筋肉内出血等で発症する自己免疫性後天性凝固第VIII因子欠乏症である.活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)の延長,第VIII因子凝固活性(factor VIII coagulant activity:FVIII:C)の低下ならびに第VIII因子インヒビターの存在で診断する.APTTクロスミキシング試験は鑑別に有用である.止血療法と免疫抑制療法で治療を行う.リハビリテーションも必要である.疾患の認識と速やかな専門医への紹介が予後の改善につながる.
著者
久米 真司 古家 大祐 前川 聡
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.2074-2081, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
15

加齢と共に多くの臓器で機能障害が出現する.腎臓も例外ではなく,多くの人で加齢と共に腎機能低下が生じる.加齢の要素単独で末期腎不全へ進行することは稀であるが,加齢に伴う腎機能障害は,生活の質の低下や医療介入の制約を生み出す.現在わが国では,栄養状態の改善ならびに医療技術の発展により寿命が大幅に延長しているが,一方で,このような健康寿命を如何に保証するかという新たな課題に直面している.この課題に対する数多くの研究成果として,加齢に伴う腎機能障害に関わる分子機構が徐々に明らかにされつつある.高血圧や糖尿病などの臨床的要素に加え,近年,angiotensin IIや酸化ストレス,Klotho,Sirt1,オートファジーといった腎局所の分子機構が腎老化と関連するという興味深い知見が得られている.本稿では,これら老化関連分子と腎老化との関わり,その治療標的としての可能性や問題点を概説させていただく.

1 0 0 0 OA 9.脂質異常症

著者
荒井 秀典
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.890-894, 2013 (Released:2014-04-10)
参考文献数
9
被引用文献数
4 5

糖尿病は動脈硬化性疾患の重要な危険因子であり,狭心症,心筋梗塞,脳梗塞,末梢動脈疾患など大血管障害の予防は,患者のQOL(quality of life)維持のためきわめて重要である.本稿では,糖尿病における脂質代謝異常の特徴を理解するとともに,その治療方針について述べる.
著者
大場 康寛
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.496-501, 1993-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

国内的,国際的医学・医療情報の円滑な認識交流を図るために,共通性と互換性のある方法論と換算,翻訳不要の表現が望まれる.この中にあって国内外共通の普遍性のある計量単位の制定,導入,活用,普及も大きな基本的な課題となる.つまり測定単位の統一化を推進する必要がある.ここでは臨床検査領域における国際単位系SI単位への移行に関して概説する.
著者
山田 典一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.9, pp.1821-1827, 2020-09-10 (Released:2021-09-10)
参考文献数
16
著者
塩田 智美 高橋 和久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.1618-1623, 2012 (Released:2013-06-10)
参考文献数
10

COPDによる慢性呼吸不全への標準的治療法である在宅酸素療法は生存率の改善に貢献する.高二酸化炭素血症とその換気障害に伴う臨床症状を有する際は,補助換気療法である非侵襲的陽圧呼吸換気療法(NPPV)の適応である.NPPVは,急性期において気管内挿管への移行や感染症の発生率を有意に低下させ,慢性期において肺胞低換気を改善し,呼吸筋負荷を軽減する.HOT,NPPVの導入には,医師の適切な適応基準の判断が重要である.
著者
平野 勉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.5, pp.1029-1036, 2017-05-10 (Released:2018-05-10)
参考文献数
22

糖尿病治療の目標は,合併症の発症・進展を阻止し,健康な人と変わらない日常生活の質の維持と寿命の確保である.しかし,糖尿病治療薬(血糖低下薬)の中には心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)による死亡を増やしてしまうものもある.その中にあって,glucagon-like peptide(GLP)-1受容体作動薬とsodium glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬には,CVDイベントや死亡を有意に低下させるものが報告され,大きな話題となっている.高血糖は血管内皮の傷害など,動脈硬化のプロセスを促進させるため,基本的に血糖低下薬は動脈硬化と,それに基づくCVDを抑制する.しかし,重症低血糖,体重の増加を伴うとむしろCVDを増加させてしまう.メトフォルミンや最近の糖尿病治療薬はこれらの懸念が少ない薬物である.高血圧や脂質異常症などに対する包括的なリスク管理がCVD予防には効果的であるが,糖尿病治療薬の特性を考慮して上手に使うこともさらなるCVD予防につながる.
著者
澁川 紀代子 成田 浩二 下岡 良典 森田 一豊
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.11, pp.2830-2831, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
5

Streptobacillus moniliformis感染症は皮膚発疹と関節炎を特徴とする急性熱性疾患で,通常はネズミの咬傷によって人に感染し鼠咬症と呼ばれる.症例は糖尿病を基礎疾患にもつ87歳男性.左肩関節痛と腰痛で発症し,両足に数mmの線状の傷を多数認めた.入院時の血液培養でグラム陰性桿菌を検出し,16S rRNA遺伝子特異的PCR法にてStreptobacillus moniliformisと同定され鼠咬症と診断した.PAPM/BP,MINOを投与し,AMPC内服継続によりCRPは陰性化した.

1 0 0 0 OA 9.補体

著者
粕川 禮司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.2591-2594, 2002-09-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
著者
安斉 俊久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.213-220, 2022-02-10 (Released:2023-02-10)
参考文献数
18

左室駆出率(left ventricular ejection fraction:LVEF)が50%以上,ナトリウム利尿ペプチド値の上昇を認め,心エコー等で拡張不全が示唆される心不全は,LVEFの保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)と定義される.高齢女性に多く,高血圧,心房細動,糖尿病等の併存症を高率に認める.神経体液性因子抑制薬による予後改善効果は示されておらず,うっ血に対する利尿薬と併存症に対する治療のみが推奨されてきたが,最近,SGLT2(sodium glucose cotransporter 2)阻害薬の有効性が報告された.
著者
清水 亨
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.809-821, 1960-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

続発性腦室出血の臨床症状と予後は一様でない.これを知るため著者は過去10年間に当教室で経驗した続発性腦室出血の47剖檢例につき臨床病理学的研究を行ない,出血部位と腦室穿破の機序,臨床症状と経過の二つの観点から病型の分類を試みた.腦底部動脈瘤破裂に起因するものは基底核の前方または前下側方の白質,若年性腦出血,血液疾患,酒精中毒に起因するものは大腦半球後半部の白質を傷害し,運動麻痺その他巣症状は不明瞭で原発性腦室出血に類似する.高血圧症に起因するものは基底核,内包に出血巣を形成し,続発性腦室出血の定型的病像をしめすが,腦室擴張高度な症例は兩側性の症状をしめし,予後も惡い.腦室擴張を認めない症例は巣症状が明瞭で腦実質内出血に類似する.すなわち,本症の病像は基礎疾患による腦傷害部位の相違と腦室擴張の程度すなわち腦室内への血液流入量により,かなりの相違を生ずると思われる.
著者
大久保 裕直
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.78-86, 2014-01-10 (Released:2015-01-10)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

肝細胞癌の局所治療は,低侵襲性,凝固域の広さからラジオ波熱凝固療法(RFA)が中心である.第2世代超音波造影剤,Real-time virtual sonographyの登場でRFA時の治療支援が容易になり,客観性のある,確実な治療が行えるようになった.また,エコー下の視認性を良好にするため,人工胸水・腹水を注入したり,また各種合併症の回避法も確立され,RFAの安全性は向上してきた.
著者
芦谷 啓吾 山岡 稔 小林 威仁 今枝 博之 中元 秀友 宮川 義隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.2, pp.269-275, 2018-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
16

33歳,男性.1週間持続する発熱と咽頭痛を主訴に地域の病院を受診した.細菌性咽頭炎の診断で抗生物質を投与されたが改善せず,単純CT検査で肝脾腫,脾臓の出血性梗塞を認め,当院に転院した.Epstein-Barr virus (EBV)関連抗体であるvirus capsid antigen(VCA)-IgMが陽性,EBV DNA定量が4.7×103 copies/106 cellsと上昇していることから,伝染性単核球症に合併した脾梗塞と診断した.伝染性単核球症の発症中に,ループスアンチコアグラントが一過性に陽性となり,脾梗塞発症への関与が疑われた.
著者
石原 賢一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.12, pp.2490-2497, 2015-12-10 (Released:2016-12-10)
被引用文献数
3 1

戦後,1949年の学制改革で新制大学が発足して以降,大学入試において常に医学部医学科(以下,「医学部」)は最難関であった.しかし,入試の中身をみると,教科試験中心だった入試から面接が重視されるようになり,共通一次試験導入で教科数が絞り込まれた個別(2次)試験は,近年は教科数が増加し,重視されるようになった.さらに,「地域枠」や「特定診療科枠」といった受験生の出身地を限定したり,入学時点で将来の進路の決定をせまったりする入試方式も生まれている.医学部入試の変遷を辿るとともに,今後予定されている大学入試改革で医学部入試が受ける影響についても言及したい.
著者
浅見 麻紀 松永 和人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.6, pp.1134-1140, 2019-06-10 (Released:2020-06-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

喘息の病態は多様であり,好酸球,好中球等の炎症細胞や気道構成細胞及び種々の液性因子が関与する気道の慢性炎症が本態である.呼気一酸化窒素(fractional exhaled nitric oxide:FeNO),喀痰好酸球比率は気道の好酸球性炎症を反映し,喘息の診断や管理に応用することができる.末梢血好酸球数が高値の場合は増悪のリスクが高い.検査の簡便さ及び非侵襲性から,気道炎症のモニタリングとしては,呼気NO濃度測定が今後ますます用いられることが予想される.
著者
檜澤 伸之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.1365-1369, 2013-06-10 (Released:2014-06-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

最近のGWASはIL33,TSLPやORMDL3などのストレスや傷害に対する気道の一次防御機構にかかわる遺伝子と喘息発症との関連を示唆している.一方,喘息に影響を与える多くの遺伝子は総IgE値とは関連しておらず,喘息の起源としてのIgE反応性の亢進が疑問視されている.複数の遺伝子が喘息とCOPDとに共通した因子として報告されている.β2刺激薬や吸入ステロイドの反応性も個人差が大きく遺伝因子の関与が存在する.