- 著者
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赤水 尚史
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.108, no.11, pp.2361-2368, 2019-11-10 (Released:2020-11-10)
- 参考文献数
- 9
甲状腺クリーゼは,甲状腺中毒症に種々のストレスが加わって多臓器不全や生体恒常性破綻を来たし,致死的となった状態と定義される.致死率は10%以上に達する.我が国で年間約250例が発症している.早期の診断と治療を要する救急疾患であり,診断基準と治療アルゴリズムを含む詳細な診療ガイドラインが近年我が国で作成された.そのなかには,重症度判定の指針,各臨床症状に対する具体的治療,Basedow病に対する従来の治療法の修正ならびに集学的治療等が盛り込まれている.この診療ガイドラインによって,甲状腺クリーゼの予後改善が期待されている.さらに,同ガイドラインの評価と改訂を目指し,種々のクリニカルクエスチョンを解決するために,現在,多施設前向きレジストリー研究が行われている.