出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.M26, no.164, pp.1080-1092, 1893-10-30 (Released:2015-06-17)
著者
伊藤 昭 崎村 雄一 森本 正一 網中 眞由美 堀 賢 平松 啓一
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.352-357, 2008-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
11

インフルエンザから地球規模で瞬時に拡大するような未知の感染症に至るまで, 感染症に対する病院での万全を期した備えの必要性はますます高くなっている. 特に外来領域は, 病院に対して外部からの感染因子が持ち込まれる入口であることから, 感染症疑い患者に対する迅速なトリアージによる振り分け, 感染制御に配慮した環境作りが求められる. ここでは, 順天堂医院の医師, 看護師を対象にアンケート調査を行い, 外来領域の使用実態, 建築空間の感じ方, 感染制御に対する考え方, 環境・設備機能の改善点を抽出した. 診察室や処置室において感染対策上で問題を感じていること, 外来初診患者の適切な振り分けによる待ち時間の短縮を図ること, 感染症患者専用の診察待合や隔離スペースが必要との回答が得られた. また, 国内・海外の従来事例の比較検討においては, ある程度の隔離スペースを保持するものの, 動線の区分や感染症発生時期以外に有効に運用されているかどうかなどについて不明瞭なケースも多いことが分かった. このような結果から, 感染制御に配慮した外来領域の計画や建設, 環境整備が必要と考えて, 感染制御に最適なトリアージモデルプランを提案する. 通常時から感染症発生時, さらに大流行時といったフェーズ毎にフレキシブルに運用可能な診察ユニットを配置し, 清潔・汚染区域や人・物の動線分離を明確に設定, 感染制御に適した建築・設備面の仕様を示す. 本トリアージプランを実践することは, 機能性, フレキシビリティー, 省スペースといったデザイン上のコンセプトをかたちにするのみでなく, 病院建築において常時, 効率的な運用を図るという観点からも重要であると考えられる.
著者
竹内 久彌
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.184-194, 1999-09-13 (Released:2014-11-18)
参考文献数
30

1 0 0 0 OA 男子手淫論

著者
T S
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.T3, no.494, pp.139-148, 1914-02-25 (Released:2015-06-13)
著者
内藤 俊夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.397-402, 2012

感冒は患者が外来を受診する理由で最も多く, その診療に要する医療資源は莫大な量である. インフルエンザは世界的な大流行を繰り返し, 多くの患者の命を奪っている. インフルエンザに対してはワクチンを用いた適切な予防が重要であるが, 本邦では必ずしも徹底されていない. 感冒・インフルエンザ患者に対する抗菌薬の乱用は, 耐性菌・副作用・医療費において大変な問題である. また, 世界規模でオセルタミビル (タミフル<sup>®</sup>) 耐性株が出現しているほか, オセルタミビルの治療効果を疑問視する発表も相次いでいる.これらのことから, 感冒・インフルエンザの治療における漢方薬の使用が注目されている. 西洋薬と違い漢方薬では, 急性期のみならず亜急性期・慢性期の症状改善にも有効であることが特徴である. 近年, 漢方薬を用いた臨床試験の報告も増えている. われわれはインフルエンザ患者に対する麻黄湯のランダム化比較試験を行ったが, これによると麻黄湯ではオセルタミビルなどの抗ウイルス薬と同等の効果が得られた. また, 漢方薬の中にはサイトカインの調節に役立つものがあり, インフルエンザ肺炎やインフルエンザ脳症の治療への活用が期待される.
著者
福島 文典
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.363-372, 1987-09-10 (Released:2014-11-20)
参考文献数
22

回盲部切除後に発生する種々の機能障害は, いまだ病態の解明が不十分であるが, 近年回盲部切除後の腸管運動の変化, さらに下痢の発生に胆汁酸の作用が関与するといわれている. この病態を解明する目的で, 回盲部切除犬を用いてforce transducer・X線撮影により腸管運動の変化を観察し, 同時に糞便中・血清中の胆汁酸を測定した. 回盲部切除により大腸運動は亢進し, 腸管内容の通過時間の短縮を認めた. 一方, 大腸内の総胆汁酸・DCA・CDCAは増加し, これが大腸粘膜に作用し大腸運動亢進の一因となると思われた. 回盲部切除による括約機能の廃絶と胆汁酸の大腸内増加は, 大腸運動の亢進, ひいては下痢発生と密接に関係していることが示唆された.
著者
中島 直也 福田 友紀子 梁 広石 饗庭 三代治 津田 裕士
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.302-305, 2007-06-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
6

リウマチ因子陰性の多発関節痛を訴える高齢者を診療する際に, RS3PE症候群Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema Syndromeは鑑別すべき疾患の1つである. 当該症候群と診断した4例について, 診断・治療における留意点を指摘した. 何れの症例も高齢者 (76-85歳) であり, 突然の発症, 対称性多発関節炎, 両側手背足背のpitting edema, およびリウマチ因子陰性が共通した所見であった. プレドニゾロンの投与が著効を示したが, その減量は注意深く行う必要性があると判断された.
著者
荒井 稔
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.17-25, 1998-06-10 (Released:2014-11-18)
参考文献数
2

現在の就業環境としては, 高度情報化・対人関係の希薄さ・仕事の繁忙などの要因が複合して高いストレス状況にあると考えられる. Total Health Promotion Plan (THP) によって就業者の心身の健康が維持・増進されるようになっているが, 心の健康を損なう者も全就業者のおよそ1%存在し, 適正な障害発生の予防および障害への対処が必要である. 小論では, 職場でしばしばみられる精神障害の事例を呈示し, 事例の対応について, 上長・勤労担当者・産業医・産業精神科医・看護職・心理職, および中央労働災害防止協会が養成している心理相談担当者などの役割・連携について検討を加えた.
著者
大森 大二郎
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.200-210, 2012-06-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
38

最古の補欠分子族と考えられているバクテリアから植物, 動物までほとんどすべての生物で多様な機能を担っている鉄硫黄クラスターをもつタンパク質, 特に7Fe-フェレドキシンと2Fe-フェレドキシンの構造に関する研究を中心に, 本学での40年間の研究をまとめた.
著者
浪久 利彦 市川 尚一 西福 幸二
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.275-283, 1980-09-10 (Released:2014-11-21)
参考文献数
13
著者
島内 憲夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.410-420, 2007-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
39
被引用文献数
2

本研究の目的は, ヘルスプロモーションの視点から主観的健康観 (健康の定義) の年齢差. 性差・年次差を明らかにし, その類型化を試みることにある. ヘルスプロモーションとは, 「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし改善することができるようにするプロセスである. 」この健康の決定要因は, 遺伝, ヘルスサービス, ライフスタイル, 環境要因が考えられるが, ヘルスプロモーションの主眼は, ダイエット, 定期的な運動や禁煙そして家族や友人などとの良い人間関係, 音楽や絵画などの趣味活動, さらには自然とのふれあいなどといったような幅広い健康的な生活習慣形成にある. 人々の健康的な生活習慣形成は, 科学的な証拠EvidenceBased Medicine (EBM) に基づくと共に, ライフコースの中で生じる人々の様々な日常的諸経験や物語Narrative Based Medicine (NBM) にも基づいてつくられている. 健康社会学では, この健康的な生活習慣の形成過程を「健康の社会化Health Socialization」と呼んでいる. 健康の社会化とは, 「人々が当該社会における健康知識, 健康態度そして健康行動の様式を内面化することによって, 真の自由と幸せを獲得する過程である. 」 本研究は, その過程の中でも「健康知識」と「健康行動の様式」を媒介する「健康態度」に注目し, その中心を成す「人々の主観的健康観」の類型化とその性差・年齢差・年次差を明らかにしようとした. なぜなら, 生活習慣病が蔓延している現代社会において, 人々の幅広い健康生活習慣を支援するシステムを構築するためには, まず人々がNBMの視点から形成している主観的健康観も明らかにしなければならないからである. 本研究によって得られた人々の主観的健康観は次の6つに類型化された. (1) 「病気がない, 身体が丈夫, 快食・快眠・快便」といった身体的な健康観 (2) 「幸せ, 家庭円満, 生きがいの条件」といった精神的な健康観 (3) 「仕事ができること, 人間関係がよい」といった社会的な健康観 (4) 「心身ともに健やかなこと」といった身体的・精神的な健康観 (5) 「心も身体も人間関係もうまくいっていること」といった身体的・精神的・社会的な健康観 (6) 「人を愛することができること, 何事にも前向きに生きられること」といったスピリチュアル (霊的・魂的) な健康観 そして主観的健康観は, 年齢差, 性差, 年次差があること, また加齢や時代の移り変わりと共に身体的健康観から精神的, 社会的, スピリチュアル (霊的・魂的) な健康観に拡大していることが明らかになった.
著者
AYUMI HORIKOSHI MASARU HORIKOSHI
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.192-199, 2008-06-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
29
被引用文献数
1

目的: ハーディネスは, ストレスが精神的健康に及ぼす影響の緩衝要因として海外で数多く研究されているが, 日本での研究は少なく, 日本語版の尺度の信頼性と妥当性は検証が不十分である. 本研究では, 中高年と大学生を対象に, 日本において最も有用と考えられる多田・濱野1) の15項目版ハーディネス尺度の構造, および精神的健康との関連を検討する. 対象: 関東圏に住む中高年向け会員制雑誌の50歳以上の購読者とその知人の合計750名と, 関東圏の大学に在籍する大学生164名であった. 方法: 多田・濱野の15項目版ハーディネス尺度により調査対象者のハーディネス特性を, 日本語版GHQ短縮版 (GHQ12) 2) により精神的健康を測定した. 結果: 因子分析の結果, 全ての世代および性別で, おおむね同様の3因子構造が確認された. 重回帰分析の結果, GHQ12に対してコントロールとコミットメントは負の影響を, チャレンジは正の影響を与えていた. 考察: 本調査で使用した15項目版ハーディネス尺度の信頼性と妥当性が確認された. コントロールとコミットメントは精神的健康を高め, チャレンジは阻害するという結果が示された.
著者
松村 文照
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.385-396, 1977-09-10 (Released:2014-11-22)
参考文献数
39

強迫現象に関する先人の業積をたどってみるとき, 多くの研究が個人の心理ないし身近な対人関係だけを論拠としていることがわかる. 人間をとりかこむ社会文化的環境との関係を論じたものは多くはない. また, 一般人をいわゆる正常者として評価し, それにくらべて異常者としての強迫症患者をこれに対置しているものが多い. そのため, 強迫症患者の治療目標は, かれらを一般人と同一化することと考えられがちである. 一般人を無垢の白地とみなし, そこに強迫症患者の影を黒く映しだしているといえる. ところが, 実は一般人自体がすでに必ずしも自地ではなく, 灰色に汚れた部分をもっている. そのような灰色に病んだ地に患者の姿を映し, 一般人と患者の双方の“やま”の相互関係をみつめる試みのなかで, 筆者は強迫現象と社会・文化的環境との関係を考えようとした. 社会に生きる一般人は, 日常生活の規範のかなりの部分を常識に仰いでいる. 日常の生活にとって, 常識は水や空気のごとく不可欠な心の糧である. 一方, 強迫症患者を詳しく観察すると, 独特な常識不適応の様相のみられることが少なくない. そこで常識の特性から出発して, さらに強迫現象と常識との関係についての考察を以下に進めてみたい.
著者
池田 黎太郎
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.104-113, 2005-06-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
18

医学校の標章としておなじみの「杖に絡みつく蛇」のデザインは何に由来し, 何を意味するのだろうか?この疑問を解く鍵になると思われるのが, 「サモスのヘルメース」と呼ばれる浮き彫りの蛇の像である. このヘルメースと呼ばれる巨大な蛇は岩の上に厳かに鎮座して人々の崇拝を受け, その足下に8の字形の頭部を持つ杖を置いている. 古代ギリシアの神々はふつう人間の姿をしているが, 神である徴しとしてそれぞれの神格を表す付属物と共に描かれる. ヘルメースの場合は神々の伝令使としての職分を示す杖を持ち旅人の服装をして, それらには天空を駈け巡るための翼が附けられている. 本来この伝令使の杖には蛇が居ないはずであるが医学校の標章には2匹の蛇が絡みついている. じつはここにはヘルメースの別の職分である「死者の霊魂の導師」を表すための表象が混同されているのである. 強い毒と強靱な生命力を持つ蛇は, 地面の穴から地下へ自由に行き来して冥界の事情に通じ, 生死の秘密を知る存在として古来畏怖と崇敬の対象となっていた. だから死者を蘇らせる能力がある神として崇拝されていたアスクレーピオスは神殿に蛇を住まわせ, 蛇を侍らせた玉座に座り, 巨大な蛇を巻き付かせた杖にもたれた姿で描かれている. むしろ神格化した蛇そのものがアスクレーピオスと呼ばれ崇拝されていると考える方が自然である. じっさい蛇とアスクレーピオスが同時に病人の治療にあたっている情景を描く奉納の浮き彫りがあるほどである. だから医学校の標章は蛇を軸にしてアスクレーピオスとヘルメースのイメージが混同され重ね合わされたものだろうと説明することができる.
著者
川久保 嘉昭 竹井 謙之 泉 光輔 山科 俊平 今 一義 榎本 信行 鈴木 聡子 池嶋 健一 大久保 裕直 佐藤 信紘
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.73-81, 2007-03-31
参考文献数
27

目的: 肝星細胞は肝障害が継続すると筋線維芽細胞様細胞に形質転換し,コラーゲンをはじめ,細胞外マトリクスを過剰産生し,肝線維化機序の中心的な役割を果たす.このため,活性化した星細胞に細胞死を誘導することができれば,肝線維化抑制につながると期待される.グリオトキシンは活性化した星細胞にアポトーシスを引き起こすことが知られているが,その分子機序は明らかではない.一方,inverse genomicsの手法は,ランダムな切断配列をもつリボザイムライブラリーを導入し,細胞の表現型・性質を変化させる刺激を与えた際,変化が起こらなかった細胞からリボザイムを単離し,その塩基配列を知ることで表現型変化に関わる機能遺伝子を同定することが可能である.われわれはこの手法を用いてグリオトキシンによる星細胞のアポトーシスに関わる遺伝子の探索を行った.対象・方法: 株化星細胞であるHSC-T6にリボザイムライブラリーを搭載したプラスミドをトランスフェクションし,48時間後にグリオトキシン(1.5μM)を培養液に添加して24時間培養後,生存細胞からプラスミドを回収した.このグリオトキシンによるセレクションを3回繰り返した後にリボザイムを単離してシークエンス解析を行い,その配列情報をもとにアポトーシス関連遺伝子の検索をデータベース上にて行った.結果: われわれは20の星細胞アポトーシスに関わる候補遺伝子の配列を得た.その中の1配列は,カスパーゼ7に相補性を有していた.同配列を持つリボザイムをHSC-T6に導入したところ細胞はグリオトキシンによるアポトーシスの誘導に抵抗性を示した.結論: 以上の結果によりグリオトキシンによるアポトーシスの誘導にはカスパーゼ7が関与していることが示唆された.またinverse genomicsによるアプローチは,肝星細胞のアポトーシスに関わる機能遺伝子の探索に有用であることが示唆された.
著者
石田 國廣
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.T10, no.562, pp.58-60, 1921-07-25 (Released:2015-06-12)
参考文献数
3
著者
形井 秀一 北川 龍一
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.210-219, 1992-08-20 (Released:2014-11-18)
参考文献数
36

著者らは慢性前立腺炎 (非細菌性前立腺炎およびProstatodynia) 患者100例に対し, 前立腺局所およびその周囲の循環改善を目的として, 低周波鍼通電療法 (EAT) を行った. 検査は尿検・前立腺直腸診・超音波診断・東洋医学的体表触診・心理テスト・自覚症状の自己採点等を行った. EATによるEPS中のWBC数, および前立腺直腸診時の圧痛の改善率はそれぞれ64.7%・82.1%であり, またEPS中のWBC数の陽性群は, 陰性群に比べて有意に (P<0.05) 有効率が低かったが, 70.6%の有効率であり, EATが慢性前立腺炎の炎症の改善に一定程度影響していることが示唆された. またSTDの既往の有無で有効率の差はなく, EATは器質的病変のある可能性を持つ病態にも一定の効果があることが示唆された. 自覚症状の出現率および改善率は部位間に差はなかった. さらにEATは, 慢性前立腺炎患者のうち, 炎症所見や消化器症状・神経症・うつ傾向が強くない症例に対して有効率が高かった. 自覚症状と他覚所見の両者に対する総合評価では, EATの有効率は79.3%であった. 以上のことより, EATは薬物が無効であったり, 通常の泌尿器科的治療法では効果の現われにくい慢性前立腺炎の治療に有用であると考えられる.