著者
堺堀 和典
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.485-494, 1994-09-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
27

脳出血48例, 脳梗塞65例, 虚血性心疾患40例, 閉塞性動脈硬化症10例また動脈硬化の発生, 進展と関連の深い糖尿病患者144例の大動脈脈波伝導速度 (PWV) を測定して健常者51例と比較検討した.いずれの群においても, PWVは年齢とともに直線的に増加したが, その増加程度は, 大きい順に, 閉塞性動脈硬化症, 糖尿病, 脳梗塞, 虚血性心疾患, 脳出血, 対照群であった.PWVからみると, 閉塞性動脈硬化症, 糖尿病, 脳梗塞では大動脈硬化の進展が特に速やかである.ただし, 疾患例と正常例のPWVは重なりが大きく, PWVを疾患の診断に直接役立てることはできない.糖尿病患者群においては, PWVの増加分と糖尿病罹病期間との間に正の相関がみられ, 合併症のある群ではPWVの増大が特に著明であった.これらの知見から, 糖尿病の細小血管障害と動脈硬化に基づく大血管障害との間の関連性が示唆される.なお, 糖尿病性腎症による血液透析患者群のPWVは, 非糖尿病性疾患による血液透析患者のそれと比べてより大であった.
著者
五十嵐 博和
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.99-150, 1968

群馬県一農村における第1次の腰痛アンケート調査によりみいだした腰痛者約600名より腰痛現症・既往の者男女計274名を抽出して, 腰痛による労働日数の損失及び腰痛時における支障の程度を観察し, 腰部X線所見と対比した.これらの結果より腰痛の程度及びそのdisabilityを判定評価した.<BR>1) 腰痛の持続日数は男女とも約5分の4は1週間以内である.1ヵ月以上常時と称するものは男女の約3分の1にみられる.<BR>2) 年間の腰痛日数は通算1週間以内は男女23.0%24.0%で, 4ヵ月以上年間におよぶもの男45.2%, 女35.3%で男に多い.<BR>3) 腰痛に関連した日常生活における支障の程度は年令とともに高度となる傾向がある.腰痛者の60才以上は男の歩行, 女の歩行と草むしりに支障の程度がより高い.一般に疹痛の大なるものほど日常生活におけるdisabjlityは高度である.<BR>4) 腰痛者の約60%は医療をうけていない.そのうち約半数は自宅療法をおこなっているが, 残りの半数は全然放置している.<BR>5) 受診者27A名のX線所見は変形性関節症男55.8%, 女3&2%でもっとも多く, 次いで骨粗癒症男19.2%女265%である.椎間板に異常のあるもの男6.7%, 女7.6%, またX線所見のないものは男17.3%, 女29.4%である.<BR>6) 労働年数が多くなるに従って変形性関節症が高度となるが, 年令因子を除外出来ない.<BR>7) 高令者ほど骨に所見を有するものが多い.男女とも若年者に骨に所見がなくともdjsabilityの高度なものがある.変形性関節症と骨粗霧症の病変度とdisabilityは必ずしも平行しない, 比較的若年に骨粗霧症の所見を有するものはdisabilityは高度になる傾向にある.女の50代は骨の所見の有無にかかわらずdisabiIityは比較的高度である.<BR>8) 一般に骨に所見のある場合の方が障害を訴えるものが多い傾向にある.但し高度の障害のあるものが必ずしも骨の所見の有無とは関係がない.<BR>以上のことより本調査地区における農村住民の腰痛症は日常生活の障害の大きいものに, むしろ骨所見がみられず, 労働過重によっておこるいわゆる腰痛症が多いように考えられ, また労働過重によって骨の老化を早めているようにも推測される.また, 老人へと職域の拡大に伴って, 生理的現象に労働が拍車をかけることにより病変が進行する変形性関節症及び骨粗霧症が多いこと, さらに, 女の50代に腰痛愁訴が少なくない.これらのことより今後さらに労働条件, 食生活心理学上及び社会的機構からも, その要因を追究分析して, これを排除し, 農村の近代化とあいまって農村衛生の保全に尽すべきであろう.<BR>群馬県一農村で昭和39年5月の腰痛調査で発見した腰痛現症者, 既往者約600名より男91名女162名計253名を抽出して, 轡部, 大腿部後面, 足背部のいつれも両側の皮膚温を測定し, また右足関節部までを4℃の水に30秒浸し, 後にその皮膚温が1℃上昇に要する時間を計測して, 腰痛の有無, 冷えの有無との関連において, 以下の2.3の知見をえた.<BR>1 轡部, 大腿部後面, 足背部のいつれも両側皮膚温は50才頃より男女とも年令とともに上昇する傾向にある.<BR>2寒冷負荷に対する回復時間は男女とも年令とともに延長する傾向にある, 男がより著明である.<BR>3腰痛現症者は圧痛点, 筋硬結, 脊椎打痛, ラセーグ等の他覚症状の多いものほど男女とも回復時間は延長する傾向にある.<BR>4自覚的冷えを訴えるものは女の比較的若い年令層に多い.<BR>5 男女とも冷えを訴える群は然らざる群よりも腰痛者が多い.<BR>6 男女とも30才から59才までの冷えを訴える群では, 腰痛者の皮膚温は両側青部で腰痛のないものより0.1℃から0。4℃低下している。<BR>以上のことより群馬県西部における一農村住民の腰痛症には寒冷曝露とは無関係ではなく, 男女とも中年層に寒冷によって腰痛が誘発される傾向が窺われた.また女の50・40代に自覚的冷えの訴えが多い事実より今後女の冷え症及び婦人科的原因による腰痛を疫学的に解明する必要がある.
著者
田所 作太郎 栗原 嘉雄 栗原 憲雄 小川 治克 宮下 景司
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.250-265, 1962 (Released:2009-11-11)
参考文献数
38
被引用文献数
2 2

To define the standard for the normal physiological status of rats, about 300 Wistar strain rats, bred in our department, were examined for body weight gain with age in day, and weight of 11 organs-hypophysis, thyroid, adrenal, thymus, testis, ovary, uterus, heart, liver, spleen and kidney-were obtained for each body weight group. And the results were compared with Donaldson's report.As to body weight gain, our results approximately agreed with Donaldson's, but seemed rather lower as compared with recent growth curve for rats.As to correlation of body weight to weight of thymus, testis and ovary, our results tended to differ remarkably high in the latter. Weight of hypophysis and adrenal were evidently higher in females than in males, whereas those of thymus and kidney were conversely higher in male. In adrenal weight, there were remarkable differences between right and left side, the left exceeding the right without regard to sex.Female rats were examined for vagina opening and the first estrus, and from these results and organ weight increase, the puberty for sex was estimated to range 4575 days of age.Further, some discussions were made on whether it is reasonable to express the weight of the organ in ratio to body weight.
著者
中嶋 清雄 黒梅 恭芳 竹内 政夫
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.161-173, 1976-03-30 (Released:2009-11-11)
参考文献数
29

Six cases of abdominal epilepsy were studied from viewpoint of food allergy and the following results were obtained.1. Through elimination and trial ingestion, food allergens were confirmed in all six cases. They were soybean in 6, milk in 2 and egg in 1.2. Irregular slow dysrhythmia was evidently decreased five days to a month after eliminating food allergens.3. Diffuse irregular slow dysrhythmia with seizure discharge was markedly increased four to twenty-four hours after giving food allergens.4. Threshold of activating agents for the EEG was obviously reduced after administering food allergens. In this way close relationship between abdominal epilepsy and food allergy was demonstrated.
著者
小此木 丘
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.261-272, 1965-07-01 (Released:2009-10-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1
著者
日下部 康明 山岡 正規 根岸 達夫
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.105-113, 1979

子殺しの3症例について報告した。第1例は26歳の主婦で, 子供の食欲のなさに対する過度の心配, 母親としての不適格感を抱いて, 子供を殺害し, 自殺を図ったが失敗した.精神医学的診断は反応性うつ病であった.第2例は32歳の男性で, 入院歴のある分裂病者であり, 再婚話と別れた妻への未練との葛藤から離婚した妻との間にできた4歳の男児を殺害し焼身自殺を図った.分裂病の再発と診断された.第3例は39歳の主婦で, 夫の不貞, 暴力, 離婚の申し出に反応して子供3人と排気ガスによる自殺を図ったが, 第3子のみ死に至った.ヒステリー人格と診断された.これら3例について, その精神異常と子殺しとの関連, その精神力動について, 若干の検討を行った.
著者
設楽 利二
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.99-105, 1995

日本骨髄バンクが設立され, 非血縁者間骨髄移植による, 白血病や再生不良性貧血治療への貢献が期待されている.現在まで小児および成人併せ200例の移植が行われている.平成6年9月末までのドナー登録数は, 55,700人となり, 患者登録者数は2,329人となっている.HLA適合状況では60%の適合率であり5人以上のドナーがいる例は24%にのぼる反面, 適合するドナーのない例も40%とまだ問題は大きい.非血縁者間骨髄移植ではGVHDの頻度が高いため, 移植の成績を上げるには適合度の高いドナーを選択する必要があり, さらに多数のドナー登録者を必要とするものと思われる.本県でも平成6年7月, 群馬県骨髄バンク推進連絡協議会 (略称群馬骨髄バンク)が発足し, また平成6年10月, 骨髄バンクを推進するためのシンポジウムが開催された.このような一般市民に対する啓発活動を通してこの運動に弾みがつくものと期待されている.
著者
梅山 茂
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.475-484, 1994-09-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

最近16年間に経験した心臓粘液腫15例について, その臨床像と摘出した腫瘍の肉眼的, 免疫組織学的所見との関係を検討した.いずれの症例も, 心断層エコー検査で診断され, 心血管造影で確認, 腫瘍を摘出したものであり, 発生部位は, 左房14例, 左室1例であった.自覚症状としては動悸, 息切れなどの心機能障害を思わせる症状が多く, 過半数がNew York Heart Association (NYHA) の心機能分類でII~III度であった.腫瘍の大きさと心機能障害との問には有意な相関はなかった.塞栓症の合併は4例にみられ, その発生には粘液腫の大きさよりもその表面の形態が関連し, 塞栓症合併例では全例乳頭状あるいは分葉状であった.特記すべきは自己免疫疾患様の症候が高率に認められたことであり, 14例, 93%に認められた.腫瘍の免疫組織化学的検査では, 80%の高率にIL-6の発現が認められた.IL-6について従来の知見を勘案すると, 自己免疫疾患様の症候の出現に, IL-6が重要な役割を演じている可能性が考えられた.その他の間質系マーカーであるdesmin, vimentin, factor VIII, 神経内分泌のマーカーS-100, および上皮マーカーcytokeratin, non squamous epithelium (NSE) が陽性であり, これらの所見からは粘液腫が多分化能を有する未分化な間葉系細胞から発生する可能性も考えられた.
著者
箕輪 真一 平木 陽一 滝川 弘志
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.21-31, 1975-01-30 (Released:2009-11-11)
参考文献数
27

小・中学生1461名について皮厚 (腹部) を計測し, ローラー指数を求め, 皮厚とローラー指数の年令推移や分布状況を考察し, さらに両者が肥満の指標として如何なる意義を有するかを検討し, 次のような結果を得た.(1) 皮厚の平均値, 中央値は男女共に年令が進むにつれて増加し, 特にこれは10才以後において著しい.また皮厚は男より女の方が大きく, その差は年令とともに増大する.(2) 皮厚の分布は双峯ないし三峯の分布を示した.すなわち, 男女共 5~6mmを中心とした第 1 ピークは6~9才で最高, 10~11mmを中 心とした第2ピークは12~14才で最高を示し, 15~16mmを中心とした第3ピークも13~14才で出現する傾向がうかがわれた.なお, この分布も大きい方に著しい歪みを有し, ちらばりは極めて大きい.(3) ローラー指数の平均値, 中央値は男女共に6才→9才と漸減し, その後は男では14才まで殆んど変化ないが, 女では14才まで漸増の傾向にある. 分布は6~7才ではほぼ正規分布に近いが, 8才以後は年令が進むにつれて大きい方に歪みが増大して非対象分布となる. なお分布のピークは男女共6才→12才頃まで一律に小さい方に移行し, 12才でほぼ固定化, またやや大きい方に移行する.(4) 皮厚と体重は高い相関関係にあり, しかもこの関係は身長の影響を除外しても同様である. また皮厚とローラー指数も高い相関関係にあり, 特にこの傾向は年令が進むにつれて著しくなる.(5) 肥満判定にあたっては, 皮厚とローラー指数のそれぞれの特徴を考慮する必要があり, 皮厚とローラー指数を組合せて肥満を判定することが種々の不合理を解消し, より適切であるという見解を得た.具体的には, 皮厚 (腹部) 15mm以上でローラー指数 160以上を肥満とする.但し, 単独に皮厚20mm以上あればローラー指数が160未満でも肥満とし, またローラー指数が160以上でも皮厚が15mm未満なら肥満から除外してもよいであろう. なお, これらの点に関する詳細は今後の検討にまちたい.
著者
浅井 幸 横山 康之 斉藤 晃一 大友 友昭 松田 登
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.415-421, 1985-09-01 (Released:2009-10-15)
参考文献数
39

Diseases in the oral cavity of infants are very different from those of adults because the oral tissues of infants are growing, and the oral conditions such as food and drink or dental treatment materials are different. There are many indistinct points in the case of cysts or tumors of infants as there are few case reports on them. The authors have experienced the following interesting cases : Case 1 An 11-month-old male with a mucous cyst located in the left palate glossal arch.Case 2 A 1-year-old female with a fibroma located in the median palate.Case 3 A 1-year 8-month-old male with an embryonal rhabdomyosarcoma located in the left margin of the posterior tongue.Each patient was treated by resection under general anesthesia and the postoperative course was uneventful. Cases like the above are relatively infrequenct among infants. It is ordinarily thought that both mucous cysts and fibroma are caused by local factors and inflammation. Refering to our cases, we suggest that such diseases as mucous cysts and fibroma are related to antecedent embryological causes.
著者
原 幸比古
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.143-168, 1963 (Released:2009-10-15)
参考文献数
48

On the early diagnosis of congenital dislocation of the hip joint a number of ways have been studied and tried clinically or roentgenologically but none of them are satisfactory and so it is the most important problem to us today to establish the complete way of the diagnosis of it.By means of arthrography of the hip joints I examined 238 infants in the earlier half of suckling age who were diagnosed as suspicious condition or congenital dislocation of the hip joints by clinical pictures and roetgenographs. Those arthrograms were classified into seven types and compared with the clinical signs, namely the position of a limb and abduction test, and lateral displacement of femoral upper end and acetabular angle in roentgenograph, and as the result such conclusions were gained as follows.1) The adductioncontracture of the dislocated limb was odserved both at the flexion and the extension position of the limb and tended to be prominent in the case of great dislocation. Increase of the outward rotation of the dislocated limb in extension was seen mainly in some cases of great dislocation, while decrease of it was seen in many cases.2) In many cases of slight dislocation, the restriction of abduction was relatively small and showed the tendency to increase as the degree of dislocation became great. The click of the dislocated limb at the abduction test was able to be fell only in the case of great dislocation, and in the serious cases half or more than half of them could feel it.3) Iino's indcx showing the degree of lateral displacement of femoral upper end was inclined to increase as the degree of dislocation became great. The index of all the cases of great dislocation was over normal limit, but the index of a normal hip joint and that of a slight dislocated one of ten showed the same value and it was difficult to distinguish them.4) In the classification of the ilium morphologically by the ratio of height and width such results were gained as follows. In the case of wide ilium the normal acetabular angle showed a small value, so that in the case of great dislocation it was relatively small. In the case of narrow ilium the normal range of acetabular angle increased and so the acetabular angle of dislocation also tended to increase. It is the most important thing to consider the form of ilium in the measurement of the acetabular angle in the diagnosis of congenital dislocation of the hip joint.
著者
内山 喜久雄
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.786-799, 1959-07-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
16

A psychotherapeutic device involving both desensitization and supportive therapy was applied to twenty-two mutistic pupils in elementary schools. The desensitization is based upon the principle of reconditioning, and the supportive therapy, upon the principle of the group effect. The therapeutic effect, then, was expected through the gradual increment of tolerance on the part of the patient.The procedures were consisted of the following five therapeutic stages, the interval between each stage being approximately one week.1) Introductory stage : Therapist has a personal therapeutic interview in a small room with the patient, who is requested simple oral answers.2) Inuring stage : The therapist and the patient are in the classroom with a few of his intimate friends. The task here is to give some oral salutations.3) Promoting stage : The number of the friends attending is increased to more than five in the same classroom. Reading some short sentences aloud is the task here.4) Reality stage : The usual class-work situations. The patient is asked to read loudly the sentences he read in the preceding stage.5) Spontaneity stage : The patient is charged with oral messages from one teacher to another in the various situations. Spontaneous speaking was expected.The method was effective for seventeen case; (77%), almost ineffective for two (9%), and incurable for three (14%). In ineffective and incurable cases, where the symptom formation was long-dated and stable, the functions of both reconditioning and group effect were observed to be of little effect.
著者
松山 研二 牛久保 量平 砂長 武志
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.199-204, 1966

外傷性大動脈破裂は, 交通外傷などにより, 上半身とくに胸部に激しい鈍的な外力が加わった際に生ずるもので, まったく病的変化のない健常な大動脈が, 外傷を与えた物体による直接損傷, あるいは骨折などによる損傷ではなしに, 特発的に一定の部で破裂する。この外傷性大動脈破裂の破裂部位や裂け方はかなり特徴的なので, 生前どのような外力が加わったかをある程度推察することができるほどである。<BR>近年, 欧米諸国においては交通機関の発達とともに, 自動車事故や飛行機事故による外傷性大動脈破裂の増加が報告されているが, わが国においては昭和10年より昭和40第に至る30隼間に, 明らかに外傷性大動脈破裂と考えられる報告は谷 (墜落死)の1例にすぎない。<BR>最近, わたくしたちは自動車事故によって生じた外傷性大動脈破裂の典型的な1例を経験したのでここに報告する。
著者
小河原 はつ江
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.105-124, 1994

特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) など各種血小板減少症の患者を対象として血小板結合免疫グロブリン及び補体第3成分量の臨床的意義について考察した.血小板結合免疫グロブリンG (PAIgG), 血小板結合免疫グロブリンM (PAIgM), 血小板結合免疫グロブリンA (PAIgA), 血小板結合補体第3成分 (PAC3) は免疫性血小板減少症のみならず, その他の血小板減少症でも増加することもあり, ITPに特異性はなかった.しかし, PAIgG, PAIgM, PAC3が共に正常範囲の症例の比率はSLE, リンパ増殖性疾患, 肝硬変に比し, ITPで有意に低値で, PAIgGのみ上昇した症例に比し, PAIgG, PAIgM及びPAC3が同時に上昇した症例で有意に血小板数は低く, 血小板寿命は短縮した.また, PAIgG, PAIgM, PAC3は, プレドニソロン投与により血小板が増加すると, いずれも低下する傾向を示した.血小板輸血を受けたITP以外の血液疾患患者において, 血小板輸血後の末梢血小板数が100×10<SUP>9</SUP>/L以下の症例ではPAIgG, PAIgM, PAIgA, PAC3が正常と比較して有意に高かった.また, 輸血量の増大に伴って, PAIgG量が増加する傾向がみられた.<BR>immunoblot 法を用いて, 特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) 患者, 全身性エリテマトーデス (SLE) 患者および血小板輸血患者の血清中抗血小板抗体の対応抗原を検討した.出現するバンドの種類として, 非還元系ではGPIb monoclonal抗体と反応する血小板抗原と同位置に出現したBand4, そしてGPIIb/IIIamonoclonal抗体と反応した血小板抗原と同位置に出現したBand-2が, ITP, SLEおよび血小板輸血例いずれの疾患群においても高率に出現し, 疾患による差異は認められなかった.出現したバンド数でも各疾患間に明かな差異は認められず, 複数のバンドを認める症例が相当数認められた.また, 対応抗原はBand-1やBand-2に限らず, その他のバンドも認められ, 還元系でも6種類のバンドが頻度の差はあるものの, いずれの疾患群にも出現し, 非還元系と同様疾患による差異を認めなかった.ITP, SLEおよび血小板輸血患者はそれぞれの対応抗原の多様性において同様な結果を示し, immunoblot法による検索では上記疾患の鑑別はできなかった.
著者
加瀬 芳夫
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.309-314, 1972-09-01 (Released:2009-10-15)
参考文献数
4

茨城県下におけるある地域の昭和42年から昭和44年の21例の無介助分娩につき, その実態を調査した.その内容を見ると1) 立会者の内容を見ると, 親, 祖母, 姉等の親類が13例と半数以上を占め, 近所の人が4例, 保健婦が3例, 1例が本人となっている.2) 母子の予後は, 出産経過良好20例で, 不良は1例のみであった.また児の予後は, 発育良好のもの19例, 新生児死亡2例で, 発育不良0となっている.3) 無介助分娩となった理由は, 「交通が不便」が最も多く7例で全体の33.3%を占める.4) 出生児体重を見ると2500g以下の未熟児は1例で, 不明1を除いた20例中の5%にあたる.5) また今回無介助分娩をした21例の過去の分娩歴についても合せて調査した.過去の分娩の89.2% (74例中66例) が無介助分娩となっている.過去の妊娠回数76, 分娩回数74に対して, 死産1, 自然流産2であった.また既往無介助分娩児, 分娩66例の予後を見ると, 新生児死亡2, 乳児死亡1, エピレプシー1, 歩行発育障害児1であった.
著者
斎藤 昭
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.510-528, 1960-09-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
16

The author wanted to see what effect the minute electric current generated in the living body would exert on the growth of fibroblasts and bone. For this purpose, the femur and fibroblasts of the heart from the chick embryo were cultured. A modification of the Carrel's bottle was used for the convenience of applying electric current.The growth of 3rd serial culture of the fibroblasts was inhibited by a current of 7.5, 5.0 and 2.1 μA in varying degrees according to the current strength, accelerated by 1.2 μA, and slightly inhibited by 0.1 μA.In passing a 5.0 μA current, the growth was accelerated toward the anode, exhibiting remarkable “polarity”. On the cathodic side, however, only a trace of “polarity” was recognized. In the case of 2.1 μA, remarkable polarity was observed toward both poles. Especially toward the anodic side, the end of the tissue was pointed owing to stronger polarity, the tissue consequently assuming an oval form.The growth of the femur was remarkably inhibited by the application of 7.5 μA current, and slightly inhibited by 5.0, 2.1, 1.2, and 0.1 μA, without showing change according to current strength.
著者
龜沢 勝利
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.293-300, 1955-11-01 (Released:2009-10-15)
参考文献数
16
著者
松本 政雄 北村 奉正 菊地 幸江 臼田 小夜子
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.532-535, 1969 (Released:2009-10-15)
参考文献数
4

With a test method devised by Matumoto et al., which was applied of the putting method in the golf, the fitness of an individual subject for the action requiring fine control was intended to measured. The following results were obtained.1) The average score of the first tests to all subjects was 38.0. The one of male subjects was slightly higher than that of female ones.2) The curve of learning effect on the individual subject ascended with zigzag course and reached plateau after 4050 times tests (training), but the height of the plateau differed quite large on different subject.3) There was little difference between the curves of learning effect of male and female.4) There was also little difference between the curves of learning effect of the subject with and without experience of the golf, except the phase at the beginning.5) When the learning effect to each time of the test was compared on the subject who carried out the test one time every day and one time every week, the former was higher than the latter.
著者
辻 達彦 矢野 ヨシ 逸見 てる子 塚越 京子
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.443-453, 1966

The relationship between prenatal care and perinatal mortality, and incidence of prematurity was studied in Omama town (pop., 18, 000) of Gunma prefecture.<BR>There was no conclusive evidence of a significant association between prenatal care and perinatal mortality. However, an incidence of prematurity, particularly of low birth weight group, wats more prevalent among the group of insufficient prenatal care, as judged from later onset of prenatal care and fewer visits during prenatal period. Furthermore, several socio-medical aspecs were analyzed and discussed. On the basis of these findings, special risk group of parents was suggested and the problem-centered approach of maternity care in the community was stressed.