著者
青木 薫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.46-48, 2001-01-05
著者
江沢 洋
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.1009-1013, 1994-12-05

小谷先生は,朝永振一郎先生とともに"磁電管の発振機構と立体回路の理論的研究(共同研究)"に対して1948年度の学士院賞を受けておられる.その御業績が6月号の<小谷先生の物理学への貢献をふりかえって>特集にとりあげられていないとの御注意が牧二郎さん等から寄せられた.大野公男さんのおすすめにより拙い試みを敢てする.
著者
冨永 靖徳
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.773-780, 1993-10-05
被引用文献数
2

水は,地球の環境にとっても,生命にとっても極めて大切な物質でありながら,なかなか正面から取り上げにくい物質である.それは,あまりにも身近過ぎる物質であることに加えて,多くの先達が優れた成果とともに,尤もらしい俗説や魅惑的な誤りを,とりまぜて残してきたためである.しかし,液体の水が単純なH_2O分子でないことは,誰もが認めるところであり,水が我々に対してもつ重要性は今も変わらない.そこで,なんとか水のみせる素顔の一面を分光学の手段で覗くことができないものかと考えた.液体の水が,短い時間では,ある種の構造をとっていることを示し,またその構造の変化が,生理作用にかかわる,情報の鋳型になっている可能性をさぐるのが本稿のねらいである.
著者
海部 宣男
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.245-251, 1999-04-05
被引用文献数
1

国立天文台がハワイ島のマウナケア山頂に建設を進めてきた口径8.2m光学赤外線望遠鏡「すばる」が, ファーストライトを迎えた. 1991年の建設開始から約8年である. 総合調整・試験観測に今後一年余をかけ, 2000年度には共同利用を開始する. 本稿は編集部のご要望に応じ, 1月29日(ハワイ時間1月28日)に発表したファーストライトの結果を中心に, 試験観測のスタートラインに立ったすばる望遠鏡の現状と展望を速報的にご報告するものである.
著者
笹川 辰弥
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.658-673, 1971

はじめに, 量子力学における三体問題の歴史と現状を簡単に要約する. 三体問題の解説はすでにいくつも出ているので, この解説ではなるべくそれらと重複しないような観点から主として理論的背景を概説することにした; まず, 三体問題を解くための出発点として, Faddeevの式は何故必要であるか, またFaddeevの式は, 三体問題の方程式として唯一のあらわし方であるかという問題について解説する. 次に, 三体問題を積分方程式の次元数を一次元少なくして解くために用いられて来た分離可能なポテンシャルと, 一般のポテンシャルに対しても, 積分の方程式の次元数を一次元少なくして解くために用いることが出来る対称核の理論を解説する. 最後に, 三体問題の将来に関連して, クラスター模型を含む多体問題, 三体問題の精密化, 原子への応用などについて述べる.
著者
平林 久
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.308-315, 2001-05-05
被引用文献数
1

電波天文衛星「はるか」は,世界初のスペースVLBI観測計画の中核として先進的な観測を行っています.このVSOP計画(VLBI Space Observatory Programme)は,最新のテクニックにより新しい地平を切り拓き,現代天文学の大きな謎である活動銀河核の謎に迫っています.宇宙年齢の1割のころのクェーサー像,近傍の活動銀河核のジェットの付け根,ジェットを真っ正面に直視した映像,降着円盤の影など,銀河核に潜むと考えられる超巨大ブラックホール周辺でのすさまじい物理現象を見せてくれます.これは将来,ますます面白くなる宇宙の実験室です.
著者
浅川 正之 南方 久和
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.263-272, 2000-04-05

宇宙初期に存在していたと考えられるクォークがもはや核子や中間子内に閉じ込められていない相への転移に際しては,同時に「カイラル対称性」の回復という相転移が起きると信じられている.本稿ではこのカイラル相転移に伴って生じると考えられている「誤ったカイラル軸を持つ偽真空」のドメイン形成の力学について,非専門家向けに解説する.超相対論的原子核衝突実験によってこれらの相転移を実験室で観測できる可能性が現実的になってきた現在,このドメイン構造の物理は非平衡な環境下で進行する動的相転移過程の実験室として,広い分野の方々に興味をもって頂けると期待している.
著者
長野 正道
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.826-830, 2002-11-05
被引用文献数
6

多数のリミットサイクル振動子について,それらの"振動運動を記述する変数の一部を個々の振動子の変数の線形結合で置き換える"という,振動子間結合による「新しい」リズム同期化法を見出した.この振動子間結合の方法は,粘菌細胞の生体センサーである受容体が持つ機能を数学的に一般化することにより得られた.
著者
中村 卓史 山崎 了
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.271-280, 2005-04-05
被引用文献数
5

ガンマ線バーストとは, 1日におよそ1回の頻度で典型的には250keV程度のガンマ線が約0.01&acd;300秒間観測される天体現象である.ガンマ線バーストの正体は, その発見以来長らく未解明であったが, 最近になって, 理論と観測双方の発展により除々に明らかになりつつある.現在の標準的理解では, ガンマ線バーストは主に宇宙論的距離(100億光年以上の彼方)で発生し, エネルギー放出率は宇宙のすべての銀河の明るさを合わせたものと同じかそれ以上にのぼり, 中心天体から何らかのプロセスで放出された相対論的ジェットがガンマ線放射を行うと考えられている.本稿では, ガンマ線バーストの研究の歴史に沿いながら, どのようにして現在の標準的な描像が得られたか解説し, さらに宇宙論への応用などの, ガンマ線バーストに関する話題をいくつか紹介する.
著者
山田 聰
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.401-407, 2006-06-05
被引用文献数
3

しばらく前までは「がん」とは不治の病であり,本人への告知すらためらわれる大変な病であった.現在でもがんにょる死亡者数は増え続けているものの,新しい診断装置や治療法の研究が進展するにつれ,早期発見できれば多くのがんは治るものと考えられるようになってきた.その中でも従来の医療機器に比べればはるかに大型の加速器を用いて陽子や炭素イオンを高いエネルギーに加速してがんに照射する粒子線治療法が優れた臨床成果を残しつつある・放射線療法は患者に負担の少ない治療法と言われる一方で,長い間放射線ではがんが治ることは少ないとも言われてきた.また,わが国では頭髪が抜け落ちるなどという副作用も必要以上に心配されてきた.本稿ではこのような放射線療法に対する固定観念を一変する炭素線治療法を中心に現状を概観する.
著者
田辺 新一
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.440-448, 1999-06-05
被引用文献数
1

現代社会にすむ我々はその90%くらいの時間を室内で過ごしている. 寒さ暑さを感じれば, 暖房したり冷房したりして快適になるように行動する. あるいは, 膝掛けを使用したり, セータを着込んだりして寒さに対応するかもしれない. そういった人間と温熱環境の関係を評価する研究に関して御紹介したいと考えている.