著者
早川 洋一
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.67-72, 1998-06-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
27
著者
福見 秀雄
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.107-122, 1985-12-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
73
被引用文献数
1 1

10 0 0 0 OA HPVワクチン

著者
川名 敬
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.79-86, 2012-06-25 (Released:2013-05-09)
参考文献数
26

ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸癌や尖圭コンジローマの原因となりうるウイルスである.この10年の間にHPV感染を予防できるHPVワクチンが開発され,大規模臨床試験によって多くのHPV関連疾患に対する予防効果が全世界的に証明された.HPV関連疾患で最も重要なものは子宮頸癌である.子宮頸癌の罹患率のピークは20年間で20才近く若年化し現在は2545才がピークである.がんを予防できるワクチンという観点から極めて重要な意義を持つ.ただし子宮頸癌予防に関してはその限界も理解しておく必要がある.一方,尖圭コンジローマの予防については,海外では既にpopulation impactが現れてきている.尖圭コンジローマが近い将来社会から撲滅されることも夢ではない.本稿ではHPVワクチンをレビューしたい.
著者
加藤 孝宣 脇田 隆字
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.287-295, 2005 (Released:2006-03-23)
参考文献数
43
被引用文献数
5 7

C型肝炎ウイルス(HCV)は,1989年カイロン社の研究グループにより発見された.日本では200万人,世界中で17000万人にのぼる感染者が存在し,インターフェロンを中心とした治療が行われているがその効果は未だ不十分である.これまでHCVには良いウイルス培養系と実験用の感染小動物が存在しないことがHCVの基礎研究の妨げになってきた.我々はHCVによる劇症肝炎患者からHCV株を分離し,その株が他の慢性肝炎患者由来の株に比べ,効率的に増殖できることを明らかにしてきた.さらにこの株を用いることにより培養細胞中での感染性HCV粒子生成に成功した.この感染性HCV粒子は培養細胞だけでなくチンパンジーにも感染可能であった.この系を用いることにより,HCVの感染から分泌まですべてのステップが培養細胞内で観察可能であり,ウイルスの複製機構の解明や抗ウイルス薬の開発に有用であると考えられる.

9 0 0 0 OA 天然痘の根絶

著者
蟻田 功
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-11, 1993-06-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
1
被引用文献数
1
著者
柳 雄介
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.117-123, 1995-12-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
29
著者
近藤 一博
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.9-17, 2005 (Released:2005-11-22)
参考文献数
29
被引用文献数
10 11

疲労は,痛みや眠気と並んで非常に重要な生体シグナルであるが,疲労の原因や疲労を感じる機序は,全くと言っていいほど不明である.また,疲労・ストレスによるヘルペスウイルスの再活性化は,良く知られた現象であるが,これまでは短期的なストレスと再活性化の関係が研究されているだけであった.今回我々は,過労死などの原因もなる中・長期的疲労がhuman herpesvirus 6(HHV-6)の再活性化を誘導することを見出した.これは,HHV-6の再活性化誘導因子の解明に役立つだけでなく,疲労の客観的な定量や疲労の機序の研究にも役立つものと考えられた. また,HHV-6の潜伏感染特異的遺伝子の研究によって,HHV-6には潜伏感染と再活性化の間に,潜伏感染に特異的遺伝子および蛋白の発現亢進が見られるにもかかわらず,ウイルス産生の見られない中間状態が存在することを見出した.この中間状態に発現する潜伏感染蛋白に対する血清抗体は,病的な疲労状態である慢性疲労症候群患者の約4割で検出された.これらの結果は,HHV-6が疲労という生物学的現象に深く関わるウイルスであることを示していると考えられる.
著者
有川 二郎 橋本 信夫
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.233-251, 1986-12-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
123
被引用文献数
1
著者
田口 文広
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.201-209, 2003-12-31 (Released:2010-03-12)
参考文献数
46
被引用文献数
5 4
著者
日野 茂男
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.193-199, 2006 (Released:2007-04-20)
参考文献数
6

バイオハザード対策の要は,機械や設備ではなく,作業者の教育と,作業者が規則を遵守する態度である.これがなければ,器具や機械,設備をどんなに備えても意味がない.器具や機械を導入するときには,効果のあるものを選択し,適切な管理・維持する必要がある.バイオハザード対策用クラスIIキャビネットは安全機器である.使用期間を通じて安全性を保証なければ意味がない.機械である以上,正常に動いていることを確認する作業は,是非とも必要である.正しい計器を,正しく使って,作業室の安全を確保するよう勤めたいものである.組換えDNA実験に対して最近公布された法律は,適当な変更を加えて後,病原体等の取扱いに対しても適用すべきである.
著者
吉松 組子 有川 二郎
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.239-250, 2012-12-25 (Released:2013-10-22)
参考文献数
52
被引用文献数
1 1

ブニヤウイルスは,ブニヤウイルス科オルソブニヤウイルス属,ハンタウイルス属,ナイロウイルス属,フレボウイルス属およびトスポウイルス属に分類されるウイルスの総称である.植物に病原性を有するトスポウイルス属以外は,脊椎動物に感染し,人や動物に重篤な疾患を引き起こす.いずれも,医学・獣医学・農学領域で重要な疾病であり,その多くが人獣共通感染症である(図1).ハンタウイルス属以外は,節足動物をベクターとするアルボウイルスであるが,自然界における感染環には属間で相違がある.近年,ハンタウイルスの自然宿主としてげっ歯目以外にトガリネズミ目の動物が重要な役割を担っていることが明らかになった.また,フレボウイルス属のウイルスを原因とし,血小板減少と発熱を特徴とする重篤な疾患が中国で新たに出現し1,2),その後,米国でも存在が確認され新興感染症として注目されている.
著者
高橋 徹
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.7-16, 2015-06-25 (Released:2016-02-27)
参考文献数
59
被引用文献数
4 10

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は,2011年に中国から報告されたフレボウイルス属のSFTSウイルス(SFTSV)による新興ウイルス感染症で,マダニ媒介性感染症と考えられている.日本国内においては2013年1月に初めての患者が確認されて以来,現在までに100名以上の患者が確認されている.SFTSVは以前から日本に存在し,かつ国内の広い範囲に分布することも分かってきているが,なぜ患者が西日本に偏在するのかは未だ不明である.SFTSの臨床像は,発熱,血小板減少,白血球減少,消化器症状のほかに,筋症状,神経症状,凝固異常など多彩であり,しばしば血球貪食症候群を合併する.病理学的にはウイルス感染細胞の増生を伴う壊死性リンパ節炎が特徴的所見である.急性期の血中ウイルス量や炎症性サイトカインの変動,感染動物モデルによる病態解析の研究も進捗しつつある.本稿では,日本におけるSFTS発見から現在までを概説し,SFTSの臨床および疫学的知見とSFTSV感染についてのウイルス学的知見について総説する.
著者
千葉 壮太郎 近藤 秀樹 兼松 聡子 鈴木 信弘
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.163-176, 2010-12-25 (Released:2011-09-01)
参考文献数
105
被引用文献数
4 4

マイコウイルス(菌類ウイルス)は菌類の主要な分類群から広く報告されている.特に近年のウイルス探索の結果,新しいマイコウイルスが次々と報告され,新規のウイルスゲノム構造,遺伝子発現様式,粒子構造の発見を齎した.また,同時にウイルスの多様性,進化の理解へと繋がった.マイコウイルスの多くは2本鎖RNAをゲノムにもつ球形ウイルスであるが,粒子化されない1本鎖RNAウイルスも多く見つかっている.自然界では,マイコウイルスは宿主菌の細胞分裂,細胞融合,胞子形成により水平・垂直伝搬するが,細胞外からの伝搬・侵入経路は知られていない.マイコウイルスの多くは無病徴感染をするが,一部のウイルスは宿主菌に病徴を惹起し,巨視的表現型の変化を齎す.マイコウイルスが植物病原菌の病原力を低下させる場合は,ウイルスを利用した生物防除(ヴァイロコントロールと提唱)が試みられている.ヨーロッパではクリ胴枯病菌のヴァイロコントロールの成功例があり,一方,日本でも果樹の白紋羽病菌を標的としたヴァイロコントロールが試みられている.本稿では,マイコウイルスの一般的性状を概説し,ヴァイロコントロール,さらにはそれに関係するウイルスについて紹介する.
著者
清水 博之
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.49-58, 2010-06-25 (Released:2011-02-15)
参考文献数
50
被引用文献数
2 1

世界ポリオ根絶計画は,当初,2000年までの根絶達成を目標としていた.しかし,目標から10年が経過した2010年においても,近い将来のポリオ根絶の目途は立っていない.2010年現在,ポリオ常在国であるアフガニスタン,パキスタン,インド,ナイジェリア4カ国以外の国・地域では,地域固有の野生株ポリオウイルス伝播は認められていない.単価経口生ポリオワクチンの積極的使用にも関わらず,ポリオ常在国4カ国では,いまだ1型および3型野生株ポリオウイルス伝播が継続しており,ナイジェリアとインドに由来する野生株ポリオウイルスが,いったんポリオフリーを達成したアフリカ,アジア,ヨーロッパの国々へ,頻繁かつ広範な伝播を引き起こしている.さらに,ナイジェリアやインドのポリオ流行地では,2型ワクチン由来ポリオウイルス伝播が発生しており,一部地域における2型ポリオウイルスに対する集団免疫の低下が危惧されている.その一方,2009年には,北部ナイジェリアにおけるポリオ根絶活動指標の改善が報告されており,実際,2009-2010年にかけて,ナイジェリアの1型および3型野生株ポリオウイルス伝播は顕著に減少ししつつある.さらに,ハイリスク地域における追加接種活動の質を改善し,より簡便化するための効果的な手段として,Sabin 1 型と3型を含む二価経口生ポリオワクチンが2010年に導入された.2000-2009年の10年間,ポリオ症例数の上では顕著な減少は認められていないが,「世界ポリオ根絶の失われた10年」の間に得られた経験を十分に踏まえることが,世界ポリオ根絶計画を最終段階に進めるために必要とされる.
著者
佐藤 裕徳 横山 勝
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.221-229, 2005 (Released:2006-03-23)
参考文献数
75
被引用文献数
4 4

自然界で活発に増殖するRNAウイルスは,突然変異により絶え間なくゲノム情報を変化させる.ゲノム情報の変化は,しばしばウイルスの免疫感受性,薬剤感受性,細胞指向性,宿主域の変化につながり,予防治療効果の低下や新興再興感染症の原因となる.この“moving targets”に対処するには,ウイルスのゲノムと蛋白質の変化に関する情報が欠かせない.現在,自然界のウイルスゲノムの変異情報は急速に蓄積されつつある.一方,変異に伴う蛋白質の構造と機能の変化を実験的に検証するには未だに時間がかかる.本稿では,最も高速で変化する病原体の一つで,治療薬や免疫からの逃避能力に優れるヒト免疫不全ウイルス(HIV)を中心に,RNAウイルスの変異研究の成果を整理する.また,近い将来,生命現象の記述や創薬に重要な役割を果たすと期待されている計算科学的手法をとりあげ,ウイルスの変異解析と創薬の支援に適用した研究を紹介する.

6 0 0 0 OA HLAとHTLV-I

著者
園田 俊郎 藤吉 利信 屋敷 伸治 李 洪川 楼 宏 レマ カロリーナ
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.37-45, 2000-06-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
40
被引用文献数
3 3
著者
武村 政春
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.135-146, 2016-12-25 (Released:2017-10-27)
参考文献数
69
被引用文献数
1

ミミウイルスは,その粒子径やゲノムサイズが巨大なだけでなく,複数の翻訳関連遺伝子が発見されたこと,細菌がもつファージ耐性機構であるCRISPER Cas システムと同様のシステムをヴァイロファージ耐性機構として保有することで注目された.ミミウイルスは,ファゴサイトーシスによりアカントアメーバ細胞内に侵入すると,スターゲート構造を開け,ゲノムDNA をアカントアメーバ細胞質中に放出し,巨大なウイルス工場を形成する.ウイルス工場ではミミウイルスDNA が複製され,その周辺部に集積したカプシドタンパク質,小胞体に由来する脂質二重膜成分をウイルス粒子として取り込みながら,大量に増殖する.マルセイユウイルスは巨大ウイルスの中では小型で,ファゴサイトーシスあるいはエンドサイトーシスによってアカントアメーバ細胞内に入ると,ミミウイルスよりも大きなウイルス工場をアカントアメーバ細胞質に形成し,大量に増殖する.飛びぬけて大きな粒子径,ゲノムサイズを持つパンドラウイルスは,ファゴサイトーシスによりアカントアメーバ細胞内に侵入し,ゲノムDNA を開口部を通じてアカントアメーバ細胞質中に放出する.そして細胞核を壊し,核膜成分を自身の脂質二重膜として取り込みながら,細胞核の“跡地”周辺で増殖する.
著者
松井 毅
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.31-38, 2016-06-25 (Released:2017-05-09)
参考文献数
42

陸上脊椎動物は,約3億6千万年前に両生類が気相環境に適応できるようになり陸上に進出したと考えられている.その際に,体表面においては,増殖細胞が散在する多層化した上皮構造から,増殖層が最下層にあり最上層で剥離していく重層扁平上皮構造を獲得した.その中で,最も体表面に存在し,気相環境に対するバリアを担っている層が,死細胞からなる角質層である.地球上に現存する両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類を含むすべての陸上脊椎動物が,この角質層バリアを持っている. 哺乳類は,約2億2千万年前に出現したが,その際に,皮膚特異的遺伝子群がゲノム上に獲得され,柔らかく保湿された角質層が形成されたと考えられる.さらに,多数の内在性レトロウイルスも,哺乳類の発生時に,ゲノム上に多く取り込まれたと考えられる.中でも,Skin ASpartic Protease (SASPase)/ASPRV1 は哺乳類特異的に獲得されたレトロウイルス型プロテアーゼであり,アトピー性皮膚炎の疾患素因として知られる哺乳類皮膚特異的蛋白質プロフィラグリンを分解する.欠損マウスの解析から,SASPaseは哺乳類の角質層の特徴である「保湿」に関わることが明らかになっている.すなわち,哺乳類出現時に,レトロウイルス様配列のDomesticationによる外適応(Exaptation:イグザプテーション)が皮膚の適応進化の際に起きた例と考えられる.ゲノム中に多数存在している内在性レトロウイルスの中には,皮膚表皮の多彩な機能獲得に関わってきた可能性がある.
著者
吉川 裕之
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.243-248, 2009-12-24 (Released:2010-07-03)
参考文献数
13
被引用文献数
4 4

本邦では子宮頸癌は20代,30代の若年層で急増しており,罹患のピークは35-39歳にある.世界的には,子宮頚癌は罹患数・死亡数において女性の癌で第2位を占めている.子宮頸癌はHPVワクチンにより一次予防が可能である.HPV16とHPV18のウイルス様粒子をワクチンとして用いる.現在,HPV16/18の2価ワクチン(Cervarix)とHPV16/18にHPV6/11を加えた4価ワクチン(Gardasil)がある.これらのワクチンの接種で自然免疫の数十倍も高い中和抗体価が得られ,感染をブロックする.臨床試験でワクチンは子宮頸部の前がん病変であるCIN2/3やAISの発生をほぼ100%ブロックした.重篤な副作用はきわめて少なく,その効果は10年以上持続すると予想されている.HPVワクチンはすでに世界110か国以上で承認され,26か国では思春期女子に公費負担で接種している.多くの若い女性が命を失うこと,助かった場合でも生殖機能を失うことはすこぶる重大である.HPVワクチンにより近い将来において,子宮頸癌が征圧されることを期待したい.