著者
石田 肇 百々 幸雄
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.200-206, 1990-11-01 (Released:2016-10-31)
被引用文献数
1 1
著者
須釜 淳子 西澤 知江 松尾 淳子
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.159-164, 2013 (Released:2016-04-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

褥瘡は外力が一定時間持続することで組織が不可逆的な阻血性障害に陥り発生する.その予防には外力の減少と持続時間の短縮が必要となり,臨床では体圧分散寝具を使用する.体圧分散寝具は3 つの圧再分配機能,すなわち,沈める,包む,経時的な接触部分の変化によって褥瘡好発部位である骨突出部位にかかる圧力を減少させる.体圧分散寝具は数多く市場に出ているが,本邦の寝たきり高齢者にみられる特異的な褥瘡発生要因「骨突出」を有する者には,2 層式エアセルマットレスが予防に有効である.今後さらなる体圧分散寝具の質向上には,体圧分散寝具の圧再分配機能評価法の標準化,体圧分散寝具使用時の看護技術の開発が必要である.
著者
佐久間 亨 阿江 通良
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 = Journal of the Society of Biomechanisms (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.325-332, 2010-11-01
参考文献数
14
被引用文献数
1 9

本研究の目的は,体幹の傾斜が歩行動作に及ぼす影響をバイオメカニクス的に分析することである.健常成人に異なる体幹の傾斜(固有,体幹前傾10°,体幹後傾10°)で歩行させ,3 次元自動動作分析装置を用いて動作を計測するとともに,フォースプラットフォームを用いて地面反力を計測した.体幹前傾および後傾歩行では,姿勢変化による身体重心位置の変化に対応するための下肢の代償運動が見られた.また,固有歩行に比べると,体幹前傾歩行では立脚期前半で体幹の前傾姿勢を保持しながら支持脚を後方へスイングするため,股関節伸展トルクが大きく,体幹後傾歩行では立脚期後半で体幹の後傾姿勢を保持するため,股関節屈曲トルクが大きくなっていた.
著者
伊藤 祐子 田中 勇次郎
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.129-133, 2009 (Released:2016-04-19)
参考文献数
5

発達障害児に対する作業療法では,「楽しさ」「面白さ」を治療プログラムに織り込むことにより,対象児の持つ能力を最大限に引き出せるよう工夫することが重要である.平衡機能に関する評価・支援システムの開発では,楽しみながら適応反応を獲得するための電動ホーススウィング装置を開発した.目と手の協調性に対する評価・支援システムでは,従来の紙筆検査では得られなかった客観的データを得ると共に,楽しく課題に取り組めることが確認された.臨床では,作業療法に消極的であった児に対して,NEXTRAX™(ネクストラックス)で操作する障害児療育支援ソフトを使用することで作業療法への動機付けがなされた.これらの紹介を通して,作業療法の視点について解説する.
著者
安藤 英由樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.75-80, 2015 (Released:2016-04-15)
参考文献数
23

インタフェース研究にとって,錯覚を利用することは効率的な提示手法確立や,物理的には実現不可能な事象までも提 示を可能にするなどの効果が期待できる.本稿ではよく知られている手に関する錯覚現象と,それを用いて我々が提案するイ ンタフェースの例を挙げ,概要について解説する.
著者
岡部 多加志 小林 俊恵
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.71-76, 2006 (Released:2008-01-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

当院におけるアルツハイマー型認知症例に対する音楽療法について紹介した.軽度の認知症を伴ったアルツハイマー型認知症の患者10名(平均年令73.1歳)を対象として,小グループによる活動的音楽療法を1回60分,週2回のペースで6ヶ月間施行した.音楽療法終了後,異なった複数の評価方法を用いて効果の判定をした.音楽療法士による評価および高次大脳機能検査では,それぞれ半数以上の症例に改善効果を認め,お互いの判定結果には有意の相関性がみられた.ヘッドホーンを介しての音楽刺激によるデジタル脳波記録では,症例個々の好みの音楽に対するα反応性が良く,同時に好きな音楽を聴くことによりαリズムの速波化が認められた.
著者
橋本 渉 中泉 文孝 井上 裕美子 大須賀 美恵子
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.117-122, 2009 (Released:2016-04-19)
参考文献数
17
被引用文献数
3

高齢者にとって,身体機能の維持と認知症の進行防止は,要支援・要介護状態にならないよう予防する観点から,重要な課題である.遊びながら楽しく体を動かし,脳に刺激を与える取り組みは,遊びリテーションと呼ばれており,著者らはこのコンセプトに VR技術を導入した取り組みを模索してきた.本稿では, VR技術と高齢者の遊びリテーションについて整理し,著者らの事例を通して,その効果や問題点を明らかにする.
著者
金 承革
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.149-156, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
30
被引用文献数
1

正常足と外反母趾足の形状特性を抽出することを目的として,70歳以上の高齢者937名の足部表面形状を測定した.そのうち489名分のデータ分析の結果を報告する.機器は3次元足部形状測定装置INFOOT(アイウェアラボラトリー)を使用した.得られた足部表面形状の点群データから足相同モデルを構築し,相同モデル間の違いを表す形態間距離を算出して,多次元尺度構成法で形状特性を分析した.高齢者の外反母趾足の形状特性に関して,母趾外反と踵外反,アーチ扁平の型だけではなく,正常足並みのアーチ高さを持つ母趾外反型も存在した.外反母趾足の形状型に性別特有の型は無いが,女性には扁平が強くなる足が多かった.外反母趾足には2通りの形状タイプが存在し,それぞれ異なる変形メカニズムが存在する可能性が示唆される.
著者
内藤 栄一
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.178-186, 2007 (Released:2009-03-02)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

ヒトが自己の身体運動を認識できることはその制御において決定的に重要である.自己の四肢運動知覚には筋紡錘からの求心性感覚情報が寄与するが,この処理は主に一次運動野を中心とする運動領野のネットワークで行われる.一次運動野の役割は単なる感覚情報処理にとどまらず,四肢運動知覚機能をも担い,運動野の損傷は運動知覚機能の低下を招く.運動知覚においても階層的構造があり,単純な手の運動知覚には運動領野が,片手―物体運動知覚にはさらに下頭頂葉の活動が,両手―物体運動知覚の場合にはこれらに加えてさらに上頭頂葉の活動が必要になる.これらの領野の活動は,それぞれに対応する運動を実際に制御する場面においても必要であり,運動制御における運動と知覚の一体化の重要性を表す.すなわち,特有の身体運動制御にはそれぞれ特有の脳領域が関与する.この脳領域はその運動の知覚にも関与し,かつその知覚経験には運動制御時に類似した内在的神経プロセスが必須のようだ.ある運動に付随して期待される感覚を前もって予測するフォワードプロセスは,その運動の効率的制御を可能にする.このような合目的脳領域内での内在的神経機序がフォワードプロセスの神経実態なのかもしれない.
著者
勝平 純司
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.211-216, 2015 (Released:2016-04-15)
参考文献数
5

筆者らは腹筋の活動を賦活しつつ腰背部の負担を軽減する新しい体幹装具Trunk Solution(以下TS)を開発し,2014 年度のGood Design 賞を受賞した.TS は抗力を具備した継手を有し,継手の力を胸部前面に与えることで効果を発揮する.健常者を対象とした計測において,TS の装着が腹筋群の筋活動を増加させる一方,背筋群の活動を低下させることや高齢者や脳卒中片麻痺者においてTS を使用することで歩行パフォーマンスが向上することが明らかになっている.今後はリハビリテーション場面における姿勢改善と歩行パフォーマンスの向上を目的としてTS を実用化する予定である.
著者
田村 博
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.112-116, 2004 (Released:2006-10-06)
参考文献数
12

キーボードは書字下手な人々の悩みを解消した.そしてケータイは,移動中でも,ベットの中でも時や場所を選ばずに使える入力法を約束している.機械に合わせて人を訓練するのでなく,人に合わせた入力法の開発が格段の普及を促進するものと期待される.書字動作,キー入力,ケータイ入力に共通する人の特性についてのべ,最近の実験結果を含めて解説する.
著者
大島 成通
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.17-23, 2015 (Released:2016-01-26)
参考文献数
15

棒高跳競技では踏み切りスピードや角度,ポール特性,各関節トルクなど様々なパラメータの複雑な組み合わせによっ て得られる跳躍高さは大きく異なる.このような組み合わせ問題の最適解(ポール特性,各関節トルクなど)を,多リンク人体- ポール連成モデルシミュレーションによって求める研究がなされているが,その設計変数の多さから最適解を求めることが困難である.本稿では,高速計算に定評があるODE を用いた連成モデルによる筆者らの最適化例について紹介する.
著者
白石 英樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.291-296, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
31
被引用文献数
3

手は,複雑な動きをし,様々な道具を扱う,巧緻性に長けた効果器である.手の機能を評価する検査方法には多くのものがあるが,手の機能を評価するには1)基本機能,2)作業能力,3)社会的役割の3 つの側面に対して行うことが重要であ る.現在,臨床場面で用いられている多くの手の機能に関する評価(検査)方法を紹介するとともに,手の機能評価に関する問題点や今後の課題について述べた.
著者
蜂谷 正泰 鈴木 聡一郎
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.57-63, 2009 (Released:2012-01-31)
参考文献数
8
被引用文献数
4 12

近年,実用化が進められているヒューマノイドの多くはフィードバック閉回路により制御されている.このような制御手法は軌道計画が複雑なうえ,エネルギ効率や任意環境への適応性等に多くの問題を抱えている.これらの問題の解決策として受動歩行が注目されているが,その歩行の安定化理論は未だ明らかにされていない.本研究では,ヒトの歩行解析結果を基にヒトと同様に三次元的な体重移動が可能な足部を有する受動歩行ロボットを実際に設計・製作し,実験的に歩行の安定化条件を検討した.さらに,歩行路性状が変化する任意の環境下においても常に安定した歩容を獲得するため,強制引き込み現象を利用した準受動歩行ロボットをモデル化し,その制御手法について解析的に検討した.