著者
内田 龍男
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.1150-1154, 1998

反射型力ラーLCDは近い将来急速に普及すると予測される高機能携帯情報端末のキーデバイスになるものと考えられる.このLGDは反射と散乱の機能の点から,3種類に分類することができる,現在,低電圧駆動,広視野角,高速応答性,中間調表示,フルカラー表示などが達成されており,視賢角をある程度隈定すれば高品位のペーパーホワイトディスプレイを実現できる見込みである.将来的には携帯情報端末のみでなく,目の疲労の少ない,高品位の情報用モニターディスプレイとして広く適用される可能性がある.
著者
楢岡 清威
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.877-883, 1984-10-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
15

半導体プロセスではエッチングのドライ化が進み,また工業的な結晶研磨にはメカノケミカル・ポーリッシュが使われてきた.しかし半導体などのリソグラフィーでアンダーカットによる線編誤差を補正できる場合,ウエットエッチングがなお適用されている.さらにウエットエッチング速度は材料の種類,結晶方位,あるいは不純物濃度による選択性をもつ.この特徴を欠陥現出,材料の評価,および各種加工に活用している.このような転換後のウエットエッチングの状況を概観する.この他,酸化物結晶材料の欠陥評価および研磨のためのエッチ液を探索する選択基準につき解説する.
著者
平野 嘉仁 辰巳 賢二
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.916-919, 1995

高出力化が容易なLD側面励起方式をNd:YLFに適用するため,励起効率を高くとれるc軸ロッドを用い,TEM<sub>00</sub>出力平均パワー10Wを,光-光変換効率19%で実現した.熱レンズ効果は,Nd:YAGの報告値の1/3程度で,光学的に等方性に近いc軸ロッドの熱複屈折の影響も励起平均パワー52Wまでの測定では観測されなかった.さらに,このc軸Nd:YLFロッドを用い,高効率,高ビーム品質が要求される航空機搭載ライダー用レーザー送信器を試作し,繰り返し50HzにおいてQスイッチ出力100mJ,電気一光変換効率7%を回折限界の1.2倍のビーム品質で得た.
著者
前田 豊
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1077-1082, 1984

メスバウアー効果が生物,とくに鉄タンパク質の研究にどのような問題意識をもって利用されてきたかについて述べる.また,最近,明らかになってきた生物における強磁性体,とくにマグネタイトの存在とその合成過程について,走磁性細菌とピザラガイの研究を中心に述べる.
著者
湯藤 典夫
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.601-605, 1993-06-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
3
著者
尾上 守夫
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.657-665, 1982

医用画像に対するディジタル処理は篇ンピューター臨層撮影法 (CT) の登場を契機として急速に鍵用化されている.集積回路技術の進歩により大容量記憶や高速演算装置が容易に使用できるようになやてきて,個々の画像の孤:立した処理にとどまらず動画像の処理へと発展してきている.その現状を概観した.<br> 動画像処理の基本である重ね合わせと減算についてふれた後に,主としてディジタル・ラジオグリフィー,心アンギオグラムのうち超音波漸層像および冠動脈造影像の処理, RI画像におけるファンクショナル・イメージについて解説した.
著者
喜多 誠
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.266-269, 1997-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
5

現在の高校のカリキュラムでは,理科が選択必修になったことにより,物理の履修者が激減した.その結果,物理の教員が週員状態にある.また,予算面でも恵まれておらず,厳しい状況にある.物理(理科)の教膏の必要性について原点に戻って理解を求め,現状を変えていく必要がある.
著者
山口 喬
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.104-113, 1989-01-10 (Released:2009-02-09)

山登りやドライブをするときに地図が必要であるように,材料とつきあうときには,そのための案内図がいる.これが平衡状態図である.この講座は,利用する立場から平衡状態図を理解することを目的としている.次にあげる項目について4回にわたって説明する. (1) 状態図とは何か, (2) 状態図からどんな情報がわかるか, (3) 状態図をどう読むか, (4) 状態図を決める要因は何か, (5) 状態図は何に使えるか, (6) 状態図をどのようにして作るか,どこから探し出すか,どのようにして推定するか.
著者
中谷 宇吉郎 孫野 長冶
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.9, no.12, pp.549-555, 1940 (Released:2009-02-09)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
福田 永
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1106-1113, 1994-11-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
38

近年,電気的にデータの書き込みと消去ができる不揮発性半導体メモリーが注目を集めている.その理由は,集積度の著しい向上により,ハードディスクなどの外部記憶や主記憶の分野へ参入できる可能性が出てきたためである.このメモリーは,データのやりとりをきわめて薄いトンネル酸化膜を介した電子のトンネリングによって行っている.この過程でトンネル酸化膜中に電荷捕獲が起こり,その結果,データの書き換え回数が制限されるという問題が生じている.この酸化膜固有の問題が解決できると飛躍的にメモリーの高集積化が図れ,かつ高性能化が期待できる.本稿では,最初にメモリーの動作原理と極薄酸化膜劣化メ力ニズムについて述べ,次にトンネル酸化膜の改質について紹介する.
著者
神垣 良昭 南 眞一
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.1138-1142, 2002-09-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
11

最近,急激な市場の立ち上げを見せているICカードは,CPU,RAM,ROMのほかに,電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性メモリーEEPROMを搭載している.MONOS型のEEPROMメモリーセルは高信頼性,高生産性に加えて,標準の半導体製造プロセスとの整合性がよい. ロジツク混載半導体チップへの適用が比較的容易なことから,MONOS型はシステム・オン・チップ(SOC)における有望な不揮発性メモリーといえる.シリコン窒化膜内の捕獲中心に電荷を蓄える構造のMONOS型は,従来,トンネル方式プログラムを採用しているが,局所的なメモリー現象を利用するホットキャリア方式が現れ,高集積・高速を実現している.MONOS型不揮発性メモリーの開発経緯,応用,今後の展開を述べる.
著者
吉田 亮 岩山 めぐみ グォ チョンリャン
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.90, no.7, pp.428-432, 2021-07-05 (Released:2021-07-05)
参考文献数
14

材料研究の逆問題への機械学習の適用例を紹介する.順問題の目的は,系の入力に対する出力の予測である.例えば,入力変数は材料の構造,出力変数は物性に相当する.逆問題では,出力の目標値を所与とし,それを近似的に満たす入力を求める.これ自体は何の変哲もないデータ解析のワークフローであるが,材料研究のデータ解析の特殊性は変数の高次元性と特殊性にある.一般に候補材料の探索空間は極めて広大である.また多くの場合,組成,分子,結晶構造のように固定長ベクトルによる数値化が非自明な問題を取り扱うことになる.本稿では,筆者らの近年の取り組みを中心にさまざまな実例を紹介しながら,逆問題を解く機械学習のエッセンスを解説する.
著者
松居 吉哉
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.513-516, 1982-05-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
30

第2次大戦後,日本の光学レンズは目覚ましい発展を遂げるに至ったが,それを支えた技術的な基盤の一つに光学系のsynthesisに関連する理論がある.その中でも重要な位置を占めるのが収差論とズームレンズの設計理論である.これらが実際のレンズ設計で果たす役割と,日本における研究の発展について概観する.