著者
米永 一郎
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.1040-1051, 2017

<p>半導体中の固有点欠陥はデバイスの性能と劣化に影響するため,その形成と移動について実験と理論の両面から多くの研究が進められてきた.しかしながら,それらの報告値は現状,混乱の極みにある.ここでは,半導体中の点欠陥の原子構造と電荷状態の基礎的な説明のあと,シリコンでの形成エネルギーに関する実験結果,理論的予測,それらに対する外部静水圧や不純物の影響,複合体化,さらにエントロピーに関する現状を紹介する.その後,ゲルマニウムとワイドギャップ半導体における研究を簡単に述べる.</p>
著者
稲田 哲雄
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.412-417, 1983-05-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
7

中性子線によるがん治療に続いて,陽子線治療およびその診断が医学に導入されつづある.中性子線の高い線エネルギー付与 (LET) による生物効果の期待に対して,陽子線はその線量分布の局在姓に着目される.診断においては,従来のX線によって認めえなかったわずかな体内密度変化が,陽子線撮影によって検出される.しかし,物理実験装置である大型の加速器を病院内に設置し,医療照射を行なうためには適切な制御システムが必要であり,今後なお,開発,改善すべき要素が多い.
著者
國尾 武光 波田 博光
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.74-78, 2001-01-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1

高速・不揮発動作が可能な強誘電体メモリー (FeRAM) が注目され,実用化に向けた研究開発が開始されてから10年以上が経過する.このように長い年月の精力的な開発努力の末,強誘電体メモリーがようやく実用化の段階に入った.携帯機器や混載LSI用として有望な強誘電体メモり一の基本動作原理,強誘電体材料の特徴,製法上の特徴と実際のメモリーセルの構造について解説し,今後の強誘電体メモリーの応用分野と展開についても簡単に触れる.
著者
中山 貫 藤井 賢一
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.245-252, 1993-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
49
被引用文献数
8

単結晶の格子定数とアボガドロ定数は,密接な関係があることが,古くから知られている.現在,格子定数の絶対測定は,シリコンについてX線干渉計と光波干渉計を組み合わせた装置を用いて行われる.アボガドロ定数の決定には,格子定数のほかに結晶の密度とモル質量が必要である.ここでは筆者らが行っている格子定数と密度の測定の現状と, Seyfrledらによるアボガドロ定数の最新の決定 (1992) について,基礎的データの測定や基礎定数の決定の歴史などにも触れながら紹介する.
著者
花村 榮一
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.873-884, 1994-09-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
33

十分長いコヒーレント長をもつ励起子を共鳴励起するとき, 3次の非線形分極率x(3)(-ω; ω, -ω, ω) が増大し,また励起子の超放射によって速いスイッチングが可能となる.この励起子系が示す多彩な非線形現象の理論的な予測と観測例を解説する.特に,多励起子系の超放射特性,多励起子の束縛状態であるn-stringの理論と観測例,一次元メゾ系特有な励起子ポラリトンのコヒーレント発光,三次元系で初めて起こる励起子ボース凝縮と弱局在による位相共役光の増大を紹介する.
著者
城石 芳博
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1424-1428, 1998

磁気記録技術は, V. Paulsen の発明以来100年の歴史を有する身近な技術である.中でもハードディスク装置は,外部記憶装置の中核的存在であり,薄膜磁気記録媒体,磁気抵抗効累 (MR) 型ヘッド, PRML信号処理などの最先端技術の継続的導入により,ここ数年間は年率60%(このままでいけば10年で160倍)という驚異的なスピードで高密度化が進農している.現在,ハードディスク装置の記録密度は光ディスク装置を追い越すまでになっており,その産業規模も半導体メモリーに匹敵する巨大なものとなっている.本講座では,高度情報化時代にますますその重要度が高まると考えられる,ハードディスク装置の原理と構成について概説する.
著者
和田 順雄
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.1125-1130, 1996-11-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
30
被引用文献数
2

薄膜の屈折率や膜厚を光学的に求める方法は,これまで多数提案されてきた.本解説ではこの中から非破壊,非接触の測定法として,顕微分光測光装置を用いて試料の分光反射率や透過率から屈折率や膜厚を求める方法と,エりプソメトリーこよる方法について,それぞれの原理や装置の説明と実際の測定に際しての留意点を述べる.
著者
菅井 秀郎
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.559-567, 1994

プラズマを用いるドライプロセスは,薄膜デバイスの作製に欠かせないツールとして定着している.しかし,デバイスの微細化と大面積化が急速に進むにっれ,新しいプラズマ・ソースの開発が緊急課題になってきた.新プラズマ源は,これまでになく高密度で大口径であることが必須条件であり,しかも低い圧力でこれを生成しなければならない.このような苛酷な条件を満たす高効率プラズマ源として,まずECRプラズマが名乗りをあげ,ついでヘリコン波励起プラズマが開発された.ざらに最近になって,誘導結合型プラズマが発表されている.ここでは,これらの競合する三種類のプラズマについて,生成法の原理や特徴について比較する.そして最後に,高密度プラズマに共通する問題点について述べる.
著者
橘 邦英
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.337-343, 2001-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
35

材料プロセスに用いられる反応性ガスの低圧プラズマ中では,電子やイオン,中性ラジカルなどが気相中や器壁・基板の表面でさまざまな物理的,化学的な過程を引き起こし,その結果として,薄膜形成,エッチング,表面改質などのプロセスが進行する.プロセスの再現性を確保して積極的に制御するためには,そのようなプラズマによって生成された非平衡反応場の中身を十分に理解することが必要となる.本講座の最初に,反応性プラズマ中での複雑な過程を,気相反応,輸送,表面反応に分類して基礎知識を整理する.
著者
大歳 創
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.1193-1197, 1990-09-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
23

半導体レーザーに歪み量子井戸構造を導入すると,材料選択の自由度が増すため,従来実現が困難であった波長領域での発振が可能になる.さらに,歪み効果自体を利用することで,従来の格子整合系の量子井戸レーザーに比べて特性を大幅に向上できる可能性がある.本稿では,歪みによるエネルギーバンド構造の変化とレーザー特性の関係について理論的に考察する.また,最近の0.9~1.1μm帯InGaAs/GaA8レーザー,および1.5μm帯InGaAs/InPレーザーの実験状況をまとめ,歪み量子井戸レーザーの現状と将来性について述べる.
著者
小林 昌弘
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.348-352, 2020-06-10 (Released:2020-06-10)
参考文献数
31

IoTという概念が広く知られるようになってから10年ほどが経過しました.すでに私たちの生活の中にもスマートフォンをはじめ,ネットワークに常時接続されることを前提としたさまざまなデバイス(Things)が浸透してきています.それら“Things”にとって,外の情報を取り込んで“Things”自身が自律的に有効に動作するために欠かすことのできない電子デバイスの1つが,“Things”の「眼(め)」となるイメージセンサです.この記事では,今後もますます広がるIoT時代を支えるイメージセンサ技術について,国際学会などで報告されている最先端のイメージセンサ関連技術などの紹介を交えながら述べたいと思います.
著者
中沢 正隆
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1265-1288, 1987
被引用文献数
2

低損失光ファイバーは,長中継光通信の実現に大きく貢献する一方で,エネルギーの集中および畏い相互作用長を有することから多くの非線形光学効果を容易に実現できる.今までの線形な範囲での光ファイバーの研究を非線形な分野まで拡大して考えるとき,工学的な立場からの多種多用な機能化と物理学における新分野の発展が見えてくる本報告では,最近急速な展開をみせている光ファイバー中の非線形光学効果について,誘導ラマン散乱,誘導ブリルアン散乱,誘導4光子混合,光パルス圧縮および光ソリトンを中心に互いの特徴を比較しつつ総合的に述べる.
著者
中沢 正隆
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
應用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.922-932, 1997-09-10
参考文献数
49

高速・長距離通信の実現を目指す光ソリトン通信は低雑音・高利得・広帯域という特徴をもつエルビウム光ファイバ増幅器の出現により画期的な進展があり,今では数多くの優れた光ソリトン伝送実験が報告されている.中でも最近の大きなブレイクスルーは分散のアロケーションによるパワーマージン・分散許容量の増大などソリトンの伝送の飛躍的な高性能化にある.分散ア日ケートソリトンは光カー効果によるソリトンとしての分散補償のほかに,伝送性能を劣化させる4光波混合などのほかの非線形光学効果を取り除くことができる点で大変重要な技術である.<br> 来るべき21世紀のマルチメデイア社会には大容量の通信が不可欠であり,ここで述べるDーAソリトン通信はその中核をなす技術の一っとなると考えられる.本報告では,目覚ましい進展を遂げているソリトン通信と将来展望について述べる.
著者
中沢 正隆
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.1175-1192, 1990
被引用文献数
4

光ファイバーのコアの部分に希土類元素Er<sup>3+</sup>イオンをドープしたエルビウム光ファイバー増幅器の出現は,今までの光通信のトップデータをほとんど塗り替え,予測ができないほど速いスピードで,光技術に大きな変革をもたらしつつある.この小型広帯域光増幅器により,光通信は第二世代に突入したといっても過言ではない.本稿ではこのErドープ光ファイバー増幅に関して,その基礎から応用まで最新の話題を踏まえて解説する.
著者
中沢 正隆
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
應用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.508-516, 2010-06-10
参考文献数
57
被引用文献数
2

<p>レーザーによる情報通信技術の発展,特に光ファイバー通信を中心に,ここ50年の発展を三つの世代に大別して概観する.第1世代は,1985年ごろまでの光ファイバーの低損失化・半導体レーザーの高性能化の時代である.いかにシリカファイバーが低損失化され,それとともに半導体レーザーの性能が向上していったかについて述べる.第2世代は2005年ごろまでのEDFAの出現とWDM技術による大容量化・長距離化の時代である.小型EDFAの出現はグローバルな高速ネットワークを実現したが,励起光源としての高出力InGaAsP半導体レーザーが重要な役割を果たしている.第3世代は2030年の情報通信を目指した多値コヒーレント伝送あるいは単一チャネルテラビット伝送である.光のコヒーレンス性と超高速性を極限まで駆使することにより,シャノンリミットと呼ばれる情報通信の限界に向けての研究が始まっている.そこで最後に周波数安定化レーザーとそれを用いたコヒーレント伝送の研究状況を述べる.</p>
著者
橘 房夫
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.592-600, 1960-09-10 (Released:2009-02-20)
参考文献数
15

Cold-cathode type X-ray tubes with auxiliary triggering electrode are developed which can produce X-rays of sufficiently high intensity with short duration of the order of one μ sec. To. get fine definition in the photogram, the anode of conical shape is used, and the most efficient condition of gap length between cathode and anode is investigated experimentally. By means of this X-ray apparatus combined with some suitable electronic delay circuit (3μ sec_??_10m sec) for triggering, X-ray shadowgrams corresponding to various stages of electrical explosion of fine metallic wires (fuse metal, copper, steel etc.) and thin aluminium foils are studied. When the electric current density through the wire is small, it is observed that, some-undulatory deformation of the wire takes place, resulting to the splitting of the wire into many fine droplets. In the early stage of explosion of copper wire coated with tin, its length is greatly increased and takes irregular zig-zag form, while its diameter remains the same as original. If the electrical energy in the wire is sufficiently high, sudden explosive vaporization occurs without any undulatory deformation or droplets formation.