著者
小林 直弥
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
no.47, pp.57-71, 2008

1930年代から40年代にかけ、戦前の日本で大変な人気を博していた舞踊家がいた。その名前は、朝鮮人の舞踊家「崔承喜(チェ・スンヒ)」である。日本では「サイ・ショウキ」の名前で知られ、多くの広告に抜擢されたり、また、世界ツアーや、歌舞伎座公演などを開催するなど活躍したという。さらに、未だ「創作舞踊」という概念が確立できてはいなかった時代にあって、その草分けである石井漠に舞踊を習い、日本、朝鮮、中国において活躍したこの崔承喜は、時代に翻弄されながらも、現代に新しい舞踊創造への働きかけを続けた人物である。このたび、著者の中国における海外研修において、崔承喜の足跡に加え、中国での活動の断片をまとめた考察が本稿である。
著者
山内 淳
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.A87-A100, 2004-07-30

シャルル8世のイタリア遠征は、当初の思惑どおりに事は運ばなかった。だが王侯貴族たちが、円熟期のルネサンス文化に直接触れたことの意味は大きかった。フランスのルネサンスは、実にこの時期から開花していくのである。一方、シャルル8世は不慮の事故で他界し、若くして未亡人となったアンヌ・ド・ブルターニュは、新国王ルイ12世から結婚を申し込まれる。こうしてアンヌは、二度目のフランス王妃となり、宮廷で大きな力を持つようになる。本論は、これまでに発表したアンヌ・ド・ブルターニュについての考察の続きである。
著者
川西 弘子
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.71-77, 2005

This is a study of Louisa May Alcott's Little Women from the artistic point of view. Color scheme, medium, works of art, and artists that appear in Little Women are analyzed. Conclusions are: 1) Art is widely depicted. 2) The author made use of art to give the work reality. 3) May Alcott made a significant contribution by offering Louisa May Alcott artistic information.
著者
此経 啓助
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
no.45, pp.15-29, 2007

明治維新を迎えた明治政府は、神道思想を柱にした宗教政策、いわば神道国教化政策を強行し始めた。それは王制復古と連動するもので、幕末の「文久の修陵」事業、「孝明天皇の陵墓」建設に引き続いて、墳墓に関していえば、天皇家の墓所である「陵墓」への崇拝と修陵が行なわれた。また、仏葬祭に代わる神葬祭を実現する神葬祭の礼式案が政府に数多く提出され、その実行のために「祖霊社」が全国各地に設けられ、提案された「神葬祭」が実行された。維新政府の進めたこれらの宗教政策に沿って、関連する墳墓を写真で紹介しながら、神道式墳墓を構成する要素を前回に引き続きさぐってみた。
著者
開發 孝次郎
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.93-107, 2005

天皇機関説排撃運動とは、表面上は天皇主権を認めさせようとする運動でした。しかしその本質は、それまでの歴史で繰り返されてきたように天皇を利用すること、利用しやすくすることが真の目的でした。外では米国における日本人を標的にした人種差別の激化、中国大陸における排日・侮日運動、共産国ソビエトの出現による共産主義の脅威、内では経済不況による大量失業など、内外で苦境に立たされている日本の現状打破に、大日本帝国憲法の不備の隙をついて、天皇の権威を確立し、それを利用して国家経営を行うことを目論んで軍部、右翼が引き起こした事件でした。
著者
熊谷 保宏
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
no.39, pp.81-98, 2004
著者
栄久庵 祥二
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.A35-A49, 2004-07-30

This research is an attempt to identify those elements that should constitute the design activity so far and explain the way it was and it is now. The seven design elements are supposed to change over time, thus explaining the nature of material culture unique to three ages that are pre-modern, modern and the present day as post modern. Broad history such as this may be partly compensated by the usefulness of simple table like apparatus that is expected to help design students to navigate through rather chaotic situations of design thinking today.
著者
蒲生 郷昭
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.A23-A38, 2005
被引用文献数
1

三味線が本土中央に伝来した当初は、「しやひせん」「しやみせん」「さみせん」などという称呼が併存していた。これらは当時の琉球人による発音の本土人による音訳、あるいはその転訛であったと思われる。文禄になると「しやひせん」等と書かれることはなくなり、はやくも「しやみせん」、またはそれに準ずるものが最有力になる。しかし漢字表記「三味線」、それに「三弦」という別称は、慶長にいたっても見ることができない。本稿では、いじょうのことを示したほか、この問題についての研究史の発掘もおこなった。
著者
此経 啓助
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.A47-A63, 2005

神道が仏教に対抗する形で意識上にのぼり、思想化の試みが果敢に実行されたのは、近世に入ってからといわれる。人々の生活に密着した葬祭(葬儀・埋葬)に関してもさまざまな計画が生まれ、明治新政府の神道を柱にした宗教政策に大きな影響を与えた。しかし、何をもって「神葬祭」というのかは公に統一されないまま今日に至っている。この小論では、神道を意図した墳墓を「神道式墳墓」と仮定して、近世における大名・神職・儒家・国学者などによる「神道式墳墓」の計画・意図・実行をさぐり、資料化を計った。
著者
廣澤 文則
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
no.47, pp.5-20, 2008

映画が発明されて約百二十年経った。映画の発明には多くの科学者や技術者達の技術開発や努力のおかげであり、一朝一夕に出来上がったものではない。映画技術史を授業で教えるためには、映画技術に関する科学史・写真史等は必要不可欠であり、時には化学史や機械開発史まで必要となってくる。しかし、それぞれの名専門分野での詳しい開発史はあるが、映画技術史に関すると思われるものを専門家ではないが、広く浅く年表にまとめ資料化を計った。