著者
加藤 好郎
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.24-28, 2001-02

ここ数年来、次年度の事業計画を作成する際、いつも悩まされるのが、「変わらなければならないもの」と「変わってはならないもの」とを常に対比しながら事業計画を考えることにある。つまり、慶応義塾図書館の伝統あるサービスの継承とインターネット環境下の新しいサービス展開を考えることであるが、予算が潤沢な時期であれば、悩むこともないわけだが、予算縮小期における事業展開については予算枠内での組み替え運用が必要となる。一方、新しい事業展開や研究支援をするうえでの必要な能力を持った図書館員の確保も必要になってきている。図書館員の養成・育成は、事業の実施・拡大において急務であり、そのためにしっかりした研究計画を立て、確実に養成・育成を実現していかなければならない。今回、慶応義塾図書館で行っている研修を紹介することで、今後の図書館界全体における研修が充実することを期待する。
著者
気谷 陽子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.33-41, 2002-12

大学院の量的整備によって倍増した博士課程大学院生が,大学と補完にどんなサービスを求めているのかを把握するため,1999年度に筑波大学に提出された課程博士論文の引用文献を用いて文献利用調査を行った。調査結果の定量的な分析に基づいて,筑波大学附属図書館の博士課程大学院生に対するサービスにおいては,図書のリクエスト制度,相互利用サービス,学術情報についての教育サービス,レファレンスサービスを拡充することが必要であるとかんがえられることを指摘する。
著者
兎内 勇津流
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.1-14, 2005-03

NII の総合目録においては,著者名典拠レコードの新規登録件数が低下傾向にあり,書誌レコード中の著者標目フィールドと著者名典拠とのリンク形成率もまた低下傾向にある。その一方,著者名典拠レコードの「歩留まり」には向上が見られるが,これには新規レコード作成に与かる館の減少が関係している可能性がある。NII の総合目録システムにおいては,参加館が多く登録書誌レコードが増えるほど目録負担が軽減され,それがさらに拡大を生むという循環の一方で,参加館の中に目録作成能力が十分でない館が増え,「歩留まり」の低下により,維持コストを引き上げる等の負の循環が生じるおそれがあり,それを踏まえた運営体制が要請される。
著者
大野 友和 久保木 和義 平田 さくら
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.13-19, 2001-08

明治大学図書館は、国際協力事業の一環として、韓国にある私立大学の一研究所の図書館づくりを支援した。翰林(ハンリン)大学校日本学研究所(池明観所長)日本語図書約3万冊を、わが国の国立情報学研究所目録所在情報サービス(NACSIS−CAT)を利用して整理するためのシステム構築、目録作成指導、図書館づくり指導等について、支援活動を行ってきた。本稿では、それら指導・支援に対する図書館としての考え方、システム化過程、図書館整理システムの概要、図書の整理方針の策定と整理方法及びNACSIS−CAT入力の為の要員要請過程などについて報告する。
著者
鹿島 みづき
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.1-10, 2004-08

メタデータはインターネットとその周辺技術の進化と共に、益々図書館にとって意味深い存在となった。メタデータを応用した技術は次世代目録や図書館ポータルの構築になくてはならないものだからである。そして、メタデータにおいても質の高い主題アクセス重要性が"ベイツレポート"など世界の動向からうかがい知ることができる。本稿は国立情報学研究所(NII)メタデータ・データベース共同構築事業でメターデータのメリットを確認することで、世界標準であることの有用性がもたらすLCSHの可能性を考察する。
著者
上野 恵
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.33-40, 2004-08

平成15年11月3日から同29日まで、研究マネジメント能力、国際対応能力向上を目的とした、文部科学省主催の「国際研究交流担当職員短期研修プログラム」に参加を与えられた。スウェーデンのヴェクショー大学図書館でゲストライブラリアンとして仕事をした経験を元に、スウェーデンの大学図書館の特色、図書館員の役割と実際の業務、図書館サービスの内容と、それらを可能にするスウェーデンの社会背景等について報告する。
著者
板谷 茂
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.15-20, 2006-03

広島大学図書館は平成16年度,プロジェクトチームを組み,「図書館の立場で社会への貢献として何ができるか。」について検討を行い,1.広島大学の図書館活動に理解・関心を持っている人から寄付を募る。2.一定金額以上寄付した人のうち,希望者に特別利用券「フレンドリー利用証」をプレゼントすることを制度化し,平成17年1月末その運用を開始した。また,平成17年7月には図書館内に地域住民等との交流を進める目的で「地域交流プラザ」を開設したのでその報告をする。Hiroshima University Library established a project team in 2004 whose assignment was to consider"what the library's responsibilities were towards society."In this regard, at the end of January2005, they began to(1)collect donations from people who were interested and supportive of HiroshimaUniversity Library activities, and(2)created a system to present special user cards(Friendly UserCards)to donors who had donated above a set amount. In addition, this paper reports on the July 2005opening of the Hiroshima University Library Regional Exchange Plaza.
著者
西脇 紀子
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.15-17, 2009-12

掲載誌目次の論題:自動精算機 (券売機) の図書館文献複写等サービスへの導入報告新潟大学附属図書館では,文献複写等(ILL)サービスの料金収納に自動券売機を導入し,2009年2月より運用を開始した。これにより利用者自身による料金支払ができ,夜間・土日祝日の文献複写物・相互貸借図書の授受が可能となり,利用者サービスの向上と,併せて文献複写料等の財務会計手続き上の業務改善も図ることができた。Niigata University Library installed a vending machine to handle interlibrary loan service payments and began using it in February 2009. This allowed users to make payments themselves, which then meant that they could received their requested articles and books in the evenings and weekends. As a result, use of the service increased and procedures for financial accounting improved.
著者
江上 敏哲
出版者
学術文献普及会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.60-71, 2006-08

2005年12月,イタリアのナポリ・ローマ・ヴェネツイアの日本資料図書館を訪問し,各館における実態,特に,活動・運営,蔵書,日本資料・日本情報の提供・入手,目録等について調査した。イタリアにおける日本語学習者は増加傾向にあるが,蔵書の多い図書館は少なく,ほとんどの図書館で東アジア・東洋等と同組織である。日本語を理解する司書も少ない。日本からの図書館サービス・情報発信の改善として,書誌・目録データベースにおけるローマ字併記の整備,ILL受付体制の整備と説明の強化等が考えられる。