著者
橋 洋平
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.115, pp.2068, 2020-08-31 (Released:2020-09-11)

1980年代後半以降,金沢大学附属図書館で行ってきた利用教育・学修支援活動の変遷を5 フェーズに分けて整理した後,現在,アクティブ・ラーニング型授業支援として,図書館が行っている授業,学修相談,セミナー,イベント等の内容を「授業内/外」,「フォーマル/インフォーマル」の観点で分けて紹介する。その活動のベースには,大学全体のミッション,各種補助金の活用,ラーニング・コモンズという場,図書館職員によるワーキンググループ及び教職・学生協働による実施,LMS の活用等がある。最後にその成果と課題をまとめる。
著者
二塚 恵里
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.2047, 2019-11-30 (Released:2019-12-24)

国立音楽大学附属図書館は音楽資料を中心に所蔵する音楽図書館であり,非図書資料である楽譜やAV資料も日常的に利用されている。保存の面から閉架式としているが,利用のためには目録を整備し,OPACで探し出せるようにしなければならない。本稿では,音楽資料の特徴とそれに応じた管理・提供の事例を,目録やOPACに重点を置いて紹介する。その中で,長年利用してきた独自開発システムから汎用の図書館システムに移行した経緯や,移行後のOPAC検索ログに見られる利用者の検索傾向についても報告する。
著者
森嶋 桃子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.34-41, 2009-03-31 (Released:2017-11-08)

大学図書館は厳しい環境の変化に直面しており,利用者の図書館に対する認識は十分でない。大学図書館が積極的に自らのプレゼンス(存在)を主張するためには,従来の図書館広報を見直す必要がある。広報のターゲットとしてステークホルダー(利害関係者)の存在を意識し,マーケティング手法の導入によって対象のニーズを把握することで,図書館に対する認知と支援を獲得することが可能となる。あわせて,北米研究図書館協会(ARL)による調査報告と米国図書館協会(ALA)によるキャンペーンについて紹介する。
著者
稲葉 直也
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.90-103, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)

近年,ラーニング・コモンズのような設備が図書館内で設けられるようになったことに伴い,大学図書館の場所としての利用を評価することがより強く求められているが,従来の図書館評価指標だけではその実態を測ることは難しい。本論文では,大学図書館で現実的に業務の一環として実施が可能な,観察調査法によって館内利用量を測定する方法を提案するとともに,大学図書館を評価する指標としての館内利用量の有効性について論じる。
著者
中元 誠
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.70-73, 2004-03-31 (Released:2017-11-17)

早稲田大学における図書館組織の再編について概観し今後の課題を示す。特に分散型大学図書館組織の問題と課題について述べる。また,関連して図書館組織の再編と業務委託の実態について今後の見通しを述べる。
著者
安江 明夫
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.32-38, 2012

<p>国際図書館連盟の『図書館の災害対策』(1995年)及び『災害に対する備えと計画-簡略マニュアル』(2006年)により,図書館に蔵書防災計画が必須であることの理解が世界的に広まってきている。しかし日本の図書館界ではこの理解が希薄で,蔵書防災計画を整備している図書館は殆どない。これでは図書館がその基盤とする蔵書を災害から保護することは困難である。本稿は蔵書防災計画の成立経緯を紹介した後,国際図書館連盟の防災計画を概説し,日本の大学図書館における早急の取組みを促す。</p>
著者
杉田 茂樹
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.29-37, 2014

<p>最近ほぼ10年の間に,国立情報学研究所CSI委託事業等を背景として,国内の数多くの大学で機関リポジトリが設置された。各大学の担当者は,経験のない機関リポジトリ構築という業務に,海外先行事例などを参考に積極的に取り組み,学内の認知度向上とコンテンツ増進のためのさまざまな手法を開発してきた。今日では,電子ジャーナルの発展をはじめとしたインターネット利用の普及によってやや希薄となった研究者との重要な接点のひとつとなっている。</p>
著者
AUGERI John
出版者
Japanese Coordinating Committee for University Libraries
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.2051, 2019-11-30 (Released:2020-01-29)

An international comparative study of Learning Spaces (Active Learning Classrooms, Collaborative Lecture Theaters, Learning Commons, Learning Centers) has been launched in 2016. Still ongoing, it seeks to identify the internal and external dynamics that are leading an institution to establish such innovative physical spaces, and to qualify the reality of the transformations they induce on the campuses. Among them, the Learning Centers and the Learning Commons, are very directly connected to the university libraries, and are sometime considered as representing their mid or long-term future. Beyond trans-continental trends, this study has highlighted local specificities on the strategic and operational matters of the Learning Spaces. This paper proposes to focus on the Japanese ones, through the prism of libraries.
著者
海浦 浩子 森 一郎
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.2053, 2019-11-30 (Released:2020-01-08)

国公私立大学図書館協力委員会は,長年,大学図書館での著作権を尊重しつつ著作物利用を簡便化するための活動を行ってきた。そのような中,「学校その他の教育機関における複製等」について定めた著作権法第35条が改正される流れを受け,法改正後に,大学内において教育資源の相当部分を管理する図書館が果たすべき役割を検討するため,1980年代から教育現場で著作物をブランケットライセンスにより利用しているイギリスを実地調査した。イギリスの大学における著作物の利用の状況及び調査前後の国公私立大学図書館協力委員会の活動について報告する。
著者
韓 嘉雯
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.2046, 2019-11-30 (Released:2019-12-24)

2018年4月にリニューアルオープンしたお茶の水女子大学附属図書館では, 多様な機能を持つ快適な学習空間を提供している。リニューアル以前からラーニングコモンズの一角に設置している学習支援組織LALA(Library Academic Learning Adviser)デスクでは, 引き続き大学院生による学習支援が行われている。リニューアルオープンしたお茶の水女子大学附属図書館が, 施設面や人的サポートなどにおいてより充実している中で, 本稿ではリニューアルオープンしたラーニングコモンズ並びにLALAデスクの利用実態を調査し, リニューアル以前と比較することで, 実際に改善してきたことを報告し, さらに今後にチャレンジすべき課題を検討する。
著者
西岡 千文
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.112, 2019

IIIFに準拠した京都大学貴重資料デジタルアーカイブは,2018年12月1日に正式公開から一周年を迎えた。本稿は,2017年10月から2018年11月までのデジタルアーカイブの利用状況を報告する。アクセス数は,概ね増加傾向が観察された。アクセスの約4割が中国・アメリカなど海外からであった。富士川文庫ならびに絵図を含む資料が頻繁に閲覧されている。2種類のIIIF対応画像ビューワは同頻度で利用されており,「目的・嗜好に応じてソフトウェアを選択できる」というIIIFの特長を反映している。
著者
西岡 千文 杉田 茂樹 山中 節子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.109, 2018

本稿では2018年2月にカリフォルニア大学サンディエゴ校,同ロサンゼルス校,カリフォルニア工科大学,南カリフォルニア大学の大学図書館で実施したインタビュー調査に基づき,米国の大学図書館でのオープンアクセスならびに研究データ管理の支援について報告する。
著者
関 秀行
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.11-18, 2013

<p>慶應義塾大学メディアセンターでは海外の図書館・図書館活動との連携を重視した図書館運営を行っている。目録フォーマットと図書館システムの国際標準化を基盤に,Googleブックス図書館プロジェクト,OCLC Research Library Partnershipなどの国際的な活動に参加しており,職員の海外図書館研修にも力を入れている。本稿では,それぞれの活動を概観として報告し,「国際化」を支える背景について述べる。</p>
著者
西岡 千文
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.2038, 2019-08-31 (Released:2019-09-05)

IIIFに準拠した京都大学貴重資料デジタルアーカイブは,2018年12月1日に正式公開から一周年を迎えた。本稿は,2017年10月から2018年11月までのデジタルアーカイブの利用状況を報告する。アクセス数は,概ね増加傾向が観察された。アクセスの約4割が中国・アメリカなど海外からであった。富士川文庫ならびに絵図を含む資料が頻繁に閲覧されている。2種類のIIIF対応画像ビューワは同頻度で利用されており,「目的・嗜好に応じてソフトウェアを選択できる」というIIIFの特長を反映している。
著者
高橋 輝
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.59-68, 2007-12

文部科学省より予算措置され,修復された,琉球大学所蔵のベッテルハイムの手稿日記・手稿公文書簡集を題材に,この史料の意義および修復内容を報告する。また,この史料を機関リポジトリにより公開する際に考えられる,アイテムのとらえ方のいくつかの形態について,その検討の過程を述べる。This paper reports on the significance and methods of restoration of the manuscript journals and letters in the Bettelheim collection held by University of the Ryukyus, undertaken with funding from the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology. The author also considers various methods for releasing these rare materials within the institutional repository.
著者
長谷川 哲也 内田 良
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.108, 2018

大学図書館における「教育」の機能は重要さを増しており,その成否の鍵を握るのが図書館職員である。本研究の目的は,国立大学の大学図書館における「教育」活動に着目し,その担い手となる職員の量と質に関して,大学間の格差の実態を明らかにすることである。分析の結果,とりわけ司書数における雇用形態別の大学階層間格差は拡大していることが明らかとなった。大規模な総合型大学では,小規模な単科型大学に比べて,正規採用で専門性の高い司書が,「教育」活動に従事する傾向が強まっている。
著者
大西 賢人 大西 賢人
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.6-10, 2015

<p>API (Application Programming Interfaces)は開発者がTwitter,Flickr,Instagram,Vimeo,FacebookなどのWebサイトのコンテンツやサービスにアクセスするためのツールである。APIは図書館Webサイトとコンテンツを関連づけたり,SEO(検索エンジン最適化)を通してコンテンツをより発見しやすくする方法を提供してくれる。APIを使用すれば,開発者は外部のWebサービスとコンテンツをやりとりすることができる。例えば,画像とメタデータをFlickrにアップロードしたり,Instagramから画像とメタデータを取得すれば,図書館のWebサイトで表示させることができる。APIを使えば,図書館のコンテンツをWeb上で人々が訪れる場所へ引き出すことが可能になる。本稿では,APIの技術的な解説と,APIが図書館にとってどのような価値があるか,また,マイアミ大学図書館(Miami University Libraries)がアウトリーチとコミュニケーションを拡大するためにどのようにAPIを活用してきたかについて紹介する。</p>
著者
南山 泰之
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.16-23, 2016-03-04 (Released:2017-09-29)

近年,オープンサイエンスに関する議論を契機として,組織的な研究データ管理の必要性が高まりつつある。本稿では,国内外の研究データ管理の動向を概観しつつ,研究データ管理は大学図書館が取り組むべき課題であることを指摘する。続いて,研究データリポジトリ運営に向けた検討を加え,国内における研究データ管理・支援に向けた課題や取り組みを紹介しつつ,保存・整理の専門家として大学図書館員に今後求められる能力やサービスを考察する。