著者
塚本 潔 池田 正孝 野田 雅史 山野 智基 小林 政義 濱中 美千子 馬場谷 彰仁 木村 慶 宋 智亨 今田 絢子 内野 基 池内 浩基 冨田 尚裕
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.450-456, 2018-04-20

【ポイント】◆根治性と機能温存の観点から,家族性大腸腺腫症に対して大腸全摘・J型回腸囊肛門吻合術が標準術式とされている.◆肛門側操作で確実な粘膜切除と括約筋温存を心がけることで根治性と機能温存が両立される.◆1期的手術や腹腔鏡手術の有用性が期待されるが,いまだ十分なコンセンサスを得たものではなく,専門性の高い術式であるという認識をもつことも必要である.*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画(Flash形式)を見ることができます(公開期間:2021年4月末まで)。
著者
伊藤 庸二
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.637-640, 1965-05
著者
隈本 力 倉橋 康則 仁和 浩貴 中西 保貴 小澤 りえ 奥村 公一 石田 善敬 篠原 尚
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.49-52, 2018-10-22

●point●幽門下領域の解剖学的特性を理解する.●切除すべき間膜の脂肪と温存すべき間膜内構成成分(膵や血管)との間に存在する疎性結合組織の層,いわゆる剝離可能層(dissectable layer)を見極める.*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2023年10月末まで)。
著者
杉山 貢 渡辺 桂一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.221-226, 1985-02-20

消化管穿孔は汎発性もしくは限局性腹膜炎を伴う,急性腹症の代表的疾患であり,ごく少数例を除いては,緊急手術を必要とする.ここでは主に上部消化管穿孔の外科治療のノウ・ハウについて,以下の項目につき,また特殊な症例も紹介し,具体的にその要領を述べる.1.穿孔部の修復(①穿孔部の探索法,②穿孔部閉鎖法),2.原疾患の根治手術(胃・十二指腸潰瘍,胃癌など),3.腹膜炎に対する外科的処置(①腹腔内洗浄法,②腹腔内ドレナージ,③腹腔内術後持続洗浄). 近年,上部消化管の穿孔性腹膜炎の病態に対する認識も深まり,ultrasonographyなどの画像診断の応用や治療,技術の進歩により,外科治療の成績は飛躍的に向上している.そのため,一方では,緊急手術であつても背後の原病に対する根治が要求されるようになつて来ている.しかし,上部消化管の穿孔性腹膜炎の外科手術にあたつては,先ず救命を第一に考え,"push to safe side"を心掛けることが大切であろう.
著者
山川 良精 岡田 五郞
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.891-893, 1959-08-20

いわゆる急性腹症の診断で救急手術が施行された症例には術前全く想像もできない意外な原因による場合が稀に見られることがある.今般私達は教室において全く原因不明のS字状結腸穿孔による急性腹膜炎の1例を経験したのでここに報告し併せて考按を試みた.
著者
蜂須賀 喜多男 坪根 幹夫 渡辺 英世
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.397-399, 1986-04-20

胆嚢非上皮性悪性腫瘍すなわち胆嚢肉腫は,稀な疾患である.しかし最近の超音波検査(以下US),CTスキャン等の画像診断の発達により診断が容易となり,今後手術症例数は増加するものと考えられる.
著者
伊関 丈治 高見 実 伊藤 徹 出月 康夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.277-279, 1986-03-20

良性上皮性腫瘍の分類 従来,胆嚢の良性上皮性腫瘍として腺腫があげられてきた.腺腫は乳頭状ないし腺管構造からなるポリープ状の隆起性病変と規定される.1)しかし肉眼的に隆起が軽度であるか隆起を示さない腫瘍性病変も腺腫に含めるとする見解もある.2)著者は肉眼的に隆起が明瞭な良性の腫瘍性病変と,肉眼的に隆起が明らかでない中等度ないし高度の異型上皮からなる腫瘍性病変は,その組織像も異なることから別個に扱い,前者を腺腫,後者を異型上皮巣と呼称することが適切ではないかと考えている.異型上皮からなる病変がすべて腫瘍性病変であるとは限らない.しかし,そのなかには異型性が強く,癌との境界領域病変とみなさざるをえないものがあり,それらは良性上皮性腫瘍に含めることが妥当と思われる。
著者
平野 聡 中村 透 浅野 賢道 岡村 圭佑 土川 貴裕 野路 武寛 中西 喜嗣 田中 公貴 村上 壮一 海老原 裕磨 倉島 庸 七戸 俊明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1329-1336, 2017-11-20

【ポイント】◆腹腔動脈合併尾側膵切除術(DP-CAR)が適応となる病変のほとんどは,新取扱い規約の切除可能性分類においては切除可能境界または切除不能病変である.◆本術式では適応診断を慎重に行えば,ほとんどの症例で癌遺残のない(R0)切除を達成可能であるが,進行膵臓癌として一定の再発は免れられず,術前の化学(放射線)療法との組み合わせを考慮すべきである.◆原法では大動脈上での腹腔動脈の結紮切離,上腸間膜動脈周囲神経叢の完全切除を伴うが,進展度によって切除範囲を縮小することも可能である.その場合も主要動脈の操作は安全性と根治性に対する十分な配慮が必要である.*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画(Flash形式)を見ることができます(公開期間:2020年11月末まで)。
著者
卜部 美代志
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.415-416, 1975-04-20

私達は,学生の頃,外科総論の講義をきいて,外科的症候学,ないし,外科的診断学を学んだことを,なつかしく思いだすことができる.それで考えられることは,外科学のはじまりは,疼痛,腫脹,腫瘍,出血,潰瘍などphysical signsから起こつて,発達してきたのではないかということである.その後,今日までの外科学の進歩に従つて,これらのphysical signsの観察内容,ならびに,意義づけも,昔に比べて大きく進展し,近代外科学の理論がおりこまれているにちがいない.例えば,出血についても,現代の外科医がぜひ知らねばならない新しい知見がたくさん加えられ,また,今後,進むべき方向も示されているにちがいないのである. Physical signsは,くわしくいえば,症状と所見とに分けられるであろう.
著者
高田 忠敬 内山 勝弘 安田 秀喜 長谷川 浩 里井 豊 国安 芳夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.627-631, 1985-05-20

はじめに 1935年Whippleら1)が乳頭部癌に対し,はじめて二期的膵頭十二指腸切除を行つた.しかし,当初胆管および膵断端の消化管への吻合はなされておらず,1943年Whipple2),Child3),Cattelら4)により胆管および膵断端と消化管の吻合を同時に行う一期的膵頭十二指腸切除術が考案された.これらの術式の特徴は,重篤な合併症としての膵腸吻合部や胆管空腸吻合部の縫合不全,逆行性胆管炎などの対策として,これらの吻合部に食物を通過させないようにしたことである.これに対し,1960年今永5)は縫合不全や胆管炎の発生と食物の通過経路とは関係がないとし,Braun吻合を付加しないCattel変法とも言われる再建法を報告した. 膵頭十二指腸切除後の再建法で長年問題となつていたのは,膵腸吻合部の縫合不全であることは言うまでもないが,再建法ならびに吻合法,素材の種々の工夫,膵管外瘻の付加,さらに高カロリー輸液法などの栄養管理が進み,縫合不全は以前に比べ激減してきており,実際われわれも最近3年間に施行した膵頭十二指腸切除57例では1例も経験していない.しかし,Fortnerら6)の提唱以来,積極的に郭清を行う拡大膵頭十二指腸切除の普及により,頑固な下痢の発生など消化吸収障害の問題が新たな合併症としてクローズアップされてきた7)こともあり,膵頭十二指腸切除についても術後の消化機能を温存する術式が望まれるようになつてきた.
著者
三河内 薫丸 村瀬 活郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.331-335, 1967-03-20

はじめに 頭部開放創は,頭皮より脳実質までの種々の組織の複雑な損傷の組合せであり,処置もまた種々の要素を含んでいる.不適当な処置を行なつた場合は死の転帰をとる場合もあり,運よく死をまぬがれえたとしても後日,頭骨骨髄炎,化膿性髄膜炎,脳膿瘍,脳海綿腫,外傷性てんかんなどの悲惨な合併症の原因となる. 頭部開放創はこれを治療面より見た場合,その深さに応じ,次のごとく分類して考えるのが便利と思う.
著者
中川 国利
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.11, 2018-01-20

忘年会や新年会などで,酒を飲む機会が多い季節を迎えた.飲酒運転に対する社会の目は厳しく,今や犯罪として処罰される.では診療上における飲酒は如何であろうか. 運送業界や航空業界では,就労12時間前からの禁酒が規定されている.さらに就労時には,呼気におけるアルコール濃度測定を義務付けている会社も多い.したがって午前8時半から仕事に従事する場合には,前日の午後8時半からはソフトドリンクしか飲めないことになる.
著者
篠原 正一 田中 亨
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1321-1323, 1963-10-20

第4中足骨の発育障害を基調とししばしば趾骨ことに基節骨の短縮を伴なう第4趾の変形として記載されている第4趾短縮症の1例を神中式手術を行ない治癒せしめたので報告する.
著者
前田 耕太郎 花井 恒一 佐藤 美信 升森 宏次 小出 欽和 松岡 宏 勝野 秀稔 野呂 智仁 本多 克行 塩田 規帆 遠藤 智美 松岡 伸司
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1496-1499, 2011-11-20

【ポイント】 ◆フルニエ症候群は会陰部,外陰部に発生する激症壊死性感染症で,急速に進行する予後不良な疾患である. ◆多くは糖尿病やアルコール中毒などの合併症を持ち,肛門周囲膿瘍などの直腸肛門・泌尿器科疾患に起因する. ◆早期診断,早期の壊死部除去,十分な排膿,ドレナージ,適切な抗菌薬投与,栄養管理が必要である.
著者
中川 国利
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.825, 2019-07-20

尿意を感じればトイレに行くのが自然であり,我慢にも限界がある.では長時間に及ぶ手術中にトイレに行きたくなったら,外科医はどうしているのだろうか. かつての名物外科教授の中には,手術中に尿意を催し,「婦長,尿瓶」と宣った強者がいたそうだ.そして手慣れた婦長は「失礼します」と語って教授の排尿を手伝い,教授は手を休めることなく手術を続け,「ご苦労様」と語ったと伝えられている.
著者
前川 智 新澤 真理 原田 大
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.460-466, 2021-04-20

【ポイント】◆内視鏡的胃内バルーン留置術は,BMIが27 kg/m2以上の肥満患者に対する減量を目的として,内視鏡を用いて胃の中に直径が約10 cmのバルーンを留置する術式のことである.◆物理的な胃内容量の減少と機能的な胃内容の排泄遅延によって,摂食量を減少させることで減量効果を期待する治療法であり,穹窿部にバルーンを留置することが望ましい.◆完全に可逆的な治療法であるため,十分な効果が得られるためには,バルーン留置中および留置後の食事指導が重要となる.*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年4月末まで)。
著者
松川 周 橋本 保彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.307-312, 1995-03-20

Q1 ウィーニングとは? ウィーニング(weaning)とは,もともと“離乳あるいは離乳させること”であり,機械的人工換気を受けている患者の換気条件を変えていって最終的に自発換気に移行させる過程が,乳児の離乳の過程を連想させることから,患者が人工呼吸器から離脱していく過程を“ウィーニング”と呼びならわすようになった.しかし,ここで注意しなければならないのは,乳児の離乳が時期が来なければ開始できないように,何らかの機械的人工換気の補助を受けている患者を人工呼吸器から離脱(ウィーニング)させる場合も,それなりの条件が整わなければ不可能な点である. 患者が機械的人工換気を必要とするのにはそれぞれに理由・原因があり,根本原因が解決されていなければ人工呼吸器からの離脱の試みは患者にとって侵襲そのものになってしまう.われわれはしばしば“人工呼吸から離脱する”あるいは“ウィーニングを図る”といった表現をしがちだが,より正確には“患者の状態が改善して機械的人工換気を必要とする度合いが少なくなるのを見定めて,換気条件をより自発換気に近づけていく”のがウィーニングであるといってもよいであろう.さらに踏み込んでいえば,患者が人工換気を必要とする要因を1つ1つ無くしていく治療過程そのものがウィーニングであるともいえる.
著者
古橋 正吉 宮前 卓之 上田 伊佐雄
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.p357-365, 1975-03
被引用文献数
2
著者
河原 秀次郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.461-464, 2017-04-20

【ポイント】◆機能的端々吻合は2つの腸管の側々吻合であるが,腸管内容の移送の面からは端々吻合と同等と考えられてきた吻合法である.◆吻合法には,順行式(normograde)と逆行式(retrograde)の2つがある.◆順行式吻合術は小腸結腸吻合に最も用いられてきた吻合法であるが,逆行式吻合は結腸結腸吻合あるいは結腸直腸吻合に有用な吻合法である.*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年4月末まで)。