著者
日本色彩学会 ISO TC/187色表示国内委員会
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.209-217, 1993-11-01
被引用文献数
8

Natural Color System (NCS) は代表的な表色系の1つであり, その原理は心理測定に基づいて構成されている。この表色系は長所も多く, 世界の各地で用いられているが, 日本語では系統だった解説書がまだないのが実状である。そこで本委員会では会員の便に供するため, この表色系の解説書であるSwedish Standard SS01 91 00Eを日本語に翻訳した。
著者
佐藤 千穂
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.74-81, 1997-05-01
参考文献数
8
被引用文献数
2

肌色に関する研究は数多く報告されているが, 実空間での顔色の見えについての研究は少ない。顔色の見えは照明や背景色などの様々な環境要因や, 洋服の色や化粧などに影響される。さらに色の見えは, その面積や形, 配置によっても変化するだろう。本研究では形の議論は今後の課題として, 洋服の色によって影響される顔色の見えに着目した。それは洋服が人の顔を見る視野の中で多くの面積を占めることと, 面積効果を考慮して, まずは顔と同じくらいの面積での色の比較を行いたかったためである。実験では胸にかけられる長方形の色のついた綿の布を洋服のかわりに使用した。布の色にはマンセル表色系で規則的な43色と, 洋服の色や化粧品の色を考慮した22色からなる65色を選定した。モデル(38名の女性)は色のついた布を胸にかけて着席し, 5名の観察者はこの時のモデルの顔色の見えを評価した。この評価を各モデルに対して65回実施した。評価構造の解析と各布の色での顔色の見えの違いを検討したところ, 顔色は明るい色や赤みのある布ではきれいで健康的であり, 一方暗い色や青みのある布ではくすんで不健康に見える結果が得られた。
著者
小町谷 朝生
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, 1998-07-01
著者
呂 清夫
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.155-161, 1992-01-01
被引用文献数
1

文字の海の中に, 伝統色名セツ卜をどのように選定すれば, 代表性や普遍性のあるものになるのか。本研究では, 「中国色名綜覧」^<1)>および「中国の伝統色」^<2)>を, 英語の「色の標準と命名法」および「色彩辞典」と比較研究を行い, 調べた数字でその相違をはっきり比較させると共に, その色名選定の基準についての相違までも比較をする。そして, 英語の2種類の権威的な著作の間には, その選定の基準が比較的近いため, それぞれの選定した色名が重なるものが多いのに対して, 中国色名に関する2種類の著作の間には, その基準ががなり離れているため, それぞれの選定した色名が, 全く別なもののように見える。そればかりでなく, 中国語並びに英語の色名が代表する色彩についても, ほぼ同じ現象が存在している。つまり, 中国語と英語のそれぞれの両種類の著作にある色名の代表色を, 別々にNickersonの退色指数で表示すると, 英語の二つの著作にある色名の代表色は, 中国色名の二つの著作にある色彩より, その安定性が比較的高い。以上の現象の探求とその原因の究明とが本研究の要旨である。それは伝統色名セットの選定のキー・ポイントであろう。
著者
稲垣 卓造
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.148-156, 1989-02-10
被引用文献数
2

この研究は, 景観設計への応用を目的とし, 建築外部色彩と広告塔の色彩の視覚効果を定量化するために行ったものである。実験では, コンピュータグラフィックスにより作成された150の刺激を, カラースライドで被験者に提示した。まずファサードの色彩が異なった建築のスライドを, 17の形容詞対によりSD法で評価させた (実験1)。次に150の広告塔 (3つの規模, 10色の広告塔, 5色の下層建築の組合せ) に対する評価を「効果点」, 「不快さ」の2つの尺度で評定させた (実験2)。1) 因子分析により4因子が抽出された。第I因子は建築外観の快さに関係し, 「評価」因子と名付けた。第II因子は外観の活気の程度に関係するため, 「活動」因子とした。第III因子は「暖かい-冷たい」の尺度だけに関与し, 「暖かさ」因子と命名した。そして第IV因子は, 「明確さ」因子とした。2) 数量化I類により, 第I因子「評価」は他の要因よりも明度の影響を強く受けていることが明らかになった。また「活動」は彩度に, 「暖かさ」は色相に影響されている。すなわち, 明度が高くなるほど建築は快く感じられ, 彩度が高くなるほど活気が出てくる。3) 広告塔の「効果点」は主として, 建築との明度差に依存し, ついで広告塔の色彩自体が影響力をもつ。「不快さ」もまた, 明度差に最も大きく影響を受ける。
著者
大田 久美子 足立 章子 松木 智美 長谷川 敬
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.4-11, 1995-02-01
被引用文献数
4

ファンデーションの主観的評価において, 他者評価(他人の化粧状態に対する評価)における要因分析と肌色の影響を調べるために実験を行った。実験は, 色白タイプ2名, 色黒タイプ2名の合計4名のモデルが16種のファンデーションで化粧した顔を, 色白タイプ11名, 色黒タイプ10名, 合計21名の評価者が45組の形容詞語対を用いて5段階評定尺度によって評価するもので, 以下の結果を得た。(1)他者評価において最も重要な要因は「自然な美しさ」である。(2)他人の化粧を評価するときは外見的な基準を重視していた。但し, 評価者の肌色タイプによって評価構造が違うことも判った。(3)色黒タイプと自認している人は自分でした化粧を評価するときと, 他人から評価されることを意識するときとでは, 評価の基準が大きく違う。(4)色白タイプの人の場合,自己評価における基準には「目立ち」という外見的な要因が含まれるが, 他者を評価するときは, より具体的な「なめらかさ」「透明感」という肌特性を重視している。これらの知見を総合的に考察した結果, 他人の化粧状態を評価する場合でも, 自分の肌色に対する意識が評価に大きく影響していることが明らかとなった。
著者
長谷川 敬
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.146-151, 1988-03-01
被引用文献数
4

CRT上に8×15文字で呈示される色文字の可能性の評価(5段階法)を通して, 低コントラスト領域での文字対背景としての配色と輝度比の許容呈示条件を求めた。その結果, 輝度比では1.8〜0.7の範囲を避けるべきこと, 配色では白や暖色系の色を文字とし, 寒色系の色を背景とするのがよいことがわかった。また, 青背景のときは文字が背景より暗いことは不適当であること, 文字が寒色系のときは不適輝度比域が暖色系のときより高いレベルにあること, 評価の内容にかなりの個人差があることなどを示した。