著者
森岡 孝二
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3-4, pp.521-544, 2004-11-11

1980年代以降、19世紀後半から1世紀余り続いた労働時間の短縮の時代が終わり、世界的に労働時間の増加が生じている。アメリカではJ.B.ショアが『働きすぎのアメリカ人』(1991年)において包括的な統計分析を踏まえて、働きすぎの時代が到来したことをいち早く明らかにした。その後、ショアの提起は経済学や社会学における労働時間論議に火をつけ、労働統計や生活時間研究の専門家を巻き込んだ論争を引き起こした。本稿では、ショアの問題提起に始まるアメリカにおける労働時間論争を跡づけ、日本との対比に留意して、アメリカ人の働きすぎの実態とその主要な原因について検討する。その作業からアメリカにおける労働時間の増大は、長時間労働者と短時間労働者への二極分化、女性における職場と家庭のタイム・デバイド、働きすぎと浪費の悪循環などの特徴をもっていることが浮かび上がるだろう。
著者
楠 貞義
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.309-329, 2003-12-16

20世紀のメキシコ経済について考察する。(1)2度の石油ブームの功罪、(2)メキシコ革命の産物「メキシコ石油」Pemexの誕生とその後の役割、(3)輸入代替工業化と「メキシコ経済の奇跡」、(4)70年代以降相次ぐ危機の背後にある石油増産と累積債務問題などを分析する。
著者
杉原 四郎
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.725-740, 1994-10-30
著者
北川 勝彦
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.53-75, 2006-06-15

1930年代、日本品は新市場アフリカへ進出した。日本品にとって重要な市場となったのは、エジプト、南アフリカ、イギリス領東アフリカ、フランス領アフリカおよびモロッコであった。本研究ノートでは、モロッコ市場への日本品、とくに綿織物と日本茶の進出状況について考察した。日本品の進出を可能にしたのは、カサブランカに開設された領事館における市場調査と通商情報の提供であったが、モロッコをめぐる国際秩序が関係していた。しかし、1938年7月にイギリスとフランスの間で締結された通商条約は1930年代中頃における日本品のモロッコ市場への進出を可能にした国際秩序に影響すると考えられた。
著者
上久保 敏
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.81-88, 2002-06-01
著者
北川 勝彦
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.363-383, 2001-03-15

本研究ノートは、1980年代中頃から1990年代末にいたるまでに発表された南アフリカ経済史に関する諸研究の展望を試みたものである。主として『南アフリカ経済史ジャーナル』(South African Journal of Economic History) 、『南アフリカ歴史ジャーナル』 (South African Historical Journal) および『南部アフリカ研究ジャーナル』 (Journal of Southern African Studies) に掲載された諸論文を調査研究した。南アフリカ経済史の解釈をめぐる「リベラル派」と「ラディカル派」 の論争をふりかえり、経済史研究で主として取り上げられた諸問題一現代南アフリカ経済論、農業と農村社会の変化、鉱業と製造業、19世紀植民地経済、奴隷制社会などーを考察するにあたって重要と考えられる諸研究を順次整理した。現在、南アフリカ経済史研究は、1880年代から両大戦間期にかけての工業化をめぐる問題に焦点、があわせられているように思われる。
著者
古松 丈周
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.315-329, 2017-12-10

本稿は、ポール・M・スウィージーの資本主義発展論を、彼のローザ・ルクセンブルク論の検討を通して明らかにするものである。ローザ・ルクセンブルクの『資本蓄積論』は、資本主義の枠内での資本蓄積の可能性を否定し、剰余価値実現のための需要を非資本主義世界に求めた。この理論は多くのマルクス主義者によって否定されてきたが、スウィージーはこの理論を否定しながらも、彼女を高く評価し、彼女の問題意識を引き継ぎながら自らの理論を構築していった。初期の主著『資本主義発展の理論』のローザ・ルクセンブルク論、そしてローザ・ルクセンブルク『資本蓄積論』のイタリア語版によせた序文にはルクセンブルクに対する批判とともに、彼女の問題意識をどう引き継ぐかという問題意識が示される。そして『資本主義発展の理論』の16章「世界経済」では、ルクセンブルクの理論を世界経済分析に発展させ、非資本主義地域が資本主義地域の資本輸出の対象となり、資本蓄積の源泉となることを明らかにしたのである。
著者
本多 新平
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.611-629, 1967-10-25
著者
許 海珠
出版者
關西大学經済學會
雑誌
関西大学経済論集 = The economic review of Kansai University (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.261-284, 2019-03

近年、無人コンビニ・スーパー、二次元コード決済、シェア自転車など、「中国発イノベーション」が世界の関心を集めている。「中国発イノベーション」はどのようにして起こったのか、本論はアリババとテンセントの事例を通して、中国のIT企業が躍進する背景と要因、IT企業の成長と「中国発イノベーション」との関係性について考察した。
著者
北川 勝彦
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.47-67, 2001-03

本研究ノートは、1980年代中頃から1990年代末にいたるまでに発表された南アフリカ経済史に関する諸研究の展望を試みたものである。主として『南アフリカ経済史ジャーナル』(South African Journal of Economic History) 、『南アフリカ歴史ジャーナル』 (South African Historical Journal) および『南部アフリカ研究ジャーナル』 (Journal of Southern African Studies) に掲載された諸論文を調査研究した。南アフリカ経済史の解釈をめぐる「リベラル派」と「ラディカル派」 の論争をふりかえり、経済史研究で主として取り上げられた諸問題一現代南アフリカ経済論、農業と農村社会の変化、鉱業と製造業、19世紀植民地経済、奴隷制社会などーを考察するにあたって重要と考えられる諸研究を順次整理した。現在、南アフリカ経済史研究は、1880年代から両大戦間期にかけての工業化をめぐる問題に焦点、があわせられているように思われる。
著者
中澤 信彦
出版者
關西大学經済學會
雑誌
関西大学経済論集 = Economic review of Kansai University (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.353-364, 2017-12

このたび『バーク読本-保守主義の父〉再考のために』と題する書籍を刊行する機会に恵まれた。同書は、科研費にもとづく共同研究の研究成果として、専門分野を異にする10名のバーク研究者が執筆したものである。この小論では、筆者が編者として編集作業の過程で振り返らざるをえなかった自分自身の研究史に触れながら(Ⅰ)、同書がバーク研究・保守主義研究のいかなる新地平を切り拓こうとしたのかを確認し(Ⅱ)、同書の成果がこれからのマルサス研究にもたらす豊かな可能性の一端を瞥見したい(Ⅲ)。
著者
杉原 四郎
出版者
關西大学經済學會
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.725-740, 1994-10-30