著者
椿 真 中川 博樹 岩浪 正典 中野 弘伸
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.33-39, 2005-06-29
参考文献数
4
被引用文献数
3

毎年,電気火災によって人命が失われる事故が多く発生している。この原因の一つとして配線器具の差込みプラグやコンセント部からの発火が挙げられている。発火原因は,電源と配線器具との接続部の過熱による場合と,配線器具の絶縁破壊による短絡,いわゆるトラッキング現象による場合がある。本論文では,トラッキング現象のプロセスを解明することを目的として,差込みプラグの絶縁材料として主に使用されているポリ塩化ビニル樹脂と,コンセント用の絶縁材料であるユリア樹脂について,熱的な影響と電解液の濃度条件を変えて耐トラッキング性について検討を行った。この結果,測定された漏れ電流の挙動からトラッキング現象の発生メカニズムについて考察した。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
植竹 徹 大島 泰伸 大橋 正史 奈良 松範
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.35-43, 2001 (Released:2011-05-09)
参考文献数
12

火災時に火災室或いはこれから漏れ出た煙に対してウォーターミスト噴霧することにより消煙することを目的として実験的な研究を行った。まず,ウォーターミスト発生に適したノズルを複数選定し,その種類や放水圧力を変化させて水粒子径の計測,流量分布の測定を行い,ウォーターミスト発生の条件を確認した。その後,灯油の燃焼あるいは木のチップの燻焼による煙を密閉された空間に溜めて,その空間の上部よりウォーターミスト噴霧を行い,その消煙効果を調査した。(オンラインのみ掲載)
著者
樋本 圭佑 幾代 健司 秋元 康男 北後 明彦 田中 哮義
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.53-63, 2006-12-25
参考文献数
20
被引用文献数
2

本論文では,筆者らがこれまでに開発してきた都市火災性状予測モデルに対して,放水の物理的火災抑制効果,ならびに都市火災時における住民の消火活動行動を組み込むことで,可搬ポンプ等を利用した地域消火活動の有効性を定量的に評価可能なモデルヘと発展させた。ケーススタディとして,同形状の建物が等間隔に並んだ仮想的な市街地に本モデルを適用し,消防水利の整備状況が市街地の火災安全に及ぼす効果について基礎的な検討を加えた。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
李 義平 大谷 英雄 関 勉 長谷川 秀夫 今田 修二 矢代 勲
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-12, 2000-06-30
被引用文献数
3

火災現場の溶融痕からは,しばしば酸化組織が認められる。しかしながら,この酸化組織が,火災の原因になったもの(1次溶融痕)か,通電状態で火災になって短絡してできたもの(2次溶融痕)かを鑑定する方法は確立されていない。そこで,酸化組織のDAS(Dendrite Arm Spacing)と酸素濃度により溶融痕の生成時の雰囲気温度が推定できるかを検討した。本研究を通じて,(1)溶融痕の酸化組織のDASは酸素濃度と冷却濃度の関数であること,(2)溶融痕の酸化組織は火災に暴露されても再溶融しない限りは変化しないこと,(3)溶融痕の中の酸素濃度とDASを測定することにより溶融痕生成時の雰囲気温度が推定できることが明らかになった。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
天笠 雅章 糸井川 栄一 梅本 通孝
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2_3, pp.33-48, 2012 (Released:2013-09-11)
参考文献数
13

本研究は, 東北地方太平洋沖地震に伴う津波に起因した火災の延焼動態及び消火活動実態に関するヒアリング調査研究である。津波火災発生地において, 火災延焼範囲を調査するとともに, 映像分析, 住民への聞き取り調査から延焼動態を明らかにした。また, 消防職員に対し面接調査を行い, 消火活動障害に関して得られた証言について, KJ法を用いて分析した。その結果, 津波火災現場には, 移動の困難性や消防水利確保の困難性, 放水活動の困難性などの要因が消火活動障害を構成しており, 再来襲する津波による二次災害を避けるために, 消防隊が火災現場から退避しているときに火災が急速に拡大していることが明らかとなった。
著者
神 忠久
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.1-8, 1970 (Released:2013-06-18)
被引用文献数
1

A smoke chamber is designed to perform the measurement of visibility through fire smoke (see Fig.3). The chamber is provided with an illumination apparatus and two kinds of sign. One of the signs is the placard and the other is the lighted sign which is backlighted with a projector. The brightness of the lighted sign can be controlled freely, and that of the placard can be set in four stages. Nearly white smoke is generated by heating filter-paper in an electric furnace.Experiments were performed to get the relation among the brightness of sign, the visual distance, and the extinction coefficient of smoke in the instant of obscuration threshold. In this case the distances the between observer and the object were 5.5 m, 10.5 m, and 15.5 m.The extinction coefficient (σ) in the instant of obscuration threshold may be theoretically given byσ≒1/V ln BE0/δckL ………(1)where V ; Visual distanceBE0 ; Brightness of signδc ; Threshold of brightness-contrast (δc≒0.01 under the condition of general illumination)L ; Intensity of external light (Illumination)k=σs/σ (Ratio depending on the nature of smoke, k≒1 for nearly white smoke)σs ; Mean light-scattering coefficientFrom Eq. (1), the extinction coefficient in the instant of obscuration threshold is logarithmically proportional to the brightness of sign for a given smoke (nearly white smoke), a given intensity of external light, and a given visual distance. If the dimensionless brightness (BE0/L) is constant, the relation between σ and V is given byσ · V ≒ const.The results of experiment are shown in Fig.4~Fig.12 The agreement between the results and the theoretical values calculated from Eq. (1) concerning the brightness of sign is good as shown in Fig.11. The visibility of the placard is about (2~4)/σ and that of the lighted sign is about (5~10)/σ.In the case of escape through real fire smoke, the visibility should be lower than that of experiment, because the effects of physiology and psychology must be considered.
著者
植竹 徹 大島 泰伸 大橋 正史 奈良 松範
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.35-43, 2001

火災時に火災室或いはこれから漏れ出た煙に対してウォーターミスト噴霧することにより消煙することを目的として実験的な研究を行った。まず,ウォーターミスト発生に適したノズルを複数選定し,その種類や放水圧力を変化させて水粒子径の計測,流量分布の測定を行い,ウォーターミスト発生の条件を確認した。その後,灯油の燃焼あるいは木のチップの燻焼による煙を密閉された空間に溜めて,その空間の上部よりウォーターミスト噴霧を行い,その消煙効果を調査した。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
植竹 徹 渡部 学 奈良 松範
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-7, 1996-04-30
参考文献数
14
被引用文献数
1

避難計算のための流動係数は重要なパラメータの一つである。現代の出入口および階段降り口における群集の流動係数を求めるため,終着駅での通勤客の降車状況や映画館・劇場での終演時の観客の退場状況や混雑時の駅ホーム階段降り口における群衆の動きをビデオを使い実測した。<br>実測の結果,出入口における流動係数は,滞留人数の多い方が流動係数が大きくなり,また,過去の同様な実験のデータに比べ,出入口における流動係数が大きくなった。出入口の通過人数は開口幅により階段的に増加すること,階段降り口部における流動係数は人数が多くなると滞留人数には因らず一定になることを明らかにした。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
早坂 洋史 工藤 祐嗣 小島 秀吉 上田 孝志
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.11-17, 1998-06-30
参考文献数
13
被引用文献数
4

小型の区画火災実験装置で,バックドラフト発生前後の区画内の温度や酸素濃度の変化傾向などを測定した。この結果,(1)バックドラフトに特有と思われる,天井部付近の温度と酸素濃度の急激な変化傾向が観測できた。つまり,バックドラフト発生前には,火炎の自己消炎に伴い,急激に温度が低下し,酸素濃度は上昇した。(2)バックドラフトの発生直後の開口部からの煙・火炎の噴出状況とファイアボール形成過程をビデオカメラによる連続写真で明確に示した。(3)小型の区画火災実験装置でのバックドラフト発生のシナリオを作成した。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
松山 賢 宇山 研 佐々木 史彰 荻野 薫 名川 良春 関澤 愛
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1-7, 2013

前報に引き続き,日本の生活環境下におけるRIP シガレットの効果を検証することを目的とし,長期間の使用により高い詰物密度となった所謂せんべい布団,および敷布団と掛け布団(または枕)のへり部を模した条件で,通常シガレットとRIPシガレットによる布団くん焼継続頻度の比較を行った。両者いずれの条件においても,くん焼の継続有無は通常およびRIPシガレットの差異に依存するとはいえなかった。一方で,詰物および側地素材,被覆有無,圧縮有無,シガレット設置条件の違いは,くん焼継続有無に影響を与え,とりわけ詰物素材の綿混紡割合がくん焼継続有無に影響することが明らかになった。
著者
渡部 勇市 松島 早苗
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.11-18, 1999

地震の強さと歩行速度の関係を起震機の振動台上での歩行実験により調べた。実験では,振動は水平単振動とし,進行速度は振動方向に対し45°の方向に,また移動距離は室内を想定し2mとした。歩行速度は約震度4からゆるやかに低下し始め,強くなるにしたがい低下の割合は増加した。床面の振動因子の中で,歩行速度との関係を1因子で表すことができたのは最大速度であり,歩行速度は床面の最大速度が大きくなるにしたがいほぼ直線的に低下した。歩行速度に個人差はあるが,男性,女性による平均歩行速度ではほとんど差がなかった。しかし,女性の方が弱い地震動で歩行限界に達した。地震時の心理的不安等による歩行障害については,今後の研究課題である。<br>(オンラインのみ掲載)