著者
川嶌 眞人
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.704-706, 2007-07
著者
玉 珍 及川 直樹 千見寺 貴子 青木 光広 坪田 貞子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.353-358, 2016-04-25

背景:ピアノ演奏家の手内筋筋力は知られていない.本研究では女性のピアノ専攻学生とピアノ非経験者の手内筋筋力を比較し,ピアノ専攻者の手内筋の特徴を調べた. 対象と方法:ピアノ専攻者16名(19.8歳)とピアノ非経験者17名(対照:21.5歳)の握力とピンチ力,手内筋筋力をJAMAR Hand DynamometerとRotterdam筋力計で測定した. 結果:握力はピアノ専攻群と対照群間に差がなく,両群内の利き手非利き手の差もなかった.ピンチ力と手内筋力はピアノ専攻群が対照群より大きかった(P<0.01). まとめ:ピアノ専攻群の左右の手内筋は発達しており演奏に適していた.
著者
河合 伸也
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1111-1113, 2002-09-25

I.はじめに 運動器(筋骨格系)の重要性がようやく脚光を浴びる時代になりました.20世紀は『がんの10年』や『脳の10年』でしたが,21世紀は『運動器の10年』から始まります.運動器の障害・外傷は個人的・社会的損失が大きいだけでなく,運動器が高いQOLを保持する役割を担っているという観点から運動器が見直されています.この観点において運動器に関連する専門職(殊に,整形外科医)の役割は大きいものがあります.
著者
吉田 裕俊 中井 修 黒佐 義郎 鵜殿 均 山田 博之 大谷 和之 山浦 伊裟吉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.247-252, 1994-03-25

抄録:腰椎椎間板内に生じる透亮像は,vacuum現象として知られているが,実際には同部は真空ではなく,ガスが存在しているとされている.その発生には,高度に変性した椎間板が関与しているとの報告があるものの,その発生の由来および病態については未だ不明のままである.そこで,腰椎椎間板内ガス像を認める椎間の画像診断上の特徴を検討し,椎間板変性との関係について言及すること,腰椎椎間板内ガスの由来及び病態を考察することを今回の研究目的とした.その結果,腰椎椎間板内ガス像を認める椎間には,椎間板腔狭小化が88%,脊髄造影で,椎間板膨隆が80%,CTで終板破壊が95%,MRI上,終板軟骨下骨輝度変化が76%に認められた.終板の破壊性変化部位に一致したガスの存在や,終板の欠損部にもガスが存在していることから,椎間板内ガスは腰椎伸展などにより生じた椎間板内陰圧部に,椎体内血液から終板を経由し発生したものと考えられた.
著者
谷本 道哉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.867-870, 2015-09-25

加齢とともに進行する筋萎縮症(サルコペニア:加齢性筋萎縮症)の予防に最も効果的な方法は,筋肉に抵抗をかけるレジスタンストレーニング(RT)である.通常のRTでは高齢者であっても最大筋力の80%程度の大きな負荷強度を用いなければ明らかな筋肥大は生じない.しかしながら高負荷RTには整形外科的傷害や心臓血管系イベントのリスクが少なからずある.本稿では筋発揮張力を維持しながら動作を行うことで,比較的軽負荷を用いて大きな筋肥大効果の得られる筋発揮張力維持スロー法(スロートレーニング)について解説する.
著者
濱田 一壽 山中 芳 内山 善康 三笠 元彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.986-989, 2015-10-25

はじめに リバース型人工肩関節の原型は,腱板機能障害に伴って肩関節が破壊された症例に対して1980年代にフランスで開発された.その後,改良が加えられ2002年から欧米で,またアジア諸国では韓国(2006年認可),中国(2008年認可),香港(2011年認可)で使用されている.その術後成績は近年良好になり,術後10年のsurvival rateは65歳未満の症例で76%2),65歳以上を加えると89%と安定した成績が得られている3).わが国では,髙岸憲二委員長をはじめ日本整形外科学会リバース型人工肩関節ガイドライン策定委員会の先生方のご努力で,厚生労働省からのさまざまな要求をクリアして,2014年4月からようやく使用できるようになった.この手術は日本整形外科学会が作成したガイドラインに沿って行われており16),以下にこのガイドラインから絶対的適応を抜粋する.
著者
竹中 裕人 神谷 光広 杉浦 英志 西浜 かすり 鈴木 惇也 伊藤 敦貴 佐橋 魁 花村 俊太朗
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.929-936, 2021-07-25

背景:腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis:LSS)術後の下肢しびれ(lower leg numbness)と歩行能力の関連を明らかにすること. 対象と方法:LSS術後77例を後ろ向きに調査した.術後6分間歩行距離(6 minute walk distance:6MWD)に術後下肢しびれが関連するかを多変量解析で検討した. 結果:術後6MWDと有意な関連因子は,年齢,術式,術前硬膜管面積最小値,術前6MWDであったが,術後下肢しびれの残存は有意な関連因子ではなかった. まとめ:本研究の結果は,LSS術前に術後経過を説明する際や予後予測に役立ち,術前歩行能力向上の必要性を示唆している.
著者
皆川 洋至
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.433-442, 2014-05-25

はじめに スポーツ選手が訴える膝痛で最も多いのは,学会で話題になる半月板や十字靱帯,側副靱帯の損傷ではない.オーバーユースに伴う膝前方の痛み“anterior knee pain:AKP”である.臨床現場で遭遇するAKPには,現在大きく分けて3つの病態が考えられている.膝蓋大腿関節の圧迫・摩擦による膝蓋大腿関節障害,大腿四頭筋の牽引ストレスによる骨や腱の過労性障害,そして膝蓋下脂肪体や滑液包由来の痛みである.今回から3回にわたり,AKPに対する超音波診断について解説していく.オーバーユースに伴うAKPの第1回は「過労性骨障害overuse bone injuries」である.
著者
矢吹 省司 菊地 臣一 丹治 一 Robert R. Myers
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.41-46, 2001-01-25

抄録:脊髄後根神経節(以下,DRGと略す)は,一次性知覚神経細胞を有し,腰痛や根性坐骨神経痛の発現に重要な役割を果たしていると考えられている.本研究の目的は,椎間板ヘルニア・モデルにおけるDRGの内圧の変化と臨床での椎間板ヘルニアにおけるMRミエロでのDRGの変化を検討することにより,DRGでのコンパートメント症候群の発生を証明することである.実験的検討から,神経根上への髄核設置はDRGの内圧を上昇させることやDRG内に浮腫が惹起されることが判明した.また,臨床的検討からは,責任神経根のDRGは反対側や対照群に比して有意に高輝度を呈し,腫大していることが明らかとなった.以上の結果から、腰椎椎間板ヘルニアにおいては,責任神経根のDRGには浮腫に伴ってコンパートメント症候群が惹起されることが証明された.
著者
小林 茂 吉沢 英造 蜂谷 裕道 鵜飼 高弘 中川 雅人 森田 知史 中井 定明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.357-366, 1992-04-25

抄録:腰痛や坐骨神経痛などの腰仙部神経根症状を呈する疾患の病態は,機械的圧迫に伴う血流障害や脳脊髄液の停滞が長期存在し,根内環境の恒常性が破壊されることによって生ずると考えられる.特に圧迫に伴う血管透過性の亢進は,根内浮腫,強いては線維化の形成に深く関与し,この過程を解明することが今後の腰痛疾患の治療を行っていくうえで有用であると考えられる.今回はイヌの神経根における血液―神経関門の機能をトレーサーを用いて形態学的に検討した.その結果,神経根に見られる血液―神経関門を有する連続型毛細血管には,脳脊髄液をドレナージする選択的透過機構が存在した.しかし,急性圧迫障害時には,血管内皮細胞間での密着帯の開大による透過性亢進や飲小胞による細胞内輸送の増加により関門は破綻し,根内浮腫が生じることを証明した.
著者
細野 昇 向井 克容 坂浦 博伸 牧野 孝洋 武中 章太 三輪 俊格 冨士 武史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.843-847, 2010-09-25

いわゆるmyelopathy handは頚髄症に特徴的な手指麻痺とされているが,神経根症には認められないのであろうか.頚部神経根症を呈する30例(C4,C5;各3例,C6;15例,C7;9例)に最大努力での握り開き運動を左右別に行わせて15秒間録画し,この動画を3人が評価し解析した.C7根症において疼痛側の握り開き回数は非疼痛側より有意に少なかった.またC6根症疼痛側においては各指が同調して動かず,乱れが生じていた.従来,頚髄症に特異的とされてきたmyelopathy handの一部の症候は神経根症にも認められる.
著者
広瀬 統一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1325-1329, 2020-12-25

COVID-19感染拡大という未曽有の状況下において,女性アスリートのスポーツ傷害予防の重要性と課題が再確認された.体力・運動能力の維持,練習再開後の段階的負荷設定,継続的な傷害予防プログラムの実施を包括的に行うことが,傷害予防に貢献する.さらに緊急事態宣言発出下において,多くのアスリートはサポートスタッフとのコミュニケーションに課題を有していた.女性アスリートの傷害予防ひいては競技力の維持や向上には,スポーツ医科学支援者の積極的なアスリートとの対話が生命線であると考えられた.
著者
佐本 憲宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.159-166, 2019-02-25

外反母趾患者は近年増加し,手術も増加傾向にあるが,まず保存療法を行うことが治療の第一選択となる.それには靴の指導,運動療法,足底挿板などの装具療法と薬物治療があり,それらを組み合わせて治療することが多い.運動療法は非常に重要な保存療法であり,エビデンスに基づいた母趾外転筋運動訓練,Hohmann体操や足趾のストレッチなどがある.特に母趾外転筋運動訓練は軽度外反母趾では変形を改善させる効果が証明されている.重度の外反母趾や多趾の変形を合併した場合でも母趾や第2趾の関節拘縮を軽減させる効果がある.
著者
浜田 修 宮野 憲仁 西田 恭博
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.949-954, 2006-09-01

骨粗鬆症性椎体骨折は,受傷時には予期できないほどの著しい椎体圧潰を来すことが少なくないことから,受傷時から椎体内に異常可動性を来しているのではないかと推測した.損傷椎体の動的情報を得る目的で仰臥位,側臥位,座位での側面X線撮影を行い,この撮影法を三態撮影と名付けた.新鮮椎体骨折20例に三態撮影を行った結果,椎体楔状角は仰臥位より側臥位,側臥位より座位で有意に大きくなっており,椎体異常可動性の存在を確認することができた.
著者
野村 一俊 渡辺 充伸
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.969-972, 2013-10-25

大腿骨転子部骨折の骨接合術後に低出力超音波パルス(LIPUS)照射を加えることにより骨癒合を促進できれば,ラグスクリューのカットアウトを減少させることができ,術後の荷重時痛を早期に軽減でき入院期間が短縮できる.一方,LIPUS治療の診療報酬(5,000点)の算定は,開始時に1回しか算定できないため,回復期医療機関のLIPUS治療への理解と協力が得られなければ治療の継続は困難である.理解と協力を得るためには,地域連携クリティカルパスの活用が有用である.