著者
二木 泉
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.153-163, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)
参考文献数
42

カナダでは社会正義を根底とするクリティカル・ソーシャルワークがAnti-oppressive practice(AOP)(反抑圧主義)と呼ばれ実践されている.本稿はクリティカル・ソーシャルワークと反抑圧主義の視座を確認したうえで,カナダの社会福祉組織で反抑圧主義がどのように求められ,また福祉に携わる人々がどのように認識しているかを,求人情報の内容の調査,反抑圧主義を組織理念として採用している団体の事例の検討,さらにソーシャルワーカーと学生に行ったインタビューから明らかにする.これらの調査からは,福祉に携わる人々の中にも,反抑圧主義に対する異なる態度があり,必ずしもソーシャルワークの中での主流とは言えないものの,その必要性が認識され,積極的に実践するために取り組みが行われている現場があることがわかった.
著者
舟木 紳介
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.33-42, 2005-03-31 (Released:2018-07-20)

1980年代後半以降,社会福祉専門職による「相談」は,社会福祉にかかわる実践のさまざまな分野においても,専門性を伴う行為として認識されるようになった.しかし,高齢者福祉政策における「相談」事業が拡大化する一方で,社会福祉専門職による「相談」は,専門職の公的制度化といった国家政策との関係性から論じられることはあまりなかった.本稿の目的は,社会福祉専門職による「相談」の言説が,高齢者福祉政策との関係において,どのような変遷をたどってきたかについて検討することである.とくに1980年代後半以降の在宅介護支援センターの政策展開における官僚行政を中心とした政策側と実践団体を中心とした実践側の「相談」の言説に注目した.これらの検討をとおして,社会福祉専門職の一機能にすぎなかった「相談」が社会福祉専門職の中心的業務としての「相談」に変化していく変遷を描くことを試みた.
著者
松山 毅
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.11-21, 2002-03-31 (Released:2018-07-20)

イギリスにおける近世初期の貧困救済事業として救貧法は重要な位置を占めている。そして慈善事業に関しては,これまで救貧法の前史的扱いか,18世紀から慈善組織協会(COS)設立頃までの活動が注目されることが多かった。しかし実際には,救貧法行政の前半は慈善の強制の歴史であり,また宗教改革の影響で行き場のなくなった貧困者の救済は私的慈善家たちが担っていたのである。本稿では,この慈善活動に供せられた信託財産の濫用や不履行を取り締まり,公益的な慈善信託の効率的かつ公正な運用を定めた立法である慈善信託法(1601)の成立背景,概要,意義,限界を検討することを目的としている。今日のイギリスのチャリティ法の源流でもあり,しばしば議論される「公益」性についての枠組みや,チャリティ・コミッショナーに関する原初的な規定をここに確認することができる。そして内外の研究者によるコメントを通して,本法をめぐる論点を整理し,今後の研究課道の抽出を試みた。
著者
相馬 直子
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.35-45, 2004-11-30

「子育ての社会化」とは,家庭での子育てが「外部化」「共同化」されつつ,「社会化」をになう場で再<社会化>される3つの面を有する.本稿は,東京都世田谷区の「保育ママ制度」の分析と保育者へのインタビューを基に,再<社会化>の様相とその帰結を検討した.政策上は「母親」を経験した者のみが従事できる位置づけとともに,「事業主としての仕事」との新たな位置づけもなされてきた.保育者も,「子育ての先輩」「母親代わり」と自分を位置づけつつ,「ボランティアではない」「専門性をもつべき」との認識も発見された.このようにして政策上・保育者の認識上とも「揺れ」ているなか,「保育ママ制度」が子どもや親の育ちに必要な「保育資源」であるとの視点から,その専門性やジェンダー中立的な労働条件・資格要件の見直しが求められる.さもなければ,「地域で・女性が・子どもを育てる」構造(ジェンダー化)の再編の進行が続いていくであろう.
著者
口村 淳
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 = Japanese journal of social welfare (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.94-105, 2014-11

本研究では,要介護高齢者からみたショートステイの意義と課題について検討する目的で,利用者の手記を調査データに用い,質的な分析を行った.その結果,28個のカテゴリ,9個の上位カテゴリを生成することができた.手記の分析を通して,リロケーションダメージが生じる可能性,サービス評価(満足度)を高めるための要因,職員の支援を受ける利用者の内面の動きについて検討することができた.検討の結果を受け,(1)帰宅後のアフターケアの必要性,(2)利用者との信頼関係構築の必要性,(3)利用者のストレングスを評価する必要性といった,ソーシャルワークのニーズや課題が存在することがわかった.
著者
滝口 涼子 伊藤 冨士江
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.55-68, 2010-02-28

わが国では犯罪被害者施策が急速に進んでいるが,その背景には特に犯罪被害者遺族を中心とした被害者運動があった.しかし被害者遺族に関する調査研究の動向をみると,被害者運動やソーシャルアクションに焦点をあてた研究は少ない.本研究では,被害者遺族の体験,特に被害者運動への関わりを取り上げ,事件後,遺族としてどのようなことを経験し,いかに被害者運動に関わり,なにを得たのかを分析することを目的とした.被害者当事者団体(「被害者の会」)の会員である遺族11人にインタビューを行い,「被害者の会」での運動参加・継続過程に関するナラティブを質的に分析した.この結果,「事件にまつわる思い」と,「遺族が運動に参加し始め,活動を続けていく過程」の2つのカテゴリーが見いだされた.さらに,エンパワメント・アプローチの視点から,パワーの欠如状態,エンパワメントの構成要素,パワーの生起するレベルの3点に関して考察を加えた.
著者
口村 淳
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.148-160, 2010-02-28

本研究の目的は,高齢者ショートステイにおける生活相談員の業務を明らかにし,その特徴について検討することである.特養併設型ショートステイを利用した167人の既存臨床情報(16種類)から,「相談員が関与した業務」を抜粋した.Krippendorff,K.の内容分析の手法により分析した結果,業務内容について22個のカテゴリ,さらに「予約および入退所に関する業務」「円滑なケアの実施に関する業務」「具体的サービス内容の調整」「新規利用に関する業務」「緊急的,一時的な業務」という5個の上位カテゴリに分類できた.ショートステイにおける相談員業務の特徴として,(1)予約および入退所に関する業務が多い点,(2)連携・調整・相談というスキルを多用している点,(3)「利用期間外」における業務が大半を占めている点,(4)「施設ケアマネジメント」に関する業務を担っている点,が示唆された.
著者
野口 友紀子
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.29-41, 2010-02-28

大河内の社会事業論では社会事業の対象を「経済秩序外的存在」と限定し,社会事業に対する科学的根拠のない伝統の破棄が述べられた.本稿では大河内の社会事業をとらえる科学と対象者限定の視点に着目し,その対抗軸として伝統と対象者の拡大とをおき,科学/伝統,対象者の限定/拡大という枠組みから,当時の社会事業の捉え方に関する総合的視点を提示した.これら2つの軸から,当時の理論は科学性を重視し対象を拡大する「普遍拡散型社会事業」,伝統を重視し対象を拡大する「伝統融合型社会事業」,伝統を重視し対象を限定する「慈善型社会事業」,科学性を重視し対象を限定する「科学的固有型社会事業」に分類できた.「普遍拡散型」は社会改造運動,「伝統融合型」は厚生事業,協同組合運動など,「慈善型」は人格的保護や応急的保護,個別的救済など,「科学的固有型」は社会的文化施設,ケース・ワークなどと社会事業の方向性をとらえていた.
著者
福間 隆康
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.55-68, 2013-02-28

本研究は,組織コミットメントと職務コミットメントによる職員の類型と,職務満足およびサービスの質との関連性を明らかにすることを目的とした.調査は,福祉施設に勤務する介護職500人と病院に勤務する看護職689人を対象にインターネット調査を行った.職務満足,サービスの質における4類型間の相違について,分散分析と多重比較を行った結果,職務満足の5側面のうち,3側面(達成,成長,評価・給与)については,優等生(HHタイプ)が最も高く,無関心(LLタイプ)が最も低い値を示した.また,職務満足の2側面(昇進,クライアントとの関係),およびサービスの質については,無関心が他のタイプよりも有意に低いことを認めることができた.米国における研究結果とほぼ一致して,介護職と看護職ともに,優等生は他のタイプよりも良好な状態を生み出す可能性をもつことが確認された.
著者
呉 世雄
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.109-122, 2013-02-28

本稿は,介護施設における組織管理要因としてのリーダーシップとチームワークが職員の職務満足およびサービスの自己評価に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした.そのために,全国の介護老人福祉施設から1,000か所を抽出して,1施設当たり職員5人に郵送でアンケートを配布し,265施設から1,105部が回収(回収率22.1%)された.そのうち,介護に直接関わることが少ない管理職や事務職,また看護職は分析対象から外し,介護職員672人を分析対象とし,共分散構造分析による仮説モデルの検証を行った.その結果,リーダーシップはチームワークを促し,またそれが職務満足およびサービスの自己評価に影響を及ぼすことが確認された.さらに,リーダーシップはチームワークや職務満足を経由してサービスの自己評価に影響を及ぼすことが明らかになった.以上の結果をふまえ,介護施設におけるサービスの質の維持・向上を図るための提言を行った.
著者
野田 博也
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.17-29, 2007-05-31

本稿の目的は,近年のアメリカにおけるホームレス状態への福祉政策と治安政策の「併存」を説明することであり,ついで両政策の「併存」の意味を考察することである.まず,政策認識と政策対象から両政策の関係を分析することにより,近年に拡大する両政策の対象は同一ではなく,その関係は二律背反の原理に則していることが分かった.しかし,その治安政策の対象はホームレス状態での生活に強く関連する行為であるため,あたかも福祉政策の対象と同一であるかのようにとらえられている.また,「併存」する両政策はホームレスではない人々の利益を第一義的な目的として認識しており,ホームレスの承認はホームレスではない人々の承認に従属する.そして,この「併存」は,ホームレスを給付にも処罰にも「値する」とする矛盾したメッセージを伝えるため,両政策が生み出すホームレスの表象は葛藤的となる.この点に「併存」の欠陥がある.
著者
鈴木 良
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.49-62, 2015-08-31

本研究は入所施設とグループホーム/ケアホーム(以下,GH/CHと略記)で生活する知的障害者を対象に,1)入所施設よりもGH/CHの生活の質が向上するかどうか,2)GH/CHでは障害程度に応じて生活の質が変わるのかを検証した.その結果,第一に,GH/CHでは入所施設よりも自己決定の機会が向上することがわかった.ただし,これは日常生活にかかわる決定や外出機会の向上を意味し,入所施設と同様に人生にとっての重大な決定への参加機会は乏しかった.一方,GH/CHでは入所施設と同様に,人間関係,自己決定,社会参加の機会が低い水準であり,物資的豊かさ,健康,権利擁護は高い水準であった.ただし物質的豊かさ・権利擁護については自立的生活に伴いニーズが変化することや,プライバシーが十分に保障されていないことを考慮に入れなければならない.第二に,GH/CHでは障害の重度化に伴い生活の質が悪化する状況が見いだされた.
著者
湯原 悦子
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.116-127, 2015-05-31

本研究では介護殺人事件に対し,判決前調査(情状鑑定)を通じて事件の背景や要因を明らかにする意義と効果を確認した.事例分析の結果,情状鑑定により特に環境的負因に関わる情報の提示が充実し,審理に携わる者が「被告人に帰せられる責任の範囲」を多角的に検討するための資料を提供できること,事件の背景にある社会病理として,そもそも介護を担う能力に欠けている者が介護を担わざるをえない状況に追い込まれ危機に陥っていることが明らかにされた.介護殺人事件に情状鑑定を実施するのは困難が予想されるが,社会福祉専門職による「コンサルテーション」という形であれば,弁護人らを通じて彼らの視点を審理に組み込むことができ,情状鑑定を行う効果を実質的に担保することが可能になる.このような形で司法と福祉の専門職が関わるところから,規範的解決を実体的解決・調和につなげていく司法福祉の理念の実現を図ることができると考える.
著者
石島 健太郎 伊藤 史人
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.82-93, 2016-02-29

本研究は,意思伝達装置を用いるALS患者204人を対象に,複雑な条件組み合わせと結果の関連を明らかにすることができるファジィセット質的比較分析(fsQCA)を用いて,筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者が意思伝達装置を用いる際,どのような条件がそろえば満足度が高まるのかを明らかにするとともに,社会福祉学でのfsQCAの有効性を示すことを目的とする.分析の結果,重度障害者でも意思伝達装置を満足度の高い利用方法が複数示唆され,かつ年齢や同居する家族の有無に応じて支援すべき方向性も異なってくることが明らかとなった.こうした知見は,ケースワークにおける個別性の原則を経験的に確かめるものであるとともに,実践的には支援者が患者の属性を踏まえた意志伝達装置の利用促進に示唆を与えるものである.また,無作為抽出が困難で,さまざまな条件が複雑に関連した事例の多い社会福祉学でfsQCAを用いる意義も示された.
著者
堺 恵
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.14-29, 2015-02-28

本研究の目的は,児童扶養手当制度の成立過程における制度創設の経緯について考察することである.1959年から1961年までの国会審理および新聞報道の内容を分析したところ,児童扶養手当制度には,母子福祉年金の補完的制度として,かつ児童手当創設の先行制度として創設されたという経緯のあることがわかった.そして児童扶養手当制度の創設に至った社会的背景には,次の3点があることがわかった.1点目は,全国未亡人団体協議会が生別母子世帯への年金支給を求めていたことである.2点目は,母子福祉年金の予算が,厚生省の推計のミスにより大幅に余ったことである.3点目は,児童手当制度創設が当時の政策課題であったことである.また,『全国母子世帯調査結果報告書』で報告された収入に関する調査項目とその実施状況をみると,児童扶養手当制度の創設当時,生別母子世帯の生活実態に関する十分な分析を欠いたまま,制度が創設されていたということも確認できた.
著者
菊池 義昭
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.23-47c, 1980-11-20

I. The purpose of this study The purpose of this study is to make clear the role that the policy of public relief finance played on the life of the people in Fukushima Prefecture, and then to make clear the feature of the history of developement of the policy. This will be a fundamental data in studying the history of the policy and the system. For, the public relief is a relief of the administration side, and the study of the finance will come to be the most suitable data that prove the concrete condition of the relief of the administration side. The actual condition of the historical change is an index which indicates an attitude and a volition toward the relief (the social welfare) of the administration side. In other words, this will be a criterion of the role that the administration in each period played on the people.If it becomes clear, the study of the history of the actual condition of the social welfare will become trustworthy. II. Conclusion I will divide the history of the relief finance in Fukushima Prefecture, considering the feature in each year. In the first period, betwen 1879 and around 1887, mainly the relief expenses in the national expenditure was disbursed, especially the military relief expenses was disbursed a lot. In the second period, between around 1887 and around 1899, mainly the relief expenses in the national expenditure was disbursed too, but the substance of the expenses changed. In the third period, between around 1900 and around 1907, the amount of the expenditure of the relief expenses in the prefectural expenditure surpassed that in the national expenditure. This was because the items snd the amount of expenditure in the prefectural expenditure increased. In the forth period, between around 1908 and 1912, the expenditure of the relief expenses in the prefectural expenditure increased rapidly, but that in the national expenditure decreased. And the expenditure to the subsidy toward relief facilities appeared in the relief expenses in the national and the prefectural expenditure. This would be considered to predict the substance of expeniture of the relief expenses in Taisho Period.
著者
荻野 剛史
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.3-15, 2006-03-31 (Released:2018-07-20)
被引用文献数
1

本研究は,わが国における難民受入れと公的支援の変遷を,文献から明らかにすることを目的としている.まずインドシナ難民について,日本政府は1975年から滞在を,また1979年には定住を認め,現在ではおよそ11,000人のインドシナ難民がわが国で生活を送っている.また条約難民について,1982年から受入れが開始され,これまでおよそ330人が条約難民と認定された.また,受入れと公的支援について,いくつかの問題点が明らかになった.第一に,インドシナ難民についてその受入れ数は限定的であったこと,第二に定住のための公的な支援は定住が認められてから数年が経過してからようやく開始されたこと,第三に,条約難民について,わが国の条約難民の認定率は他国と比べきわめて低いこと,第四に定住のための公的な支援は,近年までほとんどなかった.