著者
遠藤 晶久 山崎 新
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.225-240, 2015 (Released:2016-07-10)
参考文献数
30

CAI調査の大きな利点としてあげられるのは,調査プログラムで設定さえすれば回答時間という新しい種類のデータを手に入れられることである.質問を尋ねてから(あるいは表示してから)回答を得るまでの時間を計測した回答時間データは,回答結果のみでは知ることができない,その回答に至るプロセスを推測するための情報として利用可能である.本稿では回答時間データの分析を通じて,新たな世論調査分析の可能性を示す.その一例として,イデオロギーをテーマとして取り上げ,有権者のイデオロギー認知を政治知識と対照させることで政治的洗練性概念との関係を検討する.分析の結果,短時間で正解を取り出すという政治知識の回答過程に比べて,正解にたどりつくまでに時間がかかりやすい政党間対立認識は,有権者が確固として既に有しているものというよりも,何らかの情報処理を必要とするものであるということを示した.つまり,イデオロギー認知は政治知識と異なる認知モードにしたがっており,現実の保革イデオロギーによる政党間対立は,有権者の中では「知識」ではなく,類推からたどりつくものであることが示唆された.
著者
与謝野 有紀
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.47-60, 1997-07-31 (Released:2016-08-26)
参考文献数
5

本研究の目的は、いわゆるOstrogorskiパラドックスの成立条件とこのパラドックスが生起する確率を求めることである。Ostrogorskiパラドックスは代議制に関わる投票のパラドックスであり、既存研究の中でこのパラドックス状況が生起する条件が検討されてきた。Rae and Daudtの定理はそのような研究によって得られた条件の一例であるが、この条件は現実的な場面でパラドックスが発生する可能性の有無を検討するには不十分なものであり、また、その識別力も必ずしも強いとはいえない。ここでは、投票結果に関する情報が得られている場合について、より識別力の強い条件を明らかにするとともに、どの程度このようなパラドックスが生じるのかについての確率を求めた。これらの分析から、主に以下の2点が明らかになった。第一は、ある党が100%の得票率で選ばれたとしても、Osrtogorskiパラドックスが生じる可能性を棄却できないことであり、また、第2は、パラドックスが生じる可能性が予想以上に高いことである。この点からも、住民投票の意義は簡単には否定できない。
著者
阿部 潔
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.137-143, 2014 (Released:2016-07-10)
被引用文献数
1
著者
堀内 史朗
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.51-66, 2011 (Released:2012-01-31)
参考文献数
40
被引用文献数
1

様々な対立を潜在的に孕む人々が,その対立を乗り越えて仲良く暮らすためには何が必要なのか?その条件を明らかにするため,互いに異質なエージェントが緩やかな集団を形成するエージェント・ベース・モデル(ABM)を作成した.モデリングに際して,隣接者との違いが閾値より大きいとエージェントが移動を続けるシェリングモデル(Schelling 1971)と,複数の特性それぞれについて複数の構成要素をもった隣接者同士が相互作用するアクセルロッドモデル(Axelrod 1997)を参照した.シミュレーションの最終時刻までに達成された最も大きい集団をコミュニティと定義し,どのようなエージェントの活躍の下に巨大なコミュニティが成立するかを調べた.分析の結果,特性の数F と構成要素の数Q の比Q/F が低いと,僅かな構成要素の一致で隣接エージェントと集団を形成しようとする「丁重」なエージェントが大きなコミュニティ形成に貢献する.Q/F の値が高いと,構成要素が一致するエージェントとの集団形成を求めて「移動」するエージェントが大きなコミュニティ形成に貢献する.またシミュレーション時間が長いほど,移動するエージェントが活躍する領域が増えることがわかった.この結果は,人々の異質性が高いときにこそ,集団間を移動する「よそ者」がコミュニティの形成に貢献すると示唆する.人間類型としてのよそ者に付与されてきた「地域社会を客観的な世界と結びつける」という理論的位置づけを,本稿はABM によって裏付けた.
著者
太郎丸 博
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.115-122, 2014 (Released:2016-07-10)
参考文献数
13
著者
村井 源 山本 竜大 徃住 彰文
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.111-128, 2008
被引用文献数
1

複雑な人間関係を数理的に解析するために、近年ネットワーク解析が盛んに用いられるようになった。また、解析用のネットワークを構築するための基礎データとして、WWWのハイパーリンクが用いられるケースが増えてきている。本論文では政治家間の人間関係を示すネットワーク構造の構築に、ハイパーリンク関係を用いる妥当性を検討するため、日本の国会議員のWebページをデータとして用い、議員間のハイパーリンクと議員の名前のテキスト上での言及関係によって二種類のネットワークを構築した。また、得られたネットワークに対してネットワーク解析の手法中心性とクリーク分析の解析を適用し、結果を比較した。得られた結果より、言及関係によるネットワークは、集団における重要性を表す指標としての妥当性があり、ハイパーリンクによるネットワークでは派閥の分析が可能であることが分かった。現状として、大規模政党においては、比較的Webの利用は進んでいないが、今後政治領域でもWebの利用がより一般化することが期待される。このため、将来的にはより多様な関係性の計量的解析にWebデータが利用可能になると考えられる。
著者
久慈 利武
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-20, 1991

本稿ではデュルケム(パーソンズ)の功利理論(合理的選択理論)批判、社会契約論からの見えざる手説明批判を、功利理論、見えざる手説明を区分せず、その擁護、反論を行なった。簡単に言えば社会学にたいしては、社会化(愛他心の喚起、将来の利益・公共の利益へのコミット)からの協力の発生の説明を避け、個人が相変わらず利己的なままであるのに協力が発生し得ることの証明と、社会契約論にたいしては、専門機関によるコントロール(監視と制裁)による利己的な個人のあいだの協力発生の説明を避け、そのようなフォーマルなコントロールがなくとも利己的な個人のあいだに協力が発生しうることの証明である。後者については二者ペア間インタラクション戦略では大規模匿名社会でもその戦略が進化的に安定的であることが明らかになった。しかし二者でなく、三人以上になると合意がないと協力の維持は不安定であること、そしてその人数が多くなるに連れて協力の発生すらおぼつかなくなる、つまり監視や制裁の統制がなければ協力の発生が難しくなることが明らかになった。
著者
Ryoji MATSUOKA
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.147-165, 2014 (Released:2016-07-10)
参考文献数
42
被引用文献数
2

U.S. studies on parental involvement (PI) indicate that parenting practices vary by families' socioeconomic status (SES) (e.g., Lareau 2003) and that different degrees of PI differentiate students' academic achievement (e.g., Hill and Tyson 2009); PI differences based on parents' SES are considered one source of the achievement gap. While some scholars (e.g., Honda 2008) address this critical topic in Japanese society, existing studies using regional and/or retrospective data without a rigorous indicator of students' academic abilities fall short of investigating relationships between students' family SES, the degree of PI, and their achievement at one of the most important stages of education: compulsory education. This study is therefore intended to empirically investigate these relationships by analyzing nationally representative data of Japanese eighth-grade students. This study's results indicate that (1) higher SES parents tend to more frequently ask their children what they study in school; (2) the school-level PI indicator is not equally distributed socioeconomically, and School SES relates to the degree of PI in school activities; and (3) the degree of PI and school PI in school activities are associated with students' mathematics achievement. Contrary to expectations, however, PI mediates small parts of SES effects, especially at the student level; only some of the relationships between SES, PI, and achievement are verified empirically.
著者
渡邉 勉
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.213-234, 2004-09-30

本稿では、職歴データの分析を通じて、近年系列データの分析手法として注目されつつある最適マッチング分析の有効性と問題点を検討する。職歴パターンについては、これまで原(1979)、盛山(1988) などによって検討されてきた。ただ職歴データの分析はあまり進んでいるとはいえない。本稿では、1995年社会階層と社会移動に関する全国調査(SSM調査)の職歴データを最適マッチング分析により検討する。まず入職から10年間、および30年間の職歴データについて、最適マッチング分析によって距離行列を求め、さらにクラスター分析によって、それぞれ6つのクラスターを析出した。また初職、現職、学歴、職歴パターンの関係を明らかにするために、ブール代数分析をおこなった。以上の分析から、既存の類型化とは異なり、職歴の包括的な類型化が可能であることを示し、従来の分析方法では十分にできなかった職歴の新たな分析の可能性があることを示した。
著者
尾張 豊
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.59-74, 1998

従来、公立学校の教育成果の低下の原因に関する研究が数多くなされてきた。その多くは原因を画一化教育や過度な受験教育などの教育内容の欠陥に求めている。一方で、その原因を学校組織に内在する欠陥に求める議論はほとんどなされてこなかった。<BR> そこで、本稿ではTirole(1986)の提起した3階層組織モデルを学校組織に適用し、多段階ゲームを用いてその原因の追求と教育成果の向上のための改善案について考察した。<BR> 主な結論は以下のとおりである。&alpha;プリンシパルがエージェントにその努力、あるいは教育成果に関係なく一定の報酬を提示すれば、エージェントは低い努力を実行する。&beta;エージェントの努力水準が観察できる場合、プリンシパルはエージェントの努力水準に応じた報酬を提示すればよい。&gamma;生徒の能力が観察できない場合、プリンシパルはエージェントに教育成果に応じた報酬を提示すればよい。&delta;スーパーバイザーがエージェントと共謀してプリンシパルに嘘の報告をする場合には、プリンシパルは共謀を防止するための報酬を支払わなければならない。
著者
盛山 和夫
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.3-16, 2000

今日、社会学とその関連分野は深い混迷の中にあるといっていいだろう。1968 年を境に、それまで研究共同体を支えていた二つの信仰があっという間に崩壊してしまい、いまや何ら共通の信仰(形而上学、理念)も共通の言葉もないまま、公式組織(大学、学会)の中に共同体の形骸をさらすのみである。こうした中で、数理社会学がどのような意義を持ちうるのか、そしてそれはいかにして可能なのか(土場(1996)の問題提起を参照されたい)。1970 年代のはじめ、さまざまな新しいパラダイムが出現して注目されていった中に、数理社会学もその一つとしてあった。他には、現象学的社会学、レイベリング論、エスノメソドロジー、社会構築主義、フェミニズム、エスニシティ研究、カルチュラル・スタディーズ、文化的再生産論、従属理論、世界システム論、社会システム論、言説分析、ポスト構造主義など、枚挙にいとまがない。数理社会学はこうした他のパラダイムと比べるとやや特殊な位置に立っている。他の多くが、とりわけポスト構造主義が典型的にそうであるように、近代的な知のあり方の脱構築をめざしているのに対して、数理社会学は数学を用いた合理的な知識の体系という、見方によっては時代錯誤的な目標をかかげているのである。現象の数理的把握という方法は、ガリレオやニュートンによって近代科学が華々しく興隆していく上での基盤であったが、それは、脱構築派からみれば、単なる「現前」についての知識にすぎないということになる。<BR> 他方、数学は基礎づけ主義的思考の大いなる源泉であった。ホッブズもカントもユークリッド幾何学の華麗な体系に魅了されていた。自明で疑いえない真理から出発して正しい世界もしくは世界像を構築していくことがめざされていた。しかし今日、この公理主義的世界観はうさん臭く思われている。
著者
小川 和孝
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.39-51, 2016 (Released:2016-08-06)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本論文の目的は,通常の回帰分析で注目されているグループ間の不平等にくわえ,グループ内の不平等を明示的にモデル化した分析を行うことである.グループ内の分散の異質性に注目することで,どのような社会的属性を持つ人々がより不安定な状況に置かれているのかが分析の関心となる.従属変数の条件付き期待値と残差分散に対してそれぞれ共変量ベクトルを設定し,それらのパラメータを同時推定するモデルを用いる.データは,「社会階層と社会移動全国調査」の1995年調査A票および2005年調査であり,従属変数には個人収入および世帯収入の対数値を用いる.分析の結果,男女ともに正規雇用者や既婚者は収入の平均が高いだけではなく,それぞれのグループ内部での収入のばらつきが小さいことが明らかにされる.これらは日本の社会制度の特徴とされてきた「男性稼ぎ主型」モデルが想定してきた人々において,収入の安定性が大きいことを示唆する.本論文の知見は,これまでの社会階層研究やライフコース研究において重要な問いではありながらも直接的に検証が行われてこなかった,リスクや不安定性について新たな視点を導入した.
著者
中田 知生
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.57-72, 2008-06-30 (Released:2008-08-11)
参考文献数
38
被引用文献数
2 7

本研究の目的は、高齢期における主観的健康の悪化や退職のプロセスと教育の関係を、潜在成長曲線モデルから明らかにすることである。「Longer life but worsening health仮説」、すなわち、高齢期において、健康悪化が急激に起こるか、もしくは緩やかに起こるかが社会的地位としての教育の程度によって異なるかを検証した。用いたデータは、「老研-ミシガン大全国高齢者パネル調査」のウェーブ1から3までである。潜在成長曲線モデルを用いた分析の結果、以下が明らかになった。(1)教育は、主観的健康の悪化に対しても退職のプロセスに対しても効果を持っていない、(2)女性と比較して男性ほど、年齢が上昇するにつれて主観的健康が急激に悪化する、(3)ウェーブ1調査時における高い健康が、長く就労を続けることに影響を持っており、また、就労つづけていることは、急激な主観的健康の悪化を押さえることに対しても効果を持つ。これらのように、横断的調査では明らかにできない主観的健康および退職のプロセスと教育の関係の一端が明らかになった。
著者
有田 伸
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.69-86, 2013 (Released:2014-09-01)
参考文献数
12

本稿では,パネルデータを分析するために広く用いられている固定効果モデルなどの手法が置いている諸仮定を確認した上で,独立変数の変化(または非変化)の内容を詳細に区別しうる代替的なモデルを築くことで,それらの仮定を緩めた分析の可能性を探る.カテゴリカルな変数を独立変数とする固定効果モデルを事例として,変数の「変化」に焦点を当てて考えれば,一般的な固定効果モデルは変化の向き・経路と非変化時の状態の違いを区別しておらず,これらの違いが独自の効果を生み出す可能性は考慮されない.しかしこのような想定は現実的には満たされない可能性もあることから,本稿では,「(独立変数の)変化が(従属変数の)変化をもたらす」という立場に立ちつつ,一階差分モデルを利用してこれらの仮定を緩め,変化の向き・経路と非変化時の状態の違いがもたらす独自の効果を捕捉することを試みる.さらにこの手法を,従業上の地位が個人所得に及ぼす影響の分析にあてはめると共に,現実的にはどのような場合に従来のモデルの仮定を緩める必要が生じるのか,事象の発生メカニズムと関連付けた考察を行い,この手法の意義と適用時の留意点を検討する.
著者
三輪 哲
出版者
Japanese Association For Mathematical Sociology
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.345-356, 2009
被引用文献数
4
著者
浜田 宏
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.259-276, 2012 (Released:2013-08-12)
参考文献数
29

重回帰分析に代表される説明変数の線形結合モデルは,その適用において単純な数式による真の関係の近似という以上の積極的な根拠を従来持っていなかった.本稿では特定の条件下で,社会学的仮定から導出された数理モデルによって,線形結合モデルが基礎づけられることを示し,計量分析で用いられる統計モデルに対して,単なるあてはめではない理論的な根拠を与えることを目指す.具体的には階層帰属意識研究におけるFararo-Kosakaモデルと地位継承モデルが重回帰モデルの基礎付けとなり得ることを示し,階層帰属意識研究という文脈における,計量モデルと数理モデルの統合的な発展の条件を検討する.
著者
中澤 渉
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.23-40, 2012 (Released:2013-03-18)
参考文献数
48
被引用文献数
5

本稿では,日本ではまだ利用例の少ないパネル・データ分析が,社会学においてなぜ重要なのかが説明される.回顧法の調査でも時系列データをつくることはできるが,曖昧な記憶による不確実な回答で信頼性が低下したり,サンプルの選択バイアスが生じるという問題がある.特に社会科学の重要な課題である因果関係の解明には,時間の経過に伴う変化の情報が不可欠であり,パネル・データでなければ精度の高い分析はできない.さらに通常の最小二乗法では,観察できない異質性と独立変数との相関の存在から,不偏推定量を求めることができない可能性があるが,計量経済学的固定効果推定により因果効果の純粋な取り出しが可能になる.さらにマルチレベル分析の集団平均センタリングを応用したハイブリッド・モデルの紹介を行い,個人間と個人内の変動を同時に推定できることを示す.最後にパネル・データ分析を行う上での今後の課題をまとめる.
著者
Hirohisa TAKENOSHITA
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2_85-2_104, 2008-11-30 (Released:2009-01-05)
参考文献数
40
被引用文献数
1

This research aims to make clear the determinants of job shift patterns in Japan. Previous studies have highlighted the importance of both individual level of resource and reward, and labor market structures which affect job mobility patterns. However, previous research on job mobility in Japan did not incorporate individual level of attributes such as resource and reward into systematic theoretical points of view while the impact of labor market structure on job mobility drew distinctive attention in Japan. In addition, many previous studies did not take into account the context of job shift because of a lack of available source of information in survey data. The present research pays attention to the divergence between voluntary and involuntary job mobility. The result shows that firm-specific skills and occupational reward made it less likely for employees to quit a job. It corresponds to the model of reward and resource. However, there is no evidence that general human capital which is transferable across firm would increase the likelihood of quitting a job as is seen in the U.S labor market. In addition, the way in which labor market structure influences job shift patterns is almost identical to the model of segmented labor market. In contrast, the way in which macroeconomic conditions for labor market affects rates of job shift in Japan is deviant from the hypothesis for the U.S labor market. This paper highlights the differences between voluntary and involuntary job mobility in Japan. Compared to the previous studies in the U.S, the job mobility patterns in Japan appear to be roughly similar to the ones for the United States whereas it seems that the institutional arrangements specific to Japanese labor market could make the job mobility patterns substantially different from those for the other industrialized countries. Cross-national comparison of intragenerational mobility which has lacked empirical studies would be further needed so that we can make clear the underpinnings of job mobility structure and institutional arrangements of labor market which diverge job mobility across country.
著者
筒井 淳也
出版者
数理社会学会 ; 1986-
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.232-234, 2014