- 著者
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浜田 宏
- 出版者
- 数理社会学会
- 雑誌
- 理論と方法 (ISSN:09131442)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.1, pp.53-69, 2002-06-30 (Released:2009-02-10)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
2
本稿ではハッソーによって定式化された公正指標(Jasso 1980, 1999)と相対的剥奪の数理モデル(Boudon 1982; Kosaka 1986)を接合することによって,古典的な相対的剥奪論(Stouffer et al. 1949; Merton 1957=1961)のフォーマライゼーションを試みる.提唱された新しい単純なモデルは,ハッソーの議論に欠落していた主観的な公正配分の決定メカニズムに関する問題に言及し,これを期待値という形で再定義することで理論的な公正指標の挙動を明確化する.このことにより「相対的剥奪率」と「相対的剥奪度」という二つの水準の異なる概念の同時分析が可能となり,その結果,通常言語のみによって表現された古典的理論において必ずしも明示されていなかった両者の関係,すなわち,「集団の中で相対的剥奪を感じる者の割合」と「個人が感じる不満の強さ」との間にある関係が明らかになった.さらに,相対的剥奪数理モデルにおいて,ハッソーの条件を満たす任意の公正指標関数が持つ性質を特定した.