著者
田中 康子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.338-344, 2016-07-01 (Released:2016-07-01)

近年,裁判所がウエブサイト上で判決文を公開するようになり,誰でも気軽に判例情報にアクセスできるようになった。またここ数年,食品や飲料等なじみのある製品や,後発医薬品に関する特許侵害訴訟のニュースを目にする機会が増えている。判例情報は,学術文献や特許文献とは異なる特殊な文書であるため,法律や訴訟制度になじみのない特許情報利用者にとっては扱いにくい側面があるかもしれない。本稿では,企業・大学等の図書・情報部門で情報を扱う業務に携わる方々,並びに製薬・化学企業で特許情報を扱う業務に携わる方々に向けて,判例情報の種類や判決文の構成を簡単に説明し,判例情報の入手方法と活用方法について解説する。
著者
米澤 誠
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.305-309, 2005
参考文献数
6

図書館で行う展示会は, 図書館資料の利用を促進する活動の一環であり, 図書館の存在を社会に示す広報活動としても意義づけ, 図書館展示の持つ積極的意義を見直す。また, 東北大学で実施した「企画展」を事例として, 展示・解説の効果的実践方法を示す。
著者
三津石 智巳 外崎 みゆき 河村 俊太郎 中塚 寛幸 愛宕 翔太 岡本 真 清田 陽司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.508-513, 2012-12-01
参考文献数
11

Ref.Masterとは,国立国会図書館が提供するレファレンス協同データベースを活用して開発された,レファレンススキル向上のためのツールである。ゲーム感覚で遊びながらレファレンススキルを学習することができる。また一方で,Ref.Masterは人が遊んだ副産物として,計算機では困難な処理がなされるゲーム「GWAP(Game with a Purpose)」のアプローチを利用することで,レファレンス協同データベースに登録されているデータの品質向上に貢献することも企図している。本稿では,利用者のモチベーションを保ち継続的に学習を続けてもらうためのゲームと,新たなデータ生成という別の目的を持つゲームであるという2つの側面をもつRef.Masterの開発背景や機能のほか,運用から得られた知見についても述べる。
著者
佐々木 利和
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.166-169, 2016-04-01 (Released:2016-04-01)

著者の博物館勤務の経験から,現在の博物館・文書館・図書館に通じる問題を指摘する。博物館においては館蔵品のモノとしての特性を熟知している専門職員が重要であるが,取り扱い方法や保存方法など,口伝や見て覚えることによる知識を獲得するには長期間の現場経験が必要であり,大学教育では不十分であるし指定管理者制度にも馴染まない。文書資料も装幀・紙質などモノとしての特性を持つから,図書館・文書館でも事情は同様である。専門知識を持つ学芸員・司書・アーキビストの養成とその知識の総合化の適切な方法を確立することが,記憶を担ったモノを後世に伝えるために急務である。
著者
木村 英司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1006-1013, 1993-11-01

公共図書館が,住民から多様な資料需要に的確に応えるためには,中核館としての県立図書館と市町村立図書館が,有機的な機能協力をすることによって,ひとつの資料提供システムを確立することが大切である。滋賀県立図書館では従来からの協力車による市町村立図書館への巡回活動に加えて,全県的な保存図書館活動を展開するために資料保存センター機能を備えることになった。市町村立図書館における除籍資料で県立図書館未所蔵のものは,新たに県立図書館の資料として受け入れられ県内の市町村立図書館で共同利用できるようになった。平成4年度は約6,000点が受け入れられた。
著者
笈入 建志
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.328-334, 2013-08-01

今は小規模かつ個人経営の小売店舗は書店に限らず減少し,一方でコンビニエンスストアやチェーン店,大資本による大型店舗やショッピングセンターなどが目立つ時代である。個人経営の書店が生き残っていくためには何が必要なのか。現在行っている仕事を整理しなおし,それぞれ将来性や重要度をもう一度検討する。接客,仕入れ,商品開発,販売促進,PR,イベントなどの各分野に含まれる仕事の,どれを最重要と位置付けて力を注ぐのか。新しい時代の書店がここから生まれる。
著者
小山 孝一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.17-22, 2010
参考文献数
3

放送番組はその時代で最新の媒体を使ってきており,テレビ番組のアーカイブも放送された媒体に合わせて保存されてきた。テレビにおけるアーカイブの歴史は短いが,番組媒体の種類はフイルムから磁気のビデオテープ,ディスク等,いろいろな媒体で保存されてきた。放送形態の変更があると,古い素材を新しい媒体へ変換しなければならず,この作業は繰り返されている。2000年からは徐々にデジタル化が進み,デジタルアーカイブの導入により,保存される番組もファイル化され,社内のLocal Area Network(LAN)を利用して保存された番組の検索,閲覧ができるようになった。
著者
吉田 光男
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.501-507, 2014-12

インパクトファクターやh 指数など被引用数をもとにした指標により,学術情報の評価が行われてきた。2010 年前後より,被引用数にかわる評価指標として,ソーシャルメディアなどにおける言及の利用が試みられている。この指標はオルトメトリクスと総称される。本稿では,オルトメトリクスの概要,および,筆者が開発している国産オルトメトリクス計測サービスCeek.jp Altmetrics の開発について述べる。さらに,ソーシャルメディアなどにおける日本語文献の言及動向を報告し,今後の展望について述べる。Academic information has been evaluated by citation-based indicators such as the Impact Factor and h-index. Since around 2010, mentions in social media have been used instead of citation-based indicators.These indicators are called “Altmetrics”. This paper discusses the overview of altmetrics and the national altmetrics measurement service “Ceek.jp Altmetrics” that the author has been developing. In addition, the paper reports the trend of mentions for Japanese academic information in social media and discuss the future outlook.
著者
長谷川 豊祐
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.28-33, 1999
参考文献数
19
被引用文献数
3

Digital Object Identifier(デジタルオブジェクト識別子:DOI)は, URLの一過性を克服し, どのような微細なレベルでもデジタル媒体を識別し, 提供することを意図している.DOIシステムは, 情報仲介業者を経由せず顧客と出版社を直結し, 電子商取引を促進し, 著作権管理システムを実現する。DOIシステムは, ILLからオンラインカタログまで, 図書館サービスへの大きな効果を約束する。
著者
山本 毅雄
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.254-259, 2008-05-01
被引用文献数
1

1975年6月,日本最初の実用規模オンライン情報検索サービスTOOL-IRが,東大大型計算機センターで開始された。ソフトウェアは著者らのチームによる自作で,初期には海外から輸入したデータベース(最初はChemical Abstracts ServiceのCA Condensatesのみ,同年度内にCambridge UniversityのCrystallographic Data, INSPECのComputer and Control Abstracts)が加わった。利用者は全国の大学・短大・高専・研究所などの研究者(教師および大学院生)で,毎年の実利用者は致百人(最盛期は千教百人), 20年以上利用された。TOOL-IRサービスは,ヒューマン・インターフェースを重視した対話型(CUI)ソフトウェアをもち,語尾一致検索,質問ライブラリ,利用者によるデータベース作成支援ソフトウェア(PDB),サービス提供者と利用者間の電子メール交信のどの特色があった。また,国産計算機上で音響カプラー端末(いわゆる電話端末)を利用できるようにした最初のシステムでもあった。このプロジェクトの発想,研究・開発,データベースの輸入,サービスの略史について述べる。
著者
川嶋 斉
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.188-194, 2014-05-01

近年では国立情報学研究所や,カーリル,国立国会図書館などから,公共図書館でも活用できそうなWeb APIの提供が開始されている。このようなWeb APIを取り入れ,自館のWebサイトと他のサイトの連携を図ることによって,Web-OPAC設置以後,長く停滞してきた公共図書館のWebサービスを変えられる可能性がある。本稿では野田市立図書館を例に,JavaScript上でのWeb APIの利用方法と,公共図書館サービスでAPIがどのように活用されているかを紹介する。また,野田市立図書館がWeb APIを取り入れるようになった経緯について触れ,そのきっかけとなったゆうき図書館「新着雑誌記事速報」でも使われている,Google Feed APIを,JavaScriptでWeb API活用の入り口として紹介する。
著者
富川 直毅
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.41-50, 1996-01-01

情報処理振興事業協会では,来たるべき電子図書館時代に求められる情報処理技術, コンピュータネットワーク技術などの基本的な問題を検討するため,パイロット電子図書館プロジェクトを実施している。本稿では,本プロジェクトの概要,および構築した電子図書館システムの構成および機能の概要について説明する。
著者
中村 聡史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.15-20, 2013
参考文献数
23

本稿では,現在のGoogle型のWeb検索サービスを利用して検索することが困難な理由を「検索ユーザとWeb検索サービス間のギャップ」「検索ユーザと情報発信者間のギャップ」「目的とする情報が単一Webページ上に存在しない」という3つの問題で整理する。また,そのそれぞれの問題を解決するために取り組まれている検索意図を考慮したインタラクティブな検索手法や,ソーシャルアノテーションを利用した検索手法,Web上の情報を集約,分析および可視化することによって目的とする情報を作り出す手法などの様々な情報検索支援技術に関する研究について紹介を行う。
著者
須賀 千絵
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.579-584, 2009-12-01

英国では,1964年に,現行の公共図書館・博物館法(Public Libraries and Museums Act,1964)が成立した。その後,今日まで公共図書館に関わる法律に主だった変更はないが,中央と地方の行政制度や図書館サービスの内容には大きな変化があった。本稿では,これらの変化のうち,図書館行政における中央政府の役割の変容について述べる。最初に,1964年公共図書館・博物館法の内容を解説する。続いて図書館行政への中央政府の関与のあり方に応じて,1964年から現在までの45年間を4つの時期に区分し,それぞれの時期における主な図書館政策について論じる。
著者
天野 絵里子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.238-242, 2014-06-01

大学図書館には,常に新しい課題が課せられ続けている。このような中で,大学図書館員が専門職としてどのように知識形成を行い,自信を持ってキャリアを歩んで行くことができるのか,若手から中堅の大学図書館員を対象に,考える手がかりを提示する。継続して学習し,学習したことを活かす機会を求め,図書館の一歩外へ踏み出し,ネットワーク形成によって知識や経験を他者と共有していくことの意義を述べる。
著者
岡本 真
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.52-57, 2011
参考文献数
10

本特集の総論として, 主に日本における図書館・情報センター, 博物館・美術館, 文書館等におけるソーシャルサービス活用の歴史の回顧と展望を行う。同時にこれからのソーシャルサービス活用において超えるべき課題について, 1.ソーシャルサービス, ひいてはウェブのサービスを活用する意義の理解不足, 2.希薄な費用対効果の意識, 3.職員のスキル不足と組織の理解不足の3点を指摘し, 最後に今後のさらなる活用が望まれるソーシャルサービスを10点紹介している。
著者
宇陀 則彦
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.150-154, 2006-04-01
参考文献数
19
被引用文献数
2

図書館システムは図書館員のための業務用システムから利用者のためのアクセス支援システムへと大きく位置づけを変えた。アクセス支援システムとは,サービス機能が有機的に連携した統合型ソフトウェア環境を指す。このようなシステムを実現するためには,新しい図書館サービスを発想できる人材が求められる。システムライブラリアンはサービスと技術の両方の視点を持って新しいアイディアを生み出す創造的職業であり,役割は違ってもライブラリアンであることに変わりない。システムライブラリアン育成には,網羅的,横断的,複眼的カリキュラムが必要であり,そのうち最も重要なのは複眼的な視野を持たせることである。
著者
大向 一輝
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.170-174, 2014-05-01

学術情報サービスに求められる多様なニーズに応えるための手段としてウェブAPIは有用である。国立情報学研究所が運営するCiNiiではサービスの機能とウェブAPIの機能との間に質的な差異を設けず,第三者がデータを活用しやすい環境を構築している。本稿ではCiNiiにおけるウェブAPIの戦略的な位置づけとともにこれを実現するためのシステム設計,実装ならびに運用方針について述べる。また,コンテスト等による利用促進とその成果について報告する。