著者
飯野 勝則 井ノ上 靖
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.181-187, 2014

図書館ポータルサイトにおいては,(1)ウェブスケールな学術情報と,(2)インスティチューションスケールな広報的情報の提供が求められる。佛教大学図書館の場合,(1)はウェブスケールディスカバリであるSummonが中核としての役割を担っているほか,ジャパンナレッジやCiNiiが提供するWeb APIを用いたウェブサービスを別途提供することで,利便性の一層の向上を図っている。一方,(2)については,Summon単独では十分に対応できない。このため,Web APIを通して,自館の他のサービスと連携し,その情報をSummonのユーザインターフェース上に合理的に表示させることで,問題の解決を図っている。今後Web APIは図書館にとって,情報提供という面での自由を担保する存在となるだろう。
著者
志賀 典之
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.60-65, 2014-02-01

オープンソース・ソフトウェアの核心要素であるソースコードの公開,自由な複製・改良・頒布を可能ならしめるのが,ソース・コードの公開をソフトウエアの配布等の条件とするライセンス(著作物利用許諾)である。本稿では,OSSの概念形成の沿革を概観し,排他的独占権である著作権を用いて逆説的にソフトウェアの非排他性の保証を実現しようとしたフリー・ソフトウェア運動及びコピーレフトの概念を概説したのち,OSSライセンスの法的性質,コピーレフトの強度に応じたOSSライセンスの各類型について述べ,近時指摘される実務上の留意点につき示唆を試みる。
著者
古賀 崇
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.408-414, 2012
参考文献数
54

本稿は日本のアーカイブズの現状や,アーカイブズの位置づけを考えるのに有益と思われる点に関し,概観を試みた。主な論点は以下の通りである。(1)日本では公文書管理・公文書館の制度をめぐる課題に直面する一方で,多様な「アーカイブ」に関する取り組みが進みつつあるが,それは「文書主義」「体系性」という「アーカイブズの本質」には必ずしも基づかない場合がある。(2)「組織アーカイブズ」「収集アーカイブズ」の区分と,これらを包括的に捉える枠組みが有益である。(3)政策の検証などに関して「証拠(エビデンス)をもって判断する」という,「実証的な思考法」を実現するための場として,「アーカイブズ」を位置づけることが可能である。
著者
西村 武正
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.366-370, 2001-07-01

24時間開館の図書館が誕生するまでの経過と開館の実態について報告する。1) 24時間開館の図書館ができるまでの経過, 2) 24時間開館のシステム, 3) 開館後の経過, 4)今後の課題 町民の要望に応えることで誕生した須佐町立図書館は, いつでも, 自由に自分で処理して本が貸りられる図書館であり, 町民のため, 子ども達のための図書館をめざしている。
著者
渡辺 ゆきの
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.76-81, 2011-02-01
参考文献数
11

参加型サービス「kumori」の紹介を行なう。kumoriとは, 本の紹介を投稿するとそれがしおりになり, 図書館で配布されるサービスである。しおりには, 投稿者からの本の紹介と所蔵情報等が載っている。しおりを投稿者と協同で作成している点が特徴である。本稿ではまず, kumoriの目的・形状・システム・作成方法・特徴等を紹介する。次にkumoriへの意見, そして課題について述べる。
著者
呑海 沙織
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.60-64, 2009-02-01
被引用文献数
1

本稿は,図書館コミュニティにおける自発的キャリア形成の特徴について論考するものである。図書館コミュニティにおける自発的キャリア形成の実際の場として,全国の国公私立大学図書館員を中心とする自主的・実践的な研究団体である大学図書館問題研究会をとりあげ,その概要,運営方針,設置背景,主要な活動について概観する。また,図書館コミュニティにおけるキャリア形成の特徴について,1)自己啓発,2)コミュニティの維持・発展,3)継続的なキャリア形成,をあげ,それぞれについて論じる。
著者
五十嵐 太郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.441-444, 2007-09-01
参考文献数
6

建築デザインでは,情報やモノが行き交う現代的な場所として,ステーション,ライブラリー,カフェなどのビルディングタイプに注目が集まっている。大西麻貴は図書と住宅を,古谷誠章は図書と駅をかけあわせることで,新しい場所を創造した。OMAのシアトル中央図書館は,図書空間を軸にして公共の空間を再編成する大胆な実験を試みている。
著者
桑山 亜也
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.228-232, 2011-06-01

刑務所・少年院といった矯正施設に収容された人の読書支援の拡充やその環境整備のためには,次の3つの視点がある。すなわち,(1)矯正施設に収容された人も,一般社会に生活するわれわれ市民と同様に日本国憲法上の自由が保障され,また同様のニーズがあり,それを充たす権利を有すること,他方で,(2)その自由や権利に対しては,矯正施設に収容されているということそれ自体,または,定められた矯正処遇や教育を受けなければならないこと等によって制限があること,そして,(3)収容された人には,一般社会に生活する人とは異なる読書のニーズがあること,である。本稿では,特に刑務所に焦点を当て,これら3つの視点を総合的に考慮することの必要を説く。
著者
渡邉 斉志
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.536-541, 2007-11-01
被引用文献数
1

ドイツには国立図書館が三館存在しており,単一の巨大な国立図書館が全国の図書館をリードする形にはなっていない。ドイツは連邦制国家であり,教育・文化行政は州の所掌となっている。そのため,国立図書館は他の図書館を指導する立場にはなく,現在進められている図書館振興策においても国立図書館の存在感は希薄である。また,国立図書館は,図書館法がないドイツにおいては例外的に法律に根拠を持つ図書館であり,振興の対象としては,優先順位が高いわけではない。しかし,国立図書館自身も,自ら改革を進めることで,国立図書館としての機能の強化に努めている。
著者
岸田 和明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.62-67, 2007-02-01
被引用文献数
2

本稿では,シソーラスや件名標目表をはじめとする統制語彙に関して,その基本的な機能や限界を整理した上で,インターネットが高度に発達し,サーチエンジンが広く普及した現在における統制語彙の意義と役割について議論する。具体的には,再現率向上および精度向上のための装置としての統制語彙の機能を確認した上で,検索実験や種々の実証研究等で明らかになっている,その限界について述べる。次に,その点を踏まえ,専門的データベースの検索におけるその意義,ウェブなどの全文検索におけるその意義,複数根拠を提供するための表現としての意義について議論する。さらに,今後の可能性として,シソーラスの自動構築や索引語の自動付与,オントロジやフォークソノミーとの関連についても触れる。
著者
上村 圭介
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.272-276, 2006-06-01

デジタル技術とデジタル・ネットワークの普及は,クリエイティブ・ユーザーと呼ばれる新しいコンテンツの作り手を生み出した。従来の著作権制度の枠では,このような作り手によるコンテンツの創作活動のニーズに十分応えることができないため,「クリエイティブ・コモンズ」と呼ばれる著作権の運用が提案されている。本稿では,クリエイティブ・コモンズの目的と考え方,コンテンツの自由な共有を事実上実現するための仕組みについて論じた上で,クリエイティブ・ユーザーの時代にふさわしい著作権制度を考える上で,クリエイティブ・コモンズの試みがもたらす意義について考察する。
著者
吉川 日出行
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.582-587, 2008-12-01

情報爆発時代に即したファインダビリティとはなにか。そもそもユーザが情報をさがす際にはどのようなシーンがありどのような行動を取っているのだろうか?本稿ではユーザの情報検索行動に注目し,検索シーンをいくつかに分類して各シーンの特徴を考察する。次に各シーンにおけるファインダビリティを向上させるための手段(ツール)について検討を行う。また,検索エンジンの利用時のプロセスとその際の支援ポイントについても分析している。ユーザの情報検索行動は常に変化するものであり,ファインダビリティ向上のためには,シーン毎の特徴やプロセス毎のニーズに合わせた支援方法を検討することが肝要である。
著者
川崎 道雄
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.281-284, 2009-06-01

本稿では,中国の雑誌流通の特徴と海外から中国発行の雑誌を入手する場合の現状を述べ,今の中国で重加速的に進んでいる雑誌の電子化の現状と今後の展望を考える。
著者
佐藤 郁哉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.164-170, 2017-04-01 (Released:2017-04-03)

本稿では,公的研究資金の選択的配分の前提としておこなわれる研究評価事業によってもたらされる意図せざる結果について検討する。英国の研究評価事業を事例として取り上げ,同事業が研究活動テーマや方法論の均質化に結びついていく可能性について見ていく。焦点をあてて検討するのは,商学・経営学の領域における論文化の傾向である。この領域では,研究評価事業に際して提出される研究成果においてジャーナル論文の占める比率が急速に増加していった。これは,同領域が偏狭な業績主義によって席捲され,「ジャーナル駆動型リサーチ」が優勢になってしまう可能性を示唆するものである。
著者
藤井 秀道
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.65-69, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)

本論文では,近年の環境保全技術に関する学術的研究動向を踏まえながら,環境保全技術の開発を評価する際に特許情報がどのように活用されているかを紹介する。特に,経済協力開発機構において用いられている環境保全技術の評価方法について取り上げるとともに,環境保全技術の開発と普及のそれぞれの段階について代表的な論文に加えて最新の研究を紹介することで,特許情報の有用性を説明する。最後に,読者が自ら手を動かして学ぶ際に有用な事例研究について,データや計算過程を詳細に記載しながら解説するとともに,得られた分析結果からどのような情報を得ることが出来るかについて紹介する。
著者
奥田 哲矢
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.290-295, 2020-06-01 (Released:2020-06-01)

Webサービスの安心・安全を支える裏方として,本稿では通信技術,特にSSL/TLSの概説を行う。SSL/TLSは,顔の見えないインターネット上で,通信相手の認証,通信の機密性と完全性を提供する。安全性の豊富な研究に基づく最新版TLS1.3の完成と,常時SSL化/完全HTTPS化の普及により,通信の安全性の観点では,これらは成熟した技術群と見える。それでは,なぜ,世の中からフィッシング被害は無くならないのだろう。実は,SSL/TLSをさらに下支えする,PKI(公開鍵基盤)という技術的,社会的な仕組みが存在し,今まさに,PKIが提供する価値に変革が求められているのである。本稿では,SSL/TLSとPKIに関する歴史と仕組みを概説し,今まさに起こりつつある変化についても紹介する。