著者
三津石 智巳 外崎 みゆき 河村 俊太郎 中塚 寛幸 愛宕 翔太 岡本 真 清田 陽司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.508-513, 2012-12-01
参考文献数
11

Ref.Masterとは,国立国会図書館が提供するレファレンス協同データベースを活用して開発された,レファレンススキル向上のためのツールである。ゲーム感覚で遊びながらレファレンススキルを学習することができる。また一方で,Ref.Masterは人が遊んだ副産物として,計算機では困難な処理がなされるゲーム「GWAP(Game with a Purpose)」のアプローチを利用することで,レファレンス協同データベースに登録されているデータの品質向上に貢献することも企図している。本稿では,利用者のモチベーションを保ち継続的に学習を続けてもらうためのゲームと,新たなデータ生成という別の目的を持つゲームであるという2つの側面をもつRef.Masterの開発背景や機能のほか,運用から得られた知見についても述べる。
著者
根本 彰 影浦 峡 青柳 英治 海野 敏 小田 光宏 河西 由美子 岸田 和明 倉田 敬子 古賀 崇 鈴木 崇史 竹内 比呂也 谷口 祥一 研谷 紀夫 中村 百合子 野末 俊比古 松本 直樹 三浦 太郎 三輪 眞木子 芳鐘 冬樹 吉田 右子 今井 福司 河村 俊太郎 浅石 卓真 常川 真央 南 亮一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

5年間にわたる本プロジェクト(通称LIPER3)では、過去2回のLIPER研究で抽出した図書館情報学教育の問題構造に変化を与えるために次の実践研究を行った。第一に、図書館情報学教育の教育内容を見直すために、新しい標準的な教科書シリーズを執筆し刊行した。第二に、この標準的な教育内容に沿って各教育機関がどのような教育成果を上げているかを自己評価できるように、図書館情報学検定試験を4年間にわたり実施した。第三に、外国の図書館情報学教育の状況を把握し関係者と交流するために、アメリカの標準的教科書を翻訳・刊行し、国際学会で日本の図書館情報学教育について発表し、欧米の教育機関での聞き取り調査を実施した。
著者
浅石 卓真 松田 めぐみ 河村 俊太郎
出版者
東京大学大学院教育学研究科生涯学習基盤経営コース内『生涯学習基盤経営研究』編集委員会
雑誌
生涯学習基盤経営研究 (ISSN:1342193X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.53-59, 2014-03-10

近年の学校図書館には,学習・情報センターの機能の中でも教員に対するサポート機能が一層求められている。学校図書館の業務を担う学校司書が文献の提供を通じて教員サポート機能を十分に発揮するには,各教科の教員のニーズに即した文献を必要に応じて提供するだけでなく,各教科に関連した主題専門領域の基本文献を予め把握しておくことが望ましい。本資料ではそのような基本文献の一つのモデルとして,大学教授と高校教員が挙げた「高校物理を教える上で把握すべき物理学の基本文献」のリストを提示する。
著者
河村 俊太郎
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.110-126, 2012-06-30

大学組織及び図書館組織の中における東京帝国大学附属図書館の役割について,そのモデルや実際の運営から検討した。当時の図書館組織のモデルとなるのは二つあった。一つはドイツの大学に代表される学問型であり,このタイプの図書館においては,中央と部局は切り離されており,価値のある図書だけを購入していた。もうひとつは,アメリカの伝統ある大学に代表される教育型であり,このタイプの図書館は,部局と中央が組織的な関係を持つことを意識し,また教育的な資料も収集していた。東京帝国大学は,研究型の図書館を望み,附属図書館の基礎を築いた三人の館長は教育型を重視していた。実際の附属図書館の運営を見てみると,部局図書館と附属図書館は別々に運営され,図書館員は大学図書館についての知識は十分に身につけていなかったが学問に関しての知識は持っていた。そして,少なくとも関東大震災ごろには図書館員を中心に選書は行われていたが,教員による選書や授業に関連した選書は十分に行われなかった。ここから,少なくとも1920年代後半には附属図書館の運営は研究型により近いと結論された。
著者
河村 俊太郎
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.131-146, 2010-09-30

本研究は東京帝国大学図書館を対象に,図書館商議会の運営及び中央と部局の関係を中心とした図書館組織について,一次資料の検討を中心に歴史的に検討した。東京帝国大学では特に1918年以降は学部所蔵の図書については学部と附属図書館両者が権利をもつ曖昧な管理体制となっていた。こういった状態の中で,学部の意図を附属図書館の運営に反映するために設立された図書館商議会でも,附属図書館の運営以外にも部局と中央の関係が議題として取り上げられるようになっていた。行われていた議論からは,東京帝国大学の図書館組織が,中央から部局ではなく,いくつかの部局からの中央へのコントロールという側面が強いものであったことが考察された。
著者
河村 俊太郎
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.110-126, 2012-06-30 (Released:2017-04-30)

大学組織及び図書館組織の中における東京帝国大学附属図書館の役割について,そのモデルや実際の運営から検討した。当時の図書館組織のモデルとなるのは二つあった。一つはドイツの大学に代表される学問型であり,このタイプの図書館においては,中央と部局は切り離されており,価値のある図書だけを購入していた。もうひとつは,アメリカの伝統ある大学に代表される教育型であり,このタイプの図書館は,部局と中央が組織的な関係を持つことを意識し,また教育的な資料も収集していた。東京帝国大学は,研究型の図書館を望み,附属図書館の基礎を築いた三人の館長は教育型を重視していた。実際の附属図書館の運営を見てみると,部局図書館と附属図書館は別々に運営され,図書館員は大学図書館についての知識は十分に身につけていなかったが学問に関しての知識は持っていた。そして,少なくとも関東大震災ごろには図書館員を中心に選書は行われていたが,教員による選書や授業に関連した選書は十分に行われなかった。ここから,少なくとも1920年代後半には附属図書館の運営は研究型により近いと結論された。