著者
国土地理院 地理空間情報部 情報普及課
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.232-237, 2019-06-01 (Released:2019-06-01)

国土地理院では,地図,空中写真,災害情報など,我が国の国土を表す様々な地理空間情報の整備,提供を行っている。国土地理院が運用しているウェブ地図「地理院地図」(https://maps.gsi.go.jp/)は,主に行政分野,特に防災に役立つ地理空間情報を提供するとともに,それらを手軽に活用できる機能も有している。本記事では,地理院地図の特長や機能,活用例について,地理院地図の操作方法とともに紹介する。また,地理院地図で利用されている地図データであり,地理院地図以外の様々なシステムやアプリケーションでも利用できる「地理院タイル」についても合わせて紹介する。
著者
白石 智彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.495-499, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

神奈川県行政資料アーカイブは,県が作成した行政資料のうち電子ファイルの形で作成されたものを永続的に公開するものだ。収録数が順調に増えているのは従来の紙媒体の収集制度を援用していることが大きい。検索サイトからも検索可能で,直接その行政資料にアクセスできる。収録されたものの中には既に担当部署のWebサイトから削除されたものもあるが,遡及データの提出も増えており,このアーカイブの真価が発揮されつつある。今後,更に遡及分が増加し,また単発の広報物等も増加すればより多くの県の情報を伝達できるようになる。一方,元の行政資料を作成する時点での著作権処理が必要になる場合の,自治体内部への広報活動も重要になる。
著者
坂口 貴弘
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.384-389, 2010-09-01
被引用文献数
1

アーカイブズ界では対象資料の独自性を踏まえつつ,図書館界の書誌コントロールに相当する領域を発展させるべく,各種の方法論や標準類が開発されてきた。本稿ではまず,記述に関する標準としてISAD(G)やDACS,EAD等について解説する。次に編成に関して,組織ベースの編成と機能ベースの編成を取り上げ,それぞれに関連する標準としてISAAR(CPF)とISDFに言及する。さらに電子記録のメタデータ付与に関する課題を指摘し,その標準化の取り組みのうちISO23081とMoReqについて扱う。アーカイブズの編成・記述をめぐる近年の動きには,図書館界の議論との共通点を多く見出すことができる。
著者
岩田 康之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.105-110, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

日本の教員養成系単科の四大学(北海道・愛知・東京・大阪。頭文字を取って「HATO」)では,協働して教員養成の機能強化の取り組みを2012年度より行っているが,その一環として,IR(Institutional Research)の手法を用いた教学改善に着手している。これは主に,入学時から卒業時に至る学生たちの意識に関する調査を協働で行い,データを収集・分析することとともに,それを各大学の内部データと関連づけて,教学改善を進めていく取り組みである。これまでのところ,学生の意識の実態解明などで一定の成果を挙げつつあり,今後は他のタイプの大学も含めて展開させていくことが計画されている。
著者
尾鷲 瑞穂 野崎 久美子 張替 香織 村上 章人
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.500-505, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

国立環境研究所は,多岐に渡る分野の環境研究を実施している環境省所管の国立研究開発法人である。研究所のオープンアクセス推進のため,平成29年度より,論文の出版に要する費用(APC(Article processing charge))の助成制度について検討が行われている。検討に用いるデータとして,オープンアクセス実態調査」を実施し,研究所で生産された論文等の研究成果がオープンアクセスになっている割合やオープンにするために要したAPC支払いの推計を行った。その結果,調査対象とした平成23年度,平成28年度ともに70%の論文がオープンアクセスになっている一方で,APCの価格が高いハイブリッドジャーナルへの掲載が増え,その支払い金額も増加傾向にあることがわかった。
著者
藤本 徹
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.502-507, 2012-12-01

本稿では,「サービスとしてのゲーム」を一つの切り口として,ゲームの要素や枠組み,そしてその社会的利用における考え方を論した。ゲームの社会的利用に関連する概念を検討し,「サービスとしてのゲーム」の観点から,ゲーム産業におけるゲームのサービス化や情報サービス産業におけるサービスのゲーム化といった異なる角度から考察した。その上で,情報サービスにおいてゲームの要素を取り入れるアプローチを3つのレベルに整理して,それぞれの特徴について図書館におけるサービス開発の文脈で例示しながら,今後このような取り組みに向かう際に考慮すべき課題を検討した。
著者
小陳 左和子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.60-66, 2016-02-01 (Released:2016-04-01)

大学図書館が大学の教育研究活動を支える基盤であるためには,他館との相互協力が不可欠である。大学図書館間のネットワーク形成にあたっては,国公私立大学図書館協力委員会や国立・公立・私立大学の各図書館協(議)会といった組織体,また,長年学術コンテンツ事業を行っている国立情報学研究所が,大きな役割を果たしている。本稿では,現在これらの関係組織の間で,活動体制・枠組みの再構築が進められている,1)電子資料に関するコンソーシアム,2)機関リポジトリの推進,3)総合目録データベースNACSIS-CATの再構築,といった3つの事例を紹介することにより,最近の大学図書館における連携・協力の動向を概観する。
著者
ふじた まさえ
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.272-275, 2018-06-01 (Released:2018-06-01)

2010年からサービスを開始した図書館検索サイト「カーリル」は2012年から株式会社カーリルが運営している。「図書館をもっと楽しく。」を掲げ,エンジニアの技術とデザイナーのパワーによって図書館の利用者に役立つサービスを展開している。最近では,図書館と連携してサービスを提供する機会も増えてきた。公共図書館の現場を経験した司書としての視点からカーリルの動向をまとめる。
著者
山本 順一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.60-65, 2012-02-01

政府の場合,保有する機密情報や法令上非公開とされている情報を除き,国民に公開すべきものであり,その一部は灰色文献を構成してきた。また,学術情報についても,たとえば,博士論文は一般市民には近づきがたく,グレーな情報にとどまってきた。民間の企業や団体が保有する価値ある情報が,灰色文献として,一部でひそかに活用されてきたこともある。従来は,このような小規模潜行出版による紙媒体資料としての限界から,灰色文献として取り扱われてきたものが,最近ではその少なくない部分がデジタル化され,インターネット上で利用できるようになった。本稿は,日本法の枠内で,紙媒体からオンラインのデジタルコンテンツに変貌しつつある'灰色文献'を法的に検討しようとする。
著者
小野寺 夏生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.272-276, 2016-06-01 (Released:2016-06-01)

論文データベースの収録記事に付与される主題分類は検索キーとして使われる他,情報分析において重要な役割を果たす。主要なデータベースで使われている主題分類の概要を示し,その中でも情報分析によく利用されるWeb of Science Core Collection,Essential Science Indicators,Scopusの3つの分類の特徴を述べるとともにそれらの比較を行う。その後,情報分析を指向して提案された主題分類について解説する。それらは,人的な考察に基づく分類とアルゴリズム的な分類(主に引用関係による)に大別される。
著者
末吉 行雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.408-414, 2008-08-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

1970年代から1990年代の30年間の日本経済新聞社の電子メディア事業を振り返る。70年代はNEEDSと呼ばれる専門家向け商品の開発が中心だったが,そのなかで,新聞記事のデータベース化は日本語というハンデも含め,前例のない取り組みだった。労多くして報いの少ない仕事でもあった。 80年代にはいると,ネットワーク,パソコンの普及で,日経テレコンという一般向け商品が登場する。専門家から大衆向け商品への転換が起こり,料金の低額化とあいまって,記事情報は脚光を浴び始める。90年代はインターネット,WWWブラウザの登場で,ビジュアルな画面・映像を含む文字情報が主役の時代となった。
著者
藤井 保夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.318-324, 2016-07-01 (Released:2016-07-01)

企業活動が技術革新により特許権に大きく依存していることから,企業が意思決定を行うに際して,特許権の個別的な実情を知ることが必要である。そのために,訴訟情報は欠かすことができない。日本の特許/知財訴訟情報の本体は,紙媒体上に存在する。その情報は,判決言渡しがない訴訟であっても,裁判の公開性の原則にしたがって,国民に公開されている。この訴訟情報を得るために訴訟番号と当事者名と管轄裁判所の担当部とを知る必要があるが,これらは,開廷された訴訟の情報を電子化してインターネット上にある「知財提訴データベース」から知ることができる。米国の特許訴訟に関する情報は,全てが,電子化されて公開されている。「米国訴訟日報」では,特許訴訟の管轄裁判所90カ所以上から,ほとんどの場合,提訴の翌日には,訴状など訴訟の内容を知る手がかりが得られ,裁判記録も,電子ファイルとしてインターネット上のデータベースから得られる。
著者
湯浅 俊彦
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.322-327, 2013-08-01

日本の出版流通における書店の位置を概観し,学術出版の流通に起きた変化と書誌情報・物流情報のデジタル化という前史から,今日の電子出版ビジネスと書店の関係を考察した。そこで明らかになったのは物流を伴わない出版流通において,既存のリアル書店が主要なプレイヤーにはなりえないということである。しかし,リアル書店の良さはその空間演出にある。アマゾンのようなオンライン書店の登場によってこれまで当たり前であった普通の書店が「リアル書店」と呼ばれ,その価値が改めて見直されたように,電子出版の進展によって「紙の本」の価値は相対化されながらも,消えることはないだろう。
著者
関根 千佳
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.372-377, 2009-08-01

図書館の役割とは,市民に情報を提供することである。社会を構成する市民の中には,年令や能力,背景などの環境において,多様なニーズを持つ人々が増えてきている。日本は2009年現在,イタリアを抜いて世界で最も高齢化の進んだ国となった。加齢が進み,視覚や運動機能などに制限のある市民の増大と,ITの進展で新たな読書環境が出現する中で,その「読書」を支援する体制やサービスは,どのようなものが求められているのだろうか?本稿では,特に米国における図書サービスを中心に,読書障害(Print Disability)への対応について,デジタル化が進む図書館サービスの将来像をユニバーサルデザインの観点から論じる。
著者
三輪 宗弘
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.415-421, 2012
参考文献数
11

本稿では米国国立公文書館を利用する一人として,資料特に真珠湾攻撃直後に押収された日本商社資料の閲覧を通して,企業の日々の活動の資料が徹底的に分析され,日本の空襲ターゲット選定や日本に関する様々な情報収集にまで利用された実態を知ることができた筆者の経験を記述した。これらのことから,米国国立公文書館を利用すると,資料を収集して,分析して活用し,さらにそれを今日まで記録として残し,公開しているという点で,米国の資料管理の素晴らしさを実感できる。日米の資料公開の違いを痛感するのが軍事関係情報の公開の在り方である。シビリアンコントロールの観点からも情報公開の大切さを学ばなければならない。海外文書館での資料や情報の公開のあり方を学び,優れた制度を取り入れ,根付くように微力を尽くしたい。
著者
赤間 亮
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.181-186, 2015-04-01

立命館大学アート・リサーチセンターにおけるデジタル・アーカイブ事業では,デジタル化技術やデータベース開発を独自に行って来た。徹底した公開ポリシーを掲げて所蔵品を公開する一方,国内の自治体や大学,個人の所蔵品のデジタル・アーカイブを実施してきた。その後,海外に展開し,欧米の博物館所蔵の日本美術品・文化財を対象として,急速に進んでいる。現在は,古典籍に重点が移っているが,これはバンジーシステムの開発により,高速化が実現されたからである。また,現地の若手研究者とのコラボレーションと教育的効果を組込んだARC国際モデルが定着し,小さな組織ながらグローバルな展開が可能となっている。
著者
末廣 恒夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.457-460, 2016-09-01 (Released:2016-09-01)

神奈川県資料室研究会の活動の中心は,8月を除く毎月開催している月例会である。月例会では,講演会,見学会,グループディスカッション等を行っている。理事会が月例会の企画・運営を行っており,年間計画を立てて総会に提案している。講演会では,電子ジャーナル・学術雑誌関連,実務関連,著作権関連などのテーマを中心に取り上げている。毎回詳細な記録を作成し,「神資研ニュース」と年報「神資研」に掲載している。小規模やワンパーソンで運営しているところが多い会員に対して,「泥臭さ」と「半歩先を行く」というモットーの元に月例会を開催しているところに,神資研が月例会を開催する意義がある。